南アルプス 北沢峠より仙丈ヶ岳と甲斐駒ケ岳

平成24年8月24日〜25日


国土地理院による標高3,000mを越える日本の山は21山となっている。このうち北アルプスを中心に
13座に登っているが、残りは南アルプスが多い。

今年は仕事が忙しく日本アルプスは無理かと寂しい思いをしていたのだが、8月末にチャンスが訪れた。
今回は仙丈ヶ岳(標高
3,032.6m)が狙いとなる。

平成24年8月23日(金)仕事を終えてそのまま岡山の吉備インターにて長崎から兄弟の研治と20時
に待ち合わせ名神高速〜中央自動車道・伊那インターから登山口の「仙流荘」を目指す。

日付が変わって伊那インターを下り、カーナビ頼りに仙流荘駐車場へ03時過ぎに到着した。06時始発
の北沢行きのバス時刻まで広い無料駐車場に入り車の中で仮眠する。次から次へと車が入ってくるので当然
まともに寝られる訳もなく、05時頃空が白み多くの登山者が準備を始めたのでこちらもそれに習う。

 

第1日目 北沢峠から南アルプスの女王「仙丈ヶ岳(仙丈岳)せんじょうがだけへ

平成24年8月24日(土)    


  南アルプスの女王 仙丈ヶ岳 標高


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図 北沢峠〜仙丈ヶ岳周回   約9時間

北沢峠向け南アルプス林道バス停には多くの登山者が既に並んでいた。06時05分の始発前にバスが次から次へと
臨時便を出す。北沢まで1,100円であるが荷物が18
L以上だと追加料金200円が徴収される。始発を逃すと
次は08時05分となり、北沢テン場への日帰り縦走が厳しくなる訳だ

運悪くバスに入る順番が最後に近かったので真ん中の補助席に大きなザックを膝に置かなければならない。前の補助
席とのスペースが無く往年のプロレスラー、ディック・マードックの得意技ブレーンバスターみたいにえび反り状態
で背中に座椅子のパイプが当たり地獄の55分間となった。バスの運転手が途中で見える鋸岳などの解説をしながら
クネクネと曲がった南アルプス林道を進むがカーブを曲がる度に全身の力で不安定なザックを支えなければならない。


06時30分頃バスは北沢峠に着きやっと地獄から開放される。登山口朝の独特な雰囲気を味わう暇もなく北沢駒仙
小屋のテン場へと急ぐ。長衛荘のある北沢峠から広河原方面に広い林道を下ると、バスを回転させる広場のすぐ下側に
テン場への入り口が左手にあった。北沢駒仙小屋のテン場は水の豊かな北沢沿いにあり100張り出来、水場やトイレ
も完備された人気の場所だ。小屋は現在改装中の様だ。既に多くのテントで一杯だったが幸いにしてテントを2張り
出来る良い場所が残っていた。 私はダンロップの2人用、研治はノースフェイスの1人用だ。


重いテントを背負ういつもの縦走とは違いここにテントを張り荷物を置いて日本百名山の2山を一日づつ往復すると
言う笑いの止まらないシチュエーションの為テントを2豪華に持ってきたのだった。


 
  仙流荘駐車場の夜明け  鋸岳が見える        仙流荘 北沢行 南アルプス林道バス停留所

 
エビぞり固めに遭いながら撮ったバス車窓から             北沢峠にて 重いザックも少しの間よ
駐車場から見た上の写真と同じ場所だ                  ここからテン場まで約15分〜20分

  
北沢駒仙小屋のテン場 お〜結構並んでいるわい      一番上の段に良い場所があり2つ並べて張る
                                      左:研治の1人用  右:エントツ山2人用

お湯を沸かして簡単な朝飯を食べて07時35分いよいよ仙丈ヶ岳へと出発する。一旦林道へ出ると尾根道の2合目
に出る近道がありそれを登る。登山口には北岳展望所5分とあるがこれはいかにもショボい展望所だった。登山道は
しっかりしておりシラビソの樹林帯をジグザグを切りながら登っていく。

斜面にはソバナやマルバタケブキが多く見られたがバスの沿線にもこの黄色い花が沢山咲いていた。08時25分尾
根道二合目に合流しここからは登山者を多く見かける様になる。カップルや男女の単独登山者も沢山行きかい人気の
コースであることが伺われる。

 
一応北岳展望所での写真  尖(とん)がってます   テン場から50分で2合目尾根道に合流

樹林帯の尾根道を進むと09時25分多くの登山者が休憩する五合目に到着。ここは右手に藪沢への分岐となっており
、帰りはここに帰ってくるつもりである。少し進むと左手斜面からとても涼しい風が吹き上がって来たので少し休憩を
取る。木々の間から甲斐駒ケ岳の白い形が見えたので少し斜面を下がって眺める。摩利支天とセットで惚れ惚れする様
な山容である。
その後尾根道の樹林帯は展望がそんなに無いので黙々と歩く。

 
     09時05分 4合目通過          09時25分 5合目休憩所


         5合目を過ぎた左斜面で休憩中に摩利支天を抱えた甲斐駒ヶ岳を眺める

10時頃になるとハイマツの明るい尾根に変わる。するとバックには甲斐駒ケ岳と鋸岳の尾根が広がり爽快な気分
にしてくれる。やはり展望は山歩きに必要な要素である。30分位尾根を歩いていると右手には長野県側の川沿い
の平地が見え、そこには高山では場違いの園芸種のようなウサギギクが咲いている。

10時45分小仙丈ケ岳ピークに到着。「にくきゅう」さんが雨でここまで来て無念の撤退を余儀なくされた場所
だ。天気の良い日ならすぐ近くに目的地が見えるのだが、ここからは岩場の細尾根などもあり更に仙丈ヶ岳までは
1時間以上かかるので止むを得ない判断だったのだろう。にくきゅうさんの代わりに
大パノラマを堪能させて貰う。

 
   岩がゴロゴロしている登山道                   うへ〜〜  まだ先が長いよ〜〜


             鋸岳            八ヶ岳(奥)           甲斐駒ヶ岳

 
         第一展望所にて                  斜面に生えるタカネヨモギと北岳


             小仙丈ヶ岳より駒仙小屋テン場を見下ろす


 
   去年歩いた北岳、間ノ岳が見える              にくきゅうさんも今年来た小仙丈ヶ岳

小仙丈ヶ岳で甲斐駒ケ岳や北岳の写真を取り、いよいよ南アルプスの女王「仙丈ヶ岳」へと向かう。ここからは
唯一と言えるちょっとした岩場があり登山らしい雰囲気を味わえる。
遠くから眺める仙丈ヶ岳は緑豊かでたおやか
な印象であるが、岩場をコルまで下がると前面は岩山と変貌する。


トウヤクリンドウ、タカネツメクサ、チングルマ、イワギキョウ、タカネダイコンソウ、イワウメなどの高山植物
が岩の斜面に見える。


登山道は一旦右手の藪沢カール側に振り、仙丈小屋を眺めながら山頂に至る。先ほどからガスが沸いてきて青空の
山頂は望むべくも無くなってしまった。研治も山歩きが春の西赤石以来で途中で足が攣り苦労している様だ。


12時05分仙丈ヶ岳山頂に到着。多くの登山者が山頂標識前で記念写真の順番待ちをしている。最近は各自がデジ
カメを持っているから写真を依頼するにも2〜3台を渡しているのでム〜チョ時間がかかる。記念写真を撮った後
日陰に移動して昼食を食べる。周りがガスっているが山頂の上だけがどういう訳か日が差しており暑い。




 
    仙丈ヶ岳には一旦岩場を下がる              チングルマとは不思議な変化(へんげ)をする花だ

 
        コルへと下がる                   たおやかな南アルプスと言っても岩場も出現


    コル部まで下りると氷河期の名残を持った仙丈ヶ岳が美しい

 
    小仙丈ヶ岳を振り返る                         山ガールも行く

 
         仙丈小屋分岐                          コケモモ


              藪沢カール側から山頂に至る

  
   イワギキョウ  紫が鮮やかだ                   トウヤクリンドウも多い

  
   手前のコルには無線交信をする男性がいた             大仙丈ヶ岳分岐


              14座目の3,000m級山 仙丈ヶ岳 標高 3,033m

12時40分山頂を後にする。よく地図を見ておけば山頂から右回りで仙丈小屋へ下りるルートがあったのだが、
来るときに分岐標識があったのでそこまで戻って小屋へと進んだ。


13時10分にガスがかかった仙丈小屋に到着。目的は山バッジの購入だったが生憎売り切れてしまったと言う。
「今日は何処にお泊りですか?」と言うので北沢峠ですと答える。
「雨が降る前に下りた方がいいですよ」という
アドバイスに促されて藪沢源流に沿って付けられた登山道を下山する。

   
究極の行動食 おにぎりせんべい           オンタデとイワギキョウ

 
  これはイワウメか?                あなたは標高3000mのイワベンケイ

 
   ガスが引いて現れた仙丈小屋          藪沢源流部のミヤマダイコンソウ

 
ロープが登山道の両側に張ってありお花畑に入れないようにしている。と言っても今は花の時期は既に過ぎており、
ヨツバシオガマ、ミヤマダイコンソウ、シシウド、チングルマのヒゲなどを見ながら高度を下げる。ナナカマドが
両側から張り出して足場が岩で覆われた登山道をコル部まで下りると、今度はハイマツとダケカンバの尾根(馬の背)
へと右側に回り込んでいく。馬ノ背をそのまま下りてしまわない様に藪沢へ下る分岐が無いか探しながら尾根を進む。


14時08分樹林帯の中に馬ノ背・藪沢分岐標識があり安心する。この辺りから鹿ネットが沢山敷設してある。四国
だけでなくどこでも鹿の食害に悩まされている様だ。


マルバタケブキやハンゴウソウの大柄な黄色い花が沢山咲いて、ダケカンバの枝ぶりが美しい。急な傾斜を下りると
「馬の背ヒュッテ」があり、そこで仙丈ヶ岳の山バッジを買う。鹿ネットだらけの中にこのヒュッテが存在している。
水が豊かでいい雰囲気なだけに残念である。


 
       ヨツバシオガマ                              ミヤマカラマツ

 
            ウサギギク                   ナナカマドの間を抜けてコル部に着く

 
   ダテカンバとハイマツの馬ノ背尾根                仙丈ヶ岳を振り返る


             馬ノ背尾根から藪沢カールと仙丈ヶ岳を眺める

 
    14時08分 馬ノ背・藪沢分岐                うひゃ〜  鹿ネット街道となった


 
なだらかな登山道を馬の背ヒュッテへ向かう               マルバダケブキ


  ダケカンバの樹林帯  ここも鹿ネットが張られていた

14時30分藪沢を渡渉する場所に藪沢沿いに大平山荘に至る「藪沢新道」の分岐標識がある。明日に備えて
早くテン場に帰り寝たいので、ここは尾根道五合目に帰る道を選択する。何せほとんど睡眠ゼロで四国からやっ
てきたのだ。

沢を渡ってから道が細くなるがしっかりした踏み跡があり道を間違う恐れはない。
10分程分岐から歩くと藪沢
小屋跡があったが、どうも今は営業していない様だ。
このトラバース道も気分的に長く感じ、単調で薄暗い風景
の中に現れる白いセリバシオガマに慰められながら15時07分やっと五合目尾根道に合流した。


 
    立派で色が鮮やかなトリカブト                藪沢分岐  主尾根ルートへ渡渉する

 
廃業中の藪沢小屋 ここは場所的に登山者は利用しないだろう   この時間でも登山者が前からやってくる

 
     藪沢〜5合目トラバース道                         セリバシオガマ

仙丈ヶ岳を出発して約2時間半でやっと主尾根五合目に帰り着く。こから四合目、三合目と下り15時55分朝登って
来た二合目まで帰り着く。


ここからも立派な樹木に覆われた北沢峠までの尾根道を進み16時13分一合目を通過して16時30分北沢峠へ降り
立った。長衛荘前では沢山の登山者がたむろしていた。彼らは8千円を払う変わりに食事の仕度の必要もなく余裕の
散歩、散策を楽しんでいた。


 
     5合目に復帰する                      尾根道は長いが快適だ

 
2合目からアップダウンを繰り返しやっと一合目を通過    あ〜〜 北沢峠の道路が見えた〜

明日の登山用飲料水を長衛荘売店に購入しに行くが一本三百円のペットボトルは私の分で在庫が切れたと言う。
16時48分テン場に帰り北沢駒仙小屋で研治がペットボトルを買うと1本250円だったと言う。この50円
の差って一体何だろう?


テントに帰ってお湯を沸かし夕食を作る。と言ってもお湯を入れれば完成する類のものだけど・・ チキンライス
を初めてトライしたが残念な味だった。水を入れれば安倍川餅になるって山食を持ってきたが結局作る気にはなら
ずザックの荷物となった。研治が持ってきたサバの缶詰が唯一のごちそうだった。



   北沢駒仙小屋のテン場   テント泊登山の登竜門として知られる人気の場所だ


               
                情けない我らの山食・・・・ゆ〜ちゃんとこを見習わねば・・・

夜が冷えると心配してダウンジャケットやホッカイロなどを用意してきたがその必要は全くなかった。稜線の
テン場と違って風の影響をあまり受ける事はなかったが、逆に沢の水音が大きかった。でも寝不足と山歩きの
為食事を終えると即お互い泥のように眠った。



第2日目 甲斐駒ケ岳は  ここ    


グランマー啓子さんの 仙丈ヶ岳は   ここ

Reiko さんの 仙丈ヶ岳は         ここ






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