平成23年11月12日
西赤石山・南斜面  上部鉄管道を歩く


旧別子・上部鉄管道更に上部にある謎の道


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図  青線が今回歩いた軌跡です


9月にマーシーさんと日浦谷を遡行した時、沢に転がる鉄管や右岸に伸びる道などを見るにつけ、西赤石山・南斜面の
様子が気になっていた。


丁度そんな時、端出場導水路で関わりが出来た曽我さんのHPでここに旧別子への水の道「上部鉄管道」と「下部鉄管道
がある事を知った。


       

      曽我さんのHPに引用されている高橋 幹さんの「山村文化」に掲載された「上・下部鉄管道」解説図

曽我さんは別子山村の出身で現在は新居浜市内にお住まいだが、やはり自分が育った土地と関わりが深い旧別子を丁寧
に調べておられる。その中で高橋 幹さんの「山村文化」に掲載されている「上・下部鉄管道」を資料にこの辺りを探索
されている。


曽我さんの旧別子・鉄管道に関するHPここ


平成23年11月12日 マーシーさんと上部鉄管道と下部鉄管道を歩こうと07時30分四国中央市のコンビニで落ち
合いマーシーさんの車で日浦谷入り口へ行く。


08時30分沢に入らないので気楽な気分で住友林業さんの林道を歩かせてもらう。タバコも呑まず火も使わず、テープ
も貼らないからお許しおば

15分位林道を歩くと分岐があり、沢沿いには進まず左手にヘヤピンを切ってジグザグに登っていく。09時50分尾根
分岐に到着するとベンチで何と曽我さんが休んでおられた。


別子銅山研究家(曽我)と藪道研究家(エントツ山、マーシー)がたまたま同じ目的で出会った訳だ。お気楽な我々と違
って曽我さんはナイロン袋に沢山の資料や地図を携行している。(でも懐中電灯も持たなきゃダメよ)


その曽我さんが携行する資料の中に明治35年の地図があり、そこには上部鉄管道の上側に更に破線が走っているでは
ないか。この破線に反応した藪道研究家は急遽上部鉄管道の更に上側の道を歩く事に決定!

曽我さんにご挨拶をして一足先に尾根を上がる。

   
08時30分日浦谷の右岸に延びる林道を歩く           ゲートの鎖を越えて入ると立派な道が続く

    
日浦谷に堰がある取水口への下り口                道がヘアピンに分岐しているのでそちらに上がる

    
09時50分下部鉄管道の尾根分岐で曽我さんに遭遇     上部鉄管道にはここから尾根の踏み跡を上がっていく

   
上部鉄管道分岐に到着  白い鉄板が目印            上部鉄管道の旧別子側へ道は続いていた



謎の「西赤石南面 最上部横掛け道」を歩く

10時10分上部鉄管道に着き、更にその上側を二人で手分けして道を探す。その辺りは東側が植林地帯で西側は雑木林
となっている。上に伸びている道らしき痕跡はただの涸れ沢だった。相当上にあがっても横がけの道は見当たらず、今度
は植林地帯を二手に分かれて道を探しながら東側を下りる。すると植林地帯が切れる辺りに二人が別々な場所で横掛け道
を発見する。


この道を辿って振出し地点=下からの尾根道分岐まで帰り、更に逆方向にも少し歩いてみる。藪いているが道らしき痕跡
が続いている。
10時45分、分岐付近に倒木を集めて目印を付けてほぼ並行に走る2本の道を私が下側、マーシーさん
が上側に分かれて進む。

下側から曽我さんの呼ぶ声がするので「我々は上の道を歩いてみま〜す」と返事を返す。この辺りではまだお互いの距離
は近い様だ。
すぐに植林地帯になり道は伐採された木で覆われまるで障害物競走の様だ。その荒れた植林地帯でルートが
不明瞭になり一本道となった。


10分位植林地帯の斜面を進むと辺りが明るくなるが、相変わらず蔓や倒木の障害物が多い。それでも道ははっきりして
おり西赤石南面を進んでいる実感がする。11時24分長尾根
の基部を通過。地図では曽我さんが歩いている上部鉄管道
はカモノハシの嘴の様に突き出た尾根を迂回している筈だ。


11時30分植林帯に入ったり出たり、障害物をかわしたりと忙しい11時43分 比較的大きなガレ場を通過し、更
に10分程で岩盤になった沢を越える。道は所々藪いているものの明瞭である。林業作業道にしては長い一本道なので
ひょっとすると「立川銅山道筋」の後を林業に利用された可能性は否めない。


12時15分 前方に物住ノ頭と前赤石が見える。と言う事は既に西赤石直下は通り過ぎているらしい。しばらくすると
ヌタ場があり、細い沢筋を挟んで厳しそうな笹薮になる。
これを進むと今日の目的である鉄管道の探索にはならないので、
12時23分沢筋を上部鉄管道へ下がる事にする。


   
尾根部を更に上に上ると左手にカラマツ林があった       植林地帯と自然林の境界を進む(道ではなく涸れ沢

  
     植林地帯に入って                      道発見〜 尾根分岐まで帰ると赤テープがあった  

  
    分岐に倒木を集めて目印とする            マーシーさんは上の道 、 私は下の道を進む

 
    雑木帯を抜けると又植林帯となる           で・・・ 又雑木帯に

 
あれ? 意外としっかりした道になる               ちょっと笹薮もあり

  
ふ〜〜む ここは林業作業道に利用されてる様だ       荒れた斜面になる

 
    ふんぎゃ〜  障害物競争かい                 植林地帯が見える

  
   う〜〜ん 又 きれいな道になる                 と思いきや又荒れた道に

  
      開けた場所を通過                          崩壊地を渡る

    
      大きな岩盤の沢部を通過                     道は更に続く

  
     灌木の藪が道を遮る                   物住ノ頭と前赤石が見える=西赤石を既に回り込んでいる

  
       笹が現れヌタ場がある                倒木の笹道となる


笹藪を進むのを止めて15位沢を下ると上部鉄管道に合流。以前伊予の鈍亀さんが歩いたレポを頂いていたが、意外と
しっかりした道ではないか。


12時42分植林地帯の右手の杉にテープがあり植林地帯に向っての分岐となる。この道も気になったが、上部鉄管道
をまっすぐに進むと
12時50分石垣が積まれた橋の土台が2箇所ある広場に出た。

石積み橋広場
の下側に続く沢をしばらく散策してみるが何も鉄管道の痕跡も見つからず元に帰り13時10分昼食とする。
食事は火を使わないレスキューフードだ。山の持ち主が他人に入られて一番心配なのが火の始末と残地テープだろう。

 
       丁度笹薮が深くなった場所に沢があったのでそれを下る事にする

 
   藪っぽい場所では沢が最も歩き易い           おっ  上部鉄管道に着いた  割と綺麗な道じゃ事

 
え〜 こんな立派な道が西赤石南斜面にあるんだ     植林地帯と自然林地帯が混在する


   右手に分かれている道は上部鉄管道から下部鉄管道の砕石場へと続く分岐

  
  ここら辺りは前赤石山の直下に近い            ちょっと沢藪っぽいが踏み跡がある

  
石積みの橋の土台が2つある (道の下から見る)      広い沢を少し下ってみるが特に何もない


   上部鉄管道の明瞭な道が終わる終着駅広場=石積み2連橋広場


石積み橋桁広場を横から見るとこんな感じです

  
    レスキューフードで昼食だ〜                平和な上部鉄管道の広場にて

食事をしていると笹を分ける音が聞こえてきた。「曽我さ〜ん?」と呼びかけると「は〜い」と返事が返ってきた。ここ
までやってくるとは何たる執念!


時刻は13時30分 「我々はもう少し先まで進みますがどうします?」と聞くと「私も行きます」と言う。ここから先
は藪がキツそうだが大丈夫やろか?


そうと決まれば昼食の片づけをして想定外のトリオを組む。そこからは沢を山襞が巻き、笹薮も多くなり曽我さんには
苦難の道だったろう。でも探索への執念でついて来るわい。
13時48分前赤石の岩峰が真上に見える。13時58分
節理をもったスラブ沢を通過
その近くには又石積みの橋桁が一対残っていた。


14時16分 石積みの崖があり、ここはまだ上部鉄管道である事を証明する。更に2分後の14時18分には以前
日浦谷から前赤石山へ遡行した沢を越える更に藪が相当きつくなり曽我さんが心配になる。


14時35分藪を先行するマーシーさんから声がして沢の崖で行き詰った。左手には絶壁があり滝が落ちている様だ。
沢の向こう側には道が続いている様に見受けられるが、渡るのが厄介な場所である。付近の岩を見ると穴が沢山空けら
れており、恐らくこの崖沿いに樋を通した土台の一部だろう。


当初、我々は帰りに食事をした場所から沢を適当に下って、下部鉄管道を確認の後、さらに沢道を下りて車に帰るつもり
でいた。しかし
曽我さんがライトを持っていないと言うので探索はここで打ち切り、一緒に車まで帰る事にする。もう
ここまで来ると同志だからねえ。


  
  13時45分 広場から3人で先へと進む                   藪や 藪やで〜〜 曽我さん!

                    
                     植林地帯になると少しの間だけマシな道となる



              前赤石山の岩峰が頭上に見える

  
   道が沢を渡って続く                       スラブ状のガレ沢を越す

  
   おっ  ここにも石積みの橋桁があるぞ              こんな藪山に石垣が積んである

 
     14時18分 何か所目かの沢が現れる       これは以前日浦谷を遡行した際歩いた沢だ! 

 
       14時40分 断崖に出くわし行く手を阻まれる              岩にはたくさん丸い穴が空けられていた

結果的に上部鉄管道を歩いて帰る事になってそれはそれで良かった。上部鉄管道は現在も林業作業道として利用されている
らしく誠に歩き易い道だった。曽我さんとお話をしながら歩いていると16時05分岩から鉄パイプが突き出ている足場が
悪い場所を通過し、暫く歩くと土管が2〜3個散乱している場所があった。これらの場所はすでに曽我さんが確認されて
いた。


16時32分尾根分岐に到着。ここには木に白いペンキの鉄板が掛けられているので目印になる。結局曽我さんのレポにも
ある様に上部鉄管道の鉄管や土管があまり見受けられないのは、木製の樋で水路を繋いでいたみたいだ。


16時40分下部鉄管道分岐からは林道を下る。次第に辺りは暗くなって来たが道は広くて比較的平坦なので私もマーシー
さんもライトを出す事無く17時45分出発点の車に帰る。



 
    物住ノ頭(左)と前赤石(右) (14時42分)         土管は無かったが水晶を発見

 
     節理岩の沢を渡る (15時00分)          前赤石への沢を渡る (15時15分)

 
   スラブ沢を渡る  (15時45分)                15時56分  大岩の横を通る

 
   16時00分 崩壊気味の沢を渡る               16時03分 石垣で道が補強されている場所


 
16時05分 岩から鉄パイプの様なものが突き出ていた    16時13分 左の斜面に土管が転がっている

   
         カラマツの黄葉                  16時20分 歩きやすい道が続く

 
16時27分 土管のかけらが埋まっている          16時32分 尾根分岐に帰り着く


 
  16時40分 下部鉄管道分岐に下りつく           17時45分 日浦谷の車に帰り着く


今日、上部鉄管道へ行き、まさにその場所で曽我さんに偶然お会いした意義深い日となった。

プロローグ 日浦谷遡行 は ここ

後編  下部鉄管道 は ここ


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