戸女(とにょう)・折宇(おりゅう)〜野地峰〜黒岩山 ピストン

平成25113   (愛媛県側から)


愛媛県側から野地峰〜黒岩山へ 八方ブナを見に行く


          黒岩山の八方ブナで  八方破れコンビ マーシー・エントツ山


       黒岩山の八方ブナに会いたさにイノシシコンビについてきたふ〜みんさん


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである
 
折宇〜野地峰北尾根〜野地峰〜黒岩山 ピストン


前日マーシーさんお昼電話して何処かへ行こうよと声を掛ける。新居浜の実家から夜電話すると「戸女から黒岩山の
八方ブナを見に行きましょう」と言う。こちらはパソコンが無く地図でルートの確認も出来ないので計画と地図は
マーシーさんにお任せする。


数年前に紫雲さん、マーシーさんと高知県側から大登岐山〜黒岩山〜野地峰の大薮縦走をしたがその時のアプローチが
いかにも長かった。それで愛媛県側からのルートを歩きたかったので渡りに船の気分だった。


ペーコちゃんを誘うと当日石鎚から帰ったところだと言う。Reikoさんにも会ったそうだ。息子さん達が帰って来るから
一緒に歩けないのが残念だ。マーシーさんと底抜け脱線コンビで行く事に

当日0730分四国中央市のコンビニで待ち合わせると何とふ〜みんさんが現れた。前日夜にダメ元でマーシーさんがお
誘いメールを入れときますわと云ってたが忙しい主婦の事、
無理だろうと思ってた。しまった ヒゲを剃ってくるんだ
ったなあ


法皇トンネルへの上り口、高速近くの空き地に車を置き一番大きなマーシーさんのXトレイルで登山口へと行く。我々
のコンビに女性が参加する事は非常に珍しいが、丁度ふ〜みんさんも八方ブナを是非とも見たかったらしい。


法皇トンネルを抜け銅山川へ出て朱色の橋を渡り右へ曲がる。二つ目の大きな橋(戸女とにょう・折宇おりゅう)方面
へ進む。途中で分岐を一度左上へヘヤピンカーブにそって上がっていくとほぼ一本道だ。林道の右手には戸女や折宇の
集落の住居跡が見える。


戸女と折宇は面白い呼び名で印象がある地名だが、旧冨郷(とみさと)村と旧別子(べっし)山村の境界に立地した山村
で平家伝説なども残っている。標高は500〜600mあり元々稗、粟、蕎麦、大豆、小豆などの焼畑農業で生活をし
ていた地域だが近世になって南側にある白滝鉱山へ野菜などを出荷したり、ミツマタの栽培で生計を支えていた。法皇ト
ンネルが開通したのは昭和35年だからそれ以前は山越えで瀬戸内海へ出ていたのだろうなあ

林道折宇線を進み最終民家(?)の手前で道路脇の広い場所に車を置く。ルート確認の為マーシーさんに頼んでおいた地
図を見せてもらおうとしたが、地図もGPSも不要なので用意していないと言う。するとふーみんさんから地図持って来
ましたと天の声。やはり自分の歩くルートは予め地図でイメージしておかないと歩く楽しみが減ると言うものだ。


少し林道を下がるとマーシーさんが杉に付けた渡渉地点への目印に沿って下りていく。滑りやすい沢石をストックを使っ
て渡り対岸の林道踏み跡に上がる。
植林地帯は往々にして作業道が輻輳してわかりにくいが、ここは比較的分かりやすい。
植林地帯のトラバース道を進むと
丸太を2本渡した沢部を過ぎて高度を次第に上げる。

約1時間で野地峰北尾根に到着。笹が現われ左手から尾根道の踏み跡が続いている。

 
08時15分林道折宇線の登山口近くに駐車    08時23分 林道から沢へ マーシーテープより下がる

 
   渡渉ポイント                ふ〜みんさんが持って来た地図でルート解説

 
   植林や自然林が混在する登山道が続く      08時55分 小沢に掛けられた丸木橋を渡る

 
   直線的な急坂となり雪が出てくる       09時18分 野地峰北尾根分岐に到着


ここから野地峰までトラバース路を含んで北尾根を進む事になる。雪が足元に現れたがアイゼンを付ける程ではない。
右手に山並みが現れたのでマーシーさんに聞くと東赤石方面ですと言う。なる程良く見るとルートが西に振ったので
右手に北側の二ツ岳〜エビラ山〜権現山〜東赤石の連なりが確認出来た。
又、尾根の対面には野地峰の西側三角点より
北に延びる尾根が並ぶ


尾根の東側をトラバースするルートに入ると今度は大登岐山の尖がりが見える。あの愛らしいキューピーの頭が曲者な
のだ。紫雲さんと大薮に苦戦した思い出が蘇ってきた。麓の落合から林道が相当上まで延びているのが見える。一度こ
ちらから大登岐山へ歩きたいものだ。


雪が次第に登山道に増えて来ると野地峰の大きな反射板が見えた。見晴らし岩場で二人が景色を眺めているのでそこへ
行くと今まで木々の間からアングルを苦労して撮っていた黒岩山〜大登岐の県境尾根が何の障害物も無く見渡せる。


先ほどより野地峰方面から女性の人声が聞こえてくる。いままで色んな山で女性のおしゃべり声が聞こえて遭遇するま
で相当時間がかっている。それ位女性の甲高い声は山では良く通る。
野地峰直下の稜線で上から団体さんが下りて来ら
れた。先頭は矍鑠とした細身の年配男性(谷川さん?)でその後に続々と女性軍が続く。歳を取ると断然女性の方が元
気だ。県境尾根を歩く高知のグループでふーみんさんの顔見知りも居た。
最後尾は屈強な男性が重装備でしんがり役を
務めていた。

北尾根は正確には野地峰の少し西側のピークから派生しているので、野地峰山頂にはこの北尾根の東側をトラバースし
て最後の仕上げろなる。
携帯電話が鳴り続けるのでザックから電話を出し応答するとお袋さんからで「もう風邪が治っ
たからわざわざ帰りに寄らんでええよ」という内容だった。
二人を追いかけて10時55分懐かしい野地峰山頂に着く。


 
    北尾根に上がるとスズタケが出現                 イノシシの倒木潜り

 
1,401.1m三角点から北に派生した西側の尾根が見える   おっ 東側の山々が見えるぞ

 
    猪の倒木潜り第2景                            東赤石  権現山   黒岳   エビラ山

 
     登山道から外れた岩場で展望を楽しむ            野地峰の反射板が見える


              大登岐山                                     黒岩山
 
 
 曲者キューピットの頭 大登岐山                 県境尾根歩きのお元気グループ

 
    野地峰の三角点と山頂                     シェーポーズでお願いしま〜す


    マーシーさん !  バックに大登岐山を入れなきゃダメでしょう


野地峰 (標高1,279.4m)

ここには白滝権現が祀られていたと言うが、平らなスペースには首なし地蔵が寂しく鎮座している。白滝の謂われは
近くの岩場に雨が降ると白い滝となる事からって・・ほんまでっか。 かつてこの南側に白滝鉱山があって最盛期には
2,000人が住んでおり学校、映画館、居酒屋、診療所などがあった。江戸時代には別子銅山と同じく仲持ち衆が荒
銅を背負って銅山川へ下り富郷辺りから寒川や三島に運んでいたらしい。今我々が歩いた道もその内の1つかも知れない。

江戸時代には麻谷鉱山と言われており経営者の変遷を繰り返しその後日本鉱業白滝鉱業所となりここから三島まで索道
(鍋)を引いて港まで鉱石を運んだと言う。この索道を介して戸女・折宇の野菜をはじめ伊予三島から色んな生活物資が
運搬された。その白滝鉱山も
別子銅山とほぼ同じ頃(昭和47年=1972年)閉山となり寂しい地域に帰った。

閉山後、東洋のチベットと呼ばれた白滝鉱山は「自然王国・白滝の里」として地域おこしを行っているがいかにもアク
セスが悪い。別子銅山の東平は東洋のマチュピチュのキャッチフレーズで地域おこしがなされているが、アクセスの良
さからマチュピチュに軍配が上がっているようだ


晴れ間はないが高曇りの為周りの景色は良く見える。石鎚方面は手箱山・筒上山が見え石鎚は手前の山に隠れている。次
に見えるのはチチ山・笹ヶ峰となる。高知方面の山々は単発に登っている為か際立った特長が無いのか残念ながら同定す
る事が出来ない。どこか一山でもわかればそれから想定出来るのだが・・・


目指す黒岩山はのっぺりした山容で大登岐山が無かったらサッパリわからない。時間は昼ごはんには少し早いので黒岩山
へ進む事にする。さて、最近ネットで話題になっているこの尾根は本当に快適なのか。

野地峰より反射板を下がる場所が少し笹藪は濃いがあとは確かに快適になっている。以前笹に潜り幅15cm位の獣道を
探して歩いた尾根は広く刈り払われ登山道となっていた。白滝鉱山跡を右手下に眺めながら尾根を進む。その向うには雪
を少し被った大川村肉用牛肥育センターの放牧場が見える。なにせ以前此処を歩いた時は大薮で周りの景色などゆっくり
眺める余裕など無かったのだ。北側は笹と潅木で見通しが無いが所々であまり大きくは無いがブナが出現する。


黒岩山の謂われになっているのか大きな黒い岩が見える。途中から登り尾根となり雪の為靴が滑るので木を掴みながら高
度を上げる。少し傾斜が緩やかになった所で、左手下にブナ林の平地が見えたので帰りにここを歩こうと相談する。
何か見覚えのありそうな、無さそうな尾根を這い上がると一際高い平地に着いた。北側に赤星山の大きな山塊と右手に豊
受山がブナを背景にまるで絵画の様に見える。


黒岩山・三角点 (標高 1,341.6m)

取り敢えず三角点を確認すべく南西方角、奥の小さなピークへと向う。踏み跡が消えた辺りを探すが三角点は無い。GP
Sと地図で確認すると確かにこの辺りに間違いない。藪っぽい笹の稜線を少し下がると三角点を発見。
三角点から南西に
早天山へと延びる尾根を少し確認。三角点の先で崖になっているが、左手に迂回して尾根が続いていた。




              野地峰山頂   (ふ〜みんさん写真提供)


                      野地峰山頂から大登岐山をバックに


     野地峰から 黒岩山(手前右) と 大登岐山 (正面)

 
      反射板に下りると雪だらけ                 まあこれぐらいの笹薮はちょっと残ってないとねえ

 
     この辺りのブナは枝を広げる傾向がある          尾根は見事に刈り払われていた


                      その名の通りゴツゴツした黒岩山

 
 手箱山と筒上山  石鎚は手前の山に隠れて見えない      黒岩山をバックに (ふ〜みんさん写真提供)

 
県境尾根から法皇山脈を眺める(ふ〜みんさん提供写真)    黒岩山の左肩に向かって登り坂が続く


                 黒岩山直下から眺める西側の山々

 
    ここが本日一番の急斜面                       左下に美しいブナ平原が



 
    12時04分黒岩山ピークに到着                更に三角点方面へと進む

 
    12時15分 黒岩山三角点を踏む               三角点は笹藪の中


安心して先ほどの広場に帰り昼食とする。ふーみんさんがキビ餅のお雑煮をテキパキと作ってくれる。う〜〜ん女性がい
ると何かと場が和むものだなあ
チョコレートなどの行動食もちゃんとした器に入れている。色々と勉強になります。
マーシーさんの食欲が段トツでふーみんさんがその勢いに目を丸くしている。

楽しい食事タイムが終り、本日お目当ての八方ブナへと向う。私は以前ここへ来た時に逆ルートの左手にある八方ブナに
ご対面をしているが、当時藪が凄くて遠くから眺めただけだった。その時の記憶から私は笹の斜面を大登岐山方面へ少し
下りて右手を捜すがブナは見当たらない。マーシーさんの声がして左手の窪地へ下りるとそのブナがあった。色んなブナ
を見てきたが四方八方に太い枝を伸ばした大ブナの姿は圧巻だった。記念撮影をして更にもう一つ左手の尾根筋へと上が
る。この尾根がかつて大登岐山からヘロヘロになって歩いた道だった。


約束通り下山は少しルートを外れてブナ平地を少し楽しんだ後尾根ルートへ復帰し深い笹の間を進む。黒岩山は野地峰よ
り60m標高が高いだけなので最初に急な下り坂を滑ると後はほぼ平坦な尾根道となる。信じられない様な快適な尾根道
を西側に広がる山々を眺めながら余裕の歩きで14時35分野地峰に帰る。



      黒岳                 エビラ山       二ッ岳

 
    キビ餅の雑煮作りにマーシー釘づけ            お餅を沢山入れて下さい (マーシー)

 
    赤星山を眺めながら黒岩山で食事               さて、八方ブナを探すぞ〜

 
      確かこの斜面あたりなんだけど・・・              八方ブナ あった〜


             泉保さんの山歩き地図2には「玉ブナ」と記されている

 
    大登岐山への尾根道を見に少し下がる          縦走尾根からブナ平原へと下がる


                        いい風景です

 
   雪と笹藪の中を上の尾根道へ登り返す            下り斜面を滑るふーみんさん

 
    これが黒岩山の黒岩か?                    ブナは北側斜面に多い

 
      反射板が見えたら野地峰だ              14時35分野地峰に帰る  お疲れ〜〜

野地峰からは下り坂オンリーとなり雪道に滑ったり転んだりしながら復路を帰る。途中、1,001.1m三角点を通りましょう
とマーシーさんが言うのでトラバースせずに尾根ピークへ進む。むらくもさんのブログで「三角点境谷」と記されていた
場所だ。道の無い尾根歩きは楽しい。15時30分三角点を訪問し
そこからテキトーに登山道へ復帰する。尾根ジャンク
ション地点を15時38分に通過し薄暗い植林地帯に入る。

どんどん下ってほぼ下山の渡渉地点に近づいた時、きいきなりマーシーさんが「違う道を通りましょう」と言い、逆に沢
の上流へ向う踏み跡へと進んだ。ゆーみんさんも「違う道の方が面白いです」って付いて来る。

上流の渡渉地点に適当な場所が無く少し上側から沢を渡る。その渡渉場所が余り良くなく落差のある大岩を下がらなけれ
ばならない。私は安全な左側の斜面を這い上がってトラバースするがふーみんさんが後ろに付いて来ない。成程、二人共
岩登りの訓練を受けている同志なのだ。

左岸ルートに入ると直ぐに民家の広い庭部に出た。軽トラックが停めてあり家に灯りが点いている。ここは人が住んでい
るか週末のみ来ているのだろうか
この民家を過ぎると16時22分マーシーさんの車が見えた。

 
    帰りも倒木を潜らなければならない            登山道を離れて三角点のある尾根へと進む

 
           1,001.1m三角点を踏む      15時38分 北尾根からトラバース路へのジャンクション通過

 
   帰りは上流部の左岸へ渡渉する             林道がカーブする民家の脇を通る デポした車のすぐ近く



今回は愛媛県側からのルートで八方ブナを見たいというふーみんさんを加えた少し雰囲気の違った山行となりました。
私にとって手薄な銅山川より南側の県境尾根へ進む道は貴重な体験となり、次回は落合から兵庫山、大登岐山方面を歩
きたいと思いました。




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