平成25年4月27日 (2013年)
初めてのロッククライミング 雪彦山(せっぴこさん)地蔵岳東稜コース


雪彦山(せっぴこさん)地蔵岳東稜コース


    朝焼けに輝く雪彦山クライミングゲレンデ   地蔵岳東稜コースはかつお節の左に沿って這い上がる


プロローグ:私が岩登りをした理由(わけ)

私は自由に色んな山歩きの方法でやって来たが、ロッククライミングだけには手を出さないと考えていた。太目の軽業師マーシー
さんが岩登りを始めた事を知った高御位山さんの好意により兵庫県のロッククライミングで有名な雪彦山へお誘いがあり二人の
間で話が進む。

それはそれで結構な事だったが、こう言った場合こちらにも火の粉が飛んでくる。何事も尻尾を巻いて引き下がるのが嫌いな私の
性格を知っている相棒より巧みに仲間に入れられる。まあ岩登りにはそんなに抵抗はないものの、命を掛けたこのジャンルには
独特の「作法」があり、そんな面倒な事が嫌いなのも私の性格である。

 
  ファイブテンのキャンプフォーを泣く泣く購入          ブラックダイヤモンドのハーネスを嫌々購入

天邪鬼(あまのじゃく)の私は「行くけど普段の登山スタイルで参加するよ」と言ったものの、現実に岩登りをリードしてくれるのは
高御位山さんではなく藪山雲水さん、前田さん、西川さんという「いなみ山の会」ロック派なのだ。特に藪山雲水さんのHPを見ると
役の行者に良く似た融通の効かない様な怖いオッサンの姿がトップページに登場している。
HP横に書いてある登山への心構えを読んでもこりゃ一筋縄ではいかない印象だ。日にちが迫るに従ってこの方たちに迷惑がか
かってもいけないとの思いからファイブテンのアプローチシューズとブラックダイヤモンドのハーネスを購入。ついでに使い方も判ら
ないエイト環とATCを買った。エイト環の方は自宅横の崖で草引きに使って見たがATCの方は未使用だった。

さて、ザイルをハーネスに結ぶ事位はマスターしておかないと藪山雲水さんに「そんな心構えの者は去れ〜」って怒鳴られそうで
インターネットのユーチューブで検索してやり方を見る。何でも横で直接教えて貰うと至極簡単な事でも動画を見ても、本を見ても
このエイトノット習得に毎夜一週間かかった。
家で風呂上りにハーネスを付けてエイトノット結びを練習する私の姿を見て「一体その歳で何をしよん?」とサマンサからは尊敬の
眼差しを得る事は出来なかった。最近では「理解は得られないが容認を勝ち取る」という結果が私にとって最高の落としどころなの
だ。

第一章: 四国から姫路・夢前町 雪彦山登山口まで 

さて、4月26日(金)仕事を終えて、20時に坂出コメリでマーシーさんと待ち合わせる。マーシーさんの岩友ゆ〜みんさんも高知
から参加してくれた。私はマーシーさんと条件を同じにする為にファイブテンのアプローチシューズを買った。だのにマーシーさん
は私を出し抜いて岩靴をクロスポイントで買ってきたと聞いて愕然とする。そりゃないぜ!

交流会に都合で参加出来ないトンちゃんが坂出に差し入れを持って来てくれた。島秀のおつまみセットが入った大きな箱とマーシ
ーさん用に冷酒セット、缶コーヒーを頂く。

雪彦山のキャンプ場が翌日の待ち合わせなのだが、ネットで検索しても3箇所位違う電話番号が記されている。(どうも最近町営
から個人に払い下げられた様だ)大きいマーシーさんの車で神社付近に目的地をセットして瀬戸大橋を渡る。兵庫県姫路市夢前
町は比較的近くて途中から雪彦山登山口の標識が現れ運転を交代する事無く22時30分頃にキャンプ場に到着した。

キャンプ場はチェーンがかかっているので広場を探して林道を上に進むと丁度良い土捨て場の様な平たい場所がありテントを張
る。北アルプスでは荷物を減らす為にマーシーさんと同宿するが車の横にテントを張る場合は御免こうむる。なにせ凄いイビキな
のだ。

マーシーさんのテントで夜食とお酒を少し飲み其々のテントに帰る。お月様が綺麗で風もなく最高の天気だったが明け方まで鹿が
近くでキンキンと啼き良く寝れなかった。
明け方からは聞いた事のない小鳥の甲高いさえずりが響き渡る。寝れないので林道を上がってみる。すると神社に曲がるコーナ
ーに広場があり桜越しに雪彦山の全景が見える。

テントに帰り少し早いが皆で朝食を食べ先ほどの展望広場へ三人で行き今日登るべき地蔵岳を眺める。う〜〜ん   見れば見る
ほど緊張感が高まってくる。あんな急な岩を登れるやろか?  岩靴コンビのマーシーさんとふ〜みんさんは余裕の表情だ。

 
広場にテントを張り鹿の鳴き声を聞きながらまどろむ        雪彦山 地蔵岳  付け根から天辺まで登る

雪彦山・地蔵岳東稜 いよいよロッククライミング初挑戦〜!

待ち合わせのキャンプ場へ08時に移動し藪山雲水さん、前田さん、西川さん(ゆーみんママ)に会う。何とそこには高御位山
さんが寒い中バイクでご挨拶に来られたいてビックリ。上の登山口まで車で移動して高御位山さんに見送られて沢へ下る。

 
07時30分「いなみ山の会」と雪彦山キャンプ場にて合流  今回のロッククライミング仕掛け人 マーシー・高御位山

 
賀野神社上部にある上の登山口 07時55分          高御位山さんに見送られていざ出発〜


第二章 地蔵岳東稜コース 岩登り


地蔵岳東稜コース ルート図


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図 (ふ〜みんさん提供) キャンプ場〜上の登山口(東屋)は車で移動


一旦雪彦川の上流・地蔵谷の沢筋まで下りて今度は取り付きまでぐんぐん登っていく。みんな既には〜は〜息を切らす。連休
なので多くのクライマーで混雑するのを心配していたが運よく我々が最初だった。

 
    最初は植林地帯を下がる                   沢筋に近づくと岩が多くなる

 
     雪彦川上流の地蔵沢を渡る               藪山雲水さんのリードでグングン高度を上げる

 
もう気分はロッククライミング状態だ                 ヒカゲツツジの咲く急斜面を這い上がる

  
08時15分 地蔵岳東稜の取り付き点にてクライミング準備  こっそりファイブテンのキャンプフォーを岩に擦らせてみる


東稜コース クライミング第1ステージ スラブ壁 2ピッチ
 

08時15分取り付きテラスで準備をする。ヘルメットを被りハーネスを付けて持って来たカラビナを付ける。他の連中をみると装備
がハンパじゃない。腰にはハーネスの回りに今からフラダンスが始まるのかと思う位腰蓑の様にヌンチャクや他の道具がぶら下が
っている。

「ロープをハーネスに結んで下さい」という雲水さんの指示がある。待ってました〜  毎夜サマンサの呆れた視線を受けながら訓
練した様にシャキッとエイトノット〜!  どうだ〜〜〜

が・・・  「ハーネスにロープを二重に取って下さい」ゆ〜みんママからはら「ロープを通す結び目が捩れない様に」と注意を受け
やり直す。これだけは自信があったのだがなあ・・・・とほほ 。08時30分地蔵岳東稜コースのクライミングが開始された


  
   皆さんの笑顔が緊張をほぐしてくれます           離れてみると傾斜が緩そうに見えますが・・・

 
「大丈夫ですからね〜〜」と優しい言葉をかけてくれる前田さん  お〜〜 スルスルと吸盤ガールがトップを行く
  

最初のスラブは比較的幅があるので50mザイルを出して2組(3人1組)並んで行く。前田さんの組は時間セーブの為ザイル
を2本一緒に引きずって上がる様だ。こちらは一本づつで自分が最期の為待ち時間が多くで少し寒くなる。上を見上げている
と首が痛くなった。左手の壁も厳しそうだが上の方にはアケボノツツジのピンクが見られる。それぞれの岩場には私が得意と
している樹木付き絶壁があり、ルートを選べるなら這い上がる自信がある。でも・・・今日は岩場なのだ。

ワンピッチ目は比較的岩に凹凸があり手がかり足掛りがあるので問題なし。先発隊がドンドン上がっていくのに一人取り残
された寂しさが漂う。上から「確保よし!」と指示がありザイルが手繰られる。人生初の記念すべき登攀(とうはん)開始だ。
このスラブ壁は傾斜が急だがフリクションもありあっという間に先行者の待つ細い岩棚に到着した。

 
我が班のトップ ゆ〜みんママ(西川)もスラブに取りつく   トップを確保する眼もいつになく真剣だ


   左が不行岳のフェースで右側が地蔵岳東稜フェース   アケボノツツジが咲いている


       セカンドの藪山雲水さんとふ〜みんさんも岩に取りつく

 
前田さんから2本ロープを下しているのでマーシーさんが出発   最後にボクちゃんもみんなの待っている楽しい場所に


皆の待つテラスに着くと雲水さんから「すぐセルフビレイして下さい」と言われる。ん?ビレイ用のスリングはザックの後に括り
つけている。ゆ〜みんママが「これでビレイして下さい」とスリングの回りにフックが沢山付いたビレイ紐を渡してくれた。岩登
りって色んな紐が用途によってあるものだ

岩にはビレイ用の金具がセットされており、これにカラビナを通す。カラビナも「上から引っ掛けないで下から」と言われる。
う〜〜む  私の苦手な「岩登り作法」が始まったぞ。原理はようわからんけど上から引っ掛けると角度によってストッパーが
開くらしい。
岩登りは生命の危険が非常に伴うので幾多の事故を踏まえてそのやり方や道具が考案され素人を悩ます。そういう細かい
作法を全て自然に出来る様にならねば仲間を事故に巻き込むことになる。

トップを確保する担当者はこのセルフビレイを2箇所で行いトップの墜落時に備える。先ず自分の確保がしっかりしていなけ
れば仲間を助ける事すら出来ず連鎖事故になってしまう世界なのだ。トップの確保動作を見ていると確保する為にロープを
繰り出す器具は私が持って来たATCと良く似ているが少し違っている。ATCはロープのストップに少々問題があるらしい。
じゃあ何故ショップで売ってるんや〜 もう返品は出来んぞ〜

さて次のピッチで少し苦戦してる先行者のルートと動作を食い入る様に眺めると首が又痛くなった。どうもトップの前田さんが
難しいルートを進んだ様だ。その為後続者が次々と泣きが入っている。そんな光景を下から見るものだから次第に緊張し口
が渇いてくる。

幸いに藪山雲水さんが私の為に左の比較的楽なルートを取ってくれたのでベソをかくことも無かった。ルートにはピンが打た
れトップで行く人は自分のビレイ用にこのピンにヌンチャク(カラビナが紐の両側に2つ付いた道具=クイックドローとも呼ばれ
値段は2千円くらいするのだ)を腰から外してカラビナを掛ける。そしてもう一方のカラビナに自分の引っ張っているザイルを
通して行くのだ。
3人で行く場合、セカンドはこのカラビナから先行者のロープを外し、代わりに後ろに引っ張って来た最終者のロープを掛けて
いくって寸法だ。最終者はこのヌンチャクをピンから外して回収する。何せ2千円だから。
藪山雲水さんはルートを左に取ってくれた為、トップ西川さんがセットした右手のピンにあるヌンチャクを遠回りして回収した
様だ。スラブ壁最期は平らなステージになっており、09時45分左の斜面に沿って次の難所「クラック」へと進む。

「ここからコンテで上にあがるから」と言われる。う〜〜ん コンペなら知ってるんだけど・・・ どうも先行者がロープを持ったま
後続車を確保して進む事でコンティニアスの略語だ。「護送」って日本語はどうかしら?(雲水さんがトップに向かって「今から
そこまでエントツ山を護送して行くからそちらで手錠=ビレイ頼む・・・何てカッコ良くない?)


 
09時05分次の出発をテラスで待つふ〜みんさんとマーシーさん   結構楽しいじゃん (ふ〜みんさん提供)

 
    ふ〜みんさんが2ピッチ目に進む             上がってみると結構急な傾斜だとわかる


  2ピッチ目を行くマーシーさんと藪山雲水さん   ここで前田ルートの厳しさを味わう

 
雲水さんの指示で直ぐにセルフビレイをして上で待つ     岩のリッジを雲水さんに続く (ふ〜みんさん提供)

地蔵岳東稜コース:第二ステージ チムニーから馬ノ背へ

リッジ(岩尾根部)を左手に回りこみ次の取り付き点へと移動すると足元は斜めに傾いた岩で樹木や根っこがある。ここで
もセルフビレイの指示があり、繋がれた犬状態で先行者のクラック登攀を眺める。雲水さんによればどうもここが一番の
難所らしいのだが、自分的には滑落の心配がないこんな場所が好きだ。

ここから私が2番手に変更。先行する前田、マーシー、ふ〜みん組を見ると一旦クラック内部に身体を沈ませ、クラック内
部の手がかりを頼りに上昇しないとクリア出来ない様だ。10時15分我がパーティの順番になり西川さんがクラックに入り
上段で抜け出し右手にコースを変えて上部に消えた。しばらくして合図がありトップのロープに確保されながら3番手のロー
プをお尻に結んで這い上がる。

見た目と実際では違い多少クラックからの脱出に少し苦労するが雲水さんの指示でクリアして手がかり、足掛りがあるが
切れ落ちた右手の岩を這い上がる。この上側を進んでいるとグラつく不安定な岩がありヒヤっとする。その後は少し長い
傾斜の岩を進み10時35分西川さんの確保場所に着き尻尾を渡す。

 
結構優しい藪山雲水さんと頼りになるトップゆ〜みんママ    そうよわたしはサソリ座のおんな〜  ♪

 
10時15分 我が隊のトップがチムニーに潜る         上側から右手に出てスラブを這っていく
 


本来ならば私が後続の確保作業をするべきなのだがここは経験者に任す。後続者をビレイする西川さんの様子を見るが、
回りは確保の紐だらけになっている。自分のロープと後続者のロープが絡まない様にする事も技術の内だ。

アケボノツツジやヒカゲツツジが咲いたテラスで先行組がのんびりと休憩している。彼らは決して戦場カメラマンになる事に
興味がない様だ。その向うに地蔵岳の厳しいフェースが見える。写真を撮るには美しい形だが、それを登る自分の姿を想
像するとゾッとする。
前田さんが優しい声で「大丈夫ですよ」と又子供をあやすように声をかけてくれる。(でもこの人って難しいルートでも平気で
這い上がる油断のならない蜘蛛女なのだ)

 
   松の木で確保作業 ごくろ〜さ〜ん            下から上がってくる雲水さんの動きを読みながらザイルを調節

 
   不行岳(左)と大天井岳(中央)               くつろぐ前田組  アケボノツツジが嬉しい


あの馬ノ背を上がって右に移動して頂上フェースに取りつきま〜す(前田) ・・・・・・・・・・ (エントツ山)


地蔵岳東稜コース:第三ステージ 馬ノ背

暫くみんなで山頂フェースを見ながらコースの説明を受ける。それからヒカゲツツジの咲く平らな細尾根を馬ノ背直下に進む。
10時56分馬ノ背取り付きから細い岩尾根を見上げる。その名の通り狭い細尾根だが見る限りデコボコがあり楽勝だろう。
ルートは決まっているので景色を眺めながら順番を待つ。

岩登りや沢登りと言うものは概して勝負が早い。いつもの山行みたいにヘロヘロになるまで歩き続ける事も無く当然藪もない。
危険を回避する目の前のルートに集中する事が求められるからだろう。我が助っ人「藪山雲水」さんと「ゆ〜みんママ」が優しく
笑っている。人をこんな危険な岩登りに駆り立てるものって一体何だろう?  危険な場所にわざわざ出かけてながら危険を回避
する為に万全を尽くすって一見矛盾しているがこれは山登り全般に言える事だろう。私が未知のルートに挑戦する様な人間本来
が持つ冒険心だろうか?  困難に打ち勝った時の達成感だろうか?
前田さんや西川さんは滑落で大怪我をして入院しながらもなお岩に復帰している。この性懲りの無さが岩登りの持つ魅力を証明
している。

さて、西川さんがザイルを引っ張りながら遭難碑のある馬ノ背上部に消える。暫くして合図があり雲水さんのザイルを引きながら
進む。最初はすこし緩やかだった傾斜も遭難碑辺りになると垂直に近くなる。でもここは手がかり、足掛りがあるので普段四国の
岩を這い上がるのと変りはない。11時23分確保者・ゆ〜みんママの場所に行き後続者用のザイルを預ける。

遠いので声はあまり届かないがロープの動きで自分の出発するタイミングがわかる。雲水さんが上がって来るまで次の地蔵岳
頂上フェースを恐る恐る眺める。

 
   さて 地蔵岳の山頂フェースが見えて来た         ヒカゲツツジの花道を馬ノ背へと進む

 
  不行岳(左)と大天井岳(中央)を眺める             二人には自信となっただろうこの地蔵岳東稜コース

 
馬ノ背を這い上がるマーシーさんとふ〜みんさん          我がゆ〜みんママも行く

 
    傾斜が次第に急になってくる               遭難碑が上にみえる 傾斜は急だが登りやすい

   
  緩やかな場所しかカメラを出せない              雲水さんもやってくる


地蔵岳東稜コース:第四最終ステージ 山頂フェース

最期の締めの頂上フェースを見てびっくりした。何と前組トップの前田さんが正面ののっぺら岩に取り付いているでは
ないか。ロープを2本も吊り下げながら垂直の壁を這い上がっていく。展望所まで這い上がってきた雲水さんは私の心
配を察して「エントツ山さんは途中から正面フェースに移動するコースですから少し易しいコースを取ります」と天の声。

でも私は左に見える木の茂った窪みに沿って真っ直ぐ上がるのが初級コースだとネットで見ていたのでちょっとアセる。
こんな事なら岩専用の靴を買ってくるんだったわい。後悔先に立たず。岩靴のマーシーさんとゆ〜みんさんは岩登りの
経験を活かして当たり前田ルートを多少泣きが入りながらも無難にこなしている。


       きょへ〜 あんなとこでそんなことして・・・・・  この蜘蛛女が〜〜〜

  
   するスルするともうあんな所まで               そんじゃ吸盤イノシシが参ります

 
マーシーさんでもなお2〜3度ブヒ〜〜と泣きが入りました   見よ この鍛えた股関節を!


         土佐のはちきん女も行くがやき

 
 けんど まっこと手がかりがぎっちり無いにかわらん        2千円のヌンチャク回収〜〜


私のコースは途中の松まで左側を進み、それから正面へトラバースするコースだ。(このまま上に進みたいよ〜〜)でも
心の声も虚しくトップの西川さんが正面フェースへとトラバースしていく。う〜〜ん  もう覚悟を決めるしかない

ゆ〜みんママの進むルートを岩に穴が空くほど見続ける。あれをこう行って、オーバーハングの岩を越して斜め上に這
い上がりバンドを伝って正面へ進む。  よし! 頭の中でシュミレーションが完了。  

山頂へ這い上がったゆ〜みんママが確保完了の声の後、ザイルが引き上げられる。ザイルが一杯になると「ザイル一
杯〜」の合図を大声で送る。上から出発を促す叫び声が谷に木霊したのでもうここで後戻りは男の意地で出来ない。
最期の岩との戦いに向って垂直の壁に飛び出す。

最初は足掛りがわかり順調に移動する。が・・・オーバーハングの場所にくると手がかり、足掛りが見つからない。オーバ
ーハングの岩に手がかかったので無理に腕力で這い上がろうとするが岩に近づきすぎて足場が見えない。2〜3度右足
で岩壁を引っかくが滑って安定しない。右足が決まらない事には次に進めないのだ。

この忙しい時にマーシーさんから「エントツ山さん  大丈夫ですか〜」という様な声がかかる。「うるせ〜  岩靴を私に内
緒で買った裏切り者め」  ここで何故かミッションインポッシブルの主題歌が聞こえてきた。よし頑張るぞ〜  モンゴル系
 トムクルーズは危険な任務を恐れず遂行する。今度はオーバーハングの向こう側にある細い出っ張りに手を引っ掛けて
右へ移動する。まだ右足の足場が決まらない。こういう時に岩靴ならば何とか岩を摩擦で捉えただろうなあ。

一旦20センチ位ズルっと滑って焦ったが何とか腕力で斜め上に移動しバンドに出た。うげ〜〜 ちょっとの距離なのに
何と苦労したものだろう。その後は雲水さんの指示もあって右側の出っ張りに移動して12時10分無事山頂に到着〜

  
    カラビナがうまく外れんがやき〜                さてわてらのルートは楽勝ねんで〜


      え〜〜  正面フェースに出るんですかいなも〜〜   ここからだとルートはわかる

 
     バンドに出てホッとする                誰や〜 この忙しい時に声をかけるのは〜(ふ〜みんさん提供)

 
 にっこりピース でも右手は骨折した指でがっちり岩つかんでおます   んまっ 垂直の壁ですがな


山頂直下のテラスで確保のゆーみんママに雲水さんのザイルを託してセルフビレーをしながら下を覗き込む。ぎょへ〜  
こんな場所は人間が近づくべき所じゃ無いわい!!命が数日縮まった代償に何とも言えない達成感を手にする。これって
採算が合ってるんだろうか? 藪山雲水65歳が12時20分山頂へ這い上がり我々の岩登りはここに目出度く終了した。

 
藪山雲水さんも開脚のポーズで岩を乗り換えている         しんがり ご苦労様でした〜

  
  まるで綱引き大会みたいやね 確保ありがとうございました          やったど〜


「いなみ山の会」ロック組サポート隊の皆様のお蔭で無事山頂に立てました〜 仕掛け人の高御位山さん ありがとうございました

 
  蜘蛛女三姉妹   女は度胸やね                 一般道を下山する

 
   アケボノに包まれた一般道に下り付く                東屋で成功を祝す

生まれて初めて経験したロッククライミング。多少いい加減な気持ちで参加したものの、優しくも厳しくフォローして頂いた藪山
雲水さん、前田さん、西川ゆ〜みんママに感謝。いつもエントツ山・マーシーの成長を暖かく見守ってくれている高御位山さん
がアレンジしてくれたお蔭で四国の3人組が雪彦山・地蔵岳東稜コースを堪能する事が出来ました。

「いなみ山の会」の皆さん ありがとうございます。

翌日 平成25年4月28日 雪彦山周回 は   ここ    




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