2月5日 白銀は招くよ スノーシューで歩く 「獅子舞の鼻」 (新居浜市 1,481.6m)
「獅子舞の鼻」銅山峰からチチ山の別れへ向かう途中の無名峰の呼び名である。
山と渓谷社の新・分県ガイド愛媛の山では「四等三角基準点が埋まる1,481.6メートル峰」と記されている。
獅子舞の鼻から見る ちち山の別れ(左)と ちち山 (右)
この場所はくろもじさんのお気に入りの場所で、伊藤玉男さんの「赤石の四季」の文中でもで「獅子舞の鼻」と紹介され、巻末付録地図
にもそう載っている。昔はこのブナの自然林に覆われたピークの西側をトラバースするのが笹ヶ峰への主縦走路だったらしい。
伊藤玉男著「赤石の四季」巻末付録地図より 獅子舞の鼻
今日は初めてスノーシューを履いてこの獅子舞の鼻まで雪道を歩いてみる。
スノーシューは2年前にわるこさんのHPで初めてその存在を知ったが、ひょんな事から自分が買うことになったのはわるこさんの
リンクで寒川のアウトドアショップ「クロスポイント」掲示板を覗いてからだった。 クロスポイント「酸多黒酢」店長お勧めのデナリのスノーシュー
早朝の仕事を片付けて新居浜の大永山トンネル南口まで車を飛ばす。お正月に行ったときは雪の為タイヤチェーンが要ったが、
今日は何とか一車線分だけ除雪されていた。
トンネルを抜けて公衆電話の広場で準備。ANちゃんの写真を参考にスコップとスノーシューをザックの後ろにくくりつける。 スコップ
は持って行くに何の意味も無かったがただANちゃんの真似をしただけ。こんな装備をしてザックを担ぐとめっちゃ自分がカッコいい気
がしてくるから不思議だ。何か大きな勘違いした中年が意気揚々とトンネル南口から登山道に入っていく。
今日もいい雪だぞ〜
最初の沢を渡った所からもう雪が深くせっかくザックに取り付けたスノーシューをアイゼンと交代する。初めて雪の上を歩いての感想は
「沈まない」だった。これはイケル。 登山口から土山越までは幾多の尾根を巻きながら緩やかな傾斜の広い道が続く。スノーシュー歩きにはもってこいの雪道だ。
イノシシもツボ足に 動物の足跡 殆どがイノシシ
今日も誰も歩いた形跡がないがやけに猪の足跡が多い。見ると猪もつぼ足になっている。野鼠のようなちっこい足跡もある。色んな
動物が冬の厳しい自然を耐えしのいでいる
ツナクリ山からの稜線を見ながら牛車道の様な広い雪道を進む。所々に去年の台風による崩壊場所があり鋭い傾斜になっていて
慎重に足場を作りながら越えていく。
崩壊地の斜面は慎重に渡る 沢にはツララが
日陰にはツララと雪が一杯
日向もイノシシの足跡しかない
デナリのスノーシューはわるこさんやマーシーさん、黒酢店長が勧める通りこれ位の雪量ならば非常に按配がよい。一度表面
が凍っている場所でスノーシューを外しアイゼンに代えるが、途端にズボッとスネまで埋まりすぐ又スノーシューのお出ましとなる。
約2時間弱で藪っぽい土山越に着いた。早いと言っても無雪期の倍くらい時間がかかった事になる。ここから道が急に細くなる
のでちょっとスノーシューは歩きにくいが、雪が相当深いのでそのまま進む。馬道の別れから船窪まで最初は「銅山峰」、
「三森山」「大座礼山」が左手に見えるが、後半西側の斜面から風が吹き上がってくる尾根筋になると雪庇(せっぴ)になっていた。
土山越 ここから道が細くなる 馬道の別れ(左手に道が一本ある)
登り坂は踵の金具をバネで引き上げる 風の強い登山道は雪庇になっている
船窪からは急登りとなる。秋の無雪期にガンガン飛ばした登りだが、雪の深さで思うように進めない。潅木の間から西には
沓掛山、東には赤石山系が見え隠れする。ここでは景色を楽しむゆとりなどなく、もう永遠に続くのかと思うくらい坂道を
ヘロヘロで上がっていく。油断すると股までどっぷり雪に埋まってしまう。何せ雪が深いのと傾斜がキツイので木を掴みながら
引っ張りあがるのである。
船窪から厳しい登りの雪道に 綺麗だなあ〜
油断大敵 尾根道の急坂
西側に沓掛山が見えてくる
東側には赤石山系が木々の間から見え隠れする
ふと見慣れた光景が現れ、予想通りブナが雪の中にすくっと立って迎えてくれた。雪が無くてもヘバってくる幾多の人間を
ここで迎えてくれるのだ。くろもじさんもこもれびさんもREIKOさんもひとなさんも皆息を弾ませてここを通過したことだろう。
ブナ峠の主
この峠を越えると細尾根となり、左手に冠山と平家平が白く輝いているのが見える。この細尾根には雪がこれでもか
というくらい積もっているが、ここを頑張ると目的の獅子舞の鼻が待っているのだ。
獅子舞の鼻は間口は狭く細長いピークだが、何が素晴らしいってここから見るチチ山の別れからチチ山へ至る屏風の
様な景色は一級品だ。冠山から平家平へかけてのなだらかな稜線は言うに及ばず、新居浜市街地からは黒森山の陰
になって見えない沓掛山がきしゃな姿を見せる。当然ジャイロコンパスのような三角点は雪の下。少し端まで進むと銅山峰
から赤石山脈が新芽の赤みを帯びた木々の枝からその姿を見せる。
来ぃ〜ちゃった♪ 来ぃ〜ちゃった ♪ 愛用のピッケルもどきとちち山
獅子舞の鼻から見る景色
ちち山の別れが正面に見えてくる
振り返ると赤石山系が雪を被っている
左手には冠山(右)と平家平(左)が逆光に霞む
シコクシラベとちち山の別れ
沓掛山を雪庇越しに見る
ここから少し下がると一本のシコクシラベの木が風雪に耐えてポツンと立っており、この木越しに見るチチ山の絶壁は趣が
更に深まる。ここは風が西から常に吹き上がる場所で尾根には木々が少なく見事な雪庇(せっぴ)が出来上がっている。
くろもじさんが刈った笹道はその雪庇の1mほど下に埋もっていてその作業成果を確認する事は出来ない。
この風景を見る為に今日ここに来た
シコクシラベの下側、東斜面でスノーシュー訓練を一人で行う。
スキー板のように斜めにしたり真横にしたりして坂を昇り降りしてみる。表面の新雪が深いとスキーのように滑ってしまうが、
ちょっと深めに雪を踏んずけると硬い雪質がありグリップもそこそこ効く。 雪庇の上も歩いてみるが沈まない。
スノーシュー訓練所 L社 簡単開封型おにぎり
私としては珍しいくらいゆったりとした時間を過ごす。セロハンを順番どおりに剥いでいく苦手のおにぎりではなく紙に包まれた
簡単に取り出せるおにぎりを食べたり、写真を撮ったり、寝転がったり。 時間が遅かったので真っ白に輝くチチ山の別れの
斜面を登っていく時間はないのが返ってゆとりを生んだ。
シコクシラベとちち山
ちち山への尾根
獅子舞の鼻へ登り返す
獅子舞の鼻まで帰ってまた景色を眺めてスコップを取り出し雪だるまを作ろうとするが雪がさらさらすぎてくっつかない。あきらめて
今度はブナ峠まで下って自動シャッターで写真を撮る。グランマーのように息吹を感じるような写真は所詮無理じゃった。
ブナよさらば 沓掛山よさらば ツナクリ山よ西山よさらば 三ッ森山よさらば
スノーシューは快適で、あのヘロヘロ100歳歩行が信じられないくらい走るように下った。馬道の別れを過ぎて何気に崩壊場所
の下をみると登りに歩いた私の足跡がある。それで土山越を飛ばして近道して登山口まで帰る。
スノーシューに大満足のエントツ山ダルマ
スノーシューを初めて履いた今日の雪山歩きは、その性能を充分に発揮してくれたお陰で大好きな獅子舞の鼻からの展望を
充分に楽しむ事が出来ました。 わるこさん、ANちゃん、マーシーさん、酸多黒酢店長に感謝!
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