平成21年12月6日 新瀬川〜塩塚峰〜天狗岳〜剣ノ山〜北尾根〜新瀬川
塩塚峰(1,043.4m)〜天狗岳(1,070m)〜剣ノ山(1,105.6m) 周回
カシミールソフトを使用したGPSトラック・ログ図
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)を使用したものである
新瀬川登山口 (0713h)ー塩塚峰(0850h)−天狗岳(1036h)−剣ノ山(1300h)−県境尾根分岐(1500h)−
917.6三角点(1526h)−734.9三角点(1613h)−下山(1656h)−車に帰りつく(1703h)
山渓四国百名山も残り少なくなったが、よく考えてみるとその中には随分手を抜いて登頂した山がある。塩塚峰もその一つで霧の森
コッテージに両親を連れて行きついでに途中まで車で行って一人で山頂を踏んだり、あじさいの季節に家族でギターをかかえて山頂
へ行ったりと・・・・・。
つい最近 マーシーさんがこの近くにある「天狗岳」へ行き、地図に山名がある場所を山頂と思いこみ、そこから引き返してきた。
後でしまなみ隊のレポを見ると天狗岳の標識はそこから更に南に伸びたピークだった事を知り悔しがった。
そこで再度ここへ二人で行く事に。
コースはグランマー啓子さんの塩塚峰レポに小学生の遠足コースで登った紹介があったのでそれを参考に塩塚峰へ行き、そこから
因縁の「天狗岳」へ。更に県境尾根を「剣ノ山」へ回り込み、三傍示山手前の北方尾根を下って元に帰ると言う周回コースだ。
ザックが無い!!
途中のコンビニに寄り食料を調達し、マーシーさんと待ち合わせの新宮「霧の森」駐車場に付く。食料をザックに入れようとすると、
「あれ?ザックが無い! 朝湯沸かし器を再沸騰させ摂氏100度のお湯の入った魔法瓶を入れたザックが無い・・・」 衣類を入れた
紙袋だけ車に積んだらしい。歳は取りたくないものだ。「え? 若い時からドジだった? ほっといてくれ!」
車を探すと袋に使えそうな物と言えばスーパーのビニール袋と小さめの保冷パックのみ。車に置いてあったスリングとカラビナで保冷
パックを応急ザックとする。
07時13分登山口を出発。新瀬川のバス停留所に塩塚峰登山口の標識があり、川を渡りとどろの滝を右に見て登山道が続いている。
私もボケたけどザックは忘れんぞ! 登山口 新瀬川バス停留所にある登山口標識
標識に従い左折 新瀬川を渡り竹やぶへ
とどろの滝って言うらしい 伐採地横に出る
尾根部に出ると辺りが開けて右手に伐採地が広がる。この辺りには伐採された小枝が多いのでその中から今日の旅の
お供をしてくれるダブルストックを調達。植林地帯で現地調達するストックは杉の枝なので湾曲しているが、伐採地のそれ
は中々杖としての機能は高い。杖の現地調達は山歩きの楽しみでもある。 え? 違うの?
伐採地を通り、尾根を左に回りこむと暗い沢部に石垣が沢山積まれた畑の跡がある。すぐ横には沢水が走っており植林が
無ければのどかな棚田風景だったのかも知れない。急登を喘ぐと前方が開けて08時33分車道に合流した。
車道からの眺めが良いがお馴染みの山域ではないので山の同定は出来なかった。少し車道を歩くと直ぐ右手に直登道が
あり、急な坂を登り詰めると08時42分、塩塚峰の稜線に着いた。登山口から約1時間半位で稜線まで登った事になる。
今日のダブルストックを調達 この辺りは住居があったのか棚田の石垣が見える
沢に沿って石段が続く 車道に出る
最後の急坂を稜線に向かう 広い県境尾根に到着
結構寒い日だったが、標高のせいか霧氷などは全く見られないススキの野原が広がっている。曇天でも不思議と視界が
良い日があり、今日も厚く垂れ込めた雲の下に雲辺寺山や紫雲出山など瀬戸内海の彼方まで見渡す事が出来た。
愛媛県と徳島県の県境がこの塩塚峰から北に伸びている。いつ来ても風が強い場所だ。
今回はこの県境尾根を逆に進む為、先ほど上がってきた合流点を通り過ぎ展望台へと向かう。
塩塚峰 ザックが無いと背中がさび〜〜
瀬戸内海方面も見渡せる
石鎚方面をバックに・・・・・ヒコーキ1号さん こんなポーズでいい?
展望台から塩塚峰
塩塚峰の展望所を更に進むと三角点があり、そこから急坂を下る。左側に潅木の尾根がありそれを無理やり下ると舗装
道路に出た。この舗装道路を切り通しまで少しだけ歩くと、右手に県境尾根がありこれに乗る。尾根道は踏み跡がしっかり
しており、882.3m三角点を過ぎると植林と伐採地の境界に沿って急傾斜を南へ向かって登る。ここを登り切った所が
天狗岳への分岐点となっている。
時刻は09時28分、振り返ると塩塚峰の山塊が良く見える。中ほどにピークが突き出て丁度香川の「笠形山」を彷彿と
させる。
三角点がススキの中に そこから藪尾根を急降下
道路が見えた ここから天狗岳の尾根に乗る
882.3mの県境三角点 植林地帯と伐採地の境に沿って登る
塩塚峰が見渡せる
県境尾根から東に伸びる支尾根上に目指す「天狗岳」はある。何故こんな大層な山名が付けられたんだろう?天狗岳って
名前を冠する限り険しい岩山に違いない。興味を持ちながら細尾根を進むと以前マーシーさんが引き返したピークに着く。
確かに地図上にはこの標高1,055mピーク付近が天狗岳と記されている。
何故こんな事が起こるのだろう? マイナーな場所だけにそんな疑問も起こらないのだろうか。地図上の天狗岳ピークから
真南に進むと10時36分少し高めのピーク、いわゆる世間に認知された「天狗岳」に到着した。
伐採地には休憩所みたいなものが作られお酒が置かれていた。 アップダウンの激しい支尾根へと進む
明るい雑木林の尾根を進む
今度は天狗岳に来たぞ 石鎚神社の祠
天狗岳の山頂標識を確かめながら辺りを見渡す。少し外れの下方に岩がありその上に祠が立っている。この祠には石鎚
神社と刻まれている。なるほど・・・ それで天狗岳って訳?
小振りなブナなどが混在した雑木の尾根は心が落ち着く風景だ。やがて植林の価値が見直される時代がくるかも知れない
けれど、山の風景は自然林が絶対素晴らしい。
左手に広がる見事なアセビの樹林帯を見ながら元の縦走尾根に11時08分県境尾根に復帰する。
天狗岳の山頂標識 保冷パックが下がってお尻を叩く
県境尾根に復帰して南西方向へと進む。多少のアップダウンがあるものの、緩やかに下っていく。愛媛と徳島の県境尾根は
藪っぽいイメージがあるが、この辺りはそうでもなく穏やかで平和だ。
右手の傾斜には伐採地が広がり、そのスロープは登山口へと下っていく。もうどこからでも元に帰れそうな雰囲気さえする。
965m三角点を過ぎて少し尾根が藪っぽくなる。そのうち笹が現れ剣ノ山手前のピークに到着。ここから南へ方向が変わる
ターニングポイントだ。向うに見える剣ノ山はコル部から標高差200m位を一気に這い上がらなければならない。
左手が植林地帯で右側が伐採地なのでイバラなどの低木藪が広がる。このキツイ登りでアキレス腱と腰が痛くなった。
県境尾根に復帰 明るい県境尾根を南西に進む
右手には伐採地の傾斜が谷あいまで下がっている 朝 登って来た塩塚峰の登山道あたりが見える
965m三角点 一列残した伐採地
見事なアカマツを保護した索道ワイヤー 次第に藪っぽくなる県境尾根
今まで見られなかった笹が出現 剣ノ山への急登
剣ノ山の山頂は苦労して這い上がってきた割には実にサエない場所だった。どういう訳かここからは県境部が刈り払われて
いる。山頂標識と三角点が無ければ立ち止まることもない山頂で昼食とする。マーシーさんはザックの中からお湯とラーメンを
出して豪華な昼食や〜
私はここではっと気がついた! せっかく保冷パックを持って来たのに何故ホットコーヒーを自動販売機で買って入れなかった
のか・・・ 失敗を逆手に取るしたたかさが試される時だったと言うに・・・ とほほ 温かいラーメンをすするマーシーさんを横目
に冷たいおにぎりと冷たいお茶を飲む。
剣ノ山から続く県境尾根の刈り払いは小一時間余り続き二人を喜ばせた。「これならひょっとして三傍示山の三角点まで行ける
かもしれない」その時はそう思ったものだ。
エントツ山さん 暖かいラーメンはいいものですぞ〜〜 剣ノ山山頂三角点 (1,105.6m)
刈り払われた県境尾根 ブナなどもある県境尾根
目指す北方稜線が見える (右手の尾根)
剣ノ山からの下りは爽快そのものだった。ひょっとして法皇山脈あたりを刈り払いしている二人組みがここまで出張して来た
のかと思わせる程の快適さ。が・・・・・ 幸せはそう長続きしなかった。1400時くらいになると足元の空間が突然喪失した
のだ。そこから1、118mのピークまで笹薮との格闘だった。
14時40分北方尾根へのターニングポイント付近に来た時点で三傍示山三角点を諦める。先ほどから藪の為スピードが相当
落ち三傍示山を往復する時間が読めないのだ。
さて問題の北方稜線だが、藪の背が高くて稜線が確認出来ない。目印の大きなブナがあり、その辺りでGPSにて位置を確認
するとほぼターニングポイントに到達している筈だった。藪を北側に這い出すと何と植林の支尾根があった。これに違いないと
暫く急坂を下がるとどうもおかしい。右にも左にももっとしっかりした尾根が見え出したのだ。
「こりゃ違うで〜」と又崖の様な急坂を這い上がる。剣ノ山で酷使した太ももが根を上げて攣りかけた。元に戻る事を諦めて
西側の尾根へ向かって藪をトラバースする。1500時 しっかりした北方尾根に復帰出来た。
次第に笹薮が深くなる 笹に溺れだす
ターニングポイントあたりは背丈以上の笹薮だった 北方尾根に載ることが出来た
2万五千分の一地図で見る限り、この尾根に乗る事が出来れば734.9mの三角点まで一気に下れそうである。そこから尾根が
北西に振ってしまう為、ここから北側か北北東に下らなければ車に遠くなってしまう。
地図にはこの尾根に沿って西側斜面に破線が続いているが、傾斜が急でとてもそんな道がある様には思えない。こう言う
場所は尾根歩きが一番なのだ。この北方尾根は比較的歩きやすく、明るい内に下山出来そうな予感に満ちてくる。
15時26分最初の三角点(917.6m)を通過。次第に笹薮も背丈が低くなり植林地帯と自然林を繰り返す。
大きな木の近くにはスペースがある まあ 大体がこんな環境ね
15時26分 917.6m三角点を通過 塩塚峰が夕日に輝く
落ち葉がふかふか 暖かそうな稜線
地図を見ると、734.9m三角点の手前に例の作業道破線が横切っている。二人で注意深く作業道の横切りを探しながら
歩くがそれらしき痕跡は確認出来なかった。16時13分三角点に到着する。尾根道は北西方面に続いているが、さてここ
からどう行くか二人で思案する。
本当はもう少し北側へ進んでから右手に下がるのが正しいと思われたが、北側方面は特徴の無い植林地帯に突入しなけ
ればならず気が進まなかった。 右手に支尾根と踏み跡があったのでそれを利用する事にする。ひょっとしたら先ほど見逃
したかも知れない作業道が又交差しているポイントがあり、それを使えるかも・・・・・
結局、いくら急な植林尾根を下りても定かな作業道を見つける事が出来ず、尾根が消えて沢部になってしまう。北に振り
ながら倒木ばかりの荒れた斜面を下る。
16時56分無人のコッテージの様な建物近くに下り付く。広い道路を川下に向かって歩くと人家があり、右手の壊れかけた
頼りない橋を渡ってマーシーさんの車に17時03分帰り着いた。
16時13分 734.9m三角点を通過 植林の急坂を下る
塩塚峰とその下の集落が見えホッとする
途中から大変な場所を下りるハメに やっと人里に下りた〜
壊れかけた橋を渡る 車に帰り着く (暗いから写真がボケた)
今回はザックを車に積み忘れるというヘマをして情けの無い格好で歩くハメになったが、幸いにしてマイナーな山域の為誰にも
会わずに済んだ。 四国には山とそれに連なる尾根が無数にあり、この尾根を利用した周回歩きを色んなパターンで楽しむ事が
出来る。