2004年10月10日
飛び出せ 中年! 僕にも出来た 三嶺登山
第3次同窓会 「三嶺登山記」
同窓会登山パート3 ど素人三嶺に登る

サマンサがどうしても今年、石鎚の紅葉が見たい!とおっしゃる。
剣山キレンゲショウマに出席できず残念がっていた鳴門金時御殿のチャックも初お目見えの体育系ミセス・ワラビーも参加する
との反応がある。
台風に翻弄され紆余曲折の果てに場所を石鎚から「三嶺」に変更、直前にも台風が襲来したがぎりぎりセーフで10月10日決行
の運びとなりました。
参加者は高知から「土佐のソクラテス」「モネ夫人」徳島からは「シッタカブッタ」「鳴戸金時チャック」「ミセス・ワラビー」、香川から
「サマンサ」と「エントツ山」で合計7名のどうしようもないド素人集団が出来上がった。

     
   前列:土佐のソクラテス 後列:左からエントツ山、シッタカブッタ、
   金時チャック、 ミセス・ワラビー、モネ夫人、サマンサ大納言

度重なる台風の為三嶺林道の状態が心配で集合場所「いやしの温泉郷」に早めに入り、途中、懐かしい案山子に挨拶して三嶺
林道終点まで走ってみる。案山子畑のすぐ横まで土石流が流れて山のように積まれていた。林道はまあ何とか通れそうでほっ
とする。終点で福山から来られたご夫婦の車がバッテリーが上がって動かず往生していたのでケーブルを繋いで事なきを得た。
お役に立てて前日偵察に来て良かった。しかしお山は一面の霧。明日の天気は大丈夫だろうか。途中で携帯電話が入り皆が
宿に揃ったらしい。

 
案山子のおばあちゃん お久しぶり〜〜    バッテリーが上がった車

「いやしの温泉郷」に帰るとフロント前で初参加のミセス・ワラビーが30年ぶりのご対面にはにかんで時計の振り子のように揺れて
いる。勤め先でもあんなにぐらんぐらんしながら不登校中学生に「しっかりせんか!」と檄を飛ばしているのだろうか?夕食までの
一時間ばかし懐かしい話に花が咲く。職場の話題、子供の話題、健康の事。山の話題は一切ない・・・・

さて今回一番の楽しみ「夕食タイム」 鳴門金時は「すだちがない〜〜」とわめいている。(元は香川県人のくせにいまじゃ何にでも
スダチをかけないと済まん体質に・・)土佐のソクラテスは湯豆腐を掬う金網をじぃ〜と見入って固まっている。「いったいどういう風
にして作るろうねえ?」この男どうでもいいような事に脳を酷使するので今では七味・唐辛子・ニンニク、ショウガなどのあらゆる
香辛料でもって脳に刺激を与えないと活性化しないような体質になっている。案の上若くて愛想のいいウェイトレスさんに七味を
頼み鍋物にぎっちり振り掛けゆうにかわらん

モネ夫人とサマンサは庭の花の趣味や非力な体力に共通点があるのでとても気が合うようだ。ミセス・ワラビーは立派な川魚の
塩焼きを前にして身をほぐすのがめんどうだ!と譲渡希望者を募っている。(ちゃんと主婦できているんだろうか?)なんやかやと
食べた後に天婦羅とご飯、茶碗蒸しが出てきた。一同??? 順番が違う・・・ もう食べられない これがコース料理の欠点だ。

 
夕食の第一弾目 見た目もきれい   いやしの温泉郷 再会を祝して乾杯〜

部屋に帰ってまた同窓会が続く。シッタカブッタの響き渡る様な低音のアルファー波に金時チャックは気持ちよくまどろんでいる。
なにせ農家は早寝早起きなのだ。でも低音のα派を持つ教師に授業を受ける生徒もたまったもんじゃないよねえ。毎日が睡魔
との戦いだ。ミセス・ワラビーは食前酒の少しの梅酒にさえ酔っ払いますます揺れている。唯一「山の花」の話題ではすわ起き
上がって剣山スーパー林道に咲く花を熱く語る。前回剣山ヒュッテで焼酎を忘れて大騒ぎしていた土佐のソクラテスが午後の
紅茶ペットボトルに忍ばせて持ってきた焼酎に酔って柱にもたれたまま仮死状態になったのを機にお開きとする。

以前高知での同窓会の夜、この二人の男どもの怪獣いびきに恐れをなしていた私は、布団を入り口の板間にこっそり移動させて
寝る。 夜中にシャカシャカという異様な音に目を覚ますと、ソクラテスが真っ暗な布団の上で歯磨きをしている。オラこんな連中と
一緒に寝るの嫌だ〜〜〜

 
早朝 裏山を散歩すると水抜きダムがあった  いやしの温泉郷

何時間寝れたのだろう、目を覚ますと雨が降っている! 何故に〜〜 あたりはまだ暗いが外に出て散歩する。鳥のさえずりの
合間に鹿の甲高い鳴き声が山々に木魂する。裏手の林道を上がっていくと目の前になにか白いものが二つ動いている。 鹿の
お尻だった。気がついて逃げていくので「待ってくれ〜 せめて写真だけでも・・」と追いかけるがデジカメを取り出している間に
見失ってしまった。人生 そんなもんさ

        
        いやしの温泉郷 裏山の山村風景 向こうが滝下ノ天狗塚方面

七時に朝食を済ませて車2台に分乗して出発!昨日下見済みのナディアはするすると石ころだらけの林道を上がっていくが、
後続のパジェロ・イオは慎重にノロノロと付いてくる。
名頃平尾谷登山口には2台既に車がある。本来はここから登るのが森の素晴らしさを堪能できるルートなのだが、前夜山の
話題すら出ないこの連中を更に林道終点まで導く。

 
いざ 出発             見よ体育会系ワラビーの豪快なアキレス伸ばし

林道終点には既に沢山の車が駐車されており、少し引き返して広場に止める。そこではかわいい幼な子と犬を連れた香川県
から来られたご夫婦が準備をされていた。わがか部隊に準備体操を促して出発。杖を持たないソクラテスには私の冬山用の
ストックを貸与、サマンサとモネ夫人には東温アルプスで活躍した百円杖を貸与。体育会系ミセス・ワラビーは棒高飛びのよう
な長尺棒を持参している。

 
準備はいいか? お〜〜           最初から倒木に見舞われる

この林道終点からの登山道は入り口で左の白髪避難小屋へ続く沢への下り道と右の三嶺への上り道が二手に分かれる。
右手の道はケダモミの森まで急登りが続く。 入り口から大きなもみの木が倒れて登山道を塞いでいる。モネ夫人はこの
登山に備えて2日前プールで歩いたという。その疲れが出たのか振り返るとサマンサとモネ夫人がしんがりを予想通り務め
ている。途中で幼子を背負った犬連れのご夫婦にもあっという間に抜かれてしまった。

      
ソクラテスは構えた後あれこれ考えるので   スパッツを自分ではけない女
いつもシャッターチャンスを逃す      お姫様の気分じゃと〜?我らは下男?

中尾谷からの合流地点あたりはケダモミという若干細めのモミ林が続く。合流地点で別の登山道から来られたご夫婦が地図を
広げていた。今日は地図、磁石、懐中電灯、救急薬、バンデージ、ロープなどをばっちり持ってきている。足らないものは参加者
の体力だけだ。
合流地点から少し湿った登山道となり、ここでも倒木が2箇所くらい登山道を塞いでいた。

 
 平尾谷登山道との合流点         あちこちで倒木が登山道を塞ぐ

なだらかな登山道が終わるとまた笹と自然林の急坂となる。
先ほどからモネ夫人は「もうどれくらい来たが? あとどれくらい歩くろうね?」とこの最短ルートでさえしきりに初心者登山者の
定番質問をしてくる。

        
         まあそんなに急がず上を向いて歩きなさいって

      
                    森の輪廻

左手の木々の間から向かいの尾根が見え隠れして、右手に祠のある大岩に到着。ここの紅葉が何ともいえない雰囲気で
写真を撮る。

 
 思わず深呼吸したくなる風景      あれ〜? 予想以上に元気じゃなあ

        
              霧の風情も又三嶺の魅力なのよ

ここから三嶺の南側直下を巻いて山頂池まで、この名頃ルートで一番美しい道となる。
前方には垂直に切り立った大岩が絶壁をなし、笹の色とマッチしておとぎの国の様な景色を作る。それぞれが立ち止まって
三嶺へきた喜びを噛み締めている。南側斜面は急角度で少し色着いた木々をアクセントに谷へと落ちていき、その下から
乳白色の霧が美しい姿を覆い隠そうとしのぎあう。この風景はかけがえの無い四国の財産であり、同時に誰もが味わう権利
を有する。すなわち必要以上に山を傷つけず汚さないというルールを守る限りどんな初心者にも三嶺はその自然の素晴らしさ
を分け与えてくれるのだ。

  
    三嶺 南斜面の紅葉        年に一度くらいこんな景色を拝むべし

      
      
         名頃登山道のクライマックス  岩が覆いかぶさってくる

      
             名頃登山道で最も美しい光景

一人男の人が下ってきた。案の定モネ夫人は頂上まであと少しだと聞いて元気付いていた。
ソクラテスが前夜「登りゆうときは少し曇らせ、頂上近くで晴れるきねえ」と念力宣言をしていた。確かに彼には例の香辛料
多用によりそういう怪しげな力がある雰囲気がする。突然空が開けて三嶺の南側絶壁の上に青空が現れた。剣山には無い
いつみてもすごい景色だとおもう。

      
        三嶺直下に来るとソクラテスの妖しい念力で青空が

最後の急坂を登り詰めると池に出た。三嶺の山頂はこの池と笹原の台地、コメツツジ、避難小屋の屋根の色、南側の断崖絶壁
があいまって独特の風景をかもし出す。山頂へは少し登りがあるので三嶺避難小屋に荷物を置かせてもらうことにして皆を案内。

        
                     山頂池に到着

避難小屋には一泊したであろう山男たちの大きなリュックと荷物が置かれてあった。後から聞いたのだが、京都からはるばる
来られたグループだった。
身軽になって山頂を目指す。コメツツジが紅葉しかかって独特のあずき色をしている。散り際を失った白い花がところどころに
寂しそうに残っている。途中で例幼な子を背負った御夫婦に再会。既に山頂から忠犬を伴って下りられていた。

   
 三嶺山頂小屋              登山口でお会いした子守登山者と柴犬

焼酎と香辛料が切れたときのソクラテスの神通力は当てにならない。山頂に着くと一面の霧。大勢の登山者があちこちで昼食
を取っている。こちらは避難小屋に置いてきたのでしばらくおあずけ。休憩時間〜〜と勝手に宣言して一人尾根伝いを西に下る。

今回の斜面崩壊現場を上から見てみたかったのだった。 光石への分岐を過ぎて次のピークを登るあたりから南側を見下ろす
と沢の水が輝いている。それに向かって回りの緑とははっきり異なった黒い崩壊が落ちている。これかあ? 自然林の木々や岩
をごっそり谷に向かって削ぎ落とした現場写真は高知県のHP仙岳さんや土佐の仙人さんにより詳しく報告されていた

        
         三嶺山頂への道はコメツツジの紅葉が始まっていた

 
土佐のソクラテスの神通力が切れた  山頂に近づくにつれ霧が濃くなる

 
 三嶺 西側、南斜面のアオザレ         光石分岐

 
今回の高知側 土石流崩壊現場      三嶺山頂での交流

霧の三嶺山頂に帰ると我が部隊は「高知の中学時代同窓会登山者」と世間話に花を咲かせていた。 私の登山ルーツ、
新居浜の中学時代の同窓生はとんと御無沙汰だがみんな元気にしているだろうか? 景色もよく見えないので避難小屋
に帰って北側の小高い笹が無い場所で昼食にする。しばらくすると霧が晴れて周りの景色が見えた。いやしの温泉郷
千円弁当は値段の割には少しボリュームに欠けていたが、おなかが空いて三嶺の展望、気の置けない仲間がいれば
どんな弁当でも魔法がかかったようにおいしくなる。

 
山頂尾根北側の景色           昼食場所から三嶺北斜面を見る

食事が終わって小屋に帰ると中では団体登山者がバーナーでラーメンか何かを作っている。邪魔にならないように隅に
ひとまとめにして置いてある我々の荷物にかぶさるようにおわんを敷き詰めているた。 いくらでもスペースがあるのに何故?
 こちらが「ちょっとごめんよ」と言いながら荷物を取り出そうとしても食事の準備に必死なのか「すみません」の言葉もない。
小屋での「棲み分け」というマナーを知らないこういう登山者リーダーの下ではロクな山男、山女は育たない。残念!


さて、三嶺の一番素敵な景色「池と避難小屋」をバックに記念撮影をしようとまた山頂方面に登り返して皆を待つが、池の
ほとりの下山場所から誰も動こうとはしない。いくら手招きをしても動かざること山のごとし。もう一度下りたところへまた登り
返すことなど金輪際頭に無いような連中である。1対6の根競べに負けてすごすご下りる。

      
      お〜〜い ここまで来んか〜〜! 池から動かない我が部隊

さあ下山! 思ったよりも皆元気で美しくも急な南斜面登山道を下る。樹林限界場所から見上げると西側が霧が飛び視界
が少し開けてくる。なおも登ってくる登山者と道を交わしながら、名残惜しい三嶺の山塊を振り返る。

      
       帰る間際にちょっと視界をサービスしてくれた。又来いよって事?

樹林限界に地点の大岩あたりには綺麗な広葉樹があり記念撮影。みんな満足してくれたので良かった。後は下りにいためる
膝を心配しながらすこし休憩をとり下山する。

        
         南側に落ちていく斜面に一点の紅葉が

  
  落伍部隊も無事寄り添って下山    80歳まで山に登るぞ〜〜?

  
 君たちは合格!ワラビーとチャック  登山道の倒木が帰りには片付けられていた

朝登ってきた時に登山道を塞いでいた4箇所の大きな倒木はちゃんとチェーンソウで邪魔にならないように切って片付けられていた。
一体誰が(団体)こんな作業をしてくれるのだろう。

三嶺名頃登山道の風景

       
                   賽の河原

        
                    紅葉を覗く

       
           登山道から白髪分岐方面の尾根を見る


          
                     モミと紅葉

下山間際に後ろから団体登山者が追いついてきたので道を譲る。前日三嶺避難小屋で一泊された京都から来られ、今から
京都まで帰るという。この団体はいやしの温泉郷でお風呂に来られていた。14時半過ぎに全員無事三嶺林道終点の登山口
に到着する。

 
 平尾谷登山道分岐に到着        京都部隊をかわす

  
登山道の空き缶を回収する善玉ソクラテス   やっと下山  万歳〜〜
(空き缶集めが趣味か?と誰かに言われていた)

健康で会えた事に感謝、おまけで三嶺という四国でも指折りの山に登れた喜びを分かち合い、それぞれの生活のベース、
日常性に帰っていった。また青春時代の「えにし」を大切にする仲間と会えることを願いながら帰途につきました。

ちょこっと 三嶺の花

  
アキノキリンソウ      オタカラコウ      キノコ (ひまわり模様)
  
シラネセンキュウ      ハナタデ          ホソバノヤマハハコ
  
ノコンギク           ヤクシソウ          リンドウ

三嶺 度重なる台風の豪雨により傷つきながらも、なお私たちの様な超初心者にも山登りの素晴らしさを与えてくれました。




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