中央アルプス縦走
平成24年9月22日(土)〜24日(月)


第2日目 平成24年9月23日(日)

ビバーク地〜濁沢大峰〜檜尾峰〜大滝山〜熊沢山岳〜東川岳〜木曽殿越〜空木岳〜
駒峰ヒュッテ (歩行 約10時間


中央アルプス縦走図

この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図

夜中にツェルトの天井を雨が叩いている。え? 雨など降る予報では無かったけど・・・もう一度薄明るくなって目を
覚ますとまだ雨が降り続いている。気温も下がって肌寒い。

雨の日はツェルトの中でザックのパッキングをしなければならないので、最後に濡れたツェルトをザックの上部に収納
する事になる。勢いザックの中身が濡れる結果に・・・


06時10分雨具を着込み雨に濡れて重くなったツェルトをザックに収納しザックカバーを着ける。3,000m級の山では
雨具やザックカバーを持って行くのは常識だが、真剣に雨の想定はしていないのでバスクのトレラン用ローカットシュ
ーズが水浸しになるのは仕方がない。


ここまでは比較的なだらかな縦走路であったが、これからはアップダウンの激しい男性的な登山道に様変わりだ。幸い
にガスっているものの視界はそんなに悪くはない。但し縦走路の左からはガスが吹き上がり東側の視界は乏しい。天に
向って伸びる様な濁沢(にごりさわ)大峰を06時30分に越えて更に歩き続ける。


 
夜中から雨が降ったがツェルトの中は快適だった      濁沢岳へと続くハイマツの登山道


   なだらかと思った島田娘からの稜線縦走路を振り返ると結構アップダウンがあった

 
雨と霧だが右手(西側)は少し見通す事が出来た        濁沢(にごりさわ)岳の山頂標識


頃濁沢大峰付近から鋭い形をした花崗岩が露出したて岩尾根となる。このルートが岩と紅葉がとても美しくて道端に咲く
草花を眺めながらゆっくり歩く。07時を過ぎると前方左にガスった長い尾根を従えたピークが見えて来た。これが檜尾
岳だろう。

07時30分から檜尾岳への登りになる。雨と風が強くてとても寒く歩みが順調に進まない。低体温症にならない様にダ
ウンのコート以外は全て着込んで来た。あまりにも寒いのでダウンも着ようかとも考えたが、万が一これを濡らすと今晩
着て寝る乾いた衣服が無くなってもいけないのでザックに仕舞ったままだ。
い。


08時20分左手にシャレた形の避難小屋が見えたので標識を見るとやはり「檜尾岳」となっていた。この尾根を4時間
でロープウェイバスが通っている林道まで下りる事が出来る。ここが縦走路唯一のエスケープ・ルートだ。避難小屋の向
うに水場があるのだが、気温が低いので水の消費が少なく木曽殿越にある(木曽)義仲の力水で給水する事にして20分
程休憩の後主尾根を進む。


         まあ 何とかわいらしい岩の造形だ事

 
    後ろ側の歩いてきた岩尾根           前側のこれから歩く岩尾根


   歩きにくい登山道ではあるが秋の色合いが楽しめる


           檜尾岳が前面に姿を現す

  
      イワウメ?           岩の多い登山道が続く

 
    あなたはウメガチソウ?           ホタルブクロも雨に濡れて寒そうや

 
   やっと檜尾岳の付け根に近づいた        ハイマツやシャクナゲの登山道

 
   近づくと意外となだらかで長い傾斜だ       ヒメウスユキソウが魅力的

 
  ホシガラスが結構生息している          ハクサンイチゲの草紅葉が美しい
 
 
  08時23分 やっと檜尾岳に到着〜         面白い形の檜尾避難小屋

 
檜尾岳の南側にある大滝山は知らぬ間に通過。この辺りの左手には池ノ平カールが広がっている筈なのだが生憎ガスで見え
ない。岩が登山道に目立ちだし、09時55分右手のトラバース道で前から若者が4人やって来た。彼らは先ほど通ってきた
岩場の話題に没頭して私が待っているのを気がつかない。横を通って初めて気が付いてオーバーハングに参ったとか命が縮
まったなどと言いながら去って言った。ん? こんな場所に難所があるのかな・・・
すると少し先に岩場があったが難所とは
言えずまあ大げさな話だ。

10時50分大きな岩が乱立する尾根を過ぎると熊沢岳
(2,778m) に至る。ここから5つの著名なピークがありその5番目の
ピークまで
アップダウンを繰り返し12時40分東川岳(2,671m)に到着。天気が良ければこの辺りから空木岳や南アルプスが
良く見えるらしいのだが生憎の雨とガスの天気が続く。

途中で出会う人毎に天気予報を聞いていく。彼らの話を総合すると確かに私が四国を出発する時の天気予報に雨は無かった。
だが、その後急に天気予報が変わって中央アルプス地域が雨予報となり、この雨は夕方に止み明日は良い天気になるそうだ。
ついでに空木岳駒峰ヒュッテ(避難小屋)の場所を教えて貰う。


ここまで来ると空木岳が近くなるので少しホッとする。木曽殿越を挟んで前面に空木岳の山塊が左手に霧を棚引かせて迫
って来る。うへ〜 この高度差を登るんか〜


 
    前のピークが大滝山と思われる              ハイマツと岩の尾根道が続く

 
    この辺りはウラシマツツジの鮮やかな紅葉が岩にへばりついて美しい風景だ


           向こうの尾根ピークが熊沢岳の山塊だろう

 
  中央アルプスのモンサンミッシェル〜〜             こんな石柱がよく海岸線に見られる

 
    振り返ると沢山のピークが連なっている               あなたはソバナ?

 
   俄然 登山道に岩が多くなってきた                  これ 登山道です

 
若者が「チョ〜 ヤバかった〜」と言いながら近づいた     確かに濡れたら滑りやすい

 
   でも 難所というほどでもない              結局あの若者達にとって一体何処がヤバかったのだろう?

 

 
ハイマツの緑が岩山を覆って柔らかい景色となる           熊沢五峰が前方に続く


                  う〜〜〜ん  癒される風景

 
     熊沢岳の前衛岩                      タイマーセット、レンズを拭いて10秒でカシャ

 
熊沢岳 (2,778m) 山頂部は意外と平(たいら)だった     と思ったら結構アップダウンあり

 
     ひょっとしてあれが空木岳?                尾根の右側をトラバースすると霧が無い

 
  空木岳への谷筋には終始ガスが立ち込める          振り返ると良くわかる東側の絶壁

  
    ワタシ サムイ アルヨ   東川岳 (2,671m)             山火事じゃおまへん 霧です

 




         空木岳が迫力を持って現れる  あ〜ここを登れば今日のゴールなのね

 
      木曽殿越に下りる                    木曽殿山荘へ恐る恐る入った


13時15分木曽殿越に下り付くとこの辺りで唯一の山小屋「木曽殿山荘」がある。地図やネットでこの山小屋は予約が
無い登山者は泊めてくれないらしい。小屋横に掲示があり「義仲の力水は現在涸れています」とある。が〜〜ん・・・ 
今晩の食事用の水が要るのだ。少し変わった人だとネットで見ていたのだが仕方なく身だしなみを整えて木曽殿山荘に恐
る恐る入る。中に入るとご主人が静かに本を読んでいる。休憩30分400円とあるのでストーブの傍で休憩させてもらう。

「義仲の水を使ったコーヒー400円」の張り紙があったのでコーヒーを下さいと言うと「今はやってません」次にお茶
200円の張り紙を見てお茶を頂けますか?「それは宿泊者が朝ポットに入れる人用です」とあくまでも静かで冷静な応対
だ。


そこでペットボトルの水4本、空木岳、南駒ヶ岳、中央アルプス縦走のピンバッジ3個、それに着替え用の空木岳ロゴマー
ク入りのTシャツを買う。その上で山の話を伺っているとお茶が出てきた。お代わりもどうぞとあくまでクールに提供を受
ける。そこに予約客が入って来て受付のマニュアル作業が始まったので御礼を言って小屋を出る。すると「お気を付けて」
と言いながら私や登山者の靴で少し汚れた入り口を丁寧に箒で掃いている。几帳面過ぎるけどいい人じゃん!


さて、14時00分今日の目的地「空木岳」に向って最後の苦行だ。途中で山小屋を振り返ると高度差が良くわかる。一度
ハイマツの平坦な傾斜になり15時頃から又大きな岩が前方に現れる。
大きな岩に15時20分到着すると「第1ピーク」とペンキで書かれており、更に高いピークが前方に次から次へと続いて
中々山頂標識に至らない。花崗岩の岩が乱立する岩の殿堂を歩いている内に天気が回復気味で時々日差しも出て花崗岩が眩
しい。


奥へ奥へと岩の間を進み16時40分やっと大きな岩の横に空木岳の山頂標識を発見。あ〜 寒くて長い道のりだった。
すると太陽を背にうけて前方の霧の中にブロッケン現象が現れた。寒くて長い道のりだったが最後に自然からのご褒美が待っ
ていた。


 
むつっ 木曽殿山荘が真下に見える                 空木岳へ向かう


      空木岳の急坂を喘いで振り返ると霧がす〜〜と晴れていく

 
   取り敢えず あの大岩を目標に                   目標が次第に近づく




   振り返ると中央アルプスのランドマーク「宝剣岳」と縦走路が見える

 

 
     岩だらけの登山道になる                     木曽殿越を振り返る


             あんりゃ まだ向こうに別のピークがある


         第一ピークを過ぎると空木岳本峰が姿を現す (一番奥のピーク)


          明日行く「南駒ヶ岳」が奥に見える

 
     駒ヶ根の谷は雲海に覆われている               右手から回り込む


              いや〜〜  素敵な風景だこと


        あれ?  まだ向こうにピークがあるぞ  懐が深い山だ

      
   一応ちょっとした鎖場もある               更に奥のピークに向かう


 
           セイウチ岩                    大きな岩が乱立する山頂風景

 
    やっと山頂標識が見えた                       ブロッケンが現れる

 
駒峰ヒュッテ(避難小屋)は池山方面の標識方面へ下がる   あ〜〜 雨、風、晴天の一日じゃった

山頂から池山方面の左側標識方面を見ると駒峰ヒュッテの茶色い小屋があった。丸太で整備した登山道が崩れて歩きにくい
道を下ると広いテラスを持った避難小屋に着いた。中から人が出てきたので何人位おられますか?と聞くと7人だと言う。

空木駒峰(こまほう)ヒュッテは中央アルプス南部の山小屋が少ない事から遭難防止などの目的で1969年駒峰山岳会を中心
にボランティア設置された避難小屋で、現在の小屋は
1998年建て替えられ中はとても綺麗に管理されている。一時食事の提
供などもしていたらしいが食品衛生法の問題などから現在は宿泊者の自炊となっている。


中に入ると入り口附近は土間になっており右側には雨具などを吊る場所、左は靴置き場でサンダルが置かれている。一階は
食事場所として使用、階段を上がると二階が宿泊場所となっていて既に寝ている人もいる。昨日まで山岳会の管理者が居た
が今日は居ないと言う。管理者が居ないから一人当たりの場所取りが不経済に大場を取っているのでスペースが厳しい。

混雑した場合はテラスにツェルトを張ろうと思っていたが道具は濡れているし、一階に一人も居なかったのでここで寝かせ
て頂く事にする。


宿泊代は3千5百円で食事は各自自炊。トイレは立派なバイオトイレだ。この夜は流石に衣服や寝袋が少し濡れていて寒か
ったのでホッカイロを使った。この日も雨と寒さで疲れているので爆睡する。



空木岳山頂より池山尾根(下山道)方面 ここに駒峰ヒュッテ


                  駒峰ヒュッテより夕方の風景


中央アルプス縦走 第1日目 木曽駒ヶ岳、三ノ沢岳は  ここ

中央アルプス縦走 第3日目 南駒ヶ岳は  ここ


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