平成23年12月4日
西赤石山・南斜面 下部鉄管道を歩く
別子銅山遺構歩きシリーズ 下部鉄管道
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである
カシミールソフトを使ったGPSトラック・ログ図 緑色が今回歩いた旧別子・下部鉄管道
旧別子・上部鉄管道に続いて下部鉄管道を歩く
前日(土曜日)LNGの忘年ゴルフ大会があり翌、平成23年12月4日日曜日に懸案の下部鉄管道を歩こうと
マーシーさんを誘う。
前回と同じく07時30分四国中央市のコンビニに集合。今回は車2台で日浦谷入り口へ向う。今日は沢歩きが
無いと思い私は登山靴を用意しているが、マーシーさんはネットで買ったという準高級鋲付き長靴で歩くと言う。
08時22分日浦谷に架かる橋の右岸から住友林業の広い道を歩かせて頂く。20分弱で尾根への分岐から今回
は日浦谷に沿った道を歩く。更に5分程進むと日浦谷から別れた支流に架かる橋があり、そこから又5分程進む
と今度は日浦谷に架かる橋に着く。
ここは日浦谷遡行をした時に通った場所だ。林道は橋を渡ってコマドリ尾根へと続くが、今日は日浦谷の右岸に
沿った破線の山道を歩く算段だ。 でも橋から谷の右岸には道は見えない。少し元に戻って探すがどうも分から
ない。面倒なので取り敢えず沢に入り、途中から左へ這いあがろうという事にした。
08時22分 住友林業の作業道に入らせてもらう 尾根道分岐 別子ダム建設の時採石を運んだ道だ
08時40分 最初の橋を渡る 次の日浦谷に架かる橋に向かう
09時00分少し渕になった場所から左手の崖を這いあがる。少々危険が伴う急斜面を草や木の安定性を確かめそれを
掴みながら上に出ると意外と平たい地形だった。
踏み跡があり、少し先に進むと立派な道が現れた。一体どこからこの道に繋がっているんだろうと少しだけ道を下って
みるが、又振り出しに戻るのも嫌で上に向う。車の往来が出来る傾斜で幅も広く、岩盤に発破(ダイナマイト)の穴が
見られた。09時30分崩壊地があるがそれを渡ると更に快適な道が続く。10分程歩いた先に以前沢歩きをした時
出会った倒壊造林小屋みたいな場所着く。そこには五右衛門風呂や箱型の木枠などが散乱していた。
日浦谷に架かる橋 日浦谷の右岸を暫く進み崖を這い上がる
この急な崖を立木を頼りに這い上がった 上側の道は下側に続いていた
岩にはダイナマイトの痕跡があった 倒壊部が一か所あり
石積みの小屋跡 五右衛門風呂と木箱
まだ道が続く 09時50分 林道の最終地点
09時53分大岩があり、広い道はここまでらしく広場にコンクリートの枠組みなどがあった。 岩のセリ割りを
前方に進むと滝があり、右岸に又作業小屋跡があった。
マーシーさんが拾った鉄製の標識には「大成建設」の字が見えた。ヘルメットなども落ちている。 当時別子ダム
の建設作業は大成建設が請け負っていたので、ゴムホースなどもあり、この辺りが採石場の水場となっていたのだ
ろう。辺りを見回しながら更に進むとすぐに左手斜面に巨大なコンクリートの構造物が見えた。
沢沿いの道はこの岩切り通しで終了となる 上側の沢にはパイプやゴムホースが見られる
日浦谷の一つ西側の沢を更に詰める事に 小ぶりな滝がある
平たい場所には建物が崩壊した跡があった その近くには巨大なコンクリート施設跡が出現
こんな山深い場所に不似合いな人工物である。そこに向って這い上がると採石場とご対面となった。さしづめ
小林旭の無国籍映画のロケ場所といったイメージだ。なる程、この削り取られた岩肌が地図上の崖マークとして
表示されていたのだ。
後楽園球場の様な広さ(行ったこと無いけど)の平地には水が溜まって湿原の様になり歩きにくい。ここでは
マーシーさんの長靴が活躍をした。
先ほどから厚く雲がかかった尾根部の視界が少し開けると真っ白に霧氷が付いている。どうりで風が冷たい筈だ。
沢沿いに平地を下流方面へと進むと沢の谷に向って道路が伸びているが、対岸に道は続いていなかった。
マーシーさんが谷方面を探索し、私は石切り場の方を探索。お互いに成果が無かったので10時36分又沢の上流
方面へ伸びた藪っぽい踏み跡を辿る。すると堰の様な小さな滝部に着き、沢を渡って比較的綺麗な道が続く。
一つ山襞を回り込むと10時50分懐かしい日浦谷に突き当たる。
あんりゃ ここが採石場かい 砕石場を左に沿って下流側へ下がると道が沢で途切れた
別子ダムの建設用採石現場だ この地形が地図上で崖マークになっていたのだ
平地には浅い池になっている 尾根を見ると霧氷が 砕石場から沢の上流方面)へ延びる道を進む
笹薮の道が沢に向かう 沢には鉄パイプが落ちている
石垣が組まれた沢を渡る 沢を渡って振り返る
明瞭な道が日浦谷へ向かって伸びている 道に鉄パイプが露出していた
お〜〜 日浦谷や 沢に土管が突出していた
これが日浦谷 下部鉄管道の取水口だ〜
辺りを探すと下部鉄管道の取水口らしき土管を発見。ナベラ滝(三連滝)を越えて川床がなだらかになる場所、
そこが取水口だったのか。見るとペーコちゃんや曽我さんが下山に使った林道が左岸に続いていた。
時間もまだ早いので下山する訳にも行かず、取敢えず上部鉄管道、霧氷方面へ向う事にする。沢の分岐があり、
前回は右手に進み前赤石へ上がったので、今回は左手の沢を進む事にする。ひょっとしたら例の石積みの2連橋
広場がる沢に着くかも知れないと期待する。
11時10分スラブの高低差がある滝横を這いあがる。山葡萄の実が落ちており山の幸に目が無いマーシーさんが
滝の上にある樹を見つけて喜んでいる。11時30分石積みが長く続く上部鉄管道に到着。
ここは笹薮が深くて先日鉄管道を歩いた時は石積みがある事が判らなかった場所である。適当に石積みを這い上が
ると紛れも無く先日歩いた上部鉄管道の藪だった。昨日の雨や今日の霧で笹が濡れており、ズボンや靴下がびしょ
びしょになり冷たい。11時40分 石積み2連橋広場に到着し、ここで今回も昼食とする。
日浦谷を更に詰めて、今回は左の分沢に入る 炭焼き窯の跡
岩盤沢を這い上がる マーシーさんは長靴、エントツ山は登山靴
沢水が無くなって笹藪が出現 沢の左手に石垣が出現 (これが上部鉄管道だった)
以前曽我さんと歩いた見覚えのある笹薮 懐かしい石積み2連橋広場に到着
風が吹くと濡れたズボンが体を冷やす。昼飯用に持ってきた2個のまどろっこしいレスキューフーズは作らず、
カップラーメンに山専ポットでお湯を注ぐ。霧氷を見たい気持ちがあったが、その場所は完全にガスと雲の中、
更に濡れた笹藪の中を歩く気も起こらない。
そこで、前回上部鉄管道から分岐して下に向かうルートが下部鉄管道の一体どの辺りに繋がるのか気にかかって
いたのでそれを歩く事にする。12時05分コーヒーを飲んだ後出発、5分程歩くと植林分岐に到着。
暫く植林地帯を進むとルートが尾根を外れて右に進む。又道が尾根にふり戻すと予想して私はそのまま尾根を進むが
、マーシーさんと益々離れるので止む無く道に向う。
植林地帯を抜けて左の尾根部方面へと進むが、それを越えてもどんどん左へ降って行く。
マーシーさんと「どうしようか?」と相談するが「行き着く所まで進みましょ」と言う事で徹底的にこの道を追う。
12時30分沢部の広場に辿り着き、右岸にそって踏み跡を辿ると下部鉄管の第一渡渉地点に到着。まるほど・・・
そこから続く荒れた道を下流に向って進むと、いきなり採石場の絶壁で行き止る。
前回気になっていた上部鉄管道と下部鉄管道を結ぶ道 最初は植林地帯
尾根を外れて左手へと変針する ほぼ横掛け道となる
広場に出るが、踏み跡が沢に沿って下に続く
ありゃ〜〜 先ほど日浦谷取水口へ向かった最初の沢に帰って来た
そこから砕石場へもう1本別な荒れ道が続いている その道は砕石場の中段で崖に行き詰る
どうみても採石場に下りれる高さではない。そこで採石場の右縁にそって斜面を這いあがると12時42分上側の採石
運搬道路に出た。
道路は右手にもまだ下がっているので、この最終地点を確かめるべく川の上流へ向って歩く。5分位歩くと沢近くの
終着広場に出た。そこは先ほど上部鉄管道の分岐から下って来た場所だった。するとここがトラックのターン場所だ
ったのだろうか。この場所までグルリンと1回転して謎が解けた気がした。
後は快適で退屈な下部鉄管道を尾根分岐まで帰る。採石場の上を過ぎて回り込むと大きな岩が道路を塞いでいる場所
があり、沢部で鉄管を探すが見当たらない。結局もっと沢を下らなければならなかった様だ。
時間つぶしに下らない話をしながら13時48分前回曽我さんと会った尾根分岐に到着。もうこんな退屈な道を歩くのは
ゴメンだ。二人で顔を見合わせて顎で「東延」へ行く事を確認する。
砕石場の右側に沿って斜面を這い上がる すると上側に広い道があった
その道を上流側へ辿ってみる 予想通り先ほど上部鉄管道から下りてきた広場に着く
う〜〜ん ここがダンプの最終回転場所かな? 砕石用道路を引き返す
水のある沢を道路が横切る 巨大な落石が道を塞いでいる
この道路付近には鉄管道の痕跡は無い 先日曽我さんに会った尾根分岐に到着する
下部鉄管道を旧別子・東延まで歩く
するとあるわ有るわ、そこから鉄管道の痕跡だらけの下部鉄管道となる。曽我さんみたいに巻尺でサイズを計ったり、
発掘したりの作業は無縁の二人であったが、土管が出現する毎に歓声を上げる。(ちょっと大げさ)
14時00分ジョイント会所を通過、14時13分見晴らし街道を通ると足谷川に沿った旧別子や西山方面が開ける。江戸
時代、明治時代にこの辺りは不毛地帯の鉱山町として賑わっていた筈で、煙や工場の音、運搬する荷車の音、行き交う
人々の声が辺りに木霊していたに違いない。
一つ細尾根を横切ると14時25分大きな落水漕らしき施設に到着。パイプの穴が3つ水槽に空いており、その内の一本
が高橋溶鉱炉に向って伸びていた。そこから直接尾根を下るか迷ったが、取敢えず右手の踏み跡を辿って「東延」まで
進む事にする。
「東延」の小沢を挟んだ薄暗い対岸に下り付く。この辺りに東延・歓治間符があった筈なので探しながら上流部へと
進むと14時37分ソーメン滝があった。元来た場所に引き返しながら左手を注意深く見ながら歩いていると「山神宮」
が祀られており、それから直ぐに「東延・歓治間符」があった。
ありゃ〜 綺麗な道じゃん! おっ 第一鉄管発見〜〜
この会所で土管が直角に曲がっている ここにも鉄管が隠れているぞ
こんな場所にも鉄管があるぞ 道の真ん中にも鉄管が出ている う〜ん 鉄管だらけ〜
所々に導水路の会所がある 歩き易い道が旧別子へと続く
足谷川の谷筋が眺められる展望の道 暗渠を1つ過ぎると少し荒れた岩を削った道へ
どひゃ〜 ここにも長い鉄管が 何じゃ こりゃ ? 落水設備か
レンガのタンクから3つ鉄管が出ていた様だ その内真ん中の1つが残っていた
タンクから高橋溶鋼所へこの崖沿いに導水していたのか? 東延へと進む
これがソーメン滝なのね 東延・歓治間符
東延の大斜坑 この辺りの山にも土管が転がっている
明治18年東延谷を埋めて造った東延斜坑機械場の堰堤 足谷川へ伸びるクリーク
そこからは小沢を渡り東延・大斜坑を経てダイヤモンド水で喉を潤し15時40分西赤石日浦登山口に到着。
更に10分歩いて日浦谷の車に帰る。
日浦谷の出発点に帰る
日浦谷から谷沿いの道を砕石場まで登り、更に沢を詰めて上部鉄管道へ上がりつく。その後、上部鉄管道から
砕石場へ続く道を歩き、更に下部鉄管道を東延までほぼ歩いて満足の一日となった。
残す所は上部鉄管道の最終地点まで歩く事と、上部鉄管道の更に上側に続く謎の藪道を探索する事だ。マーシーさん 来年
の宿題に致しましょう。
日浦谷遡行の記録は ここ
上部鉄管道の記録は ここ
曽我さんの上・下鉄管道のHPは ここ