平成23年3月5日(土)天気:快晴   冬の三嶺 (平尾谷川北尾根コースを下りる)


冬の三嶺に行こう!
名頃ー三嶺ー平尾谷川北尾根ー名頃



           冬の三嶺

先週東赤石山へ最後の冬山と思い出かけたのだが、又ちょっとした寒波が来て山が白くなった様だ。
それなら2週続けて雪山を楽しもうとマーシーさんと三嶺に出かける事に。


三嶺(さんれい)には出来れば高知の光石登山口から登りたいが、いかにも気分的に遠い。結局徳島の
名頃から登る事に決める。名頃とて香川からは3時間もかかるのだが・・・



カシミールソフトを使ったGPSトラック・ログ図
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 


名頃登山口から三嶺への地形は平尾谷川を挟んで南尾根と北尾根が三嶺に向って延びている。「平尾谷川・
南尾根」
は1517mピークを経てちょっと複雑な尾根にジョイントして直接三嶺の本嶺南東部へと合体する。


一方、平尾谷川・北尾根」は三嶺の北東部から北へ伸びる尾根に合わさって行く。三嶺直下の雪崩が怖い
時期にはこの北尾根から三嶺山頂を目指す事がより安全である。


名頃登山道」はこの南尾根の斜面に取り付きながら尾根部へ達するルートである。2週間前におじょも
さん達が山頂直下で撤退しているが、今は雪の量が減っているから問題ないだろう。


同じ道を帰るのでは芸が無いので、今回は下山に「平尾谷川・北尾根」を下る事にする。ここの情報は無い
が地図を見る限り大した事はなさそうである。




05時10分高松自宅出発、06時四国中央市にてマーシーさんピックアップ、08時10分頃名頃登山口に
到着。道中は道路に雪は無かったが、駐車場が凍っていてブレーキが利かず焦った。登山口には車が1台、
登山準備中に4WDの車が2台上に向った。
え? 上まで行けるの?

08時28分登山口を出発する。林道には雪が積もり車の轍(わだち)部は滑るので真ん中を歩く。08時
50分林道を外れると雪が深くアイゼンを装着。


09時15分上の林道に上がり、5分程で上の登山口へ着く。我々が準備中に上に向った徳島と香川ナンバーの
車2台が置かれていた。
二人とも久しぶりの三嶺だったが、雪の下にはどうも登山道が階段などで整備されて
いる様だ。


下山する予定の北尾根は朝日が輝き暖かそうで気持ちが良い。 一体どんな尾根なんだろうとワクワクする。



 
  08時28分名頃登山口を出発                    08時50分 林道から登山道に入る

 
雪が深くアイゼンを装着                          09時15分 一旦上の林道に上がる

 
09時20分 上の登山口に着くと車が2台留っていた            下山に使う「平尾谷川・北尾根を見る


しばらく急な坂を谷部へ向っていると先行の2名に追いついた。徳島の脇町から来られたかなりベテラン登山者
だった。「北尾根」の事を聞こうとしたが要領を得ないので先を進む。緩い斜面に雪が柔らかいスロープを作り、
その表面に潅木のシルエットが伸びるとても癒される景色だ。


マーシーさんは先ほどから息使いが激しく、以前よりどうも迫力が無い。大体が前半ペースが上がらない体質
みたいだ。だから最初の登りには全く頼りない相棒だが、帰りには人が変わった様に調子が出て逞しく見えるのだ。


10時25分尾根分岐に到着。ここから南尾根へ向っては林道終点登山口から四ッ小屋谷川へ下り白髪避難小屋
へのルートが続く。


峠から平たい尾根部を経て次第に三嶺本峰へ至る尾根部に入って行くのだが、この平地部には鹿防御ネットや
樹木防御網が沢山見られる。高知側は鹿の被害がひどいのを知っていたが、徳島側もモミの基部が丸裸で大変な
状態になっている。


   
   方向を変える赤い標識がある                    前半の登りは息が荒くなるマーシーさん


          朝陽が柔らかく雪の斜面に木々の影を落す


 
   10時25分 尾根分岐に到着                      おびただしいネットや防護柵が


ここからの尾根斜面は夏場であればモミの木とカニコウモリが群生する場所であるが、今は一面雪に覆われている。
左手に高ノ瀬方面の長い脊梁部が木々の間から見える。

11時になると左手前方のモミの間から三嶺の大岩群が見え隠れしてくる。登山道を外してよく見える場所に移動、
今までこの辺りから三嶺の南斜面を見たことがなかったので感動した。


11時15分有名なマユミの古木に到着。雪が深くてどうしようもない時はここから右手へトラバースして裏側へ
回るつもりであったが今日は大丈夫みたいなので直進する。


このマユミの大木を過ぎると祠のある大岩が右手にあり、雪を被った木々を抜けると一気に視野が広がる。

 
    三嶺本体への尾根に入る                    左手前方に三嶺の大岩が見える

 
   11時15分 マユミの大木に到着                 右手の祠のある大岩を過ぎると景色が開ける

ようやく三嶺の最後の詰めである。右手斜面は雪で一面覆われて真っ白だが、その上方に立ちはだかる岩壁には
低木が密生し雪があまりへばりついていない。
振り返るとマーシーさんの背景に次郎笈と剣山がセットで登場して
いる。


11時35分斜面の上部に若い単独の先行者が見えた。若い登山者に飢えている還暦のオジサンはなるべく怖がら
せない様に話しかける。
香川高松の宮脇さんで駐車場に前日から泊まりこんで、今朝トップで初めての三嶺を目指
したらしい。どおりでトレースがヘンな方向に振ってた筈だ。


更に初めて見る鹿対策のテキサスゲート付近で途中、若者をかわした高松の細川さんと言われる方と合流。三嶺が
60回目と言うこのベテランと一緒に山頂池に這い上がる。


 
さあ 三嶺最後の詰めに入る                                  次郎笈 と 剣山

 
  斜面上に若者が先行していた                       これがテキサスゲートなの?


           おじょもさん達の時に比べると沢山笹が見える

 
     三嶺が初めての宮脇さん                    三嶺の名物、大岩
 


 
   近寄ると結構斜面に雪が残っている                      ベテランの細川さん

11時06分三嶺平原に這い上がると真っ白な雪で覆われ、池の境界すらはっきりしない。以前紫雲さん、与力
さんと来た時に彼らが乗った後を確認して池の上を歩いた。今回もマーシーさんを先に氷に乗って貰い氷の安全性
を確認後いざワレも乗らん!


この儀式を無事終えた後、山頂を目指す。崖の左端を縫って山頂へと至る登山道の左右にはコメツツジが雪を被
って伸びている。その右手に広がる三嶺平原は所々に風紋の段をつけて一面を真っ白に輝いている。


くだんの若者・宮脇さんは写真が趣味で感動の風景に没頭しており、Falcon さんとイメージがダブる好青年である。
四国の山にもこういう若者が沢山来て欲しいと思う。

山頂には恐らく高知側か天狗方面から来たであろう人影が確認出来た。山頂直下ですれ違うと光石から来られた
ご夫婦だった。三嶺は雪景色もマズマズだが秋の景色が一番素晴らしい。


 
     山頂池のマーシーさん                     どこが池だか雪で境はわからんけど 池の上やで


 
   コメツツジの間を山頂へ続く道                     白髪山への高知側縦走路


                            三嶺

       
                    三嶺への道

 
      光石からの登山者                        もうすぐ山頂や〜


                 風が作る柔らかい模様


                    三嶺平原


     塔ノ丸          丸笹山              三嶺山頂から次郎笈・剣山


12時20分大展望の三嶺山頂に到着。強い春の日差しを受けて一部雪が解けて土が見えている。お決まりの
記念撮影をして4人で少し会話を楽しんでいると、西熊山方面からスノーシューを履いた登山者が現れた。
雰囲気的に「趣深山さんですか?」と聞くと間違い無かった。趣深山さんは四国の山歩きや山
HPを代表する方で、
特にこの山域では毎週牛の背〜三嶺を縦走しておられる。
HPの内容も唯一社会派と言われる孤高のジャンルを
構築されている。


嬉しくなって記念写真をお願いする。当然私みたいな出しゃばりでないので自主的に後姿だ。その後、少しの
時間ではあったが山のお話を伺った。貫禄もあって声も良い。聞くと私とは同い歳ではないか・・・ 神よ 
何故この様な差をつけ、不公平に人間を創造されたのですか?


天を恨みながらも13時前になったので、この神の傑作・趣深山さんと別れて神の駄作・エントツ山はマーシー
さんと三嶺避難小屋へ食事の為に走る。


避難小屋に入ると途中で追い抜いた徳島の二人組と先ほど山頂直下でお会いした高知のご夫婦が昼食中で、混成
4人組も中に入る。

バーナーを使ってお湯を沸かしている人達もいるが、こちらはどうせカップラーメンなので山専用ボトルで昼食
にする。やはり山専用ボトルは保温力が違う。



    天狗塚〜牛ノ背への縦走路      石鎚山系まで見える


 
      三嶺山頂にて                          Falcon さんみたいにカメラを構える宮脇さん

 
       マーシーさん、宮脇さん 、細川さん                     趣深山さんと記念写真

 
   趣深山さんの歩いて来たルートを振り返る                  三嶺避難小屋へと向かう




平尾谷川・北尾根へ


さて未知の下山ルートの事もあり、13時40分、外に置いたアイゼンをザックに収納しスノーシューを着ける。
尾根には雪の吹き溜まりがありスノーシューの方が有利なのだ。


「北尾根へ行きます」と言うと徳島のベテラン登山者が「ピーク手前を左へ進む」ようにアドバイスを受けた。
やはり我々が癒しの温泉郷へ下ると思ってる様だった。とりあえず礼を述べて先を急ぐ。


三嶺の北東部から北に伸びる尾根へと進む。この尾根はいやしの温泉郷へ至るルートである。少し斜面を降りると
鹿防護ネットが敷設されていた。こういう活動に従事されている方は大変だなあと思う。


潅木の斜面を1791mピークのコルへと雪まみれになりながら下りて行く。このピークへは踏み跡らしき物が
見受けられた。途中で左へ巻く赤テープがあったのでそれが癒しの温泉郷ルートだろう。


14時22分1791mピークに到着。振り返ると三嶺の北斜面が一望出来てすこぶる気持ちが良い。

 
  1791mピークへと下りていく          ここは晴れていればルートはわかりやすい

 
    はっきりした尾根を進む           どんどん下りる (おじょも風表現)


           振り返って三嶺を見上げる

 
   尾根には雪がたっぷり残っていた         1791mピークへのコルに向かう

 


         1791mピークより三嶺を振り返る

問題はこの1791mピークの先である。地形図では尾根が三方に分かれており、この右端のピークへ直角に
曲がって進まなければ「平尾谷川・北尾根ルート」には乗れない。


ここは上手く回り込み、更に素敵な雪尾根を一気に下っていくと14時30分地形図にある1569mの平地
に到着した。この平地が又素晴らしい場所でダケカンバが左斜面に林を作り、右手の行く手には次郎・太郎が、
正面には黒笠山から矢筈山が連なっている。


平地の右手へと下がって行くと、14時46分鋭い傾斜を持った箇所があり、ここでスノーシューを外し
アイゼンに代える。ここはいざ下りてみるとそんなに危険はなく直ぐに下側の巨木広場に下り立った。


 
           素晴らしい雪尾根だ                    快適に尾根を下る

 
スノーシューが活躍 左:エントツ 右:マーシー            14時30分 平地に出る


                    この尾根にこんな広場がるんやで


                   白骨樹が美しい風景だ


                   ダケカンバが美しい風景

 
14時46分 崖の様な斜面に出くわしアイゼンに履き替える           アイゼンの装着に慣れたわい 


15時に岩が現れ、熊の冬篭りに格好の岩室があり急いでその場を立ち去る。直ぐに細尾根となり大岩を右手
にトラバースする。尚も細尾根が続き同じく15時25分大岩をトラバース道を探しながら下っていく。


15時34分右手が切れ落ちて、抜群に見晴らしが良い展望所に出た。雪はまだ残っているものの、土が霜の
跡みたいにボコボコに柔らかい。ここで小休止してアイゼンを外す。


 
        巨木広場                          なかなかの景色ですなあ

 
     細尾根気味になる                     15時25分 大岩が現れ右側をトラバースする

 
           ヤギの尾根もあるでよ              鋭い岩尾根


    15時34分    見晴らし尾根に出た   左正面が塔ノ丸

この見晴らし尾根からの景色は平尾谷川から祖谷川本流が谷間を刻み、その奥には次郎笈・剣山が聳えいる。
平尾谷川の正面には塔ノ丸が珍しく縦に見える。

向かいの「平尾谷川・南尾根」は相当低い位置で稜線部が良く見える。この尾根も歩き易すそうだ。
15時47分 前方に見えていた風車のポールの様な白骨林の横を抜ける。すぐに又暗い樹林帯となり植林
が見受けられる。


16時20分本格的な植林地帯となり、歩き易い作業道を兼ねた稜線部を更に下って行く。

16時40分崖部を下に見える沢へと下る。渡れそうな場所を探してこれを渡り、鉄柵のある土捨て場の様な
場所を横切り、登山道に復帰。16時50分名頃登山口に帰り着いた。



         右手下側に見える「平尾谷川・南尾根」  北尾根の方が標高は高い様だ

 
 15時47分  風車の軸の様な白骨樹                 すぐに樹林帯に入る
b


 
   植林の急坂を下りる                         16時40分過ぎ 沢を渡る

 

 

     16時50分 名頃登山口に帰り着く               あんりゃ  おまはんはシロじゃおまへんか


恐らく今期最後の雪山となる締めくくりで「三嶺」を歩けた事と、平尾谷川・北尾根を初めて歩けた事をマーシーさんと共に喜び
帰りにシロにも挨拶が出来て満足の一日であった。



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