9月11日「三嶺は遠くにありて登るもの」 菅生(すげおい)いやしの温泉郷コースを登る
(地図作成 国土地理院数値地図50000 承認番号 平15総使第634号)
三嶺菅生(すげおい)コースより名頃(なごろ)コース 略図 (アバウト) いやしの温泉郷登山口ー三嶺 約 4時間 三嶺ー名頃下山口 約 3時間半
あわれ秋風よ 男ありて小雨ふる中 ひとり三嶺に登りて想いにふける 人生苦いかしょっぱいか な〜〜んちゃって 感傷に浸る秋ですね〜
大型台風14号が日本列島を走り抜けた。直撃コースは逃れたものの、大雨の為あちこちの登山道で又もや崩壊が起きた。
以前から三嶺への菅生(すげおい)コース、すなわち「いやしの温泉郷」よりの登山道が気にかかり紫雲さんや趣深山TAKA
さんに登り口の情報を頂いていた。
名頃登山道の様子も気にかかり、久しぶりに三嶺に出かける事にした。去年の台風で潮をかぶり調子がムーチョ悪い自転車を
愛車ナディアに積んで名頃登山口へ。三嶺林道は閉鎖中で、あたりは駐車場の建設の為スペースがない。車を国道沿いの広い
空き地に停める。
名頃登山者駐車場建設現場 名頃登山口 (通行止め)
名頃登山者駐車場、トイレ建設の案内板
自転車で「いやしの温泉郷」を目指し駐車場に置く。(結構距離がある。前の日TAKAさんがここを徒歩で名頃まで帰ったと〜マサイ族
みたいな人やわ・・)去年 いやしの温泉郷に泊まった時にここからの登山口を探したが発見できなかった。やはり登山口はあまりに
も平凡な路地なので紫雲さんやTAKAさんのアドバイスがなければわからなかっただろう。
駐車場上にある路地を左に入る 突き当たりにやっと標識が見える
いやしの温泉郷駐車場から舗装された林道が上に延びているが、すぐ上の最初の路地を左に入る。これがポイント!
民家の下手を抜けると林に突き当たり、ここに古びた標識がある。そこからこの林に沿って取り付きまで歩く。最後の大きな民家を
右手に見ながら植林地帯に入って行く。ここまで到達できれば一安心。あとはほぼ一本道。もしこの後で道を間違う様なら相当勘
が悪く一人での登山には向いていないって事だ。
畑の下側に沿って進む ハデ木の下を進み植林の山に入る
所々に広葉樹はあるものの殺風景な大植林地帯の中をジグザグに進む。途中で2回3本レールのモノレール(?)と交差して、
最後にこの駅が登山道のすぐ右側に見える。モミジガサの生えた斜面を少し歩き見学。紫雲さんやTAKAさんのレポートにあった
が確かに立派な駅じゃわい。
たまに現れる森の精 自然林が現れるとほっとする
羽田空港まで続いてるんだろうか? 駅長はいなかったモノレール終点駅
ここからも相変わらず修験者の道。確かにこれだけの木を植える作業も大変だったに違いない。でもこの単調な植林の中を
延々と歩く登山者も根気がいる。無我の境地で黙々と歩くしかない
三嶺自然休養林 って何じゃろう? 営林小屋跡
倒壊小屋があり、お風呂や水溜めの残骸が人間の営みを偲ばせる。三嶺自然なんとか言う標識をすぎると徐々に自然林が
増えてくる。いいぞ いいぞ
やっと自然林地帯に入る 標高が上がると共に笹が姿を現す
嬉しい自然林の道となり、悟りを求める山歩きから物見遊山の歩きに変更〜。やがて笹が現れ標高が高くなった事がわかる。
大きな岩の上に杉が乗っかっており、根が岩を穿(うが)いて生命力の強さを感じさせている。 左後ろには木々の間から向か
いの山が見え出す。 お〜〜 来て良かった 後半報われるこの登山道
テンニンソウ 花がなければただの藪 倒木も 含めて全て自然林
振り返ると矢筈山から黒笠山への稜線が見える
木々の間から垣間見る山々
笹 岩 コケ 樹木 標高1,500mくらいの四国の山でよく見られる風景
なんじゃこりゃ〜? 岩の上に大木が乗っかっている
平たい笹原に出ると道がわかり辛い。ヒガラの鳴き声が木霊し、沢山の群れが木々の間をせわしなく動き回る。「じっとせんか〜!」
って言っても聞いてくれず落ち着かない連中だ。鳥は木の天辺で鳴いているヤツがいいよ〜ANちゃん
野鳥の森
ヒガラがあっちやこっちやと飛びまわる じっとせんか〜
また青いリンドウの咲く笹の広場に出た。黒笠山方面が見渡せるが雲がかかっていた。この辺りはなぜか道が縦横無尽にあるの
であちこち覗いてみる。東の尾根へその一本が延びていた。そこを進むと標識があり、先のピークを右に迂回するトラバース道に
入る。少し道が下がったりするのでTAKAさんの地図がなかったら不安になってただろう。トラバース道は丁度矢筈山のそれと同じで
、笹の勢いが強いので踏み跡が薄く滑りやすい。でも三嶺の山塊が笹の斜面上方に忽然と現れ、このルートの終焉が近いことを告げる
景色が開ける 笹原の広場 道があちこちに延びている
鹿の皮剥ぎの木々がたくさん トラバース地点の標識 (右に迂回)
トラバース路を進むと いきなり三嶺の山頂付近が見える
トラバース路を尾根筋に回りこむと、又古ぼけた標識があり、こちらから見るとトラバースをしないでピークを越えて行けそう
であった。次はそうしよう
下界も開けて見える トラバース斜面道は笹が滑って歩きにくい
トラバースから尾根に出ると標識が シコクブシの咲いている尾根
シコクブシ
コメツツジと笹の開けた北側尾根があの単調な植林地帯をガマンした山ノ神からのご褒美だ。紅葉し始めたコメツツジ
を両サイドにほぼ一直線に上がると見覚えのある標識が現れた。三嶺の避難小屋横に出る。
山頂への道 もう少しじゃ〜
ここに上がって来た〜 すぐ左に三嶺避難小屋がある
登って来た登山道を振り返る
菅生登山道はここへ上がってくる 池を通り越して三嶺山頂へ向かう
三嶺の風景の美しさは山頂への途中から振り返ると実感する。最初に来たときにこの景色をみて息を呑んだ。切れ込んだ
断崖絶壁の要塞の上に広がる平たい笹原、池、スロープ。瓶ヶ森も隆起平原で氷見二千石原が山頂直下に広がるが、少し
趣が違う。厳しさと雄大さと優しさが混在し、石灰岩質の岩が緑やコメツツジの紅葉を余計に引き立たせる。
三嶺 遭難碑から見た風景
三嶺への登山者に強烈な印象を与える風景
山頂まで進むが、西熊山方面はガスって何も見えない。見ると避難小屋付近に色とりどりに登山者が現れた。高松の登山学校
の会でバスでいやしの温泉郷から上がって、名頃へ下りるらしい。リーダーの方が名頃方面の様子を聞きに来られたが、あいにく
こちらも今から下りるのではっきりわからないと答える。大勢の登山者を引き連れるリーダーは大変だわ
三嶺山頂 高松から来られた登山者達
三嶺避難小屋付近から山頂方面を見る
三嶺の断崖風景を何度も振り返りながら斜面を下りてトラバース路から樹林帯に入る。そこにはカニコウモリが一面に白い小さな
花を付けて群生している。この量は半端じゃない。カニコウモリには悪いがもう少し美しい花ならば・・・と思う
名頃登山道斜面に咲く竜胆(リンドウ)
冬場の登山者を苦しめる笹のスロープと石灰岩質の岩
秋に紅葉する木々 ガレ場付近 真弓(マユミ)の木
カニコウモリの大群生地 笹の下山道
おなじみの登山道を名頃へ向かう。ヌタ場を過ぎた所で倒木方面への道が進みにくい状態になっており、多くのテープが見た
ことの無い右側へ導く。倒木地点を過ぎても下の道に合流せず、トラバース道へと斜面を進む。おかしい? 元の倒木地点へ引き返し、従来の登山道を倒木を越えて進むと分岐標識に出会う。 (あのテープが導くルートは何だろう) 後から考えると名頃登山道に崩壊部があるので、三嶺林道最終登山口へと登山者を導いているのだろうと考える。
名頃登山道と林道終点登山口分岐 崩壊部上部最高点
分岐標識から名頃登山道は何事もない様に順調に下っている。 30分くらい下ると斜面に崩壊が見られた。この崩壊はどうやら
登山道を巻き込んでいるようだ。 赤テープを追い、崩壊部を3回渡り返すとまともな登山道に下り立った。更に10分くらい進むと
左側に増水した沢が出来て又もや崩壊部が登山道を巻き込んでいる。ここは水がたくさん流れていたので、右の古い林道跡に
沿って少し迂回。やがてこの林道跡も崩壊していたのでそこから適当に下って名頃登山口に下り立った。
崩壊部を渡る 崩壊部を下から見る
更に次の崩壊部が現れる 名頃登山道に下り立つ
名頃登山道=三嶺林道に下り立って唖然とした。一面が土石流で流されてきた瓦礫でもはや林道の面影は無く、川原のごとく。
これが自然の力、水の力か・・・・
沢部が滝となり道路を瓦礫の山と化す 林道もさながら 谷川となっている
左が崩れた三嶺林道 右が平尾谷川
12月から名頃登山道には国道筋に大きな駐車場が出来、三嶺林道は通行禁止となる。現実は三嶺林道はもう既に当分の間
いかなる車も通れる状態ではない。これで三嶺はお手軽な登山という範疇から遠ざかる。歓迎すべき事なのかもしれない。
名頃名物 案山子のいるソバ畑 化粧の濃いおばさん案山子がいた
アキノキリンソウ アケボノソウ
ギンリョウソウ シコクフウロ
シコクブシ タカネオトギリ
ツリガネニンジン テンニンソウ
シオガマギク ホソバノヤマハハコ
ヤマラッキョウ リンドウ
三嶺・菅生(すげおい)いやしの温泉郷ルートの「モノレール」について
いやしの温泉郷の植林の中にある立派過ぎるモノレールについて調べてみると、以下のことがおぼろげながらわかっ
てきました。要するに2000年に起こった「三嶺ロープウェイ」騒動の続きがここにあった訳です。この問題は地域活性
化の為、東祖谷山村が菅生(すげおい)から標高1,300mあたりまでロープウェイを建設しようとする案が発覚して
「三嶺を守る会」などの反対署名などの運動によりこのロープウェイ建設案は白紙撤回されたのでした。
これの代替案として 次の手札がこの「モノレール」だった訳
東祖谷山村としてはもともと「いやしの温泉郷」を作って、その延長施設として 標高1,300m辺りの植林地帯を伐採して
「高地植物園」を作るというのが一貫した構想。
この植物園を作るのに必要な作業手段として「モノレール」が敷設され、植物園完成後には、このモノレールを使って観光客
を高地植物園や周辺遊歩道などの「いやしの森」に導こうとするもの
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以下は徳島新聞に2001年掲載された記事より
【癒しの森】村有地70ヘクタールのスギ・ヒノキを間伐し、平たん部分の10ヘクタールに高山植物園と栽培地を設ける。
残る60ヘクタールは自然林の再生を目指す。間伐は1ヘクタール当たり平均1200本ほど植えられたスギ・ヒノキを400本
程度に減らす。建造物は駅舎・管理棟、展望台、温室、遊歩道など。
植物園は開業後7、8年をめどに広さ5ヘクタール、200種ほどの植物をそろえる方針。キレンゲショウマやフクジュソウ
の群生を考えているが、コマクサや青いケシの花、中国雲南省のシャクナゲなど現地には元来ない種類の導入も多く含
まれる。
【アクセス】村の意向はモノレールで固まっている。試案では全長1650メートル、20人乗りの客車を用い所要時間は片道
40分。
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地域村民や過疎化に悩む地方行政の現状を考えると、個人的な意見を簡単に述べられる立場ではありません。こういう
第三セクター事業があまり成功した例を聞かないだけにちょっと腑に落ちない気がします
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