中央アルプス縦走
平成24年9月22日(土)〜24日(月)


第3日目  平成24年9月24日(月)

駒峰避難小屋〜空木岳〜赤椰岳〜南駒ヶ岳〜赤椰岳〜空木岳〜駒峰避難小屋〜

小地獄・大地獄〜池山〜菅ノ平登山口 (歩行 約11時間)


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを使用したGPSトラック・ログ図


避難小屋で泊まっている皆さんが起き出して一階で朝食をする前に私も起きていなければならない。暗い内に目を覚ます
と強風で小屋が揺れている。先ほど日の出前の空が見えたのに外に出るとあっという間に物凄く気温が下がってガスに包
まれ視界が5m程である。あちゃ〜 こんな状態では南駒ケ岳には行けないかも知れない。不安な気持ちで朝食中の登山
者と話をする。


朝食は家から持ってきたレーズン・くるみ食パンで済ませ、悩んだ挙句、着れる物を全て着込んでレインウェア姿でトラ
イする事に決める。実は調理ガスが切れ掛かっていたのを買い忘れて昼食用にガスを残しておきたかったのだ。


空木岳〜南駒ヶ岳縦走  (歩行時間 5時間〜5時間半)


0610分避難小屋からヨロヨロと空木岳山頂に行く。風に吹き飛ばされそうになりながら空木岳の縦長く南側へ続く縦走路
を進む。視界は良くないが踏み跡は確認出来るので問題は無い。06時40分ハイマツと花崗岩の砂礫地が相当急な角度で
下がって行く。ここも中央アルプス縦走路の特徴である左側(東側)が急な崖、右側(西側)は比較的なだらかなハイマツ
の斜面となっている。砂礫地にはイワギキョウやヒメウスユキソウなどが咲いていた。目の前のルートに集中して歩いてい
ると07時30分眼前に霧の中から黒いピークが現れた。どうもこれが赤椰(あかなぎ)岳
(2,798m)らしい。

この大岩壁をトラバース気味に敷石の様に足元に配置された登山道を稜線まで進むと朽ちかけた細い山頂標識があった。
右手には谷間の斜面沿いだけ霧が無くそこに吸い込まれそうだ。

所々にアルプス特有の真紅の紅葉がありこれはウラシマツツジという植物で、地上から葉っぱだけが出ている様な超低木
で未だ壷形の花を見たことが無い。砂礫地には強風に負けずに根を下している高山植物は美しくも逞しい。




 
  夜明け前はまだガスがでていなかった            06時30分 空木岳へと向かう

 
         空木岳山頂を通過                     南側のピークに向かう

 
  西側斜面は時々霧が抜けて沢筋への展望がある     空木岳はまだ南奥にピークがあった

 
  踏み跡にそって岩場を抜けていく                下り斜面となる


                  一瞬の晴れ間に岩とウラシマツツジ

 
急斜面を下りた場所に奈落が口を開けて待っていた     霧が薄くなるのを待って赤椰(あかなぎ)岳とご対面

 
        ヒメウスユキソウ                    イワギキョウの色が鮮やかだ

 
          赤椰岳への登り風景              07時45分 赤椰岳より南駒ヶ岳を望む


                   駒ヶ根の町は雲海のした



歩むにつれて次第に天候が回復して来た。日本アルプスの稜線は展望があると元気が増す。最低コル部まで下りると
左に向って分岐標識があり「擂鉢窪(すりばちくぼ)避難小屋」が見える。ここも氷河に削られたカールである。
ここ
から見る南駒ヶ岳も岩山で右手に長い尾根が延びている。登山道はうまく付けられており振り返ると出発した空木岳が
良く見える。山頂が近づくにつれて次第に岩が多くなり色んな形をして登山者を楽しませてくれる。。




                   南駒ヶ岳の全容

 
最低コル部にある擂鉢窪(すりばちくぼ)避難小屋分岐    登るにつれて岩が沢山出現する


            霧が晴れて出発点の空木岳(左奥)と赤椰岳(手前)が見えた

 
 岩テラスから縦走路を振り返る                      益々 岩だらけ〜

 
        イワヒゲ発見                     「KAZASHI バーナード犬」岩発見〜

 


             むむっ  ここも空木岳の様に奥が深い


0840分最終縦走地点の南駒ヶ岳2,841m)に到着した。先ほどから後続の黄色いレインウェアの男性が見えていたが、
程なく山頂に登られて来た。この方は九州から来られた人で長年道路関係の仕事をされており高松にも数年居られたと
言う。今は退職後市役所の臨時職員をしながら山歩きをしていると言う。この方は更に南の「越百(こすも)山」まで
縦走し西側のダムへと下りるらしい。


旅の安全をお互い交わしながら山頂で別れる。気温は次第に上昇し途中でレインウェアを脱ぎ、ダウンジャケットを脱ぎ、
フリースを脱ぎ、ボタンシャツを脱ぎ・・・最後は長袖シャツ一枚になる。山の天気、特に高山では変化が激しい。朝
の強風でとても帽子など着用出来ない状況だったので日差しが堪える。サングラスを持って来たのがせめてもの救いだった。


 


               南空木岳より空木岳を見通す


        中央アルプス全体を眺める  奥に宝剣岳が尖がっているぞ    右が空木岳

 
         南駒ヶ岳でしぇ〜                  さて 今日中に駒ヶ根へ帰らねば・・・

 
  南アルプス 甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳が一瞬見えた      擂鉢窪(すりばちくぼ)避難小屋(赤い屋根)



0930分擂鉢窪分岐を通過し行きには何も見えなかった赤椰岳からの眺めを満喫する。しかし右手に見える筈の南アルプス
は低い雲の為殆ど見る事が出来なかった。又左手に見えるべき御嶽山や北アルプスも当然雲の中で少し遠望が無いのが残念
だった。


1130分空木岳を通過してメインザックを置いた駒峰ヒュッテに帰り着く。もうそこには誰も居なかった。調理ガスがほぼ
無かったので心配しながらも何とかお湯を沸かす事が出来た。アルファ米の袋に親子丼の具を入れてお湯を注ぐ。残ったお
湯でコーヒーを入れる。これが今回の最後の山食となった。

 
  09時50分 赤椰岳まで帰る              東が急で西がゆるやか

 
  南駒ヶ岳への縦走路を振り返る           空木岳への縦走路を眺める

 
               何だか気に入った造形美

 
     東側には絶壁が多い           西側はなだらかな傾斜 燕岳、甲斐駒ヶ岳と似ている

 
    昨日撮り忘れたしぇ〜を空木岳で      主ザックをデポした駒峰(こまほう)ヒュッテに帰る

ゴミの片付けやパッキングをしていると
1230分になってしまった。下山を残すのみと云ってもここから車を置いた菅ノ平
までは相当な時間を要するのだ。今回は水場で補給せずペットボトルを買ったのでザックに空のペットボトルを詰め込む作業
を強いられた。山で使うペットボトルはペコペコの薄いエコ商品が良い事が判った。


空木岳〜池山尾根〜駒ヶ根登山口     ( 約 6時間 )

小屋のデッキテラスから池山へ至る尾根道下山道が続く。名物の駒石を見たかったので空木平避難小屋のある沢筋へは行かず
尾根道を進む。ザックは不思議と2日前とさほど変わらぬ重さだが、下りが続くので気分的に楽だ。


 
   駒峰ヒュッテ お世話になりました                テラスから奥へ尾根登山道が続く

花崗岩の岩が点在する尾根から空木岳を振り返り別れを告げる。しばらく進むと駒石と呼ばれる四角い大きな岩があった。
余りにもデカイのであちこちが四角いブロックに割れ目が出来ている。尾根道はハイマツに覆われていたが
1325分トラ
バース道に合流すると自然林の広い登山道となる。そこからは尾根筋やトラバース道をどんどん下って行くが、登山道は
木や鉄の階段や橋などで良く整備されている。



                駒峰ヒュッテと空木岳を振り返る

 
   ドデカい岩が尾根に転がっている               これが有名な「駒石」 相当デカい


 
  この辺りまで紅葉前線が下がっている                 途中から樹林帯になる

   
   13時50分 トラバース路分岐通過                ダケカンバと黄葉

 
      歩きやすい登山道                      風が強いのかダケカンバが曲がっている

 
    ゴゼンタチバナの実が綺麗                        整備された登山道

 
  沢山群生していたこの葉っぱは何?              登山道はあくまで良く整備されている


1440分難所の注意喚起の看板が英語と併記された看板があり、そこを左へ回り込むと右手に下がるトラバース道が通行
禁止となっており細尾根へと進む。しばらくすると小地獄・大地獄という難所に来た。しかし難所とされる細尾根には鎖や
鉄階段などで親切な整備がなされており危険な場所は無かった。

1510頃から細尾根が終わりトラバース気味のシラビソ林の登山道となり、笹なども現れてきた。1550分広い登山道に
分岐標識が現れる。右は遊歩道経由池山小屋、左は登山道経由池山小屋。どちらも1.7km と同じ距離数なので取り敢えず
登山道の左を選択。退屈な登山道をどんどん下ると
1620分分岐に着き、池山小屋へは左に少し戻らなければならなかっ
たのでスキップ。すぐ下側に四角い水場が光っているのでそこで顔を洗う。

 
   鉄や丸太で階段が作られている         これが有名な小地獄、大地獄の始まり

 
    細尾根に入る                    クサリ場が現れた

 
  下から見るとこんな感じです           トラバース路は通行止めになっていた

  
    相変わらず整備された細尾根が続く       大岩を右手にトラバース

 
シラビソ林でトレランの二人にあっという間に追い抜かれる  カニコウモリの群生地が沢山ある
 
 
    シラビソ林の下りが続く    15時50分分岐、尾根が遊歩道、左は登山道 どちらも池山まで1.7km 

 
    左の登山道はなだらかな斜面となる     16時20分遊歩道合流地点に着く (水場あり)
                          池山小屋は 100m程左へ引き返す



その後、途中左へ池山登山口があったり分岐標識があったりするが、全て菅ノ平高原方面へと進む。
1715分林道終点に着
くと東屋があり登山道を探す。林道を少し右に回り込むと林道をショートカットする登山道標識が左手ありそこを下りる。
17時30分再び林道と交差すると、そこにはタクシーが待っており登山者が乗り込んでいた。近くに自家用車も数台止まって
いたからここが林道通行可能最終地点だろう。

こちらは意地でも最後まで車まで歩き通すつもりだ。運転手から悪魔のささやきが聞こえない様に急いで林道を横切り標識
のある登山道を下ると又林道を横切り薄暗い中、先ほどのタクシーがライトを点けて下って行った。


 
鷹打場 ここを右へ、 左へは池山への笹薮登山道があった   16時50分 広い遊歩道に着く  

 
16時55分 池山山頂・野生動物観察棟分岐          17時00分 篭ヶ沢の岩窟 分岐

 
17時13分 登山口」らしき場所に到着             近くに池山遊歩道の標識があった

さらに薄暗い登山道を下り相当日暮れが迫った1745分頃スキー場に下り付いた。そこからもう一度少しだけ車道から登山
道に入り、最後に舗装道路に出た。
だが・・・ そこから一体どっちに行けば菅ノ平駐車場か真っ暗で良くわからない。

取り敢えず右へ下るとメイン道路と合流した。さて・・・ここから又右に下るがどうもそれらしき場所が見当たらない。
思い余って上や下から来る車に手を上げて聞こうとするが誰も停まってくれない。わたしゃヒッチハイカーじゃおまへんが
な・・・


路地の奥に灯りが見えたのでそこで道を聞こうと思ったがモーテルだった。呼んでも人の気配がしないので又引き返し、
今度は反対側の観光ホテルへと進みフロント係りに聞くと先ほどの分岐を逆に上がった場所だと教えてもらいホッとする。
真っ暗な道を車に帰るとゲートは閉まっており誰も居ない。心配しながら出口に向うとゲートは自動的に開き駐車場を無事
脱出し、600円の日帰り風呂に飛び込む。

 
  登山道が3度目の林道を交差           17時45分 スキー場らしき場所に下りつく
                        この下にある舗装道路に出て、更にそこからショート
                        カット道に下りる
                         (日没の為 これがこの日最後の写真となった)
         

身も心もサッパリしたがもう辺りに食事処が見当たらず高速「駒ヶ根サービスエリア」のレストランでソースカツを注文。
店の中にある中央アルプスの概略地図を見ながら久しぶりにまともな食事にありついた。


後は途中のサービスエリアで仮眠、休憩をしながら06時半自宅に帰り着く。高松は勿体ない様ないい天気である。眠たい
けど登山道具を洗って天日干しの作業を行う。


中央アルプスはコンパクトだが素晴らしい縦走路だった。ロープウェイ、ビバーク、避難小屋、快晴、濃霧、雨、強風、
寒波と色んな事が経験出来た楽しい旅だった。中央アルプスのコンパクトで素晴らしい風景を思い出しながらベッドで
眠りに着く。



中央アルプス縦走 第1日目 木曽駒ヶ岳〜三ノ沢岳 は ここ
          
            第2日目 空木岳 は ここ



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