2004年07月04日
魅せられて 三嶺アゲイン 台風接近何のその
名頃ー四ッ小屋谷川ー白髪避難小屋ー東熊山ー三嶺ー名頃 周回

山登りにもちょっとした運・不運が付きまとう。天候もその大きな要素である。まあ人生の運・不運に比べればどうって事のない
程度だけど・・・
前回の天狗塚ー三嶺ズブ濡れ縦走にも懲りず、この山の奥深さに魅せられて又行ってしまった。
前日7月3日(土)は絶好の山日和で東赤石にはREIKOさんと高嶺フラワーズ、剣山へはKAZASHIさん、ぐるっと蘭師匠、忙し
いと言っていたKYOさんまでもが竜王山に行っていた。
翌7月4日は台風接近で天気予報は「午後から雷や突風を伴う風雨」らしい。でも行くもんね

今回は徳島側から登る事にして前夜こっそり地図を広げる。これや!天気が悪い日に「三嶺ちょこっと縦走」できるピッタンコ・
ルート発見! 名頃林道を終点まで車で詰めると、白髪避難小屋へ出る道がある。帰りも三嶺から名頃へ向かい途中からこの
林道終点までの道が伸びている。

    
     名頃より 三嶺林道最終地点ー白髪小屋ー東熊山ー三嶺 縦走ルート図
    この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)を
       使用したものである。(承認番号 平15総使、第634号)

       
登山口ー白髪避難小屋        約2時間   
     白髪避難小屋ー三嶺避難小屋   約2時間30分
     三嶺避難小屋ー林道最終点    約1時間30分  合計約6時間


朝5時半自宅に置手紙をして出発。「お父さんは家出(山登り)をします 捜さないで(心配しないで)下さい」ちょっとでも早く
登山口へ行きたい為坂出から高速で阿波池田でおり、国道439号線を剣山方面へ向かう。祖谷川沿いの道にはたくさんの
ねむの木が何とも言えない赤から緑の配色をしてこの時期だけ着飾っている。アジサイも色とりどりだ。

案山子(かかし)  さだ まさし
元気でいるか ♪ 山には慣れたか ♪ 友達出来たか ♪ 
淋しかないか ♪ お金はあるか ♪ 今度いつ帰る ♪


名頃登山道手前の畑にたくさんの案山子があるので車を止めて、写真を撮らせて頂く為に乳母車に腰掛けたおばあさん
に近づく。「すみません?」あれ?これも案山子だった。
本当のおばあさんは縁側の案山子3体の向こうに一緒に座っていた。「写真を撮らせて下さい」とお願いして少しお話しを
伺う。この畑はテレビや新聞が取材して有名になっている。大阪から帰ってきた娘さんがこの案山子を全部製作したとの事

      
        名頃登山口ちかくにある名物 案山子(かかし)畑

  
まあまあ 遠いところよう来なさったのう       写真撮らして下さい (どちらに言ったらいいの?)
(案山子製作者の農家縁側)        (このおばあちゃんの娘さんが作った)

 
ねえねえ ヘンなおっさんが来たわよ ひそひそ   オラ ちょっとばかしグレてるからね

  
わだす ちょっと新陳代謝が悪くて・・ あんた 今日は雨よ 雨! わたくし畑にいても貴婦人ざます

 
アタイさあ、今日はどうしてもお化粧のノリが悪くて・・ ワタシ 決して寝てはいません グゥ〜

 
 
 向こうの谷にインデアン発見!     田吾作どん 昼飯はまだかの〜


さて、楽しい道草のあと懐かしい三嶺林道に入る。私の山登りの直接のきっかけがこの林道から始まった。この林道は当時
と同じ石ころだらけの道だった。パンクをしないようにゆっくり登る。林道は平尾谷川に沿って進むと15分くらいでヘアピンカー
ブがあり、ここがいわゆる「名頃登山口」になる。これをさらに林道最終点まで進む。林道入口から約30分もかかってしまった。
4WDでなくても終点まで大雨の後以外は問題ないようだ。

 
三嶺林道 入口             平尾谷川 名頃登山口 これをさらに進む

三嶺林道最終点」に着くと東屋があり、手前の広場に4台くらいの駐車スペースがある。愛媛ナンバーの4WD車が2台あった。
見上げると山一杯に立ち込めた重たい雲によってとても展望が望める状態ではない事を通告された。べらんめえ 覚悟の上でえ〜

登山道を入るとすぐに道が二手に分かれて、右には整備された木道が上がっている。左は四ツ小屋谷に向かって下がっていく。
悪天候での帰りの事を考えて良く知らない白髪避難小屋ルートから廻って行く事にする。はじめからヒメシャラやブナの巨木があり
スゴイ自然林である。10分くらいで四ツ小屋谷に下り付く。渡渉地点には赤い字で「熊に注意」だと!カンベンしてよね。

  
三嶺林道最終点 登山口          登山口奥の登山道分岐

ここから何度も谷を渡り返して上流に進む。登山道は一部わかりにくい所や歩きにくい所があるが注意をすれば道を見失う事はない。
花も高知県の堂床側からの登山道の様には咲いていない。渓谷というほど強烈な谷ではないが、岩と自然林の自然な谷の美しさに
疲れも忘れる。

四ッ小屋谷 登山道風景

 
登山開始早々 熊に注意だって     沢を何度も渡る

     
       すげ〜大木  おぬし一体何歳なの?

 
 空を見上げても緑がふりそそぐ    こちら 四ツ小屋谷のお亀岩

 
     どちらをむいても心和ませる風景が続く登山道

        
                  沢道の風景

谷を詰めると、登山道は左側の登り傾斜に向かって笹が混じった道となる。笹とシラベの美しい小尾根筋に出ると上が開けて、
白髪避難小屋が近いと感じた。ゴロゴロした岩を抜けると見覚えのある大岩があり、笹を抜けると赤い大きな屋根が現れた。
前にサマンサと来たときには避難小屋の中を良く見なかったが、前回お亀小屋でお世話になってから避難小屋興味が出てきた。
中を覗くと通路はなく板間があるだけ。ここまで登山口から約2時間

 
ここから沢を離れて笹道となる      豊な自然林が広がる

  
  白髪避難小屋 向こうは白髪分岐    白髪避難小屋内部

霧のかかった白髪分岐の丘に向かって進む。トゲアザミが鮮やかな色をしてたくさん咲いている。あざみは特に好きな訳ではない
が、登山道での貴重な写真の題材を提供してくれる。
色んな角度でアザミと尾根道と霞んだ山を撮ってカメラを収納した途端、登山道の曲がり角からいきなり灰色の動物がピョンピョン
現れた。一瞬ノネズミかと見ると、相手もこちらを見ている。あ〜〜野ウサギだ! 山登さんのHPに在った野ウサギとそっくり。

汚れを知らぬこの純粋無垢な天使は口をもぞもぞとチャーミングなしぐさのあと、脱兎のごとく踵(きびす)を返してピョンピョン去っていく。
 ま、待って〜〜写真まだ撮ってないよ〜〜せめて後姿だけでも・・と追いかけるが、白髪林道に向かう近道へ曲がった後笹の中に消え
た。諦めきれずにそのあたりを10分間も捜索するが発見出来ず。逃がしたウサギはチョーかわいい!

       
        この先の曲がり角で野ウサギちゃんと出くわした!

    
これが有名な山登さんが撮影した野ウサギ  あっ シコクフウロが一輪咲いている
(山登さん 写真お借りしました。これと全く同じでした。でも逃げられました〜〜)

さて、天気も次第に荒れ模様。うさちゃんの捜索に時間を取ってると自分が捜索される身に!小高い白髪分岐向かってに進む。
登山道にはトゲアザミが依然たくさん見られる。途中から振り返ると白髪避難小屋が霞んでいた。先ほどの野うさぎとのご対面の
興奮を引きずったまま白髪の分かれへ向かっていると、笹の間から「シコクフウロ」が一輪顔を見せている。丘に上がると道標が
乱立した白髪分岐に到着。

 去年はここまで白髪山からサマンサとやってきて三嶺の雄大な景色を堪能したが、今日は視界50m、目を開けて何も見えず〜♪。
谷村新二のスバルを歌いながら三嶺を目指す。初めての道にワクワクしながら葉っぱだらけの登山道をカヤハゲ(東熊山 1,720m)
に向かい一旦下がっていく。一面の笹原と思いきや結構木々が茂っており時折降る雨をしのいでくれる。

 
白髪の分かれ 三叉路交差点     白髪分岐から東熊山へ下っていく

高低差もあまりなく快適な尾根道だ。所々のぬかるんだ道には鹿の足跡らしきものが無数にある。まだあのいたいけな野うさぎの
姿が脳裏から離れない。もうあんなチャンスには2度とお目にかからない気がする。チャンスは待っていてもやって来ず、突然現れ
て慌てふためく間にあっという間に去っていく。私の人生観を又この白髪尾根で体験した。

霧の中に道標が霞み堂床「さおりが原コース」への分岐点に着いた。所々にコメツツジが現れる。さらに30分ほど進むと大きな岩
がありその向こうに又道標があった。「韮生(にろう)越え」とある。上韮生川からカゲハヤコースへの分岐「東熊山」だろう。なにせ
辺りが何も見えずの世界だから位置関係がわからない。堂床への道しるべがあるが「東熊山」の標識は見当たらなかった。ここから
登山道沿いには棘を持ったバラ科の白い花が咲いている。ギンロバイだろうか?(ぐるっと蘭師匠への照会で「モリイバラ」と決定)

  
 モリイバラ(蘭師匠に教えてもらった)    さおりが原への堂床分岐

  
   石灰岩の岩が現れる         カゲハヤ分岐 堂床コースから撮影

       
                一瞬の雲間   三嶺

暫く進むと前方ににょっきりと半端じゃない大岩が霧に霞んで現れた。もう山頂に近いだろう。ここから鎖場が山頂近くまで続いて
いた。鎖場といっても石鎚や筒上山の様な切り立った岩場ではなく、大岩を回り込む場所以外はお世話になることは無い。

三嶺・鎖場付近の風景

   
   美しい登山道                  大岩現る!

          
                 大岩とモリバラ
                                              

   
 三嶺の鎖場                 シコクフウロ

        
                岩場の風景


着いた! 三嶺山頂の標識だ。白髪避難小屋から2時間10分かかった。でも先ほどから風と雨が少し強くなって視界20mの
世界だ。右側(南)の崖に沿って三嶺避難小屋へ進む。途中この風雨の中5−6人のパーティとすれ違った。聞くと「香川県の
高松から」と言う。はやりねばり強いうどん県人だ。このあたりは晴れたら下山したくない風景なのだが・・・ しばらく進むと木が
一本たった分岐があり道が左方向にも伸びている。遭難碑のプレートもあるようだ。ちょっとだけ左がの道を進んでみる。

三嶺は南側が断崖絶壁で北側がなだらかな平原となっている。あまりにも視界が悪いので引き返す。少し下りた場所でたしか
池と避難小屋があるはずだから霧の飛ぶ一瞬を待ってみる。15分くらい待って突然視界が南側から一部開けてきた。 
お〜〜私がいたのは池のすぐ上で大きな三嶺避難小屋が正体を現わした。カメラをすばやく出してシャッターを押す。やはり
チャンスを又逃してしまった。

 
  三嶺 山頂の標識            南側に切れ込んだ山頂登山道

       
                霧に霞む三嶺 山頂

トボトボと不運を嘆きながら「三嶺避難小屋」に向かう。ここの池は天狗塚と違ってなみなみと水を湛えていた。池のほとりを
抜けて避難小屋に入る。中には先ほどのパーティがおられたので遠慮して入口の土間で軽く食事をとる。 さすが三嶺避難
小屋はお亀小屋と良く似ているが若干広いようでしっかりしていた。正月には初日の出を求める登山者で満員状態になるそうだ。
中では大阪の電車駅の話題を盛んにされていたので大阪からやってきた人がいるらしい。かわいそうに。何もこんな天気の
悪い中日(なかび)に来なくても・・・・・

  
 こんな日にも山キチはいるもんだ     三嶺山頂のコメツツジ群

      
        霧の晴れ間を一瞬逃す!正面奥が三嶺避難小屋

 
 三嶺避難小屋                三嶺避難小屋 内部

さて小屋の周りをウロウロしたあと下山する事に。午後1時30分下山開始。名頃への下山道は秋の晴れた日に歩いているので
南斜面の美しさを良く知っている。水場への分岐を過ぎ紅葉のきれいだった賽の河原を抜けて樹林帯に入ると雨風もさほど気に
ならずワークウェイレインコートが蒸れ出した。やっぱり早くゴアテックス・レインコートを買わなくっちゃ。

 
秋のこの木の紅葉が忘れなれない    名頃への下山道

ダケモミの丘に近づくと一面カニコウモリが群生していた。花はまだ早いが特徴のある葉っぱが登山道の周りに溢れていた。
キャンプできるちょっとした広場がある場所を過ぎて少し進むと林道への分岐があった。どっちも正式な登山口名が無いので
ちょっと迷ったが、距離的に考えてこれしかない!と右に進む。景色は以前の経験から平尾谷川に沿ってのルートが良いだろう。
でもこの「林道終点ルート」も森がスゴイ。杉の人工林が無い「手付かずの自然林」ってところが一番「癒し」を与えてくれる。

  
カニコウモリの群生地        林道分岐  右が林道終点登山口へ

 
ヒメシャラ              林道最終登山道の主 もののけ大木

三嶺林道登山口には午後3時過ぎに帰り着いた。このコースは三嶺頂上付近で時間をゆっくり楽しみたい方やヒザなど体力的
に長時間の歩行が厳しい方にはぜひお勧め致します。

平成16年7月4日に出会えた花達

       
    コナスビ                      笹の花

         
   ニガナとトゲアザミ              トリアシショウマ
 
       
      バイケイソウ           イブキトラノオ

       
       ノイバラ                  ヤブウツギ

       
     コメツツジ               シコクフウロ

      
   イワキンバイとコメツツジ         カニコウモリ


今日も景色を楽しむ山歩きは出来なかったが、三嶺の懐に抱かれてどんな人間にも平等に与えてくれる四国の大自然との
同化を楽しむ事が出来た一日だった。




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