平成24年4月1日  福寿草の山 「寒峰(かんぽう)」周回


寒峰(かんぽう) 周回  下山中の道迷いを考える


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを利用したGPSトラック・ログ図


長崎から双子の兄弟研治が東京で会議の後帰省するから福寿草で有名な寒峰へ連れて行って欲しいとの連絡
が入る。そう言えば久しくこの山にはご無沙汰しているので案内する事に。


当日の夜中に長崎へ向けて帰ると言うので07時自宅出発と言ってたら05時過ぎお袋に朝ごはんに起こされた。
何せ心配性のお袋で早く出かけて早く帰りなさいと言う。
渋々起き出して準備をし06時前に出発。

川之江から一般道を阿波池田に出て大歩危橋を渡り祖谷(いや)に入る。そこからも寒峰までは結構遠い。祖谷
地方にも良い山が沢山あるが、どうしても新居浜の実家に近い愛媛の山へ行く事が多い。
寒峰登山口への上がり
口はうる覚えで国道439号線から八幡神社への入り口を左折する。


クネクネと曲がる道は分岐もあって一度右手の「奥ノ井」標識方面へ行ってしまい又引き返す。引き返して道な
りに民家や畑のある明るい場所を通過すると08時頃目指す「住吉神社」に着いた。手前に駐車場の様な広場が
あるが私有地だといけないので道路の広い場所に停める。


寒峰は東回りで下山時に道迷いが起こっている。地図をみると明確な尾根があるのに何故こんな道迷いが発生
するのかちょっと検証の意味もあり、今日は反時計回りで尾根道を行く事にした。


0820分車を出発、そこから続く広い林道を歩く。10分程で「林道日和茶坂瀬線奥ノ井工区基点」の分岐があり
左上にヘヤピンで新しい林道が延びていた。これが新しい寒峰登山口に続く道だ。
その方向には曲がらず真っ直
ぐ進むと今日歩く予定の尾根が見える。
橋が沢筋にかかっており、踏み跡がないか見るが見当たらない。そこから
尾根部への道は左手斜面が崩壊しており落石が沢山あって車は通れない。


尾根筋手前に植林の作業道らしき踏み跡があったが、尾根突端部に取り付きが無いか念の為廻りこんで見る。
コーナー部は山際が崩壊しており、それを乗り越えるとすぐ向こう側に白いハンドレールが着いた木の階段
と道があった。


道があれば道を歩くのが道理。0843分研治を呼んでここから尾根に取り付く事にした。植林尾根の右側に続く
作業道は快適なものの、いくら歩いても尾根へは上がって行かず段々高度差が離れてくる。


    
林道を進むと直ぐに「日和茶坂瀬線奥ノ井」線分岐             沢にかかる橋
ここはまっすぐ進む

  
  林道は尾根部に近づくとノリ面が崩壊している        林道の稜線部   右奥に登山道の入り口が見える

  
    登山道の入り口は少し崩れている                 すぐ植林地帯に入る


地図を見ると更に進むと支尾根がありこれを回り込む破線があり、どうもこの道を歩いている様だ。
そうとわかれば0853分植林が部分的に切れた自然林の小さい尾根筋を寒峰南東尾根へ這い上がる。明るい日差しの
自然林を
15分程這い上がり稜線部に付く。少し植林地帯の尾根を下がってみるが別に問題なさそうな尾根である。

踏み跡がしっかりした尾根伝いを快適に歩く。開けた場所では寒峰の南尾根が見渡せるが今日は天気があまり良くない。

0934分尾根が右に直角に曲がっている場所に着いた。地図を見ると標高1,279mピーク辺りで、地図上ではほぼ
真っ直ぐな尾根に見えるが、良く見ると左に尾根が張り出し、その支尾根が西に落ちている。右手には細尾根があり
傾斜が上がっているのでまさかここで間違う人もいないだろう。ここから植林地帯となり進むと白い木の杭が見え
「山子林業所有地」とある。


  
自然林に出た所にかすかな尾根筋があったのでこれを上がる     スペースがあって這い上がりやすい

  
    尾根部に上がって下側をチェック               自然林の尾根を進む

  
      尾根部の急坂を上る                      前にターニングポイントのピークが見える

  
          寒峰の南面が見える              1,278mピークで稜線は感覚的には直角に右に曲がる

     
       右に曲がると細尾根が続く                      所有林の標識あり

すると0939分右手からモノレールが尾根に延びてきている。ここから左へ作業道が見える。又 正式な下山道は
右手に下がる事になっている。

結局この尾根を外すとどちら側でも道が不明瞭になり沢に入り込んで道迷いを起こしている様だ。ここは尾根を利用
すべきである。
HPによってはこの尾根には崖があり危険と書いているものもあるがそんな場所には出会っていない。

入り口の植林地帯(10分間)にその崩落地があるのなら、下山の場合少し左側へ振れば問題ない。(下山方向の右側
には道路に向って崩落地帯があったので)
モノレールに沿って植林地帯を10分程進むとレールが切れた。

さて、問題はこの辺りの地形である。1006分それまで明確だった尾根筋はここに来ると次第に特徴がなく平坦に
なる。
左手が開けて潅木地帯で眺めが良い。右側はずっと植林地帯が続く。

ここで登山道は複雑に植林地帯に入ったり自然林側へ出たりして見失いがちとなる。ここでのポイントは登山道を失っ
た場合、この自然林と植林地帯の境目に沿って登り下りをすれば良い。すると登りは自然に主稜線へ導かれるし、下り
はしっかりした尾根筋へ出てモノレールへと導かれる。


という訳でこちらは歩き易い植林地帯を少し入った硬い雪の上を歩く。道があったりなかったりの斜面を歩くと10
30
分寒峰を東側に少し外れた主稜線に着いた。

  
尾根を進むと左下からモノレールが伸びてきた             しばらくモノレールに沿って歩く

  
モノレールが切れる  まだ尾根がはっきりしている        尾根部が次第に平らになってくる

  
研治が自然林を歩き私は植林地帯を歩く 登山道がはっきりしない    寒峰の西峰が雲で少し隠れている

  
植林地帯の中を上に進む (あまり自然林から離れない)     岩などが現れる ここは登山道ではない


     登山口の支尾根部から約2時間で稜線に到着   すぐ西側に寒峰が見える

どっしりした寒峰が現れ北斜面には雪がまだ残っている。正規の登山道はどこなのか少し東側へ出て分岐を探す
が見つからない。寒峰方向へ進むと一段登山道が下がった場所に分岐標識があった。寒峰 0.3km、落合峠 4.7km
奥の井 4.0kmとある。


奥の井方面に少し下がってみるが雪で笹が倒れこみ登山道は良く判らなかった。手前の岩場で3人の登山者が休憩
しておられて挨拶をし
1050分寒峰山頂に到着

雲が低く立ち込めて楽しみにしていた牛ノ背、天狗塚、西熊山、三嶺の姿は見えなかった。寒いので先ほど岩場に
居た登山者に記念写真をお願いしてすぐ退散する。


  
   10時30分 寒峰東側の稜線に出る             稜線から東側に出るが雪が深くて引き返す

     
すぐに分岐標識があった。 登山道はここに出てくるのか〜      雪が残っている場所もある

  
相当深くて大きな穴があった  雪が積もると落ちるかも    歩いてきた稜線を眺める

  
     寒風の山頂に人影がある                  10時50分 寒峰山頂に到着


                  1950年生まれ 寅年兄弟

細い岩場を下りていると下から登山者がやってきた。むむっ なにか見たことのある上品そうな女性・・・
その後ろにデカイ男性が・・・ あれ〜 
KYOさんと静御前さんじゃあ〜りませんか。何年振りでしょうか 
 静御前さんは膝の故障にもめげず山歩きを続けられており、k
YOさんも細身の奥さんに付いて行けるよう
にダイエットしている。

kyo さんの里山倶楽部のHPは ここ


すると後続で団体登山者が上がって来られた。 先頭はレーサーさんでその少し後ろに流れ星さんだった。握手
をして木の根ふれあいの森以来の再会を喜ぶ。

流れ星さんのHP 花遊び 山遊びは ここ


大勢の登山者を交わして降りていると何と団体の後尾にサングラスを付けたヤマガツオさんがいた。よこでニコ
ニコしている女性が優しそうな笑顔で「ギッチャンです」と挨拶。え〜〜この人が話しに聞いていたギッチャン
でしたか。


ギッチャンの山歩き は ここ

  
   静御前さんとKYOさんに久しぶりに会う          高知の「あるぷハイキングクラブ」の皆さん

  
    ヤマガツオさんとギッチャンに会った             コル部には雪が残っている

団体さんなので長く引き止める事も出来ないのでお別れして、1130分下側にある雪が残る広場で食事をする。
ここまで下がると風が当たらず時々青空も現れぽかぽかと日差しが暖かい。


1150分休憩場所を出発して福寿草群生地へ向かう。急な植林地帯を下りて行くと1205分黒い犬を連れた登山者が
上から来る我々に犬が迷惑を掛けない様に首輪を掴んで待っていてくれた。避けてくれた挨拶が終わり犬の首輪を放す
と勢い良く黒い弾丸と化した。


その辺りの枝を一杯加えて飼い主の所に帰参する。その躍動感に感心しながら眺めていると「アンジー」と奥さんが
たしなめる。え?  アンジー ? あ〜〜 「アンジーパパさん?」って聞くと奥さんが坂を登りかけた男性を指
差し「あれがアンジーパパです」と答える。エントツ山です〜 と久しぶりの再会を喜ぶ。 むらくもさんのブログ
で、そこに出てくるアンジーパパさんが以前、竜王山の登山口でお会いしていたご夫婦だとご挨拶をして頂いていた。
おとなしい犬だとアンジーの一声もなく知らずに通りすがっていた所だった。


  
            寒峰西峰                    西峰 1,518mへのコル部

  
        ここで昼食を取る                    西峰をトラバースすると南に向かう細尾根になる

  
      天狗塚と牛ノ背が霞んで見える              左が自然林で右手が植林の境目を下がる

   
    黒い弾丸  アンジー                         アンジーとアンジーパパさん

 
    いや〜〜 何年振りでしたかねえ   再開を喜ぶアンジーママとアンジーパパ


いよいよ福寿草群生地へ

さて懐かしい出会いに満足しながら1220分いよいよ最後の花道「福寿草群生地」に踏み込む。植林の急な細尾根
を下って右に回りこむと南面に沢山の登山者がいる。時々歓声も上がっている。斜面には日差しを浴びて福寿草が
黄金の花びらを広げていた。
群生地は広いので花を撮影する人たちもあちこちに散らばっている。

南大王の休耕田跡の福寿草と違ってここは岩や古木の間に無数に咲いている。花を踏まない様に慎重に移動する。
足元や腕の位置に配慮しながら撮影するので非常に疲れる。
飽きもせず同じような写真を撮り続けて1250分群生地
を後にする。


  
福寿草群生地には植林尾根から右へトラバースする       お〜〜 あっちにもこっちにもようけ咲いてるわ

福寿草

  







植林地帯を下り、自然林地帯をトラバースし、又即林地帯を下りると1302分「林道日和茶坂瀬線奥ノ井工区」の
寒峰登山口に下り着いた。

一瞬どちらへ行けばわからなくなる。コンクリートの下側を覗くと道があったのでそこへ降りて又植林地帯の中を
いくつかの作業道と交差して
1320分住吉神社に帰り着いた。

  
又 植林地帯に入り尾根に沿って下る                  そして自然林地帯をトラバース

  
あれ? 林道に出たけどここはどこ? 上の登山口       コンクリートの下側にある道を見つけて進む

  
    何か所か広い作業道と交差                 13時20分 住吉神社に帰り着く


寒峰からの時計周り下山時の道迷い防止についての提案

下の地図上にあるトラック・ログ図は山仲間 伊予の鈍亀さんが平成24年3月27日に歩かれた正規の登山道ルート図です。
ほぼ私が歩いたコースとよく似ております。この地図が正規の登山道に近く、わかりやすいので使用させて頂きました。

この様に半時計回りに寒峰へ周回する場合はまず道迷いは起こりません。問題は時計回りの周回で寒峰から東のピークを
経由してモノレール尾根へ下りるルートを使った場合に道迷いや事故が発生しております。

下山時の注意点 (平成24年時点)

@ 落合峠・奥の井分岐から南東に延びる尾根に向かって下山するのですが、ここから植林地帯に入り方向感覚を失い
  東に延びる尾根に向かって下りてしまうケースがあります。そして鎖谷川の上流部沢筋で道迷いとなります。
  この山域での最悪の道迷いです。

  ここは自然林が確認出来る範囲で植林地帯に入り南東に下りなければなりません。
  この辺りの地形はなだらかで登山道も笹や植林の中ではっきりしておりません。
  自然林と植林の境界に沿って南東部に見える明確な尾根に向かって下りましょう

  モノレールが現れたら一安心です

A モノレールが右下に尾根を外した後、登山道は左側斜面(東側)へ」導かれている様です。この登山道でも結構道迷い
  が起こっております。
  ここは思い切って尾根筋を進む事をお勧めします。尾根が一番道迷いを防ぎ安全です。

B 地図上のA地点で尾根が東と南に別れますが、ここは南側の尾根に進みます。
  万が一東に真っ直ぐ進んでしまってもC地点で登山道に合流しますが、出来たらここは南側のB地点に進む方が良いでしょう

C 最後のB地点手前で植林地帯に入り、最後の西斜面(右側)が少し崩壊していますので、崩壊地があれば少し東側(左)に
   かわしてB地点付近で林道に下ります。 林道付近が崩落したり崩壊している場所を避けて安全な場所から林道に下りる

これがエントツ山の寒峰時計回り周回における下山ルートの提案です。


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを使用した伊予の鈍亀さんのGPSトラック・ログ図を加工しました。

なお、ペーコさんも平成24年4月2日私が今回提案したルートを問題なく(半時計周りでしたが)歩かれております。


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを使用したペーコちゃんのGPSトラック・ログ図 (南東尾根コース参照)

伊予の鈍亀さん、ペーコちゃん  ご協力をありがとうございました。




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