平成17年 10月15日ー16日 想定外の登山 一ノ森ヒュッテお泊り登山記
奥槍戸―槍戸山― 一ノ森―剣山―ほらがいの滝コース
想定外の登山 一ノ森ヒュッテお泊り登山記
奥槍戸―槍戸山― 一ノ森―剣山―ほらがいの滝コース


登り 奥槍戸登山口ー槍戸山ー 一の森ルート    (地図作成 国土地理院数値地図50000 
下り 剣山ーほら貝の滝ーおおぼら橋ルート        承認番号 平15総使第634号)


一の森の夜明け 平成17年10月16日

大体にして私の山歩きにはその大雑把な性格が原因で「想定外オバケ」にとり憑かれるのが宿命である。今回は大学時代の
同級生をそれに引き込んでしまったというお話。

恒例のオータム登山は「一ノ森ヒュッテ」で一泊とサマンサが計画。案内を出すが、徳島のシッタカブッタが修学旅行引率の後
ポリープが見つかり切除の為欠席、鳴門金時チャックもワラビちゃんも用事が重なった。今回出席は土佐のソクラテスとモネ夫人、
サマンサと少し寂しい。

ならばとて、少数登山を逆手に取ってちょっとマニアックな奥槍戸から槍戸山を経由し一ノ森へ到達し、帰りを剣山から「ほらがい
の滝コース」へ下山と勝手に立案した。メンバーの実力も考えずにちょっとヒネリすぎた感あり。

高知道・南国インターにて高知組と合流してそこから私のナディア一台で行く事に。本来は縦走の場合車2台がいいのだが、久し
ぶりの再会で道すがらの四方山話(よもやまばなし)が第一の楽しみで目的なのだ。南国を出発して大栃方面へ進む。一応案内
はメールしているが、大体が何処から何処へ行くのかも良く知らずにエントツ山任せで安心して付いて来る連中だ。国道195号線
を四ッ足峠トンネルを抜けて徳島へ入り高ノ瀬から剣山スーパー林道へ入る頃になって、「一体何処へ行くが〜?」と不安げな
質問をしてくる。まあ説明してもわからんが一応ルートを述べる。それ以上質問もない所をみるとやはりイメージが湧いていない様だ。

 
徳島県 高ノ瀬峡            剣山スーパー林道 那珂川源流碑

高ノ瀬は大きな岩を伴う渓谷や自然林の紅葉が美しい。しかしスーパー林道は未舗装で入口が狭いときているので対向車が
来ないうちにすり抜けなければならない。一番景色が綺麗な場所がすなわち道幅が狭くて車を停められないと言う「ジレンマ通
り」だ。石灰岩質の岩がたくさん崩れている箇所もあるが、そこをやり過ごすと道幅が急に広くなり運転しやすくなった。

細かい雨が時々降りおまけに霧が深いが、紅葉も少し見られて全員悪路に揺られながらも四国の奥深い自然を満喫する。
剣山トンネルまで後何キロという標識をカウントダウンしながら那賀川源流の碑を過ぎ、トンネルをくぐると、「奥槍戸山の家
界隈の広い場所に出た。ここは次郎笈への登山口になっておりトイレなども設備されている。山の家は土曜日と言うのに雨が
降りお客も見込めないので閉店していた。ここで地図を確認して「おおぼら橋」へと下りていく。橋の手前がヘアピンカーブで道
が右に下がっており、さっそく行き過ぎて又引き返す。先ほどのヘアピンコーナーを直進するとすぐ「おおぼら橋」があった。

 
雨に煙る「奥槍戸山の家」           奥槍戸 槍戸山登山口

「明日我々はここに下りて来る事になるでしょう」と予言をして槍戸山登山口を目指す。
その時にはこのおおぼら橋の奥にある沢の様子を知る由もなかった。槍戸山登山口までは結構道が悪く遠い。がけ崩れなど
もあり同乗者に不安の色が見える。曲がり角の度に登山口が現れる事を期待しながら何度も裏切られ、やっとグランマー啓子
さんの写真に出ていた電柱と小屋がある登山口に着いた。

驚く事に、この時点でも高知組は「一ノ森ヒュッテ」がこの登山口辺りにあるのだろうと信じていたのだった。 「ここから雨に濡れ
ながら槍戸山をやりすごし、その向こうのお山の天辺にあるヒュッテまで荷物を持って歩いていきます」とリーダーの残酷な説明。
この大きな想定外1に慌てて、持っていく荷物を吟味する高知組。そりゃ〜麓でのお泊りと山頂でのお泊りとでは雲泥の差がある
。気の毒な事だ。

     
            登山道の黄葉  ここから獣道を上がる

山頂で一泊って事は、当然着替えとか諸々をリュックに詰めて背負わなければならない。救いは食事と水がヒュッテで調達できる
事だ。これは大きい。避難小屋などの泊まりだと、それに加えてナベ釜、バーナー、食料、寝袋背負って大変な荷物になる。土佐
のソクラテスはペットボトルに忍ばせた「命の水」すなわち焼酎があればそれで良いって雰囲気。

出発〜。 最初はテープに導かれて快調に登る。そのうちあれ? 道が無い? 土佐のソクラテスと手分けして左右を探すが明瞭
なる道がない。磁石を忘れたのでGPSで方角を確認。「ここを登ります」とリーダーの声。要するに西北西に向かってまっすぐ上に
獣道がある。道が無くともこれを尾根まで登れば自然に登山道に合流するはず。運がよければ尾根の手前で登山道に合流。

間違いない! 一同この想定外2讃岐富士さん的獣道歩きに絶句するが、リーダーはさっさと真上の獣道に登ってしまった。 
こんな所で放っておかれても大変とばかりに仕方なく後に続く哀れな従者達。諦めてついて来る仲間の不安を取り除くべく地図を
広げて進行方向と方角を説明するが、不安な顔でうなずくばかりで精神安定剤の効果は全く無かった。こういう時は「黙って俺に
ついて来い」だ。

 
やっとまともな道に出たのね         テープがある正規の登山道に出る

案の定20分くらい獣道を這い上がると左から登山道が右に抜けていた。急に元気付くヘナチョコ登山隊。でも尾根に出てからも
この登山道は山歩きの経験が少ないインテリ連中には結構長くて辛い。例の如く、あの尾根の向こうが槍戸山でしょうと言うリーダー
のハッタリは3〜4度皆を元気付け、すぐさま同じ回数だけ落胆させた。

     
       お決まりの大好きなアングル  ブナはいいねえ

槍戸山経由一ノ森コースはダケカンバの紅葉が美しく、しばらくすると岩肌と五葉松の雄大な景色となる。雨を避ける為大きな
五葉松の大木の下で初めての休憩。明日下るであろう霧で霞んだほら貝の滝への斜面にはまばらな紅葉がかもし出されている。

 
ダケカンバが黄葉した尾根に出る     五葉松やモミがある尾根道

さて休憩後しばらく進むと例の岩を巻く難所がやって来た。そこはちゃんと安全に丸太を何本も組んで足場を作り、ロープまで
張り巡らしてくれている。まあどうって事の無い場所なんだが何せ「箱入りおばさま」達の想定外3難所・断崖絶壁(?)で上品
そうに驚く様子が又すごい。ここは笑いをこらえながらも一応心配そうな顔つきをキープしなければなならい。そこをクリアーした
あと今度はスズタケの滑りやすい斜面が待っていた。ここはすべっても転んでも命に別状がないので無視して先を進む。最後の
急斜面を登ると、見覚えのある倒木がありやっと槍戸山に着いた。

 
これでも一応難所らしい           もうすぐですよ 槍戸山

 
槍戸山にやっと到着                 シェー仲間を増やす 

ここまでくれば一安心。夏に日の出を見にきた白骨林と再会。見ると前回は一面の笹薮だった箇所が綺麗に刈り払われている。
後で聞くと一ノ森ヒュッテの内田さんの手によるものだった。(感謝)目標が見えた「重箱入りおばさま」コンビが急に元気付き先頭
を歩く。こちらは「室内犬」をもう放し飼いにしても大丈夫そうなので白骨林に絡まった蔓の紅葉などを撮りながらゆっくりと後を追う。
登り坂でまた追いついて一ノ森まで先導。

    
      槍戸山って素晴らしいでしょ?

      
                  槍戸山 風景

 
一の森への尾根道             土佐のソクラテスがおもちゃを見つける

     
             槍戸山の小さな黄葉

     
      土佐のソクラテスが気に入ってくれたダケカンバの黄葉

 
    槍戸山がガスに覆われた        一の森 三角点に到着

雨足が強くなった頃やっと「一ノ森ヒュッテ」にたどり着いた。ヒュッテ玄関で訪問を告げると管理人の「内田さん」がねぎらいの言葉
と雨に濡れた雨具の置く場所をテキパキと指示してくれる。
ヒュッテの部屋に入ってちょっとびっくり。暗くて狭い部屋に3段ベッドが両側に並んでいる。まるで軍隊の宿舎だ。朝起床ラッパが
こだますのだろうか?

最初はその寄宿舎かタコ部屋みたいな様子に面食らったが、良く考えるとどんなに混んでも一人分の布団と寝るスペースが確保
されているって事だ。これはいいかも。でも 憩いの団欒(だんらん)のスペースが・・・・  心配ござらん

管理人の内田さんが「雨に濡れて寒いでしょう。お風呂を沸かしましたので狭いですので一人づつお入り下さい」という。助かる〜。
体が冷えて湯船につかるだけでもありがたい。一泊2食で7千円、それにお風呂まで・・これは安い!

夕食まで狭い部屋にも居られないので着替えのあと食堂に下りてコーヒーを貰うことに。ここのコーヒーはおいしいって定評がある
のだが・・・サマンサが内田さんにコーヒーを下さいって頼むと、そこにありますのでセルフで入れて下さいと言われて4人分ドリップ
コーヒーを飲む。私は食べるもの、飲むものは全てがおいしいと感じるので微妙なる味の良し悪しはわからない。後からそこにある
メモを読むと一杯400円とある。それを見てちょっと苦味が走った事は事実だ。

 
一の森ヒュッテでの交流         内田さん(立っている)と早田(そうだ)さん    

食堂には他のグループもおり、上空の気圧配置図などを見て明日の天気を色々検討している。物好きなグループもいるものだ。
さあ時間は早いけどする事がないので夕食〜。先ほどのグループと一緒に野菜の煮物、湯豆腐、特性おこげご飯、そば米汁。
わいわいみんなと打ち解けて会話が弾む。 どうも先ほど気圧配置図などを検討していたグループが「徳島県勤労者山岳連盟」
の人たちだという事がわかった。

食事のあと、知らぬ間にこのグループと打ち解けて配られたプリントの山の歌をみんなで唄うことに。この予期せぬ嬉しい想定外4
 山小屋の歌合戦
に管理人の内田さんも加わって楽しい時間を過ごした。

私の隣にいて山の歌の歌唱指導をしてくれた早田(そうだ)さんという人は徳島の1000m山の解説本を出されて、又山渓の新分県
ガイド「徳島県の山」のトップに徳島県の山解説をしている人だった。その上に彼は何と我々の大学の後輩で、さらに「土佐の仙人」
さんのワンゲル部後輩である事もわかった。 
楽しい語らいを終えて翌日の日の出を見る為に早めの就寝。強く雨が降る音が遅くまで聞こえた夜だった。

  
       一の森からの雲海  遠景

翌朝起きると風が吹いて雨が止んでいた。日の出の写真撮影の準備をしていると管理人の内田さんが「もうすぐ日の出ですよ〜」
と宿泊客に声を掛けてくれている。一ノ森ヒュッテの庭からでも充分日の出が楽しめる事が出来るのだが、どうも手抜きのような気
がしてヒュッテ横の笹原や山頂あたりをウロウロする。最初剣山方面の雲が紅に染まり、日輪が顔を出すあたりの雲が鮮やかな
オレンジに輝いてきた


       一ノ森の夜明け  ピンクに空が迫ってくる


。その前では重なる山並みの上昇気流に乗った雲が暴れている。大量の雲が剣山方面から流されてきて丁度ヒュッテの下で巨大な
滝となり切れ落ちていく。この想定外5 日の出と雲海の躍動美と神秘さに目を奪われる。


            一の森の夜明け


         重厚な雲海が生き物の様に流れていく

 
        流れる雲  暴れる雲   おぼれる山

写真を撮り終えてヒュッテの中庭に帰ってくると、土佐のソクラテスとモネ夫人はヒュッテのベランダからお手軽にこの光景を眺めている。
やはり未だ完全な山男・山女にはなりきっていない様だ。

       
        一の森ヒュッテの守り神 (ソクラテス撮影)

   
 一の森ヒュッテで 管理人の内田さんと   お世話になりました

  
      一の森 山頂にて 来て良かった〜〜

その後朝食をまた和気藹々とみんなで食べて、剣山へ向かう。天気は凄く良く昨日と打って変わって空気がキラキラ光っている。
殉難碑を過ぎて二ノ森のピークを歩く姿には昨日の足の重さは見られない。振り返ると前日は霧で見えなかった一ノ森から槍戸山
にかけての白骨林の全容が姿を現す。

  
           剣山への尾根道

やがて剣山に近づくと木製デッキのうえで一人のもの静かな男性がたたずんでいた。カメラを持っている様子だったので「いい
写真取れましたか? 雲海良かったですねえ」と今朝の共感を期待する。その方は朝暗いうちに見ノ越から歩いて登って来たと
いう。「ホームページをされていますか?」「はい」「エントツ山さん?」「はい あなたは?」の問いかけに一瞬ためらっている。
そりゃそうだろう。「あん?」「のんびりです」「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
なんと想定外6 のんびり師匠に遭遇

 
二ノ森 山頂 (単なる尾根の通り道)   剣山手前の展望所

 
のんびり師匠と感激の対面          雲海をバックに のんびり師匠と

のんびり師匠は同じ時期にHPを始めたのだが、HPの事、山の事を先輩として初心者の私にいろいろメールでアドバイスして
くれた心の師匠などだ。

想像するにもっとでっぷり太って偉そうなオッサンだとばかり思っていたら、何ともの静かなインテリ風のジェントルマンじゃあり
ませんか? 二人で話をしながら次郎笈側のデッキまでのんびり散歩する。「石鎚探しているのですが」「あれが石鎚ですよ」と
三嶺の右に雲の上から島の様に浮いた山頂群を指差して教えてくれた。石鎚のほかにも色々見えたが、石鎚だけははっきり形
がわかる。


  三嶺の右側に石鎚が見えた〜 (のんびり師匠に教えてもらう)

そのうち、のんびり師匠は中からハトが飛び出してきそうな手品師風の大型カメラを出して、今は何故かロープが張られて
しまったその外にある大岩の天辺から次郎笈を撮影している。ダイナミック〜
そのあと「今からほらがいの滝」へ下山しますというと「その下山口はとっくに過ぎていますよ」って分岐場所を教えてくれた。
やる気の割には無知なボクちゃんバレバレ・・・・


   ハトが飛び出す手品師カメラで次郎笈を狙う「のんびり山歩師匠」

頭をかきながらのんびり師匠と別れ、世にもへなちょこな登山隊を引き連れていざ オベボ〜〜〜 ほら貝の滝へ

剣山の山頂から約1時間は相当快適な道だった。左手には一の森と槍戸山、右に折れると今度は次郎笈。それぞれが
いつも見る角度とはまた一味変わったパノラマ風景。道も広いし安心感一杯でどんどん高度を下げていく。
やがて一つの崩壊地が現れ、その後の歩きに暗雲が立ち込めた。この場所には右側の細尾根に木の梯子がかけられて
難なくクリア。(サマンサはコケる)

 
剣山分岐を下る                 ほらがいの滝ルートへ

 
一の森、槍戸山を左に見ながら下がる  笹とダケカンバなどの雑木


           黄葉に浮かぶ次郎笈

      
   まだ余裕の表情           気持ちの良い登山道

  
崩壊地が現れ、サマンサがコケる(ソクラテス撮影)   ほら貝の滝 分岐

ここを下がると谷部に入り薄暗くうっそうとした沢筋の道となる。道はしっかりあり、ルートを間違う恐れはない。「ほらがい
の滝」があるカーブで先行していた私が荷物を置いて滝を確認に少し荒れた岩場に入っていく。予想通り台風の大水の為
に倒木が覆い景観がいま一つだった。

     
     台風で荒れていたほら貝の滝付近

後続の連中もここで一旦合流したが、足場が悪いので滝見物はキャンセル。それよりこれからの沢道が問題なのだ。
先んじて斥候をしながら道を調べる。一箇所しっかりした丸木橋の高さがありすぎて危険なので、ここは沢に下がって
大きな石を放り込んで渡れるように準備。

 
渡らなかった丸木橋              沢の斜面

この後も「箱入りおばさま」にとって非常に想定外7崩落場所がバラエティ豊に次から次へと繰り出してくる。土佐の
ソクラテスはこの沢の雰囲気が気に入っているようだ。味方が増えて今回は加害者のイメージが少し緩和。土佐のソクラテス
は運動神経が良いとは言えないが予想以上に身が軽く、危険箇所では賞味期限を多少過ぎたお姫様達をうまくエスコート
してくれた。(感謝)

 
  崩壊地を渡る                沢がある度に崩壊地が現れる

それでも滑落すれば20mくらいの谷っていう場所も数箇所あり、注意を払いながらの大冒険が続く。お金をいくら払っても
こんなスリルを味わえる遊園地はどこにも無いぞ。

ほら貝の滝から約1時間歩いて、一箇所大崩落場所が出現してどうしても渡れそうに無い。沢までも相当急斜面で距離がある。
仕方なく上方を渡れる場所を確認に斜面を上がるとそこに道があった。どうもこの崩壊の為に新たな道が付けられたようである
。(でも上に導く標識やテープはない)

一同ほっとして更に進むと、いきなり青いテープに遮られた。そこから左下に向かって沢まで道が下りている。
それまで沢の右岸(下流に向かって右側)を歩くのだが、この場所で対岸の左岸に沢を渡るのだ。地図どおりだとすると出口の
おおぼら橋まではそんなに遠くはない。ホッとしてここで休憩をとる。疲れている様子だがまだ士気(?)は高い。

 
地盤が脆(もり)いほら貝の滝コース      こんなに平たい場所はあまりない

ここから沢を渡って左岸の斜面に付けられた道幅は更に狭くなり、傾斜も谷に向かって急である。お上品な箱入りおばさま達
も顔が固まっている。でもその頃にはエントツ山と一緒に来てしまった運命を享受する心構えもついたのか、呪いの言葉も口に
する事無く滑落の危険に注意しながらゆっくりと進む。

 
最後の崩落地の滝を渡る            バンザ〜〜イ 無事生還〜〜

倒木で道が荒れた路を乗り越えると小さな滝があり、その向こうに日差しで明るく輝いた白い橋の車止めが見えた。地獄
よりの帰還! みなの顔にはそんな安堵感が浮かぶ。こちらはやっと加害者の立場から開放され、一番ほっとした瞬間
だった。他に誰もいないおおぼら橋で万歳四唱〜


でもこの後私には車回収という新たな任務が待っていた。荷物を置いて2ストックで軽快にあるく。 車二台に会ったが
不思議そうな眼で見られた。前から来たバイクなんかびっくりしてひっくり返りそうだった。車では感じなかったが歩いて
みると結構登り傾斜で、それでも急いで車を回収しておおぼら橋に回送。

又 帰りはいつもの四方山話にあけくれて無事帰宅した。

ほらがいの滝コースはそこそこ荒れています。箱入りおばさんには大手を振っては勧め出来ません。でも我々が無事下
山できたという事実がありますので、身軽な人なら全然大丈夫なルートです。リフトを使って剣山へ登るコースには何の
魅力も感じない私の山歩きに文句を言わず付き合ってくれた今回の仲間に感謝。

一ノ森ヒュッテでお会いした管理人の内田さん、食事の世話をしてくれた方々、一緒に山の歌を唄った徳島勤労者山岳
連盟の方々、剣山でお会いしたのんびり山歩師匠、いつも私の山歩きを楽しくしてくれる天候や雲海、自然の移り変わり、
山歩きのハプニングなど数々の想定外の楽しさに感謝いたします



        目次に戻る              トップページに戻る