平成25年3月23日  鶏足山 (徳島県)


岩と福寿草の鶏足山(けいそくさん) 955m


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図


鶏足山の事を知ったのは平成18年3月26日年しまなみ隊の投稿登山記だった。去年(平成24年3月19日にも楠橋さんから
鶏足山のレポを頂き、その中に岩場を歩かれる写真や詳細な地図も添付されていた。今年になって楠橋さんが急逝された事を
お聞きして驚いたが、その後しまなみ隊のはるちゃんからこの鶏足山をしまなみフラワーズや鬼手佛心さん達と楠橋さんを偲ん
で歩いたレポを掲示板に頂いた。

3月23日私も同じ様に投稿登山記で長年お付き合いをさせて頂いた楠橋さんを偲んで鶏足山へ出かける事にした。


              上吾橋から鶏足山を見る

登山口までの道路が複雑な為不安があったがはるちゃんからもメールで道順などの情報を頂いた。大歩危のモンベル店横に
あるコンビニは相変わらず閉まっておりロープが張られて何か工事中の様だった。国道32号線から大歩危橋を渡り、祖谷の
かずら橋方面へ入る。

第1分岐)
左手に学校の運動場が見え、更にカーブの続く坂を上がって行くと平家屋敷が左手にある。更に進むと祖谷トンネル手前に藁
葺き屋根風の有料道路料金所跡があり、その手前を右折する。この道路は「吾橋・後山農免農道45号線」でおうどう峠、国見
山登山口への道でもある。

第2分岐)
分岐を入ってすぐ左ヘヤピンカーブがあり、この道路を左へ曲がるとトンネルの上側を通り国見山登山口へ至る。国土地理院
のウォッチズには載って無いが、このカーブ地点に直進する脇道がある。鶏足山へはこちらへ進まなければならない。
クネクネと山際の道を進むと左手にセメントの擁壁があり前方が開けて目指す鶏足山の稜線が見える。

 
     旧料金所跡を右に入る                   これは林道を直進して振り返った風景

 
 この先のコーナーを左に曲がり、更に右下へと進む          鶏足山が見えた〜


第3分岐)
この見晴らしの良い道に出るとすぐ大きく右下に急カーブして「吾橋・有瀬」方面へと進む。この曲がり角は車を急角度に回転
させる為に広く作られている。振り返ると国道32号線への標識があり帰りの目印となる。

 
   広いコーナーを吾橋・有瀬方面へ右折する        このコーナーから来た道を振り返ると大歩危への標識がある

第4分岐)
そこから更に峠部を越えた左手角に「安楽寺」がある。ここが次の分岐となっており道なりに進むと吾橋(あはし)集落へ下って
行く。こちらに下りても古宮神社経由で鶏足山登山口へ行ける様だが崖崩れの通行止めがある。道ぶちにある安楽寺の駐車
場に車を停めて道を確認する。左へは「吾橋・重末線」の標識があり道が少し上り坂となっていて、これを左へ進むのが良さそ
うだ。安楽寺のセメント壁に沿って左折し山に向かって進む。

安楽寺」は弘法大師が開いたお寺で「鶏足山・安楽寺」という山号が付いている。ここのセメント壁にも鶏足山の標識が張り付
けられていた

 
 安楽寺を通り過ぎ、駐車場から来た道(正面)と曲がる道を撮る   安楽寺を左に曲がってセメント壁に沿って進む

ここで鶏足山(けいそくさん)について

鶏足山と呼ばれる山は日本にも数箇所あり、恐らく中国、雲南省にある仏教の聖地「鶏足山」(標高3,240m)から由来してい
るのだろう。ネットで中国の写真をみても標高が高く断崖絶壁の景観である。

この本家「鶏足山」はお釈迦さんの弟子「大迦葉」(だいかしょう)というお坊さんがここで説教をしたりした後入定(にゅうじょう)し
た場所であり東南アジアの仏教聖地として知られている。付近の連山が手前に一本、向こうに3本の峰があり鶏の足の形になっ
ているらしい。

日本の「鶏足山」ではこの徳島県にある山が一番標高が高く955mある。中国の景勝地にちなんで名付けられたのならさしずめ
「讃岐のカッパドキア」とどっこいどっこいの命名である。

安楽寺のセメント壁に沿って左に続く水平道を疑心暗鬼になりながら進むと、突き当たりの民家付近を左に上がって行き、右に
曲がるコーナーに巨大な杉のある「五所神社」があった。掲示板にはるちゃんからこの大杉の写真を頂いていたので少し安心す
る。

 
    五所神社の鳥居が見える                 徳島県指定天然記念物 五所神社の大杉


はるちゃんから頂いた五所神社の大杉 はるちゃんとしまなみフラワーズが並ぶとこの樹の大きさがわかる

第5分岐)
舗装道路を更に進むと又左へヘヤピンカーブしている。ここにも直進方向にやや荒れ気味の舗装路が分岐している。この直進
して右手に下っていく道が「林道  鶏足山線」ですぐ先にこの林道標識が立っている。少し道が細くて左手の山際からの落石
などで荒れてはいるが一応ずっと舗装されている。

 
突き当りのコーナーを右下への細い林道に進む           この道路は「林道 鶏足山線」とある

第6最終分岐)
尾根部を廻り込んで少し下ると吾橋(あはし)、古宮神社からの林道が右手方向より合流した。この分岐を左へ進むと行き止ま
りの広場となり、登山口のキャンプ場で東屋が2棟あり水場もある。ここが鶏足山登山口だ。紺色のブリキ板の案内板が木にぶ
ら下げられ、「右手に進むと行場〜鶏足山」とある。

 
       結構細いが一応舗装されている          古宮神社からの道に合流 この地点を左へ切り返す

 
「右上に登ると鶏足山の洞窟の上の山頂に登れます」          キャンプ場の施設でしょうねえ


鶏足山登山口〜修験の岩場〜鶏足山〜北側コル  (約1時間)

正面に岩場が見えて、それまでの傾斜にも苔むした大岩が転がり行場の雰囲気たっぷりの風景だ。石垣の上にも標識があり
右手から進む。正面に7〜8m程の岩壁が現れ、縦に岩の裂け目があり色んなルートで上部に上がれそうである。所々に赤テ
ープも見られたのでその正規の登山道へザレた斜面を進む。

岩が縦に凹んだ場所に大き目の倒木が斜めに白い幹を見せている。下からこの幹を潜り込もうとするがザックが閊(つか)え
て進めないので幹の上に這い上がり前方の岩場に入る。

一旦この木の幹に従って左手に上がると、今度は狭いテラスを右に進む。ここには鎖が置かれて手がかりとされている。左手
から迫り出した岩と狭いテラスを慎重に抜けると広い岩尾根の上がれる。右手にも小さな岩山のピークがあるが、鶏足山へは
左の高みへと進む。

 
   石垣の上にも鶏足山行場の標識有り            まるで参道の様なアプローチを進む


                     行場の岩場ピークが見える

 
    幹が空洞になった樹                      右手にある岩場

 
      少し左手の斜面に進む                 どこからでも取り付けそうな岩場(ルートは左側の倒木)

  
    なるほど ここの窪みから上がるのか           倒木を這い上がって左手に進む



 
      この岩棚を右手に進む                  鎖が置かれて手がかりになっている

  
     岩と岩の間に上がっていく                 岩の節理があるので少し心配な鎖止め

 
   数日前にしまなみ隊がここを通った様子              岩の上を左手に進む


第2ステージは8mほどの岩壁が待っている。ここには鎖とトラロープが並んでぶら下がっている。どちらがしっかりしているか
良く分らないので両方を掴んで上側に這い上がる。垂直に近い崖だが手がかり、足掛りは存在する。

  
 8m程の岩壁  鎖とトラロープが並ぶ               足がかりが少しあるのでここは問題なし

 
       ほぼ垂直の岩壁だ                   ちょっと頼りないトラロープの結び目

さて第3ステージは最後の難関 38mの岩登りとなる。左手にテラスを斜め上に岩棚に沿って上がると頼り無さそうな鎖が上
からぶら下がっている。

更に左手へ回り込むと広めの岩場となっておりこちらの方が足がかりや潅木が所々に生えていて個人的には好きな崖だ。ま
あ、でも今回は行場の鎖に従う事にする。

さて、上側にある岩テラスからルートを見上げる。鎖がぶら下がっている行場メインルートは岩の窪みに沿っているが3m程は
足場が無い空間である。いわゆる宙ぶらりんの状態になっている。右手の崖は足掛かりがあるが、そこに回り込む補助ロープ
を今日は持って来ていない。鎖を引っ張ってそちらへ伸ばそうとするが上と下が固定されているので動かない。

仕方なく落ちている三角石に上がり、鎖を頼りに右側の眼の高さにある足場まで腕力で這い上がり、反対側の岩壁に背中の
ザックを押し付ける。これで少し体勢が安定したので、このままズリズリと更に這い上がり、今度は背中側にある足掛りに左足
を乗せる。この空中這い上がりさえクリアすれば後は問題ない。

上方のテラスまで這い上がり休憩しながら景色を眺める。確かに面白い場所だ。更に少し岩場を上がり、最期は斜め左に切
れ上がった岩の裂け目を這い上がり岩山の頂上へ立つ。鎖の基部には斜めに鎖止めの杭が打ち込まれているが、できれば
バックアップ用にもう1本杭が欲しい所だ。

 
      ちょっと高い場所に来た様だ             岩壁を左手に進むテラスがある

 
    そこにトラロープと鎖がかかっていた           鎖は下側も止められている

 
     取り敢えず上側へ這い上がる                テラスで下界を眺める

 
   うひょ〜  これを上がるんかい!               ここまで来たら行くしかない

  
   ここが一番厳しかった場所                   何せ宙ぶらりんの鎖を這い上がらにゃならん

 
背中のザックを岩に押し付けて何とか這い上がる            くわばらクワバラ

 
テラスに着いたら余裕や〜                     ちょっと右手の岩場も覗いてみる

 
      こんな場所は何て事はない              途中で写真を撮る余裕あり

 
  もう少しで上側のテラスへ                   楠橋さんのレポ地図を見ながら大歩危を眺める


                吉野川の流れが眼下に見える

 

 
    這い上がった鎖場を振り返る                    トップの鎖止め

 
前方の見晴らし台へ進み改めて楠橋さんの地図をみながら眼下に広がる景色を眺める。

平成15年の秋、石鎚天狗岳ではるちゃんと一緒に初めて会った日の楠橋さんの笑顔を目に浮かべる。それ以来はるちゃんと
の名コンビで四国の山々を闊歩され膨大な投稿登山記を我がHPに頂いた。

人間の最期なんてどんな風に訪れるか分からないものだ。はるちゃんの凄さに隠れてあまり目立たない存在だったが良く考える
と楠橋さんも70歳台後半で元気に山歩きを続けられていた訳だからこれも凄い事だった。いつも傍らには優しく頼りになる「しま
なみフラワーズ」の方達が居られるとは言え、無二の相棒を失ったはるちゃんの寂しさはいかばかりかと同情せざるを得ない。


      鶏足山の修験岩場天辺から下吾橋集落と吉野川を眺める

さて、ここが鶏足山だと思っていたのだが、一旦尾根に下りて更に次の高みに向って進む様だ。岩場を細尾根に下りて前方に
進むとピークが見える。最初山頂標識かと思ったポールと鉄板は単なるテレビアンテナの残骸だった。その向こう側にしまなみ
隊がレポしてくれた山頂標識があった。この付近は香川の里山にも見られる様なコナラなどの潅木が立ち並ぶのどかな場所だ
った。

 
   ここが鶏足山ではなかった                     一旦尾根筋へ下りる

 
  岩っぽい細尾根を北側へ進む                 この辺りは危なく無い尾根

 
     急にフツーの尾根になる                    鶏足山の山頂


平成25年3月16日 鶏足山にて はるちゃん、しまなみフラワーズ、鬼手佛心さん

 
   北側へ尾根道が続く                         なだらかなコルになる

東側のコルへ出るとキャンプ場の水場へ向って送水ゴムホースが左手に延びており、このなだらかな斜面が福寿草の小さな
群生地となっている。今日は国土地理院のウォッチズで見た 1,129.8m三角点まで行く予定であるが、日差しがある内に花
の写真を撮る。花は小ぶりで数は少ないが人が居ないのでゆっくりと楽しむ事が出来た。

 
この斜面を下りるとキャンプ場へ帰る事が出来る        ある ある 福寿草〜

鶏足山の福寿草

 

 


                  3月16日 はるちゃん撮影

さて、尾根に帰り潅木の自然林を東へ這い上がって行く。尾根部は境界調査の赤テープなども見られ踏み跡もあり歩き易い。
1,060mピークを過ぎると稜線は右側へカーブする。すると右手斜面は植林地帯となりやがて稜線も植林地帯となる。伐採作業
が行われている形跡があり、切られた幹や枝が転がっている。

地図にある1,085mピークは伐採された植林が折り重なり人工藪となっている。うる覚えで正面の細尾根へ入り三角点を探すが
当然見つからないので元のコーナーから植林の平たい尾根筋を進む。コル部のヌタ場を越して右手に続く新たなピークに向っ
ていると大きな鹿が2頭すぐ近くから逃げ去った。こんな所にも鹿が出没するのか〜

左手に伐採地の斜面が広がる尾根をピークに上がると四等三角点があった。高度差の無い楽そうな尾根部を先に進みたい気
がしたが、今朝阿波池田を通過中、鬼手佛心さんから電話が入り西条で行われている写真展を是非見るようにお勧めがあった
のでここで切り上げる。

 
    尾根筋には赤松がある                    左 自然林、右 植林地帯

 
     植林地帯となる                        伐採地のピークに三角点あり

 
   三角点があった〜                             三角点と有瀬集落

 
        四等三角点だ                      伐採地にそって帰る

 
       目印のヌタ場                       このコーナーに倒木を目印に立て掛けた

 
   これも帰りの目印に立てた木の棒             これも帰りの目印に立て掛けた木の枝

 
        赤松を通る                       先に鶏足山のピークが見えた


福寿草 アゲイン

 

 
      ヤマシャクヤクの芽                      ニリンソウの様な葉っぱもある



 
     登山口キャンプ場に帰る                       キャンプ場の水場

福寿草コルまで帰り、車を置いたキャンプ場へ向って出来るだけ左手の山裾を辿る。大岩がゴロゴロする藪っぽい斜面である
が、ここにも福寿草が所々に見られて写真を撮りながら下りる。雰囲気的には寒峰の福寿草群生地に良く似ている。

キャンプ場に帰り、流水で手や靴を洗う。山歩きが縁で10年近く親しく付き合わさせて頂いた楠橋さんを偲ぶ静かな山行だっ
た。 さて、帰りは古宮神社経由で下道を使う事にする。

古宮神社とは

三好市広報課資料(平成24年5月)より

三好市西祖谷山村吾橋集落には、今か690 余年前の南北朝の時代、土佐に流された後醍醐天皇の第一皇子尊良親王
妃、加羅宇多姫(からうたひめ)の伝説が残されています。

親王を慕い、身重の体で土佐を目指した加羅宇多姫は、西祖谷山村に入られましたが、長旅の疲れにより早産され、
抱の甲斐なく男子は亡くなられました。加羅宇多姫も産後の養生ままならず、親王に会えぬまま土佐からの帰途、
古宮嶽
で亡くなられたと語り伝えられています。

その後、里人は姫のお墓のそばに社を建て、御霊(みたま)を祭神として祀ったのが現在の古宮神社とされています。
この由来から、古宮神社は子授け、安産の神として尊崇され、市内外から多くの参拝者が訪れています。
昭和63 8 2 日に「古宮神社」として西祖谷山村が文化財指定し、三好市の指定文化財となっています。」


でも、この道は残念ながら途中から通行止めの為、3月16日に訪問したはるちゃんの写真を2枚お借りします



 
    古宮神社方面へ下りる                     古宮神社への標識あり

 
    むむっ 通行止めだった                   仕方ないので分岐へ帰り「林道 鶏足山線」へ引き返す

 
    これが古宮神社と古宮嶽  (はるちゃん提供)     古宮神社から駐車場を見る (はるちゃん提供)



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