南九州の山旅

平成25年8月25日〜28日 (3泊4日)

世界自然遺産の島、洋上のアルプス、屋久島へ


平成25年8月25日〜28日 白谷雲水峡〜縄文杉〜永田岳〜宮之浦岳〜黒味岳〜淀川〜紀元杉


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図 (屋久島縦走ルート)



   

第1日目:8月25日(日) 屋久島に入り、白谷雲水峡からスタートする

8月25日指宿のキャンプ地を早朝に出発し鹿児島から高速船で屋久島に行く事にする。当初の計画では鹿児島を18
時に出て種子島経由、屋久島に07時到着のフェリー「ハイビスカス」(片道¥3,200)で行く予定だった。前日、
開聞岳が半日で予定終了となった為夕方まで時間をつぶすのは勿体ない。

屋久島へはもう一つ「屋久島2」というフェリー(片道¥4,600、帰りも使うと¥3,300に値引き)があるが
これは鹿児島発08時30分、屋久島到着が12時30分と中途半端な時間となる。


一方高速船「トッピー」(片道¥8,200)だと鹿児島発07時45分、宮之浦港着09時45分で白谷雲水峡行き
10時20分のバスに間に合う。出費は痛いがトッピーに決定!!

しかしここで更なる出費が・・・・・

ハイビスカスの乗り場は市内から離れているので無料駐車場があるのだが、高速船乗り場は市内、鹿児島港なので有料
駐車場しか見当たらないのだ。出発時間も迫っているので最寄りの駐車場(24時間¥2,200円)に車を入れてトッ
ピーに乗り込む。

高速船は想像以上に広く沢山の観光客が乗っているが大きなザックを抱えた登山者は少ない。お揃いのTシャツを着た
団体登山者もツアーらしく荷物は非常に少ない。


09時45分宮之浦港に着き大勢のツアー客は待機する観光バスに吸い込まれて行き10時20分発白谷雲水峡行きの
バス(¥530)はガラ空き状態だった。屋久島自然館行きのバスもあるのだが、翌日は雨予報の為宮之浦・永田岳の
奥山登山は天気が回復する2日後と決めていた。


軽四輪の安いレンタカーもある事を調べていたが、登山口と下山口が違うので車の回収がやっかいで3日間山に入るので
かえって不経済となる。
路線バスは11時頃白谷雲水峡に着く。道端には一杯レンタカーが留められており車の迂回も厳
しそうな状態だった。


さて、バスを下り橋を渡り返し白谷雲水峡管理棟で森林環境整備推進協力金¥300を支払い登山届を提出する。念の為
窓口の若い森林保安官に「天気予報を教えて下さい」と尋ねると「う〜〜ん 山の天気は変わりやすいですから良くわか
りません」だと。天気予報を知らない森林保安官もいるのか〜 さていよいよもものけ姫のイメージ舞台・白谷雲水峡へ


 
   鹿児島〜屋久島間 高速船トッピー                    トッピーの船内 結構広い

 
            宮之浦港                     宮之浦港を眺めながら路線バスで白谷雲水峡へ

 
  白谷雲水峡近くの道路を埋め尽くすレンタカー             白谷雲水峡 登山口管理棟

 

白谷雲水峡登山口〜弥生杉コース〜さつき吊り橋〜奉行杉コース〜白谷小屋〜辻峠〜太鼓岩〜白谷小屋


*コース案内図は屋久島レクレーションの森保護管理協議会HPを加工させて頂きました。


11時13分管理棟から「屋久島森林自然生態系保護地域」の看板がある登山道に入ると分岐があり、左=さつき橋、
右=弥生杉とあるので右手に続く木道を登って行く。暫く歩くと谷筋から清水が流れ落ちているのでそれを手ですくって
飲むと冷たくておいしい。ヒメシャラ、コラボ樹やイスノキなど次々現れる。


登山口から20分程で樹齢3,000年の「弥生杉」に到着。着生植物が9種類も同居している。それを過ぎると整備
された木道が白谷川に向かって下って行く。
11時56分白谷川に架かる「さつき橋」横にがここは橋を渡らず奉行杉
コースへと進む。


    
屋久島森林自然生態系保護地域の看板が入り口       冷たくて気持ちがいい沢水を頂く
   
        ヒメシャラも瘤が有る                       早速 コラボ樹が現れる

   
 これはマンサク科「イスノキ」という札がかかっていた       樹齢約3,000年の弥生杉 胸高周囲 8.1m

  
      木道が良く整備されている                  こんな屋久杉があちこちに

 
  開けた場所には崩壊防止の石垣が積まれていた          大岩もゴロゴロ


           なんか別子銅山の導水路にイメージが似ていた森の風景


     切り株がしぶとく残り、その上に杉が着生すると2代目となる

  
       白谷川に向かって下りて行く               さつき吊り橋の対岸にはツアー客の姿や声がする


10分程で「2代大杉」の標識が立つ大きな杉を過ぎるとクラゲ樹やらタコ足ヒメシャラなどが次々と現れる。ヤクシカ
が登山者を恐れる様子も無くその辺りをウロウロしている。四国の山と大違いで平和なやつらだ。


相当昔に切り倒したと思われる巨大な切り株が朽ちもせずに残っている。おまけにそこから新たな杉が芽吹いていたりして
腐敗が進み易い高温多湿な場所とは思えない。


その理由を調べてみると、どうも屋久杉には殺菌性のある豊富な樹脂分が多い事や、花崗岩の痩せた土地で成長が遅く年輪
が密になり頑丈で風雨にさらされても腐りにくい。又ある木材業者によると倒木にびっしり生えた幾重もの苔が、水の中で
酸素を遮断して保存するのと同じ効果があるそうだ。


  
 何でも有りの着生樹 植物のしぶとさを見る            こういう場所にヤクシカがフツーに歩いている


       まあ 屋久島に限らず四国にもある倒木風景なんだけど・・・・


            何気ない風景にも心が落ち着く


                 12時05分 「ニ代大杉」に到着   

   
胸高周囲は4.4mと少し小さいが樹高が32mもある            長期戦で凌ぎ合う樹


              岩や木に着生したらもう根を伸ばすしかないわねえ 


       出た〜〜   タコヒメシャラ !!   もっとシャンとせいや


                 この森にはヒメシャラが多い

12時38分峠部に着いて休憩中、管理棟にいた天気予報ノーチェックの若い森林保安官がやってきた。この人は先の登山
道に横たわる倒木を鋸で轢いていたので「ご苦労さん」と挨拶し悪い印象はここで帳消しとなった。


野根山街道の「宿屋杉」みたいに切り株の下が空洞になった樹がここではゴロゴロしている。12時54分大きな根が三本
生えて中が空洞になった「三本足杉」に到着。

白谷雲水峡はツアー客以外のも単独や少人数のグループに出会う。三脚を出すのが面倒なので記念撮影をお願いする。ここ
から白谷小屋まで1.5kmの標識があった。


   
花崗岩の痩せた岩道に根を縦横無尽に張っている         宿屋杉みたいなのがフツーに見られる


                 12時54分 三本足杉道場でしばしの休憩

石がゴロゴロする小さな沢を渡り、石の間にすり減った木が階階段状に置かれた坂を登ると「びびんこ杉」に到着。びびん
ことは「肩車」の方言で、切り株の上に発芽した2代目の杉を丁度1代目が肩車をしているイメージから一般公募で命名さ
れた樹齢300年の若い杉だ
この辺りは苔の森で切り株や岩がびっしり苔に覆われているので見分けがつかない。

10分程歩くと古い親木が斜めに倒れ、そこから3本新しい杉が育っている「三本槍杉」というのもあった。 森の樹は色
んなパターンで年月を重ねて来ている。
13時26分貫録のある「奉行杉」に到着。

 
13時03分上り坂の途中にあった「びびんこ杉」        親杉が子杉を肩車 う〜ん かわいい発想だが・・・?

 
     13時10分 「三本槍杉」に到着              相変わらず癒しの登山道が続く

      
             13時26分 貫録十分の奉行杉 胸高周囲 8.5m

小さな沢に屋久杉の橋がかかり、それを渡ると土台と根が残った朽ち木と苔の岩だらけのおどろおどろしい景色となる。
ツガの巨木にも苔や着生植物で覆われ一体何の樹か良くわからない。


13時50分初めて沢らしい雰囲気の良い沢を渡る。増水時は注意とあったのはこの沢に間違いはない。丸くて平たい大岩
を飛んで渡る。
その向こうは切り株風景となりまるでアートの様な根っこで登山道が覆い尽くされている。



     屋久杉の木片が張られた木橋  腐りにくいので長持ちするんだろうなあ


     巨木と根っこの原生林風景に囲まれた登山道


              屋久杉がプロレスごっこをして遊んでいる


             四国でツガの巨木は沢山見たが、これがツガと言われてもピンとこない


       13時48分、白谷雲水峡で唯一「渡渉」と言える場所を渡る  水が澄んで顔を洗うと気持ちいい〜
 

                    まるでアートな登山道

14時02分根っこを登山道が潜っているのでてっきりこれが「くぐり杉」かと思っていたら暫くして「二代くぐり杉」の
表札がかかった老木に出会う。これも切り株の上に若い二代目が着床したもので、中から空が見渡せたがハート形ではなか
った。


   
    おじゃましますんにゃがな                       一体どうなっとんじゃ はっきりせい


             幽玄の世界か はたまた妖怪の世界なのか?


            14時10分二代くぐり杉を潜る


   これを少し削ってダイヤかスペードの形にしてウィルソン株に対抗すれば? (2代杉の中から)

登り坂にさしかかると上から子供を引率した団体が下りて来た。見るとそこにもくぐり杉が見える。14時18分元祖「
ぐり杉」を潜る。


坂が平坦になると右手に小屋が見えた。綺麗に澄んだ沢を渡ると14時25分今晩泊まる「白谷小屋」に到着した。デッキ
の置かれた広場に回り込むと大勢の登山者が休憩をされている。小屋の中は広くて暗いし、虫も沢山飛んでいる。小屋の中
にトイレがあるのであまり良い環境とは言えなかった。

少し小さめの部屋があったのでそこに荷物を置かせて貰い休憩の後、太鼓岩まで散歩する。また小屋まで引き返すのは面倒
だが、ここまま進むと縄文杉まで行ってしまい、翌日は雨の宮之浦岳となってしまう。それに、今日太鼓岩へ行かなけばき
っと明日は雨で面倒になり寄り道はしないと自分を予想したのだ。


   
         更にアートな登山道が続く                   子供達の自然教室グループ


        14時18分、白谷小屋へのフィナーレは「くぐり杉」の通過となる


           さすが元祖「くぐり杉」は迫力満点!

 
          写真 お願いしま〜す              14時25分 「白谷小屋」に到着  水場・トイレ有り

14時45分身軽になって白谷小屋を出発する。沢を渡ると早速「七本杉」という立派な屋久杉がある。ここから太鼓岩
分岐がある辻峠までが苔の森・トトロの森のイメージ場所らしい。まあもっとも「トトロの森」アニメは見ていないんだか
ら比べようもないんだが・・・


確かに木々も岩も根っこもすべて苔に覆われている。秀吉や徳川の時代に地面から2m程残して伐採された切り株はそのま
ま苔に覆われて残っている。このしぶとさが森の精の正体なのだろう。
白谷雲水峡で一番の景色がここにあった。

 
白谷小屋を出ると七本杉に出会う 胸高周囲8.3m    ここから辻峠までは巨木の連続だ


           緑のベールに覆われた世界


              辻峠までゆるやかな登りが続く


      こういうコラボ樹は屋久島でしかあまりお目にかかれない


          この樹は円盤で下りて来たのだろう


              とにかくデカい


            切り株は死なず


      辻峠までの楠川歩道は屋久杉を切り出した運搬道だったので切り株が多い

 
   水が溢れる場所には飛び石が置かれている     15時25分 標高978mの辻峠に着く


15時25分辻峠に着く。、明日はここからトロッコ道へと下るのだ。左側にある太鼓岩分岐に入って急な細い坂道をドン
ドン稜線目指して上がる。傾斜は急だが例の屋久杉階段が設置されてルートは明瞭だ。15分程で稜線部に着き、その裏側
にある太鼓岩へ出た。眼下の沢や緑に覆われた原生林は見えるが奥山方面は雲がかかり展望は期待外れ。まあ取り敢えず目
標の太鼓岩へ来た事で満足しなければ・・・


太鼓岩からの下山は別な少し大回りルートで辻峠へ16時05分通過、先程歩いてきた苔の森を再び下り、白谷小屋に16
時40分帰り着く。


 
        辻峠にある分岐標識                 太鼓岩へは急だがルートは分かり易く整備されている


            太鼓岩から屋久島原生林を眺める

 
   太鼓岩から奥山を取り囲む前山を眺める        「ボクはキミを3千年離さないぞ いいだろう?」 「イヤ!」

 

 
      16時05分 辻峠へ帰る                      迷い枝くねくね♪

誰も泊り客は居ないので家財道具一式を外に出し、小屋前のデッキにドームシェルターIIを置く事にする。こんな場合、
自立式のテントはペグや張り綱が要らないので便利だ。


水場の飲み水はふんだんにパイプから勢いよく流れ落ちて来る。コッフェルでそれを直接受けると結構砂が一緒に入るので
一旦バケツに溜めて、飲み水はバケツから採る様になっていた。水を汲んでいてふと顔を上げると立派な角を持ったヤクシ
カがすぐ近くを悠然と歩いていた。


食事の支度をしていると一人の若者がやって来た。神奈川県の大学生で自転車旅行の途中に鹿児島からフェリー「屋久島2」
で屋久島に来たと言う。彼はここに来る前に四国の徳島〜高知〜愛媛と回って九州へ入ったと話す。「普段どこで寝るの?」
と聞くと「大体道の駅です」と答える。バーナーなどは持っておらず食事はもっぱらパンらしい。暖かいコーヒーやスープ
を差し出すと素直に受け取り器を洗って返してくれた。彼はラジオを持っており、そのニュースを聞くと宮崎辺りで大雨被害
が出ているらしい。あちゃ〜 やっぱり雨が近づいているのだ。礼儀正しい若者と暫く家族や生活の話をした後、小屋とテン
トに別れて寝る。


 
     白谷小屋に帰って夕食や〜                  自転車旅行の若者と会う   

   
     学生のカメラ  ここまで使うか〜               白谷小屋の水場 バケツが見える

 
       弥生時代の高床式住居                     時々月が雲間から出ていた
   

夜中にテントから顔を出すと時々お月さんが雲の中から顔を出していた。明日の天気はどうなんだろう?


屋久島第2日目 縄文杉コースは  ここ

屋久島第3日目 宮之浦岳コースは  ここ

  



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