平成20年11月30日 イノシシ達の三嶺登山
名頃ー林道終点ー四ツ小屋谷川ー三嶺南東尾根ー三嶺ー北西尾根ーふるさと林道
平成20年11月30日 四ツ小屋谷より三嶺へ
メンバー:紫雲・与力・ペーコ・マーシー・ランボルギーニ・エントツ山・案内犬チビ(シロ) 計 6名と1匹
カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図 (この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000
(地図画像)を使用したものである )
名頃 (0740h)ー林道終点(0900h) ー四ツ小屋谷 (0920h) ー 南東尾根取り付き (1010h) 三嶺 (1200-1240h)
ー
北西尾根・獣道十字路 (1330h) ー 見晴らし広場 (1350) - ふるさと林道車デポ地 (1510h )
久し振りに紫雲さんから連絡を頂いた。
我々には色々な人生模様があり、山歩きは趣味である以上それどころでは無い状況に陥る時期がある。人はそれを乗り越えた時に
又山へ復帰する。家族、健康、仕事 経済、その他精神的余裕など色んな条件が揃わないと趣味というものは後回しになる運命にある。
場合によってはあっけなくその終焉を迎えるのだ。
また 趣味があるからこそ人生が潤うっていう一面もあり、それが一定の人生の枠内に納まりしろがあれば生きる活力とさえなる。
だから生活の枠が他の深刻な要素によってオーバーフローしなければ山登りというものはいつも我々の人生の一部を占める。
いつまでもそうありたいものだ。
その紫雲さんから山行きの連絡を頂いて大変嬉しかった。与力さんと四ツ小屋谷から三嶺へ這い上がると言う。
マーシーさんに声をかけるとランボルギーニさんも誘うと言う。それならとペーコさんにも声をかけ一年ぶりのメンバーが揃った。
マーシーさんとランボルさんは前夜から名頃駐車場の休憩所にて泊り込み、私は紫雲さん、与力さんと当日07時いやしの温泉郷で
待ち合わせて車を三嶺北西尾根の下山場所辺りにデポして名頃へ向かう。
07時30分 名頃登山口に着くとペーコさんも既に着いており、全員揃って準備にかかる。するとそこに白い犬が勢い良く走って来た。
「チビ」(別名シロ)と呼ばれる三嶺の案内犬だ。07時40分 七匹のサムライが三嶺を目指す。
数年前の台風による大雨で通行不能であった林道は見違えるように復旧工事が進んでいた。ショートカットルートを進み、一般道登山口
に着くと、あれ?数台の車が駐車しているではないか! 確か下の登山口駐車場からは通行止めになったと聞いていたのだが・・・・・
我々は一般登山道を上がらず、林道を最後まで詰めるのだが、シロは既に林道を先に歩いている。何故 我々の行くルートを知っている
のだろう? 不思議な犬だ。
09時懐かしい林道終点の東屋に着き、いよいよ四ツ小屋谷へと下りてゆく。
名頃から登山道に使う林道は復旧作業が進んでいた。 更に林道を進む 雪が薄っすら積もっている。
林道最終地点の休憩所 四ツ小屋谷まで下がる
四ツ小屋谷は以前、ここから白髪避難小屋ーカヤハゲー三嶺の周回をした事がありうっすらと記憶がある。落葉した木々が
谷を明るくして冬枯れの沢筋を上流に向かって歩く。
最初は平坦で快適であったが、途中から谷が少し深くなると崩壊している箇所も目立つようになりルートを選びながら歩く。
先ほどまで前を走っていたシロは姿が見えない。
巨大な白っぽい岩が屏風の様に構えている場所から左岸へと渡る。崩壊の斜面を進むと先頭のマーシーさんが行き詰まり、右岸へ
渡り返す様手振りで指示が飛ぶ。 総じてこの沢にある石は縦に薄く剥がれる様な変性岩なのであまり滑る事はないが、この場所
では斜めに傾いた滑りやすく平たい岩畳を更に上の岩へと這い上がる危険な箇所があり、高度差もあり少し緊張する。
四ツ小屋谷を歩き出して50分程で川が二又に分かれている場所に到着。(10時10分)
先頭部隊が渡渉する。 シロは既に渡って待っていた。 四ツ小屋谷川に沿って上流に進む
川床が流木や崩壊土砂で結構荒れている 巨大な岩があちこちに見られる
四ツ小屋谷川の両サイドは地盤が弱いのか大岩が川床に沢山転げ落ちている
川床を進めない場所は斜面に沿って進む この大岩手前が唯一の難所だった
四ツ小屋谷を振り返る
岩は雲母の様に薄く剥がれる様な変性岩が多い この上流で谷が左右に分かれる
四ツ小屋谷の沢が二又に分かれている場所で休憩し、GPSと地図を確認。するとシロが二又の正面に見える尾根に取り付いて
登って行く。マーシーさんが左側の沢をもう少し詰めて右手の尾根に這い上がろうと提案。 うん うん それも良かろう!
すると与力さんが地図を見せながら、二又正面の尾根に乗って行く方が簡単と更に提案。 ウン ウン それも説得力十分!
(主体性の無いボクちゃん ) 結局シロが這い上がったルートに決定! わんわん それが(犬命)ケンメイなルート〜
ヒメシャラとモミの幼木が生い茂った斜面に突入する。
沢が二又に分かれる正面の尾根に取り付く事に 四ツ小屋谷を振り返る
ヒメシャラとモミの生い茂る快適な尾根 メタボ対決! マーシー腹の勝ち
冬の散歩道 別な尾根筋が見えるけど・・・ 縦走尾根かなあ?
三嶺から南東に伸びるこの尾根は道はないけれどスペース十分で歩き易い。 が・・・・ 急登に続く急登の連続で結構キツイ。
気の合う仲間で色んな雑談をしながら退屈を紛らわす。全く普段の生活に接点が無かった人間が山のネットで知り合い、旧知
の間柄の様に親しく一緒に歩く。考えて見ると不思議な縁だ。
次第に樹林帯が薄くなり、一部スズタケの様な嫌な藪もあったが、やがてカヤや笹が現れて来た。先ほどからシロが何処ともなく
又現れて雪を食べたり火照った体を雪上に転がしている。ポカリスエットを手酌で差し出すとペチャペチャと舌ですくって飲んだ。
辺りはガスで覆われ展望は無い。霧氷が付く潅木地帯が終わると剣山系の特徴である背丈の低い笹原となった。獣道が行く筋
にも伸びて歩き放題だ。コメツツジの霧氷が現れ稜線がもう近い事を告げる。
四方に散開して歩くが、ガスが濃いので何処に居るのか位置がよくわからない。でも誰もGPSや地図を見ない。ここはそういう
重要なターニングポイントではないのだ。どこに居ようがこのまま上を目指せば自ずから登山道か稜線へ飛び出す。みんなこの
事をわかっている。
シロが前から現れる ヨォ〜 まだ居てくれたのね
しかし急な傾斜だ事 マーシーは左に、与力さんは中央を、私は右手に散開
「紫雲さ〜〜ん 大丈夫〜?」 「もうヘロヘロですわ」 コメツツジが現れた! 稜線は近いぞ
ただっ広い笹原の急斜面をひたすらに這い上がって行く。シカの獣道と思われる笹の分け目を拾いながら天を目指す。すると
霧の中から突然大岩が現れた。 う〜〜ん この大岩はカヤハゲコースの終盤付近にある形と似ているが、当然縦走路では
ないし・・・・・ 名頃からの一般登山道の最終近くにある大岩でもないし・・・・・ 一体何処や?
シロに聞こうとしたが姿は既になかった。
廻りを見渡しても登山道の様なものは無い。霧の彼方に薄っすらと見える景色にも見覚えが無い。 取りあえず上に登りましょ
大岩を左に巻いて、垂直に近い様な傾斜を這い上がり岩の上に出た。 う〜〜ん そこにも道が無い。
でも霧に霞むその上側がどうも稜線っぽい。少し這い上がると1200時に三嶺山頂近くの登山道に出た。
あれ? 大きな岩が現れたぞ 右手の風景にも心当たりはない
みんなが真剣にルートを検討している時に一人呑気に 崖の様な傾斜を這い上がる
ツララを捜して食べようとする紫雲さん
大岩の上から眺める どうもその上が稜線っぽいぞ 三嶺山頂近くの登山道に飛び出す
三嶺山頂へは北西尾根へ下る時に通過するので、避難小屋に入って昼食を取る事にして登山道を下る。残念ながら池と小屋
のコラボレーション風景は霧で見えない。池に近づくと何と与力さんが氷の上を歩いているではないか。 これは危険だ!!
先日 危険予知講習を受けたばかりの私は与力さんの暴挙に思わず大声で叫ぶ 「もう一人乗ったら 私も乗ります!」
と言う訳でペーコさんが乗り、紫雲さんが乗り、更にメタボ・マーシーも乗った。ビクともしない・・・・ これを見たチキンハートの
エントツ山とランボルが後に続く。
マーシさんが乗る時ちょっとミシミシと音がした どうや! 写真だけなら二番煎じとわからんじゃろ
三嶺避難小屋に入ると先客があった。ご挨拶をして向かいの板間に上がり昼食とする。後から入って来た与力さんを見て高知の
女性から声がかかった。知り合いだったみたい。
我が隊では気の利く連中は魔法瓶にお湯を持って来ておりカップラーメンを作る。私はおにぎりオンリー。でもウィスキーの小瓶を
持って来たのでペットボトルのフタに注いで皆で乾杯〜〜! 今年も充実した山歩きが出来た事を感謝。
ふと隣を見ると火を焚いて(薪ではありませんよ)鍋やビールで豪華な食事会をやってるではないか。食材やお酒の種類も沢山だし、
女性も多いし何だか華やかで楽しそう。高知のグループは不思議と男女混成が多く酒宴が大のお得意みたい。
それに引きかえ、こちらは色気とは縁遠いし、貧相な食事だこと・・・・・
山の楽しみ方のある部分において完全に敗北を期した我々は 12時40分 すごすごと避難小屋を退散する。
ウィスキーで カンパ〜〜イ 高知のチーム「おおよそ」の皆さん
外に出ると幾分天気は回復気味で、先ほどよりは見通しが利くようになっていた。池が見える場所まで出ると先ほど這い上がって
来た大岩が山頂に向かう南側の崖に見えた。 はれ〜〜 あんな所から這い上がってきたんじゃわい
高台から池と小屋が見えるのを待つがいつまでたっても霧が飛ばないのであきらめて山頂に向かう。笹ヶ峰ほどではないけれど
コメツツジの霧氷がサンゴの様で素晴らしい。雪はそんなに降っては居ないが掘れ込んだ登山道には結構深く残っており、斜面
ではツルツル滑る。
13時05分 霧の三嶺山頂に到着する。
更に回復しかかった南側の風景は霧に包まれて幻想的だった。東の端に出ると先ほど這い上がって来た南東稜線が大岩から
急な角度で四ツ小屋谷へと落ちている。見るには美しい光景だが、這い上がるのには大いに息が切れたわい。
一瞬 池と小屋が見えた あ〜〜 あの大岩の上に這い上がったんじゃ〜
池と三嶺山頂 山頂へ向かって歩く
四ツ小屋谷から這い上がってきた尾根の全景
日差しに輝く霧氷
三嶺山頂標識 縦走路へ向かって歩く
マーシー 紫雲 与力 ペーコ エントツ山 ランボルギーニ
山頂で記念写真を撮った後、時間は早いが北西尾根へと向かう事に。三嶺北西尾根は言うなれば三嶺通(ツウ)の登山者が利用する
ルートで明確な登山道は無い。でも獣道があるし嫌なスズタケや笹薮もあまりなく、比較的安全で静かな山歩きが出来るマニアック・
ルートみたい。
一旦1,808m峰手前の窪地に下がる。 ここは獣道の十字路と呼ばれているらしく信号はないが大きな獣道交差点となっている。
北西尾根へ向かう 霧氷の向こうに薄っすらと下界が見え出した
霧氷越しの 1,808m峰
晴れそうで晴れない霧 北西尾根 獣道十字路
この獣道交差点から1,808mピークに上がると北西尾根の全貌が眼下に現れる。それは実にたおやかで、石鎚山系の様な細尾根では
無い所が道迷いを誘発させるのだろう。でも霧で視界が悪い場合を除いてふるさと林道からの距離も短いのでひたすら上を目指すか、下を
目指せば良いと思う。
剣山系の山々やピークはそのたおやかさの故に特徴が無く目標となりにくい。慌てずに数時間後に出会う稜線や林道を期待する事が
肝要みたい。
眼下の灌木地帯は正面から入り込むとちょっと難儀するとの経験者の助言で右側から回り込む。それでも直ぐに樹林帯に入るのであるが・・・・
樹林帯の中も冬場は笹が低く比較的歩きやすそうだった。美しい霧氷の樹林帯を抜けると眼前が開けて美しい見晴らし台が現れた。
三嶺北西尾根
樹林帯に右側から回り込む 樹林帯に入る
樹林帯を抜けると開けた丘がある 三嶺への尾根を振り返る
一見牧草地の様にこの空間だけは笹原となっており樹木がない。 この為西熊山方面も良く見えて清々しい気持ちになれる広場だ。
所々に形のすこぶる良い大木が在り、それに霧氷が付いている。この別天地でしばらく休憩する。
霧氷帯と西熊山
見晴らしの丘で天気回復
霧氷 白骨樹と西熊山
樹氷と仲間達
さて、ここから再び樹林帯に入る。暫くすると霧氷も雪も次第に減って行き平凡な風景になったと思ったらとうとう植林帯に
突入してしまった。植林帯とて明確な道がある訳でもなく、作業道を拾いながら進む。
作業道も無くなり、それでも下がって行くと与力さんが「少し右側にコースが逸れている見たいです」とのお知らせがある。
まあ何処を下りても大差はないのだが、車をデポした西側の尾根に乗るつもりが一つ二つ東側の主尾根を進んでいたらしい。
尾根を一つだけ軌道修正して、後は林道に下りてから少し歩く事にする。
植林地帯を正にテキトーに下っていると、眼下に林道のガードレールが見えた。林道に下り付く場所を探してマーシーさんは
林道に下りて、そこから「こっち側が下り易いですよ〜」と皆にアドバイス。
15時10分全員無事ふるさと林道に下り付き、午後の日差しに照らされたサガリハゲ山あたりを眺めながらデポした車まで歩く。
北西尾根一の巨木 北西尾根の雪もこのあたりまで
前面に植林帯が見える 植林帯をガンガン下りる
植林帯の最後 真下に林道が見える 林道へ下りる
今回も与力さん、紫雲さんのお蔭で非常に面白いコースをペーコさん、マーシーさん、ランボルさんらと歩くことが出来た。それぞれ
個性が違うものの、お互いの山歩きで共感出来る場所、ルートでチームを組める良さを実感出来た一日だった。偶然に出遭った
「三嶺道連れ犬」シロと一緒に歩けたのも又良い思い出となった。
紫雲さん、与力さん、ペーコさん、ランボルさん、マーシーさん 楽しい山歩きをありがとうございました。