平成21年12月19日  冬の国見山   後山(うしろやま)峠〜国見山〜南西尾根〜徳善


雪の国見山  ミニ・ラッセルを楽しむ


カシミールソフトを使ったGPSトラック・ログ図
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 

寒波が来て笹ヶ峰にでも出かけようと思っていたが、マーシーさんが国見山へ行った事がないのでどうですかと言う。南西尾根を下りる
なら付き合おうという事になり大歩危のモンベル横にあるコンビニで07時30分集合となる。

私のラッシュをおおよその下山予定地に置き、マーシーさんのパジェロ・イオで国見山登山口へと向かう。もう5年位前に、それも叔父の
タッキーさん運転だったので道順は定かでは無かったがうる覚えで旧料金所跡から右手に下がり左手に進む。どこかで間違ったが又
上で合流し後山の峠に着く。

更に上の登山口を目指したが、途中で想像より東へ振るので道を間違えたのかと考え峠まで引き返す。準備をしているともう一台高知
ナンバーのパジェロ・イオが到着。中から手を振っているので良く見るとガクちゃん達と佐々連尾山で会った「高知カモシカ山岳会」の
会長と猫パンチさん他の4人組だった。

女性の身支度は長いので一足先に出発する事に。折角の新雪を踏み荒らして気の毒な気になりながら08時40分後山峠登山口を
後にする。一応アイゼンは持って来たがスパッツを用意していなかったので予想以上の降雪にちょっと心配になる。でもこのシーズン
初めての雪景色と雪道に心が躍る。約1時間歩くと上の立派な駐車場に着いた。

 
   猫パンチさんとマーシーさんのパジェロ・イオ              おうどう峠の金比羅宮

 
     08時40分 尾根登山口を出発                     十分な積雪に満足〜


こんな新雪を先に踏んじゃって後続のカモシカ隊に申し訳ない気持ち

 
    09時37分 上の登山口に到着                  道路からの眺めが良い

暫く上の登山口から見える雪山を楽しみ、いよいよ山頂に向かう。5年程前に来た時はここまでの降雪でもなく、高知からの
団体さんがラッセルしてくれていたので歩きやすかった。今回は誰も先を歩いていないし雪も深い。裏地のあるスノーボーダー
用のスボンではあるが、やはり靴とズボンの裾の間から雪が入り冷たい。スパッツを履いたマーシーさんが終始先導してくれ
相当助かった。

防火帯の急坂になると特に積雪量が多くて膝上ラッセルとなる。それまでは後続のカモシカ山岳会の方達に新雪を踏み荒らし
申し訳ないと思っていたが、これだけの降雪量になるときっと先行部隊としての役割を感謝されるだろうと予想された。

 
  次第に雪が深くなる                          あ〜しんど  休憩が必要や

 
  むむっ  この積雪は半端じゃない                     雪景色


                   青空が現れると雪道が映える

国見山の登山道は単調で雪がなければあっという間の山頂だろう。そういう意味ではこの国見山は雪のシーズンがお勧め
と言える。(一部の山域では花のシーズンにも賑わうようであるが・・・)

1,370mピークを左に迂回すると杉林も無くなり自然林に囲まれた雰囲気の良い尾根道や傾斜の緩やかな稜線近くの
トラバース道が続く。時々現れる日差しと青空に二人は立ち止まってシャッターを切る。

 
左手に折れるターニングポイント                      枝に積もった雪の高さが凄い

        
                              ブナの木

 
   向かいのお山を眺める                               雪の並木道

 
       疲れも忘れる雪景色                       純白の芸術


                         頭上の霧氷

5年前の記憶を蘇らせながら歩くが、山頂直下にある国見神社の小屋まで結構遠く感じた。それでも左手に広がる自然林
の雪景色が素晴らしく爽快な気分で1200時小屋に着いた。

5年前には叔父のタッキーさんが昼食の弁当を買い忘れて途中で大歩危まで調達に引き返た。登山口でその「うなぎ弁当」
をザックに入れ忘れて又途中から車に引き返すというドタバタ劇を演じた末にやっとこの小屋でうなぎ弁当にありついた。
「感想は?」の問いに「やっぱりうなぎ弁当は温かくなければマズイわ」と答えて皆で大笑いしたのを思い出した。

マーシーさんと小屋にあったゴザを借りて昼食タイム。ポットのお湯をガスで温めなおしてインスタントラーメンとおにぎりを
食べる。二人の歩く距離がいつも長いのでゆっくりと昼食を食べた記憶が無い。

食事を終えた頃、後続の4人組が小屋に到着。いつも沢山の食料を持ってくるこの人達もさすが今日の雪山歩きに荷物を
最小限にしてザックも小さめの様だ。やはり開口一番「ラッセル ありがとうございました。」「助かりました〜」とお礼を述べ
られた。女性が4人混ざると年齢を問わず賑やかで楽しい。

小屋に45分くらい座り込んだ後いざ立とうとしたら太ももが攣った。隣のマーシーさんも同じく太ももが攣って悶絶している。
久々の雪道歩きは普段使わない太ももの筋肉を多用するのだ。

12時50分ボロボロで情けない姿を見せながら女性陣に挨拶をして山頂を目指す。途中で下山すべき南西尾根を見渡せる
場所に来た。結構雪が深そうだ。山頂までは意外と近く13時07分到着。

 
   1200時  神社の小屋に到着                昼食を終えた頃 カモシカ山岳会が到着


      山頂から降りる南西尾根  雪が深そう・・・


                  踏み跡の無い国見山山頂

360度の大パノラマと言われても雲が低く垂れ込めて遠くの山までは見えない状況だった。「川崎方面」への下山口標識が
あったが、南西尾根への下り口が定かではない。そのうち下からカモシカ山岳会の会長がやってきた。普段から卓球で鍛え
ているので頼り甲斐がありそうなイメージだ。その後から3人も追いついて来られて山の同定のお手伝いをして頂く。

さて・・・南西尾根への下り口だが・・・ 雪と潅木のバリケードしか見えない。カモシカ会長に相談すると「あそこしかないでしょう」
と冷静に言われる。「一緒に行きましょうよ」と誘うと「お二人でそうぞ」と更に冷たく突き放された。

突き放された迷える子羊はメエメエと泣きながら13時23分雪藪に突入し、途中から泣き声がブヒブヒに変わったらしい。

 
会長に続き他のメンバーも上がってきた                  山頂で記念写真

国見山 南西尾根を下りる

 
     川崎方面(祖谷口)への尾根                え〜〜 こんな場所から突入するの〜〜


  「一緒に来ませんか〜?」  「お二人だけでどうぞ〜〜」

 
ゲッ  いきなりの雪藪・・・                         見るのは美しいが歩くのが苦しい

藪を乗り切ると尾根が確認された。強い西風に煽られた雪がこの南西尾根に蓄積している。行き先を遮る枝に雪が沢山
積もっているので不用意に突進すると雪だるまになってしまう。ストックで雪を叩き落しながらの進軍である。

白い悪魔に上からも下からも攻められながら、下りという重力方向に支えられながら尾根を下りていくと13時52分モノレール
と遭遇。一体何の為に使っているんだろうか? 潅木に覆われている為周りの景色もあまり見えず、振り返っても高度差の為
国見山が見えない。面白くない道だのうし。

ルートは尾根筋で間違う心配もなく、雪の下には恐らくしっかりした踏み跡があるだろう。途中で左側にテープや巻尺を巻いた
大げさなポイントがあり、そこから踏み跡が国見山の北斜面に向かって延びている。後から調べるとどうもこれが花街道への
入り口らしいとわかった。(興味ないけど・・・)

1114mピーク手前とその下側が結構急な下り坂となり、岩や落ち葉で滑りやすく下りなのに汗をかいた。イメージをトレース
する泉保さんは大歩危駅から標高差1000m以上の雪道を国見山まで登って、川崎方面への長い北方尾根を祖谷口まで
一人で歩いている。趣深山TAKAさんと言い、泉保さんといいこの呆れる程の体力の差っていうものは一体どこからきているん
だろうか。中途半端な体力のイノシシ隊は「こんな場所を登る事は考えられないよなあ」と言いながら滑りまくる。

地図を見ると958.0m三角点手前で左手へ登山道の破線がトラバースしている。二人共これに気をつけながら下っていくが
どうも雪の為かそれらしき場所は見つける事が出来なかった。

 
      尾根には雪が吹き溜まっている             西風が強いので相当雪が盛り上がっている

 
雪が枝からドサッと落ちるのでチビタ〜〜イ                 モノレールが現れた

 
岩が結構増えてきて平坦な場所と傾斜が繰り返される     三角点か?と思ったら境界石だった 14時23分

 
        雪が減らない                         三角点を確認 14時56分

三角点のある958mピークを下ると注意が必要となる。ここに微妙な尾根の別れが存在し、うっかり南側の尾根に乗って
しまうと大歩危橋の西側に至り、デポした車までがムーチョ遠くなるのだ。おまけにこの辺りは植林地帯となり尾根部の確認
が地形的にも難しい。 植林の中を出来るだけ南南東に振って下りていくと「水源かん養保全」の白い杭があり、ここから
下に下る道らしきものが無くなり、作業道が左右方向に走っている。

暫くこの作業道を東へ下って様子を見る事にする。この作業道はいくら歩いても左の沢部に向かっている。GPSで位置を確認
すると相当ルートを東に外している。「元に帰ろうや」とUターンするが登りがしんどいので適当に植林地帯を西にトラバースして
いると細い作業道があり、それを伝って歩くと比較的広い登山道に出た。

 
あのピークから転げる様に下りてきた                三角点ピークから下りるとここで道が消えた

 
      何とか道を発見しホッとする                   植林帯の中にしっかりした踏み跡がある

後は植林帯の中に雪を被っていてもはっきりとわかる登山道が南に向かって伸びており、16時02分 有宮神社の立派な社
の裏手に着いた。有宮神社に下山の安全にお礼を述べて長い参拝用の石段を下る。これが苔むしておりマーシーさんの
スッテンコロリンを笑っているとすぐにバチが当たってこちらもツルリンと滑りしこたまお尻を打撲した。

石段を下りると茶畑があり、人は見かけないが人の住む気配に心が穏やかになる。更に崖の様な急斜面にうまく下に続く
階段があり、それを選びながら丁度「徳善」というバス停に16時13分降り立った。

 
神社に着き、石段を降りる 二人共ここで滑った         お茶畑がある

 
    国道に向かって兎に角下りていく              丁度「徳善」という停留所に降り立った

「徳善」バス停留所から約10分舗装道路を下ると私のラッシュがあり、そこから「おおどう峠」までマーシーさんのデポ車回収に
回る。おうどう峠への道路は朝ほどの積雪はなく走り易かった。峠には他に車や人影は無かったが後から一の森ヒュッテの
内田さん達のパーティがここから登られ、我々のミニ・ラッセルがお役に立てたと聞いた。


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