平成25年3月3日
谷道〜天狗塚南西尾根〜天狗塚〜地蔵の頭〜綱附森〜北側尾根〜谷道


天狗塚南西尾根から天狗塚〜綱附森を周回する

登山口の谷道とは


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 

大歩危から祖谷の蔓橋を抜けて三嶺、剣山方面へ向っていると、京上トンネルと言う立派なトンネルがある。この手前に右折
する三叉路に京柱峠方面の看板がかかっている。ここから祖谷川の支流「谷道川」の左岸(上流に向って右側)に沿って道路
が南側へ続く。

最初は国道439号線で道沿いに「小川集落」が点在する、川を挟んで対岸には麦生土(むじゅうど)、阿佐、古味などの集落
が見られる。京柱峠への分岐を過ぎると祖谷山林道(林道樫尾阿佐線)となり未舗装道路をひた走ると一般車両の通行止め
ゲートがあり、ここから右側に笹峠(矢筈峠、アリラン峠)へ至る路面状態が悪そうな道が山手に向って続く。

この対岸には牛ノ背、天狗塚南面をオコヤトコ谷、アカ滝谷、スズカナル谷が刻む。

この一帯に「谷道」集落があり、南側にある綱附森は明治の初期には山麓集落名から「谷道山」と呼ばれていたと言う。狭義
には「谷道(集落)」は通行止めゲートを少し進んだ左手対岸、アカ滝谷手前辺りに昭和30年頃から45年頃まで原木伐採事業
の作業員集落があり、昭和35年にはこの谷道集落には44戸222人が住んでいた。(村影弥太郎氏の集落紀行による)そして
ここには栃瀬小学校谷道分校があり児童数19人の記録も残っているが昭和44年高知営林署の事業終了と共に廃校になり、
翌年には谷道集落も無人地区となる。対岸に続く立派な軌道跡が往時を偲ばせている。


天狗塚南西尾根から天狗塚〜地蔵の頭〜綱附森をぐるりっと歩く


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを使ったGPSトラック・ログ図 谷道〜天狗塚南西尾根〜天狗塚〜地蔵ノ頭〜綱附森〜谷道

平成25年3月3日かねてから地図上で計画していた谷道川沿いから天狗塚への南尾根を上がり、地蔵の頭から綱附森まで
進み、そこから北側の斜面を強引に谷道川まで降りる周回を実行した。

ミゼラブルなプロローグ

その1) コンビニが無い!!

先日の沓掛・黒森日没周回の反省から朝04に起床し、身支度を整えて04時20分自宅を出る。今日のハードな歩きを考え
て重い山専ボトル800mlの代わりに保温力の落ちる500mlにお湯を入れ銀マットで包む。まだ薄暗い大歩危モンベル店の
横にあるいつものコンビニへ寄るが電気が点いていない。ガ〜〜ン  何と閉店しているではないか。

今更引き返す事も出来ないので車の中で食料を確認する。ザックには近頃流行りのドラッグストアでまとめ買いした48円の
リンゴジュース500mlが2本と魔法瓶のお湯、スティックコーヒー、ポケットに詰め込んだ黒糖のど飴5個、車の後部座席に
転がっていた孫のおやつ「ビスコ」の小袋2個発見〜小袋には2個のビスコが入っているのだ。助手席には空き袋の中に黒
糖カリントウの残骸が少し残っていた。ラッキー〜

いつも山歩きでは食料は残して帰るのだが、持って行って食べずに残す余裕と、持って行けない不安とは180度の差があ
る。以前、祖谷の住人から登山者には地元に金を落とさないってクレームを受けたが、コンビニとは言え地産地消にこだわ
りすぎた。まあしょうがないわ。

京上トンネル手前から谷道川へ右折する頃には辺りは明るくなってきた。以前、グランパ、グランマー啓子さんや紫雲・与力
さん、マーシーさん達と数年前にここに来たが、その時は後部座席に座っていたので道順に記憶は薄かった。こんな場所に
も人々が生計を立てて暮らしている。対岸にも結構規模が大きい集落もある。人間の生命力は凄いものだ。道は谷筋からド
ンドン上がって行き少し不安になる。

ヘヤピンカーブに2つの砂防ダムを持った沢があり、車が停まって中からザックを背負った年配の男性が出てきたので道を
お伺いする。天狗塚は知らなかったが「高知へ出る道じゃ」と言われたので一安心。このおじさんはヤマメ釣りに行くらしい。
暫くして京柱峠への分岐があったのでそのまま谷筋への林道を進むとダートな未舗装となり雪や氷が現れてきた。

対岸には麦生土(むじゅうど)から始まり、阿佐(あさ)、古味(こみ)、オコヤトコと呼ばれるあまり馴染みのない地名が続く
林道をどんどん進むと以前車を停めた広場があった。そこから林道ゲート閉鎖地点まで更に進む。

京上トンネル手前を右折してから随分長い距離だった。ここに笹峠(矢筈峠、アリラン峠)へ続く車道が右手に有りかなり路面
状態は悪そうだ。道幅の広くなった場所に車を停めて準備をする。持って行くアイゼンはこの時期、このルートだから6本爪で
いいだろう。

天気は良さそうだが谷を吹く風が冷たい。ウィンドブレーカーを羽織りゲーターを付け07時20分ゲートを越えて林道へ入る。
融けた雪が凍って歩き難い道を谷側にある渡渉地点の目印を探しながら進むが中々天狗塚の標識が現れ無い。

以前は皆でワイワイ言いながら歩いたのであっと言う間だったのだが、一人で寂しく歩くと結構長い距離だった。沢に不安定な
丸木が2本架けられたのが見えるが水深がある場所でとても渡る気がしない。07時40分やっと見覚えのある天狗塚登山口
に到着。以前モミの木に掛けられていた天狗塚の標識は無かったが、別の標識が地面に立っていた。

右手の下山すべき斜面を見るが、林道敷設の為ノリ面が削られた崖が多い。まあどこに下りてくるかわからないが何とかなる
じゃろう

その2) 渡渉失敗〜!!

林道から傾斜を下って沢部に入る。う〜〜ん  結構水量があり渡渉に適当な場所が見当たらない。3箇所位の渡渉可能候補
を吟味し、少し下流に飛び石がうまく配置され最も確実そうな浅瀬をチョイスする。少し沢中に進んだ所で水中から顔を出した
石に飛び移った所、この石が凍っていた。

何と付近に点在する石が全て凍ってツルツルだ〜。ダブルストックのアシストも虚しく体勢を維持すること叶わずお尻から入水。
なんまんだぶ〜しこたま右半身とズボンを濡らせてばちゃばちゃと元に帰る。あい〜〜ん  これじゃ山歩きは出来んぞ・・・

ズボンとウィンドブレーカー、及びその下着がビショビショだ。靴は一旦水中に没したがスパッツを履いていたのと中高年になっ
て以来の記録的な瞬発力で水中から脱出したので被害は最小に食い止められていた。暫く自分が置かれた現実とこの山行計
画の崇高な理想と3時間もかけてやって来た事が無駄になる虚しさが頭の中に去来する。しかし心は迷っていても自分の足は
上流部へ進み次の渡渉可能場所を探していた。

今度は簡単に渡れた。ゴルフでもOBを打った後の暫定球はナイスショットするものだが、よりによって渡渉でもこんな経験をす
るなんて・・・とほほ 。2ペナルティの濡れた下半身と右半身は寒かったが、天気も良いのでそのうち乾くやろ。イノシシならば
ブルっと振るえばドライ状態になるんだがなあ・・・・

 
  07時00分谷道の通行止め地点に駐車                    雪の林道を歩く

 
 谷道に丸木橋がかかっているのが見えた                スズカナル谷の砂防ダム

 
  07時40分 天狗塚登山口の標識発見                  谷道川の渡渉に失敗〜

谷道天狗塚登山口〜南西尾根〜天狗塚 : 約 2時間半

気を取り直し眼前にある滑りやすい崖状の斜面を這い上がると軌道跡らしき道に出た。更に斜面を上がると又同じ様な道
があり、そこから尾根に取り付く。この天狗塚南西尾根は比較的単純で植林作業の踏み跡もあり快適だが退屈な歩きだ。

びっしり植えられた植林地帯をひたすら登る。スズタケが出てくるが全て枯れている。鹿のフンが大量にばら撒かれており
不快な歩きになる。

08時40分やっと植林地帯を抜けると右手に天狗塚へと続く稜線が雪で白く縁取りされて続いているのが見える。09時頃
になると左手に牛ノ背のどてっぱらが細い自然林の間から見えて来るが、まだまだ高度差があるので先が長い事を感じさ
せる。枝の間から牛ノ背の残雪がウサギの姿に見え、かわいい農兎岳になっている。

尾根の樹林帯が終わり、笹と岩とまだらな潅木が現れるといよいよ天狗塚への尾根らしくなって来た。雪の吹き溜まりも
現れて今期最後になるだろう冬山気分にさせてくれる。背中側が開けて綱附森が良く見えるので下山ルートを確認する。
山頂右手の肩から2本の尾根が下がっており一見両方共目標の1,380m横長ピークに続いている様に見える。横長ピーク
からは伐採地が2箇所程谷道川へと下っているが、これを伝って下りても良いなと思う。

 
       対岸の斜面を這い上がる                   軌道跡が横切っている

 
        更に斜面を這い上がっていく               道跡か? ただの窪地か?

 
       植林地帯を歩く                      左が植林、右は自然林 スズタケは枯れている

 
          苔生した倒木に雪が残る             08時45分右手に天狗塚へ続く稜線が見える

 
植林地帯とは言えない量の灌木が生い茂る           きゃ〜〜 牛ノ背にウサギの模様があるぞ (09時00分)

 
 スペースのある灌木地帯には雪が残る              もう左手のうさちゃんが気になって・・・・

   
   09時10分 木々が少なくなり雪の回廊となる             樹林帯が終わって灌木と笹に変わる


    振り返ると綱附森が大きく構える   右下にある山塊に向かって下りて来るのだ

天狗塚への尾根伝いに雪が結構残っており笹藪よりは歩き易いのでアイゼンを利かしながら歩く。時々足が埋まるが、
先日伊吹山で味わったフカフカ雪の苦労に比べると雲泥の差だ。09時30分左上に天狗塚本体が現れる。白骨樹が鳥居
の様に構えて薄い霧氷が見られるが山頂まではまだまだ距離がある。高度が上がって牛ノ背南面全体が見えてくると先ほ
どから見えてい残雪ウサギも少し形が崩れて残念である。

09時40分正面に天狗塚が位置すると、右手に黒っぽい色で異様な形をした地蔵ノ頭が見える。その手前にある谷間から
甲高い鹿の警戒鳴きが木霊し2〜3匹づつの群れが姿を現す。すると又正面左から現れた別の鹿の群れが稜線を横切り
右手の谷へ逃げ去った。下側の斜面へ逃げていくグループも居る。もう辺りは鹿だらけだ。

 
     まだウサギがいる                               綱附森


 
   09時27分 天狗塚がやっと見えた                       ガリガリ君の雪

 
        土佐矢筈山方面                     気持ちの良い稜線を歩く


      牛ノ背とほぼ高さがなる部    一応まだウサギに見える

両サイドに参道の様に木々が並んだ回廊を抜けると次第に傾斜が急になり右手に天狗峠方面が並んで見える頃になると
コメツツジの霧氷が現れる。ヘビノボラズの様な刺のある枝にも霧氷が玉の様に付いていた。

いよいよ最後の細尾根急傾斜になると、融けた雪が凍って滑りやすい状態になる。右手下に見え出した天狗峠を見ると一人
登山者がこっちに向って歩いて来る。

10時10分天狗塚山頂に到着し月並みだが360度の景色をグルリと眺める。東側には三嶺、次郎笈、剣山が見え、地蔵ノ
頭から綱附森に延びる尾根を目で追う。ブルンベ平辺りは雪で白く輝いている。北側には祖谷谷川を挟んで寒峰、矢筈山、
黒笠山の山並み、西側には遠く石鎚山系の白い山頂部が確認出来る。牛ノ背基部にある逆さ天狗の池は一面凍っていた。

登って来た細尾根の状態から下りの凍結が危険なので6本爪アイゼンを装着するとくだんの単独登山者が山頂に現れた。
向こうが「こんにちは」と挨拶してお互い顔を見合い「あれ〜  エントツ山さん」「お〜てんきちさん」とひょんな出会いを喜ぶ。
中々山頂でこんなにピッタンコするのも難しいものだ。

少しの時間話をして、山頂に吹く風が濡れたズボンを通してお尻を冷たくさせるのでいつもの簡易三脚で記念撮影して10時
30分お別れする。山仲間との偶然の出
会いはなんだか嬉しいものだ。讃岐富士さんや趣深山さん、ろくべえ・かおさん、てんきちさんなど足繁く通うこの天狗塚、牛
ノ背界隈の魅力って一体何だろう?お気に入りの山を決めてそこへ通いつめるのは毎回行き先で悩む煩わしさから開放さ
れる。しかしその安心感は飽きるという副作用がある事も確かだ。天狗塚〜三嶺界隈はその副作用を凌駕する程四季を通
じての変化、面白さ、感動、味わいがあるのだろう。でも鹿が異常に増えたこの山域は鹿のフンだらけであまり気持ちよく歩
けないのも憂うべき現実だ。

 
   09時42分天狗塚を正面に雪の回廊となる                黒っぽい塊、地蔵ノ頭


              09時45分 天狗塚を南側から眺める

 
   鹿が甲高い鳴き声を上げて走り去る                  天狗塚への参道

  
       牛ノ背も遠ざかる                       天狗塚もゴツゴツしてくる


     09時53分  最後の南面からの天狗塚ルートに入る

 
        高度感がたっぷり                          あともう少し

 
    歩いてきた天狗塚 南西尾根                    天狗塚の山頂直下


    10時06分山頂に到着 コメツツジの霧氷越しに見る地蔵ノ頭、三嶺、右奥に次郎笈と剣山


 手箱・筒上山         二ノ森 石鎚山    瓶ヶ森       寒風山    笹ヶ峰・チチ山

 
   てんきちさんと山頂で遭遇                         天狗の池が凍っていた
 

天狗塚〜地蔵の頭〜綱附森 : 約 3時間10分

天狗岳を下りているとこちら側の霧氷が結構発達しており見ごたえがあった。大岩手前で牛ノ背砂漠を眺めるとてんきちさん
の歩く姿が見えた。10時50分天狗峠に着き祖谷谷を挟んむ北側の山々を眺める。でも先日マーシーさんと歩いた「滝下の
天狗」への取り付き部が見えない。平坦な笹原を北の外れまで出て全容を眺める。

剱岳の時も向かいの立山三山から剱岳の歩いたルートを眺めたものだ。同じ様な褐色なので鮮明では無いが滝下の天狗塚、
サガリハゲ山、矢筈前衛峰、矢筈山をじっくりと目を通す。それから地蔵ノ頭へと雪の無い笹原を復帰する。霧氷の出来る条
件は微妙だが、地蔵ノ頭付近に出来た霧氷は一番立派だった。冷たく降り注ぐ霧氷のトンネルを抜けて11時05分標識のあ
るピークに出る。

 
       さらば  てんきち   10時30分                   天狗峠へ下りて行く

 
   霧氷もこちら側が発達している                   てんきちさんがてんになる


                      ピラミダルな形だのう


天狗峠を少し北側に下がって 去年11月縦走した葦原〜滝下の天狗〜サガリハゲ〜矢筈山前衛峰〜落合峠を眺める

 
   笹ヶ峰仕様のコメツツジ霧氷がある                地蔵の頭  手前がお亀岩への分岐


                    地蔵ノ頭基部から天狗塚を見る

 
       凄い霧氷の林を抜ける                         三嶺、剣山方面


           11時05分  地蔵ノ頭から綱附森を眺める


ここから急な細尾根を下る20分程が本日一番危険な凍結場所だった。要所にロープが張られて安全は確保されてはいるが、
6本爪アイゼンの刃が立たない氷の回廊だった。6本爪アイゼンは装着すると踵から土踏まずあたりまでが爪の利く有効範囲
で、靴のつま先辺りはカバーされていない。この為下りでは踵がそこそこフリクションを利かせてくれるが、登りの凍結場所では
靴のつま先が滑り何度もヒヤッとした。又、爪刃が鈍いので凍結した雪や氷では簡単に刃が跳ね返される。

こんな危険な場所にまで鹿のフンがびっしり置かれて足の踏み場が無い。これまで既に5〜6組程の鹿に出合っている。地蔵ノ
頭直下の崖下には希少植物保護の為にネット柵で覆われていた。オオヤマレンゲでもあるのだろうか。

なだらかな細尾根でも雪が固まっているので慎重に歩く。11時45分一箇所右にターンする場所に着きり、正面の樹にはテー
プが賑やかに付けられていた。そこを右手に下り振り返ると大岩がそそり立っている。それ以外に注意が必要なターニングポ
イントはこのルートには見当たらなかった。

   
       むむっ 雪が多いわい                    三嶺、次郎笈、剣山を眺める

  
     地蔵尊の標識がかかった樹                  地蔵の頭から下側ピークへと下りて行く

  
 希少植物の保護ネット越しに地蔵の頭を見上げる               雪の細尾根

 
     左手が急斜面                              天狗塚が遠ざかる

 
            細尾根が続く                        地蔵の頭

 
   左斜面へトラバース  ロープが張られている           この岩を下りた

 
     モミの木が多くなる                           鹿の食害がひどい

 
      雪の下は凍っている                   11時42分  ここが唯一のターニングポイント(右へ下がる)

ターニングポイントを過ぎると尾根がなだらかになりホッとする。右手に見えた天狗塚が次第に後ろへと遠ざかって行く。どこか
ら右の尾根沿いに下っても谷道川沿いに下りられそうだった。

去年、光石から綱附新道をこの尾根に来て綱附森をピストンしたが、その「堂床分岐」に12時15分着く。ちなみにこのルートは
国土地理院2万5千分の1地図に載っている登山道破線からは相当南にズレている。そこには相変わらず「綱附森まで40分」
などとトレランタイムの標識が置かれてあった。ここから綱附森までは一度歩いた登山道なので安心感がある。

12時50分標高1,552mピークに差し掛かり、尾根が北側に張り出し平坦なので一面雪に覆われている。ここはには水場がある
らしく高知大ワンゲル部の幕営地として利用されていた場所で彼らにより「ブルンベ平」と名付けられている。「ぶるんべ」をネット
で調べると天草地方の方言で「青蝿(あおばえ)」の事らしい。青蝿とはクロバエ科の緑色や青色をした蝿(はえ)で光の関係で
金蝿(きんばえ)とも言われるものらしい。

高知大学には私が居た時代から県外者が多く、ワンゲル部にも天草著方の部員がいたのだろう。何れにしてもあまり衛生的な
場所では無かった様だ。現在ここに水場があってもハエだけでなく鹿がこれだけ増えたら利用する気にもなれないだろう。その
名の通り平らな地形なので霧に覆われた時は磁石が必要になる場所だ。この辺りから樹木の立ち枯れと笹の食害が目立ち、
丸石、白髪山周辺に見られるシカ被害と同じ様な光景だ。

 
   ターニングポイントを右に下がる                大岩越しにターニングポイントを見上げる


                  正面の綱附森を目指す 


雪で白くなっている所がブルンベ平、その次がニセピーク 更に奥の大きな山塊が綱附森だ

 
   残雪はそこそこ固いので歩きやすい          12時15分綱附新道分岐 (綱附森まで40分とある〜無理っす)


             グルリと回って又天狗塚を南側から見る

 

 
        ミズナラの大木                     ブルンベ平へ上がっていく

 
  ここから正面の天狗塚方面にも尾根がある           12時50分 銀蝿平 (ブルンベ平)

前方に大きなピークが見えるがこれはニセピークで、綱附森はその向こう側にある。獣道が雪に覆われてルートがわかり易い。
13時10分ニセピークを越えると前方にやっと最終目的地、綱附森がそのデカい姿を現した。それまで勢いを無くした笹に覆わ
れていた稜線は突然ここで勢いを増す。右手の溝地帯に沿って雪の白い帯があるのでそれを歩く。時々ズボっとヒザまで雪に
沈むが概ね固く締まって歩き易い。

山頂への最後の斜面を右手から廻りこんで登っていると2人の登山者が入れ違いで綱附森からアリラン峠へ向けて下山して行
くのが見えた。タッチの差でてんきちさん以来の人類と言葉を交わすチャンスを逸した。13時40分綱附森(標高 1,643.1m)に到
着。ここは深い笹に覆われた山で展望は良いものの山自体の美しさ、魅力は余り無い印象だ。南側へは物部に向って大きな尾
根が張り出しているが、下山する北側へは数本の尾根襞が延びており地形が少し複雑である。

 
         綱附森手前の 1,552ピーク            この辺りは雪が多く残っている


東側の西熊川を挟んで  三嶺      〜   東熊山         〜            白髪山


北側には               牛ノ背            天狗塚             地蔵ノ頭


   13時10分 1,380mピークを越すと、やっと綱附森がドカ〜〜ンと姿を現す  右側に見える尾根を下がる計画だ

天狗塚への登山口へドンピシャ下山したかったので計画ルートを綱附森の西肩にある尾根から北側の1,380m横長ピークの特
徴的な山塊を目指し、そこから北西に尾根を下がる事にした。地図を見るとこのピークに向う下り口が微妙に二股に分かれて
いるので少し下がった所でGPSで修正する事にしている。

綱附森から西に標高50m程登山道を下がった肩ピークを北側に入ると尾根が前方の1,380mの横長い山塊まで下がっている。
その様に見えた尾根を選択して大岩を越して下がって行く。尾根筋ははっきりしておりブナなどの木々が美しい。調子に乗って
ドンドン下がっていくと14時07分何か様子が変な事に気が付く。

初めには無かった左手にもう一本尾根が走っているのだ。GPSと地図を出して位置確認すると目標尾根の東側に居た。この
まま下がっても沢筋で作業道の破線が記されているが、やはり尾根を歩くのが堅い。雪の積もった沢を一本越えて10分程か
けて西隣へ乗り換える。もう一度位置を確認すると計画通りの尾根に乗っていた。

 
   1,552mピークを下りたコルを抜ける              右手の尾根筋に沿って進む

 
   綱附森は右手の溝に沿って上がる          13時40分 笹が刈り払われた綱附森に到着 地蔵の頭〜三嶺


       牛ノ背            天狗塚           地蔵の頭       西熊山           三嶺

  
         白髪山         石立山             下山する尾根と目標の1,380mピーク 奥は牛ノ背

 
    土佐矢筈山に向かって少し下りる               さあ この辺りから北に進むのだ


   牛ノ背、天狗塚がパノラマの様に広がり、それを見ながら北に進む  13時47分

 
      岩と樹木                             岩を掴んで生える樹

 
      あたりまえ体操をするブナ                     気持ちの良い尾根だ


                 あくまで天狗塚を見上げながら進む  (13時55分)

 
    細尾根になってもブナが生えている             おえっ  鹿の骨じゃん


    もう たまらんわ  この景色    でも左に尾根が見える   (14時00分)   

 

 
    鹿の角で引っ掻いたのだろうねえ               およよ 左側に尾根がある

 
   14時10分雪の沢を渡って尾根を乗り換える            こっちの尾根はあまり美しくなかった


尾根を乗り換えてから前方に見える沢山植林されたピークへ向い真北に下がっていく。細い自然林が密生した尾根を30分
程尾根沿いを進むと手前のコルを経由して横長い 1,380m  植林ピークに14時50分時到着し、ここで再度位置確認する。

北側斜面は思った以上に傾斜が急なのでコンパスを北西に合わせて左手の比較的なだらかな尾根を伝って下りて行く事に
決める。最初は緩やかな植林地帯でも斜面が凍結していたのでアイゼンを付けたまま歩く。

そのうち雪もあまり無くなり足が少し痛いのでアイゼンを外す。するとその直後からやけに傾斜が急になる。一旦仕舞ったアイ
ゼンを又付ける気もしないのでそのまま歩く。どちらを見ても、もし植林や雑木がなければ決して進めない様な急角度で斜面が
落ちている。滑った場合に受け止めてくれる木が下側に確保された斜面を選んでゆっくり下がって行く。それでも下側に樹が無
い場所は手がかり足掛かりがある岩場へと進み、又樹が生えた方に迂回する。

一箇所、緩やかに見えたザレ場を下りると崖になり無理をせず又上り返し、植林地帯へ向う。沢の音が大きくなり林道が近づ
いている筈だ。右手の急な植林地帯を慎重に下ると林道らしき雪の平面が見えた。さて、もう少しでゴールだが最後まで気を
抜いたらアカンで〜と自分に言い聞かせる。

 
    割と単純な地形の尾根だった                       藪は無く歩きやすい           

 
     右手には植林が並走する                  前方に1,380mピークが現れた

 
倒木を越えると 14時50分 ピークについた             ここで進路を北西に合わせる

 
  15時03分 境界杭が見える                    15時11分 斜面が急になる

 
15時26分 急斜面を避けて樹木の薄い涸沢を下りる     それも最後は複雑な斜面になり右手の植林帯へと移動

案の定、林道が真下に見えるが10m程の崖になっている。嗚呼  ここでザイルやスリングを持って来なかった事を後悔する。
慎重に崖上まで進み辺りを見ると蔓がある。それをザイル代わりに使おうと引っ張るが上に絡みついた蔓が落ちて来ない。左
は小沢で危険な香りがするので、右手を見る。すると杉の木を残して下側の崖が崩れている場所があり、土のスロープになっ
ている。

 
15時45分物凄く急な植林帯を下がって行く             15時50分下に林道が確認出来た

 
   あちゃ〜  林道へは崖だよ〜               15時58分 蔦を引っ張るが利用出来ず右へ移動


頭上にある杉の根っこを掴んでその土スロープに飛び移り林道に滑り落ちる。立派なフィニッシュにはほど遠いがB難度の着
地は泥まみれになりながらも16時00分無事成功した。まあ こくらいのドラマは私の山行には付き物だ。

色々ハプニングがあったものの当初の計画通り周回し、無事下山出来た事に満足しながら下りて来た急斜面を見上げる。谷
道川の対岸には今朝登った天狗塚南西尾根が見える。もうGPSで確認をしなくても自分の位置がわかるので後は車まで帰る
だけだ。

林道を下ると直ぐに滝があり、その向うに天狗塚登山口の標識があった。道路の凍結は相変わらずで滑りそうになりながら山
側を歩く。谷が広がった場所では浅瀬を容易に渡れそうだったが、対岸に渡った後の道が不明である。谷道以外で牛ノ背に
上がるにはオコヤトコの鉄橋か小川集落から対岸へ渡るのが良さそうである。

 
    16時00分  林道に下り付く                      橋を渡る

 

 
       これがトチノウチ谷か                   16時10分 天狗塚登山口に帰る 

 
       ツララで退屈さを凌ぐ                   ツララが落ちたらヤバい

      
     16時38分 ラッシュに帰る                           逞しい樹に出会う 



16時40分ゲートを抜けて車に帰り着く。あ〜  今回もコンビニが閉ってたり、川に落ちたりとハプニングがあったものの自分の計画
したルート通り満足のいく山歩きが出来たと思う。次回初めてのルートを歩く時にはスリングかザイルを持って行こうと自分に誓う
。祖谷川の支流、谷道川を挟んで並ぶ山を周回するアイデアは決して悪くなかった様だ。

 


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