イノシシ達の北アルプス初挑戦  いきなり剱岳? それも長次郎谷から

平成20年7月19日〜21日

1日目 室堂ー別山乗越ー剱沢(幕営地)
2日目 剱沢ー長次郎谷ー長次郎のコルー剱岳ー前剱ー剱沢
3日目 剱沢ー別山乗越ー別山ー真砂岳ー富士の折立ー大汝山ー雄山ー 一ノ越ー室堂

  
  エントツ山 前田 ゆーみんママ 女カンスケ 大西(真) マーシー 高御位山  バックは剱岳



カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図   国土地理院 50000数値図使用(承認番号 平15総使、第634)

 

我がHP掲示板にひょんな事から岳人「高御位山(たかみくらやま)」さんとの縁が出来、「稲美山の会」四国遠征で
ご一緒したりしていた。

話の流れ、ノリで「ぜひ北アルプスにおいで下さい」と誘われていて、kazashiさん、マーシーさん達と何気なく「その
折は宜しく〜」なんて気軽に返答していたのだった。それが現実のものになっちゃった。いや〜 振り返ってもキツネ
につままれた様な夢心地の数日間でした。今回はkazashiさんが残念ながら参加出来なかったけどその分エントツ山、
マーシー
が代表で楽しんできましたので報告します。


1日目 (7月19日

室堂―別山乗越―剱沢 (0600―1210h)

前日マーシーさんと坂出で落ち合い加古川北インターにて高御位山さんと合流し名神―北陸自動車道にて立山に入る。
文部科学省の登山研究所などを見学の後高御位山さんの奢りで鱒寿司パーテイ。結構いける味だった。
後続の「稲美山の会」4名も無事夜中に到着し駐車場にて仮眠


 
    室堂ケーブルカー駅                 高御位山さんより装備のチェックを受ける

5時前に起き準備の後女カンスケさんが早めに並んで買ってくれた臨時便06時のケーブルカーで美女平へ、そこから
バスを乗り継いで室堂へ進む。有名な雪の大谷にはまだ雪の壁が少し残っていた。

以前「立山黒部アルペンルート」と銘打った旅行社のツアーに参加した事があったが、黒部ダムを含めてアルペン地域
にいたのがたった4時間だけという情けのない旅だった事を思い出した。

お登りさんのマーシーと私は満員バスの中からキョロキョロと弥陀ヶ原の景色や残雪の大日岳を眺める。う〜〜ん
やっぱ 四国ではお目にかかれない夏の風景だなあ
。二人とも北アルプスは初めて。それもいきなり長次郎谷から剱岳だと・・・・・
他のメンバー達は北アルプス常連だから堂々としていて皆カッコ良く見える。

室堂に着いてターミナル食堂で立ち食いソバを食べていざ出発。

 
   朝5時に起きて全員準備にかかる
              美女平でバスに乗り換える

室堂からは石畳の整備された広い遊歩道が「みくりが池」を経由して雷鳥平へと伸びている。始発で来た筈なのに沢山の
登山者、観光客が歩いている。流石(さすが)本場じゃねえ

みくりが池には残雪の立山本峰が天狗の屏風みたいに威風堂々と姿を映してもう気分は最高だ。左手には地獄谷の噴煙が
上がりその彼方には大日岳が聳える。右手には別山、真砂岳、立山本峰から浄土山へと続く高い壁が迫る。その間に目指す
別山乗越(のっこし)への雪渓が見える。



   みくりが池に姿を映す立山本峰  (富士の折立、大汝山、雄山)

 
  正面が大日岳
  遊歩道を雷鳥沢へ進む      マーシーも今回は初めて体験するザックの重さ

 
 後ろの左端にちょっぴり剱岳が見えている            残雪が多いなあ  これって夏?


         地獄谷の向こうに大日岳(左)と 奥大日岳(右)

前日、高御位山さんより余分な装備を極力減らす様にチェックされたが、それでも20キロ近いザックを担ぐのは初めての
経験で不安だった。マーシーさんは共同装備の6人用テントを配給されたのでもっと重いじゃろう。でも丁度よいハンディ
キャップかも・・・

台地の様な室堂近辺から野営場のある雷鳥沢へと下っていく。残雪が多くてその上を夏の盛りに歩ける喜びを感じる。
浄土沢に架けられた橋を渡って初めての休憩をとる。
さすが雪渓から流れ出る水は痛いほど冷たく気持ちがいい。

そこへ男前のヨーロッパ人単独登山者が通りかかり女カンスケさんと国際親善。たしかスペインあたりのバレンシア人
だったけ?


 
    浄土沢にかかる橋                 若い男前のヨーロッパ人とすぐお友達になるマダム・カンスケ

さてそこから急に登り坂がきつくなり、沢で休憩した訳がわかった。岩がゴロゴロした登山道と雪渓がミックスした別山乗越
への登りだ。高度がグングン上がって行き、標高2,450mの室堂平を中心とした多くの残雪が何とも言えない柔らかい
おとぎの国の様な模様を作っている。う〜〜ん 確かに何度も思うが、四国の山ではお目にかかれない絶景だ。


 
   今日の行程は楽勝ね  余裕のメンバー                高御位山隊の女性陣は凄いじょ


      浄土山の雪渓谷から流れる浄土沢と雷鳥沢が合流している。

雪渓部を頑張ると登山道は別山尾根に向かって石だらけの急登りがジグザグと続く。でもここから見る室堂平の景色が素晴らしく、又
高山植物が沢山咲いていてとても楽しみな歩きとなる

 
   シラネキンバイと大日岳                       コイワカガミ

 
   アオノツガザクラ                     シラネセンキュウにしとこう

 
      ミヤマダイコンソウ                         ツガザクラ

  
      チングルマ                              イワツメグサ


   ハクサンイチゲのバックには室堂から地獄谷、雷鳥沢などの室堂平が一望出きる

お花畑を楽しみながらも流石の急坂に息を切らしていると頭上に峠らしき雰囲気を感じた。ここが大日岳、剱岳、
立山三山などの登山道が交差する「別山乗越(のっこし)」だ。


 
別山乗越から歩いてきた急登を振り返る                 別山乗越

 
別山乗越まで上がると剱岳が姿を現す          お〜  イワウメがあるわい

この峠を越すと右手の別山からなだらかに雪渓が剱沢へと連なり、斜面に咲くハクサンイチゲやコイワカガミのお花畑と
相対して憧れの剱岳が姿を見せている。お〜 あそこに明日登るのか・・・。



ハクサンイチゲのお花畑から剱御前(左手前)の雪渓越しにあの剱岳が聳えている。 右奥は白馬岳あたりか?

この峠で少し行動食を摂りながら休憩しいよいよ剱沢キャンプ地に向かって下りていく。アイゼンこそ要らないが雪渓が
多く残り転倒しない様注意を払いながら歩く。眼前には次第に剱岳が全様を現し、その深い懐に抱かれる様に剱沢に向か
ってゆっくりと下りて行く。


 
  剱沢のテント設営場所へと下っていく             別山斜面の雪渓を横切って登山道が続く


         正面に剱岳  下には剱沢テン場   右手の茶色い屋根は剱沢小屋

テント設営場所は「別山平」と呼ばれる剱沢雪渓上部の小高い中洲にあり既に色とりどりのテントが張られている。資料
によると300張の規模らしい。 どこにテントを張るんだろう?と後をついて行くと一番奥の大岩横にスペースがあり
高御位山さんの指示でベースキャンプ2幕設営をする。


 
      剱沢のテント設営場所に近づく        テン場横の沢では山岳救助隊が訓練を行っていた

 
6人用(左) と 2人用(右)を設営              取りあえず カンパ〜〜イ  お疲れ〜〜

 

室堂出発が07時50分で別山平のテント場到着が12時10分だから都合4時間半弱かかった事になる。
何だか手持ちぶたさになりそうな時間帯だ。

ノッポさん(大西真也さん)が雪渓の向こうにある剱沢小屋で缶ビールを買ってきて「宴会ヶ沢」が始まった。私はビール
だと少しくらいは飲めるがバカ高い値段を聞いて遠慮した。


驚いた事に今年石鎚北沢遠征の時に参加されていた森安さんがひょいと現れビックリする。森安さんは同日平蔵谷から前剱ー剱岳を登ったと
の事。(翌日我々の長次郎谷山行にも参加する事になる・・・タフな人やなあ)

夕食まで時間があるので高御位山さん、マーシーさんと剱沢のルートチェックにアイゼンを付けて雪渓を下る。
先ほどから雪渓では山岳救助隊が訓練を繰り返していた。

 
    明日の偵察に向かう                  テン場を振り返るともう回りは雪だらけだとわかる

  
   明日あれに登るんやんか へ〜                建造中の新しい剱沢小屋

野営場管理事務所から雪渓を下がった曲がり角に石積みをして新しい山小屋が建設されていた。高御位山さんが近くに
居た若者に確認の所、現在の剱沢小屋が別山斜面からの雪に押されるので場所をここに移して営業するとの事。確かに
冬場のこの地の厳しさは我々には計り知れないものがある。


予想通り偵察は適当に切り上げてテントに帰ると食糧担当のユーミンママが夕食は「キムチ鍋」と宣言し女性軍がその
用意に取り掛かっていた。「げっ〜 キムチ鍋は苦手や〜」
この独り言を聞いたユーミンママが辛いのと辛くないのと
2種類の鍋を作ってくれていた。感謝。


 
山岳警備隊事務所に情報収集の高御位山さん    テント裏の大岩で岩登り講習会 講師は高御位山さん

綺麗な公衆トイレが雪渓を渡った向かい側、剱沢小屋近くにある。雪渓を吹き降ろす風は流石に冷たく、夕方マーシーさんと
暮れなずむ剱岳を寒さに震えながら眺める。


 
雪渓の向こうにある剱沢小屋と公衆トイレ(右の石積み)     たそがれの剱岳

「こんな所まで来てしまったんだなあ」 二人用のテントに潜り込む。




2日目 (7月20日)

剱沢ー長次郎谷―長次郎のコル―剱岳―前剱―剣山荘―剱沢



カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図   国土地理院 25000数値図使用(承認番号 平15総使、第634) (マーシー提供)

剱沢キャンプ地(04:20h)−長次郎谷出合(05:20h)−長次郎のコル(09:10h)−剱岳(09:55h)
剱岳出発(10:30h) −前剱(11:50h) − 剱沢キャンプ地(14:15h)


                             剱岳ルート図


朝3時というのに外で若い男女が大声ではしゃぎならが朝食の準備をする声が聞こえる。どうやらこの世界ではケタ違いの
早寝早起きが定石になっているらしい。暫くして我が隊長も二日酔いの様子もなく起き出して来た。こちらも仕方なく起き
出すが足元がふらつく。テント場には一抱えもあるような大きな石がゴロゴロして寝起きに蹴つまずきながら雪渓に出る。
3分の1拍子で滑りながらライトを頼りに闇の中雪渓を渡ってトイレに行く。

キャンプ地に帰ると既に多くのテントでは灯かりが点いて出発の用意をしている。恐るべし山ヤ集団。我々のメインテント
でお湯を沸かしてくれていたのでキャンプ用雑煮を作って朝食とする。
その後、高御位山隊長の号令でまだ薄暗い中、体が目
覚めきっていない状態で慌てて出発の準備。

高御位山隊のメンバーはテント泊には慣れているのでテキパキと行動がすばやい。

全員アイゼンを装着して04時20分剱沢雪渓を下る。どうも雲も低く垂れ込めて天気があまり思わしくない様だ。今年の
残雪は例年に比べてこの時期としてはかなり多いらしい。雪渓は春から夏にかけて新雪が降り積もらないので良く見ると結
構崩れてきた泥や石、飛んできた木の枝などで薄汚れている。でもまあ遠目には白くて綺麗に見える。


 
      夜明けの剱沢                   途中の谷筋は雪渓に覆われている

 
    これは平蔵谷だろうか                   更に剱沢を下る一行

剱沢からは一服剱に向かう武蔵谷(たけぞうだに)、前剱に向かう平蔵谷があるが今から向かう長次郎谷は剱岳本丸の北側
尾根に直接向かう雪渓谷で「宇治長次郎」が明治40年に軍参謀本部・陸地測量部の柴崎芳太郎が日本地図最後の空白地点
「剱岳」に行った際に案内したルートだ。

雪渓が幅広く残った剱沢を下っていると少し雨がパラついてきた。(ギクっ 昨夜寒い為雨具を着て寝たがそのあとシュラフ
カバーに包んだままテントの中に置いてきた。あちゃ〜

この場に及んでオメオメと取りに帰る訳にもイカン。高御位山さんにバレたらカミナリが落ちる。う〜〜ん ここは黙っとこ。
どうぞこれ以上雨が降りませんように・・・アーメン ソーメン トコロテン )

5時30分その長次郎谷入り口に到着。大きな落石があちこちに転がっている雪渓の上部を目指していよいよ突撃ラッパだ。

高御位山さんの指示で装備担当の前田さんが隊の先頭を歩く。次第に高度が上がって行き振り返ると登って来た雪渓の傾斜が
見える。左サイドには源次郎尾根、右側には八ツ峰の岩峰がが続いている筈だがガスの為全ての様子は良くわからない。


  
  いよいよ長次郎谷に入る
                広く雪渓が残っている

  
落石が雪渓の斜面に沢山止まっている           コーナーを曲がると傾斜が又きつくなる


       長次郎谷の雪渓風景  視界がマシなのもここまで

先ほどから雨足が強くなり隊長より運命の号令が・・・「全員雨具装着!」 でもワタシ雨具っても持ってないのよね。マー
シーさんにそっとこの不適切な真実を打ち明けると「それじゃあ 私の撥水ウィンドブレーカーを使って下さい」ってザック
の中から金の斧を差し出す。ホンマかよ〜 この窮地を打開してくれたマーシーと自分の幸運に感謝。


  
 雨具を装着して休憩中の隊長と女カンスケさん    これまた雨具を装着して休憩中の隊員 え〜なぁ


う〜〜 雨が背中と腰に浸み込んできた〜〜!  でも平然と構える  頼りは石鎚権現の手ぬぐいと高い体温


更に上を目指すと正面に何やら大きな岩が霧の彼方に現れた。熊の岩という分岐らしい。ガスが濃いので良くルートが
わからない。ここは隊長の指示を仰いでで左股へと進む。

このあたりからどうも背中あたりが冷たくなって来た。マーシーにそっと「ちょっとチョット〜 雨が浸み込んで来て
るんだけど・・・」「やっぱりそうですか もう何年も洗濯機で荒いまくってますから撥水効果が無くなっているんで
すね・・・」
とまるで爬虫類の如くイヤに冷静に答える。  ボクちゃん 変温動物じゃないのよね

ここで去年寒風山登山口で車のライトを点けっぱなしで山へ行き、帰ってバッテリーが上がって窮地に陥った事を突然
思い出した。その時も救世主ペーコが現れて「私、バッテリーケーブルを持ってますから大丈夫!エンジンかかりますよ」
と天使の言葉。その後バッテリーを繋いで「あれ? 3年くらいケーブル使わなかったから断線してますわ」 俺って
最後はこういう運命なのね

  
  霧が出てきて視界がドンドン悪くなる
          大岩近くで高御位山さんにルート指示を仰ぐ


もしも晴れていたならば・・・熊の岩を中央に左が左俣ルート、右が右俣ルート (写真:高御位山さん提供)

寒さ対策で隊の先頭に踊り出てがむしゃらに登る。せりあがった雪渓を這い上がると裂け目が大きく口を開けていた。
その規模は谷全体に及び右端まで迂回しなければクリア出来ない程だった。


  
    寒さ対策に先頭に出る                 後方に下がってボクシング運動

 
ゲッ クレバス発見  右へちょっと迂回して下さ〜い      ここは雪渓の右端まで大きく迂回

雪渓部が大きく展開し、前方が開けて来たと思ったら稜線が見えた。09時10分長次郎のコルに到着。非撥水効果ウィンド
ブレーカーを絞って又着る。もともと体温が高い体質なので傍目程には寒くはない。
かすかに見え隠れする長次郎谷の雪渓を眺
めやりながら充実感に浸る。

  
更に急な雪渓をピッケル頼りに上を目指す         いや〜 エントツ山さん 無事着きましたね

  
尾根に上がって長次郎谷を見下ろす                   長次郎のコル

長次郎のコルから霧で見通しのない岩尾根を剱岳山頂へと進む。最初に北側へ回り込む場所で足元が切れ落ちて岩が少し
オーバーハング気味になる箇所がありちょっと緊張した。その他は時間的には45分くらいの行程で意外にあっけなく
山頂へ着いてしまった印象がある。


  
     雨と霧の岩峰を山頂へと進む             大きな雪渓も尾根部まで残っている

  
アオノツガザクラとチングルマ               ヤマハハコ  北アルプスでは花がピンク色をしている

  
確かに高御位山さんが言われるように晴天であればもっと高度感溢れた岩稜歩きが楽しめただろう。こんな厳しい場所にも沢山の
高山植物が根を下ろして美しい花を咲かせている。そこが高山植物を愛(め)でる第一の理由だろう。

  
岩の足がかり、手がかりを確かめながら進む      この霧や雨が植物にとって大切な自然環境なんだが・・・

山頂直下になると岩が突き出る様にゴロゴロしている。そこを這うようにして登り切ると09時55分剱岳山頂に至った。
山頂は悪天候の為我々の他には1パーティしか居なかった。30分くらいここで休憩を取り記念撮影などをする。

高御位山さんが「天気が良かったらどんなに素晴らしかったか」と何度も天候を悔しがる。でもあの長次郎谷を登った
満足感で山頂からの展望は無いものの心は充実感に溢れていた。一緒に行動を共にしてくれた「岳人・高御位山さん」を始め、
「スパイダーウーマン・前田さん」、「軽業芸人・女カンスケさん」、「高嶺の麗人・ゆーみんママ」、
「ノッポ・大西真也さん」、「韋駄天・森安さん」本当にいい人たちの仲間入りをさせて貰ったものだ。


  
剱岳山頂や〜〜(山頂標識が無かったらどこかわからん)  北アルプスで最初の山頂 シェ〜を剱岳で飾る

 
   約30分くらい山頂で余韻を楽しむ             高御位山さん ありがとうございました(マーシー・エントツ山)


さて10時30分剱岳より下山する事に。
岩場にけなげにもへばり付いて生きている高山植物の写真を撮っていたら皆に遅れてしまう。岩に付けられたマークを
見ながら慎重に下山。いつもは込み合うこの一般道(別山尾根ルートと言うらしい)だが生憎の天気の為がらがら状態。
名物カニノヨコバイも展望が無いので大して怖くもなくクリア。要所に鉄梯子などや鎖が架けられており想像していた
よりは安全な印象だった。


  
ゴツゴツした岩だらけの山頂から霧の中を下山       イワウメ

  
     ベンケイソウ                      ミヤマダイコンソウ

  
  ヨツバシオガマとベンケイソウ                イワオウギ

  
   ミヤマオダマキ                        ヤマハハコ

写真を撮っていると皆を見失ったので急いでマーシーと高御位山さんに追いつく。と・・・その場所から崖になっており鎖場が
現れた。はは〜〜ん ここが所謂(いわゆる)カニノヨコバイって所だな。まあちゃんと鎖の下部には足場となる岩の割れ目や
段差があり何てことはない。

  
      鎖場で本隊に合流               子持ち権現の鎖場に比べれば楽勝ですよ

 
  高御位山さんとマーシー                 平蔵コルに下りる鉄梯子

  
   尚も鎖場を下りる                      比較的岩に段差や凹凸がある

  
岩には要所にペンキでマークがある             前剱手前のケルン場で一休み

前剱ピーク手前の平地部にケルンが積まれており丁度良い休憩場所となる。ここから前剱手前のトラバース道を下りていると
急にガスが引いて一瞬下山してきた剱岳が姿を現した。 ありゃ〜  あんな急な岩場を下りて来たのね。遠くから見ると何処
にルートがあるのか不安になるが近づくと手はあるもんだ。これは人生にも通じる真理でもある。


              一瞬 霧がさ〜〜と引いて剱岳が姿を現す

 
マーシーの向こうに大日岳が姿を現した            しかしこの光景もほんの5分ほどのサービスだった

 
前剱 山頂標識 まるで採石場の様な風景       尚も岩場が続く (使用禁止の札がかかった鎖もある)

ここまで下りて来ると厳しい岩峰の登山道は姿を消し、普通のガレ場や岩、土の道となりリラックスする事が出来る。お花畑が現れて
標高が下がった事を感じさせる。
今まであまり見なかった下山者や登山者が急に現れて少し夏の北アルプス風景に戻るがそれでもまだ静かな別山尾根道を楽しむ
事が出来た。

  
    ハクサンフウロ                           ベニバナイチゴ

  
    キバナノコマノツメ                           シナノキンバイ

  
    ツガザクラ                             何とかチドリ?

    
    イワギキョウ                            コバイケイソウ

    
  剣山荘で高いシャツの着替えを買う           剣山荘下の池に咲くキヌガサソウ

 
     剣山荘下の小沢を渡る (高御位山さん撮影)  剱御前の大きな雪渓を渡って剱沢テン場に帰る (同じく)

剣山荘で濡れた着替えのシャツを買い14時15分ベースキャンプに帰りつく。

その夜は森安さんからビールの差し入れなどがあり宴会が更に盛り上がる。私はその合間をぬって自己批判をしながら
別のテントでバーナーを点け着衣を乾かす作業に追われた。(結局生乾きに終わったが・・・)

私の着衣は今日の山行でほとんど濡れてしまい、乾いたものといえば高御位山さんにナイショで忍ばせてきたパンツとゴアテックスの雨具、
剣山荘で買ったロゴ入りのTシャツのみという有様。


夕方又雪渓を渡ってトイレに行くと剱沢小屋裏では映画 「点の記」(新田次郎原作)の撮影が多くのスタッフと時間を
かけて行われていた。

話を聞くと俳優の仲村トオル(日本山岳会・小島鳥水役)、香川照之(宇治長次郎役)松田龍平(測量官 生田信役)ら
の役者さんが泊まって撮影していたとの事。
主演の柴崎芳太郎役の浅野忠信さんが現場にいたという話はなかった

およそ100年前陸軍参謀本部・陸地測量部の柴崎芳太郎が日本地図最後の空白地点「剱岳」に名ガイド宇治長次郎と挑んだ
映画「点の記」 来年の封切りが楽しみだ。


  
  スタッフによるカメラリハーサル風景          霧を待っての役者による本番撮影風景

生乾きの着衣の上から雨具を着てシュラフカバーに包まり自己責任の寒い夜を迎えた



3日目 (7月21日

剱沢―別山乗越―別山―真砂岳―富士の折立―大汝山―雄山― 一ノ越―室堂


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図   国土地理院 25000数値図使用(承認番号 平15総使、第634)   (マーシー提供)

剱沢幕営地(06:10h) − 別山乗越(07:05h) − 別山 (08:10h) − 真砂岳(09:50h) −富士の折立(11:10h)
大汝山(11:50h) − 雄山(12:30h) − 室堂 (14:40h)

最終日は帰り道の立山縦走なので朝はゆっくり(?)05時頃起きる。隣には山岳救助隊の黄色い大型テントが二つ張ら
れていた。周囲を見ると一面ガスがかかりガッカリだ。出発前にこの別山平にある幕営地の雪渓に出て全員で裾野だけ姿
が見える剱岳をバックに記念写真を撮る事に。丁度そこに山岳救助隊の隊員が通りかかったのでシャッターを押してもらう。


     
      エントツ山、ゆーみんママ、女カンスケ、発車オーライ前田、高御位山、ノッポさん大西(真)、マーシー

 
大岩の前で記念写真 右から2人目が森安さん          富山県警山岳救助隊のテント(黄色)と隊員

 
お世話になった剱沢テント設営場所を去る       一瞬きりが晴れて正規ルートに復帰

雪渓をドンドン単独で歩く森安さんに声を掛けながら歩いていると、剱沢から別山乗越に帰る登山道を霧の為少し間違う
アイゼンを付けて雪渓を渡り正規の登山道に合流。

別山乗越で休憩の後、別山に登る。今日は一般道なので皆の顔にはリラックスの笑顔が見える。こういう山行もいいもんだ


別山 (2,880m)

別山の稜線に出る頃になって急にガスが切れて剱岳の天辺が現れた。この山ノ神の粋な計らいに感謝しながら剱岳最高の
展望所「別山」に進む。


  
お〜〜い 向こうに剱岳が頭を出したぞい             次第に霧が晴れていくじゃない 

   
「稲美山の会」の皆さん  菅、前田、大西、西川             マーシー  エントツ山

眼下にベースキャンプを置いた別山平から剱沢雪渓が広がり、その向こうに剱岳がどっしりと気高く構えるその姿に改めて
感動。展望所から高御位山さんの剱岳ルート解説を聞く。
  
  立山本峰 大汝山と雄山(左手前)    右が浄土山、その奥のピークが竜王岳



              別山から見た剱岳    中央奥が剱沢テント場

昨日は霧で全くわからなかったそのルートの全貌を向かいの山から眺めて今更ながらにその急な傾斜に驚く。

  
剱岳を正面に見て高御位山さんのルート解説         ちょっと別山を下がって剱沢を見る


             神聖なる剱岳をバックにシェーのポーズを取る山三バカトリオ

  
     ベニバナミネズオウ                    硯ヶ池 (日本一標高が高い池?)

  
         白馬岳方面                   別山神社へ引き返す

雪渓の残る別山硯ヶ池近くにある祠にお参りして縦走分岐へ向かうと丁度下から映画「点の記」撮影荷駄隊が大勢様々な
撮影小道具を背負って上がって来た。


 
映画「点の記」 撮影小道具を運ぶ荷駄隊               映画「点の記」撮影荷駄隊

  
別山神社に隊長がお賽銭を置き全員でお参り        真砂岳に向かって下りていく

真砂岳 (2,861m)

別山から次の真砂岳へは大きく稜線が落ちており、右手には夏の緑をベースに室堂を中心とする立山平とその後ろに
天狗山、国見岳、室堂山の残雪が柔らかく、実に美しい縞模様を作っている。その大自然の芸術にうっとりしながら
も足元には注意を払いながら底辺部まで下りていく。



 真砂岳に向かって急な岩尾根を下りていく  立山平の風景が右手に広がり最高のシチュエーションだわ

マーシーさんと女カンスケさんが真砂岳のトラバース道を行かずあくまで稜線を歩くというのでゼイゼイ言いながら
付き合う。皆と合流すると「トラバース道にライチョウがいたよ!」と言うので又トラバース道に引き返す。

居た〜 見た〜 初めてのライチョウ〜
人をあまり怖がらないので写真は取り放題だがどうも近くに子供がいるらしく逆方向の岩場に撮影者を誘っていく。
本隊に相当遅れたのでいい加減で引き返す。

  
見える立山本峰の手前に真砂岳がある             ミヤマキンバイ

  
      イワツメグサ                        ハクサンイチゲ

  
 「と〜とと〜と」ニワトリじゃ無いちゅうの         ライチョウ撮影成功 (誰でも撮影出きる・・・・)

富士の折立 (2,999m)

富士の折立(おりたて)直下で休憩中の本隊に追いつきお花畑の写真を撮る。ここからは更に岩が多くトラバース道を
ピーク直下に上がると女カンスケさんが更に危なかしく高い岩場からこっちのおいでと呼んでいる。高い所が大好きな
マダムだこと。呼ばれるままに岩場を這い上がって付いて行くとそこは「富士の折立」と呼ばれる標高
2,999m(剱岳と
同じ標高)の岩ピークで東側眼下に緑色に輝く黒部湖が見える絶景ポイントだった。


   
    ミヤマクワガタ  奥は富士の折立                 ミヤマタンポポ

  
   ミヤマツメクサ                       ヨツバシオガマ

  
    ハクサンイチゲ                      急登を前に休憩の高御位山隊

  
さあ 行こか  富士の折立へ                真砂岳の東側に広がる内蔵助(くらのすけ)カール

     
        富士の折立                    富士の折立に立つ女カンスケ、マーシー、大西(真)


    富士の折立   ここからエメラルド色の黒部湖が良く見える


大汝山  (3,015m)

次の大汝(おおなんじ)山には休憩所・売店がありマーシーさんが缶ビールを買っていた。そこの裏手に立山の最高点、
標高
3,015mの岩ピークがある。この岩に一人づつよじ登って記念撮影。我が隊は皆岩に登り慣れているのでヒョイヒョイ
と早い。
その様子を脇で見ていたおっさん達(私より若い?)は岩には登らず下で記念撮影をしていた。

  
      大汝山へと向かう                  雪渓の向こうに黒部湖が霞む

  
   大汝山  (立山最高点)                  女カンスケ


雄山 (3,003m)

その次の雄山(おやま)へは標高差はあまり無いが、ますます瓦礫の様な岩場を進む。ルートはしっかりしているので
危険箇所はない。雄山には神社と休憩所があり、雄山神社には門が設置されてお金を出さなければ行けない仕組みにな
っている。これはどう考えても神の御心(みこころ)に反する人間の愚かだが現実的な行為だ。
お札だけ買ってこれを手にして下山する。もうザックには何も入れるスペースがないのだ。


  
    雄山へと進む                        山頂には雄山神社があるのですぐわかる

  
    雄山頂上社務所・休憩所               一ノ越へ岩がゴロゴロした急な下りが続く

  
一ノ越へ下山し高御位山さんと合流                室堂へ向かって最後の下り

先に行った高御位山さんと一ノ越で合流。ここで少し休憩の後浄土沢を経て室堂に帰る。

今回の山行は剱岳がメインだったので立山三山についてはあまり調べていなかった。
「立山三山」とはまず立山本峰(富士の折立、大汝山、雄山)と別山、それに浄土山を合わせての総称らしい。
あれ? すると一ノ越から更に南西の浄土山、室堂山を巡って室堂ターミナルへ下山すべきだったのか。

次の課題が残った立山二山縦走だった。
でもまあこの歩きは剱岳のオマケ、付録として付いてきた様なものなので大いに楽しむことが出来た。

今回の北アルプス山行はマーシー、エントツ山に四国以外の山の魅力を知らしめる大きな意義があった。

 

今回のメンバー

CL  進軍ラッパ高御位山
装備  発車オーライ前田
会計  女カンスケ
食糧  ゆーみんママ
記録  のっぽ大西
客人A マーシー
客人B エントツ山
特別参加(剱沢にて遭遇) 韋駄天・森安

みなさん ありがとうございました


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