8月15日 お盆の剣山 「キレンゲショウマ同窓会」
 8月14日ー15日 剣山ミニ同窓会 キレンゲショウマに間に合った!

時の流れに舟浮かべ〜  情けの調べ奏でつつ〜 
  果て無き旅にい出しより〜  ここに五十の齢(よわい)経(へ)ぬ

         

私が入学した昭和43年からの大学は70年安保闘争の全国的な学生運動の流れの中で激動の時代だった。田舎の大学にもこの
時代の流れは容赦なく押し寄せてきて、世間知らずの田舎者にとって何がなにやらわからないまま挫折の多い青春時代を送りま
した。こんな中で自分自身を見失わずに学生時代や人生を歩んできた「土佐っぽソクラテス」「阿波のシッタカブッタ」「モネ夫人」 
らと剣山のキレンゲショウマの咲く場所で逢う事に。

台風や私の八ヶ岳行きで2週間予定が遅れたため「鳴門のチャック」「稲沢のパイン」「なにわのペチャコ」の出席が叶わず大阪
にて別同窓会となった。
「チャック」は学生時代フォークソング同好会で活躍「学園のジョン・バエズ」と呼ばれていた。
「パイン」は限りなく完璧に近いエレガンスで「学園のマドンナ」だった。
「ペチャコ」はおしゃべりバリアフリーの性格で老若男女を問わず「学園のひまわり娘」の存在
この3人が来れなかったのは残念だった。 何せお盆だもの しかたがない

 
大阪 仁鶴の横で別同窓会       剣山で同窓会 (2回目)

8月14日夕方「サマンサ」(実は大学時代の同級生)が予約した「剣山頂上ヒュッテ」に泊まる為「ソクラテス」「モネ夫人」とリフト乗り場
で集合。
当然この連中はリフトを使わず下から自分の足で登ることなど念頭に無い。まあいいや 今日はみんなのペースでのんびりといきま
しょうか

 
 リフトでラクチン 西島駅へ    リフトの下に植えられているレンゲショウマ

剣山リフトを出発してすぐに「レンゲショウマ」が植わっているのだが、この写真をリフトに乗ったまま撮影するのが至難の業。今日も
狙うが又失敗。最終時間の17時半が迫っているので登って行くのが我々だけで、下りもさすがお客さんは少ない。


            剣山登山道の風景

西島駅から頂上ヒュッテまでの登山道には、シコクフウロ、タカネオトギリソウ、トゲアザミ、シシウドなどがたくさん咲いている。
テンニンソウの群落があるが花はまだ早そうだ。あっと言う間にヒュッテに到着。いつもはちょこっと登山の合間に覗く食堂だが、
今日はお泊りなのだ。お盆という事もあってそんなに混雑はしていないが、そこそこ子供連れの家族が多い。

チェックイン(?)を済ませて部屋に荷物を置いてすぐ夕食となった。部屋は3畳一間、中に入った瞬間学生時代の3畳一間を思い
出し懐かしかった。当時、下宿代が3畳一間で月1,500円 仕送りが月15,000円、学費が月1,000円の時代だった。

 
学生時代の3畳一間を思い出す    夕食はアメゴや山菜があっておいしかった

夕食はごはんが御代わり自由でたくさん炊いているので非常においしい。アメゴのカラ揚げもおいしく酒飲みの土佐原人は頭も
シッポも全部平らげていた。
「モネ夫人」は高知の人で当然お酒が強い。この花好きの麗人は普段、お上品を絵に描いて切手を貼ったような性格なのだが
お酒が入ると急に豪傑に変身する。声までガラガラ声に変り豪快に笑い飛ばす。この落差が会った時の楽しみでもあるのだ。
食事を終えて、天気があまり良くなかったが折角頂上ヒュッテに泊まるのだから、とりあえず山頂へ行って見ることに。

地平線は雲に覆われていたが、沈み行く太陽のオレンジ色の光が雲間に映し出され、下から霧が湧いてきて眼下の山々をなめる
ように這って行く。昔「透明人間」という映画があって、それに出てくるアメーバーのようだ。この幻想的な風景に歓声をあげる。どうも
山頂に上がってきたのは我々だけの様だった。

剣山 山頂の夕暮れ風景


         剣山  夕暮れ時の木道


        剣山より塔の丸方面


       丸笹山を這い上がる霧


 新しく建設中の木道と測候所 (ちょっと暗いので画像調整)

 
  霧にむせぶ夕暮れの木道            次郎笈をバックに

暫くこの幻想的な風景を楽しんだが、北側から猛烈な霧が立ち込めてきたのでヒュッテに退散する事に。剣山頂上ヒュッテは
地下300mから水をくみ上げているとはいえ節水の為お風呂は石鹸を使えない。でもテントや避難小屋に比べれば行水が
できるだけでもありがたい。

部屋に帰ると土佐のソクラテスが重大な忘れ物をしたと部屋の中をぐるぐる熊のように歩き廻っている。どうしたのか?と聞く
と「焼酎を持ってくるのを忘れた〜」 あほらし そんだけ悔しがるものでもなかろうに・・・食堂へ行き高価な缶ビールと焼酎を
買ってミニ宴会!酒の飲めない私もサマンサもビールを少しだけ飲み、消灯時間の午後9時まで時間を惜しむように積もる話
の花が咲く。

朝目が覚めると一面の霧。窓をあけると霧が入ってくる。天気が良ければ一人で一の森まで歩いてくるつもりだったが霧で何
も見えない。しかたなく一人で行場のキレンゲショウマを偵察に。急な下りを行場の鎖場付近まで下るとオタカラコウやキレンゲ
ショウマが霧の中に咲いていた。

          
          オタカラコウとソバナとキレンゲショウマ

          
       深山に咲く一輪の花 (仲間はみんな散ってしまったのよ〜)
 

去年気に入った沢のキレンゲショウマは台風の大水の為か沢の中ほどに倒れていた。キレンゲショウマの敵は人間だけで
はないのだ。倒れている株をおこしてやるがもう自立はできないだろう。
朝食を7時から予約しているので小走りに下りて来た鎖場の急登りを今度はゼイゼイ言いながらヒュッテに取って返す。案の
定サマンサから「みんな待っているよ」と携帯が入る。何処へ行ってもグループの統一と団結を乱す存在のようだ。

ヒュッテ食堂では朝食が既に始まっており恐縮しながら席に着く。朝ごはんもおいしくまたまた御代わりをしてしまった。体の
大きさの割りには小食なサマンサも珍しく御代わり、つられてソクラテスもモネ夫人も・・・  盟友「シッタカブッタ」が徳島から
剣山に向かって来ているので皆を一旦鎖場のキレンゲショウマ自生地に案内しておいて、リフトの西島駅まで出迎えに行か
なければならない。これがシェルパ原の任務である。

 
 剣山ヒュッテ直下の鳥居さん    タカネオトギリをローアングルで狙う怪しい中年
 54歳の青春                これじゃぎっくり腰になるわな〜

初めての山小屋泊だったので食料事情がわからずたくさんの食料を持ってきてしまったが、殆ど消費せずに又重たいリュック
を背負って先ほど偵察済みの鎖場方面へ案内。急な坂を下っていると下から一組の派手なゴアテックスをまとった男女が元気
に登られてきた。「お歳は何歳ですか?」と聞くと御主人は71歳、奥さんは65歳と言う。それを聞いた我が隊がお二人へ一斉に
拍手喝采。歳を応えただけでお山で拍手を受けた事は今までなかっただろう。テレながらも誇らしげに坂道を登られて行った。
これが我が隊のシロウトっぽさの良さというものだろうか。

       
    カッコが決まってる71歳!元気!  こちらヨタヨタ部隊 鎖場への急坂

  
きゃ〜 キレンゲショウマ〜〜       鎖場付近のキレンゲショウマ自生地
ロープにそれ以上もたれかからないように    キレイです  花が・・

         
            沢のキレンゲショウマ  

さて、皆を鎖場付近に待たせて「シッタカブッタ」を迎えに西島駅へ向かう。奥さんも山や花が好きなので一緒に出てくる予
定だったそうだが、急きょ息子さんが帰郷しだので一人で遠い所を皆に会いに運転して来てくれるのだ。朝から雨と霧で
大変だったろうに。

 
  友遠方より来る        古剣神社にて シッタカブッタとソクラテス

「シッタカブッタ」は昔からインテリで物知り博士の異名があった。青空の下ではとても姿勢のいいヤツだったが下宿先の農家
二階の天井が低く下宿に帰れば姿勢が悪かった。。その部屋にはたくさんの本とクラッシックのレコードが整然と並べられて
いたが、今でも美術館巡りや、音楽、古典落語鑑賞を趣味としている。某高校教師
一方「ソクラテス」は土佐原人の流れをくむ純朴な性格。でも思考回路がとても複雑で、凡人ならしごく簡単な事でも異常に複雑
怪奇な捉え方をして皆を呆れさせる。生まれながらに持った「かわいさ」が救いで傍で見ていて飽きる事が無い。某小学校教頭
 シンジラレナイ

性格が全く違う我ら3人ではあるが、「葬式で会っても仕方が無いじゃろう 生きているうちにどんどん会おうや!」を合言葉に
これからも親交が続いていく事だろう。

        
         エントツ山  シッタカブッタ  ソクラテス  永遠なれ!友情

さて、シッタカブッタを西島駅近くに迎えて皆の待つ鎖場まで随行。さしたる荷物も無いのにゼイゼイ言っている。インテリは
体力がないものと相場が決まっている。でも一度も休ませないで合流地点まで進む。 途中から雨が激しく降り出しシッタカ
ブッタには散々な思いをさせてしまった。

 
      雨宿り同窓会            5人が揃う 古剣神社付近

 
  牟礼から来られた御夫妻       行場付近のキレンゲショウマ自生地

シッタカブッタが皆に合流したときから大雨になり、古剣神社付近で雨宿り。ちょうど良い歓談の場となった。その間に3組の
登山者が過ぎていった。大きなカメラを持った男性二人組みには丁度5人で集合写真をお願いした。 牟礼から来られ御夫妻
は車の中にストックを置き忘れて頼りない木の枝を杖代わりに持たれていた。その格好が面白かったので写真を撮らせて頂く。

この御夫妻は昨秋この場所で大雪に合い道がわからなくなってアセった思い出を話してくれた。

暫く雨宿りを兼ねて同窓会のあと、雨も止みそうに無いので行場のキレンゲショウマを見て下山する事に。計画ではここから
一の森へ行って剣山山頂経由で下山の予定だったが、そんな計画をここで述べたところで「即却下」は目に見えていた。我慢
 ガマン 今日は奉仕日なのだから・・・・

行場付近のキレンゲショウマはほぼ終わっていたが、その雰囲気はまだ残っていて「キレンゲショウマ」「キレンゲショウマ」と
ここ半年くらい唱え続けていた「サマンサ」も「モネ夫人」も満足そのものの様に見受けられた。

  
 行場付近のキレンゲショウマ自生地   帰りも又失敗 レンゲショウマ 撮影

      
                  下山時の山々

刀掛けの松分岐までくると雨も上がりかけ、リフトで見残しへ下り丁度お昼になった。名残惜しいのでリフト駅の食堂でおソバと
ソバ米雑炊を食べながら又1時間あまり積もる話をした後、秋の再会を約してそれぞれの方向に別れて行った。こんな短時間の
山歩きで山頂ヒュッテ一泊!? 何ともはや贅沢な山行きだったが30年ぶりの友情を確かめ合った意義深い山行きとなった。

8月14日ー15日 剣山 鎖場、行場付近で見られた花

 
 アキノチョウジ                 オタカラコウ

  
  カニコウモリ                    キツリフネ

  
 アキノキリンソウ                    キレンゲショウマ

  
  サラシナショウマ                 シコクフウロ

  
    シコクブシ (トリカブト)           シシウド

  
    ソバナ                       タカネオトギリソウ

  
   ツルアジサイ                    テンニンソウ  群落

  
    トゲアザミ                    トモエシオガマ

  
   ナンゴククガイソウ              ハガクレツリフネ

  
    カノコソウ                ホソバノヤマハハコ(西島駅)

  
   モミジガサ                     レイジンソウ

  
  ミゾソバ、タニソバ?                ギンバイソウ

エントツ山の登山記は実は山が主体ではない。そこに登る人間模様がテーマである。その泥臭い登山記に「花の彩り」を与えて
くれた「ぐるっと山の花」蘭ちゃん師匠に感謝。でもそのおかげでもっともっと長〜い登山記になっちゃうよ〜〜〜〜




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