平成21年3月1日 上小川登山口ー佐々連尾山(1,404.3m)ー大森山(1,433m)ー金砂湖


藪の中の別天地  心に残る佐々連尾山と大森山の尾根風景  
マーシーさん ペーコさんとの尾根歩き   ついでにガクガク隊とのコラボ尾根歩きもありました



カシミール3Dソフトを使ったGPSトラックログ図 (ペーコちゃん提供)
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 

山渓四国百名山も残り20山を切ったが、この佐々連尾山は標高も中途半端で藪っぽいイメージがあり後回しにされていた山だ。
そこへマーシーさんから「佐々連尾山ー大森山で面白い尾根ありまっせ〜」との情報あり。地獄耳のペーコさんからも乗り気の返事。

おまけに日程を決めると、マーシーさんより「ガクちゃんが当日山頂で待っている」と聞く。お〜〜 久しぶりやんけ
かくして2月1日07時四国中央市のコンビニにてマーシーさんと待ち合わせ、更に07時20分金砂湖に架かる平野橋でペーコさんと
合流して藪尾根を佐々連尾山へと歩く事になった。

下山予定地である大森山から北に長々と派生してきた末端部にペーコさんのパジェロをデポ、マーシーさんのパジェロ・イオにて
上小川の登山口まで入る。ここはかつての佐々連鉱山(昭和54年閉山)の社宅などがあった場所で、いまだにその廃墟が残って
いる。

07時45分登山口を出発
ここから上小川の支流に向かって三椏(ミツマタ)の咲く薄暗い植林地帯を暫く進むと急に前方が明るくなり伐採で開けた谷筋に
到着。


    上小川支流の登山口                       佐々連鉱山の社宅が残っている



  沢沿いに沿って植林の中を進む                      明るい伐採地に出る

この伐採地付近から左手の支尾根に這い上がり、その稜線伝いに佐々連尾山のある予土県境尾根に至る訳だ。
残った植林地帯の縁に沿って直登しようとするとマーシーさんが「作業道があるのでそれを使いましょう」と言う。

ジグザグの急な傾斜をヘロヘロになりながら黙々と歩くと 08時35分 支尾根に這い上がった。


 荒れた植林地帯、倒木を迂回しながら歩く             北側の薬師峠から続く支尾根に到着

尾根に這い上がると、そこは四国の典型的な岩と潅木の細尾根で、特に道はないがスペースと変化に富み、こういう風景に
美しさを感じる。 予土県境主稜線へ続くこの支尾根は結構キツく、自転車通勤とウォーキングで少し有利な私が登り坂では
先頭を歩かせて貰う。

伐採地の上部を過ぎ細尾根を越えると、びっしりと潅木が生い茂った広がりのある斜面となる。子供の頃遊んだ雑木林の
風景を思い出しながら3人のガキ大将はゼイゼイ言いながら進む。


      お馴染みの岩と潅木の細尾根               ず〜〜と急な登り坂



  子供の頃 こんな雑木林でよく遊んだよねえ  でもこんなに急な坂では決して無かった

やがて植林地帯が現れ、スズタケが下草の様に生えているが、ほとんどが鹿に食われて葉がない。広い尾根が窪んで
水が溜まり池になっている。「上高地の大正池のようや〜」と私が言うと「大正池が怒るで〜」と誰かに言われた。

傾斜が緩んで一つのピークを越えると、前面や左面が開けて展望が利く開放感に溢れた場所に出た。左手に落ちていく
斜面には一面杉の幼木が植えられており、それを鹿から守るためワイヤーが引かれてネットが張られている。笹の葉や
木の皮が鹿に食べられている光景に適正生息数を大幅に超えた「鹿の食害」を思い知る。


     壮絶なコラボ風景                        くぼ地に水が溜まり植林地帯に池が出現



植林の幼木を守るために鹿避けネットが張られている      この辺りからブナが多く出現


やがて風景は笹とブナの美しい絵本の様な柔らかさを持ってきた。程よく低い丈の笹原、ヒメシャラの艶のある茶色、幾分
白っぽいブナの幹、緩やかな絶妙の曲線でうねる大地。 思わずマーシーさんに「こんな風景をありがとう」と感謝する。
「そう言って貰えば案内した甲斐があります」と答える。おだてるって事は次にまた良い結果をもたらすものだ。


                      本場のバームクーヘンの様なブナ林



          う〜〜〜ん  これぞ尾根歩きの醍醐味

10時50分池広場に到着
少し尾根を外れた左手下に池があり迂回して近づく。これが周りの風景にマッチして素晴らしい。紫雲さんに案内して
貰った西熊山の北西尾根にもこんな場所があった事を思い出した。

ここから予土県境尾根まで続く低い笹に覆われたブナ尾根は、他に類を見ないくらい素晴らしく心を落ち着かせてくれる
風景で、今まで佐々連尾山に対して抱いていたマイナーなイメージは完全に覆された。

近づいてきた主稜線を見上げると霧氷で白く覆われており、次々現れる立派なブナに励まされながら登って行くと、
11時35分予土県境尾根に突き抜けた。


                           池広場



   景色はいいけど傾斜もキツいわい               お〜〜 主稜線は霧氷やで


     「こんな美しい風景の下を歩くって楽しいでしょ?」  「いや 苦しい〜」(ペーコ)




                   予土県境の主稜線が近づいた


県境尾根は一面笹に覆われていて、東側に位置する佐々連尾山は、山と言うか稜線上の一つのピークに過ぎない。
前回歩いた大座礼山から三ツ森山間の稜線にはもっと高低差のある立派な無名ピークが存在していた。

人間がいれば遠くからでもその気配がする程の小さな山頂だが、どうもガクちゃんはまだ到着していない様だ。
日差しの強さに霧氷がパラパラと落ちてくる稜線を佐々連尾山へと向かう。

11時45分 佐々連尾山に到着

佐々連尾山の山頂は殺風景で、ボンクラ経営者の会社が優秀な社員で盛り立てているが如く、この山の名声があると
すればそれはピークでは無く、周囲の尾根風景の素晴らしさで持っている様なものだ。

そんな思いに耽りながら山頂にある鹿が齧(かじ)って因幡の白兎の様に赤く丸裸にされたリョウブの樹を哀れんでいると
北東部の主稜線から人の気配がした。

あれ? ガクちゃん一人では無かったの? 先頭の黄色はどうみてもガクちゃんだ。最近職場が変わって10キロも痩せた
結果、いっこく堂のデコ人形「カルロス・セニョール・田吾作」そっくりになっちゃった。
あらま、デコ人形の素朴な笑顔の後から数人の女性が付いてきている様だ。

                    
                いっこく堂のカルロス・セニョール・田吾作


這い上がった稜線より東側、佐々連尾山を見る         北東方向の主稜線よりガクちゃん現る


 佐々連尾山 山頂にてガクちゃん達と                 山頂三角点に全員でタッチ!

ガクちゃんとは今年初めてのご対面だったので「明けましておめでとう」と挨拶する。山でいきなり4人もの女性と対面する
事は稀有に近く、ぎこちなく挨拶する。高知の「かもしか山岳会」女性会長を含む皆さんで、この山岳会は50年の伝統が
あるらしい。それにしても高知の山仲間は総じて男女仲が良くて山でも食事を楽しむ民族みたいだ。

案の定、点火されたバーナーに置かれた網の上には何と質の良い焼き肉が並べられているではないか!
う〜〜んカルチャーショックを受けたにかわらん
食に貧しいコンビニおにぎりやカップラーメンが主体の我が登山隊は勧められるがままに恐る恐る山頂で生まれて初めての
焼肉なる物に箸を伸ばす。 この殺風景な山頂で、豪華で楽しい食事コラボとなった。

ここで恒例 エントツ山の替え歌

「山に来ないか〜」  原曲は新沼謙治の「嫁に来ないか」   



山に〜 来ないか〜 ♪   僕らと一緒に ♪

 ブナの樹(き)眺めて   尾根を這い上がろう

狭い山頂で 焼肉食べて  何故かしら 合コン してる気にな〜〜た ♪

佐々〜連尾の 尾根〜歩き  大森山ま〜で  ♪

  予〜土の 山に来ないか  春風(はるかぜ) 受けぇながら  ♪


まるでピクニックの様な昼食が終わって12時45分佐々連尾山を後にして大森山へ向かう。



土佐の人は食いもんの芸が細かいわ                 ガクちゃん達が来た主稜線に下がって見る



  
地図を見ながら情報j交換                      佐々連尾山を下りる

佐々連尾山から大森山まで約40分程の行程だが、笹薮あり、岩場あり、ブナ通りありとバラエティに富んであっという間
だった。途中で佐々連尾山を振り返るが、南斜面に笹原が無ければ地味な県境のピークに過ぎない。
この間、愛媛隊と高知隊の合同歩きとなる。 ガクちゃんはひどい花粉症らしくしきりに大きなクシャミを連発するので
藪で隠れていてもすぐに所在がわかるので便利だ。



        
県境尾根                            遠く佐々連尾山を眺める



  結構 藪いてる所もあり                          岩場もある



      佐々連尾山が遠のく                      笹とブナの県境尾根

二つくらいピークを過ぎると、北側になだらかに開けた笹原となり、そこに点在するブナの風景は圧巻で紫雲さんが
大森山をお気に入りにしているのが容易に理解出来た。 大森山山頂はと言えば、これまた佐々連尾山に輪をかけて
狭苦しくサエない藪の場所だった。

一応山頂の確認を済ませてから北側の別天地にて至福の時を共有する。キツい坂や深い藪を歩いた挙句にこういう
風景が保証されているなら、どんな山歩きも実に充実したものになるだろう。佐々連尾山と大森山界隈はそういう場所
に違いなかった。


    大森山でガクちゃんと土佐カモシカ山岳会メンバー            男衆4人組



                   大森山の風景



              紫雲さん お気に入りの風景

大森山から北側は丁度赤星山と豊受山が対峙しており、木々が開けた場所では必ずセットで現れる。遠くから眺めても
赤星山の山塊は端正でボリュームがあり、その東側に豊受山は申し訳程度のピークを持って並んでいる。

ガクちゃん達お色気チームはここから更に県境尾根を玉取山まで歩くという計画らしい。 我々おっさんチームはここから
いかにも長い北尾根を金砂湖まで歩くので、ここで残念だがお別れする事に。 焼肉やリンゴ、文旦などを食い逃げして
しまう結果となりまっことすまんちや。今度機会があればきっとお返しするきね。

13時50分 マーシーさんと境界杭を追って藪に突入
大森山の北側にあるなだらかな尾根はやがて上小川の谷に落ちて消滅する。従ってここは大森山の意外なほど西端から
北北西に延びる支尾根に乗らなければならない。この辺りの斥候任務はすでにマーシーさんが行っている。

少し藪を突破すると目の前が開けてきて、法王山系、峨蔵山、赤石山系のパノラマ展望所を通過する。こういう場所に
出くわすと大自然の迫力に比べて人間のちっぽけな存在を痛感する。この目の前に広がる悠久な時空の中で個々の
人間に与えられたっ時空はいかにも少ない。

そんな思いに耽っているとマーシーさんとペーコさんはもう先に消えてしまった。
尾根を拾いながらひたすら下へ下へと歩みを続ける。


  大森山から見る赤星山と豊受山                 さらば 土佐の女達よ



  最初、ちょっとだけ藪に突入                   赤星山と豊受山              


   峨蔵山 (二ツ岳〜エビラ山〜権現山) 赤星山〜豊受山   素晴らしい展望所だ




  岩場からは眼下に下界の風景が広がる            再度藪に再突入 (そんなに長くは続かない)



      境界柱を確認                          「山」と刻まれた境界石柱

1時間程北尾根を下ると大森山が見返せる場所に着く。ここが重要な最初のターニングポイントだ。
一見尾根は右手に進んでいるのだが、ここを左手の藪へと入って行かなければならない。よく見ると赤テープが木に巻いてある。
藪はすぐ終わり、潅木の細尾根となる。



     大森山を振り返る (約1時間経過)          ターニングポイントからやや左下へと藪を下りて行く


   藪を抜けると潅木の細尾根となる              ヒメシャラなどがあり快適な尾根だ

途中下って行く尾根から前方を見た時、ヒノキの大木が見えたが、その近くまで下がって来ると大森山と佐々連尾山が
見渡せる。 あ〜〜 いかにも長い・・・ でも先も又長いのだ。
山に登ってそこそこ歩き下山した時、自分の歩いてきた山の高さや遠さを振り返り人間の歩行能力に驚く事がある。
う〜〜ん あんな所まで這い上がって、また下がってきたのだ。

マーシーさんもペーコさんも体力が私とほぼ似通っているので、同じようなペースで歩けるとストレスを感じない。いい
山仲間だ。
15時10分 根が地上に現れた大きな天然ヒノキ脇を通過する。


崩壊地から大森山と佐々連尾山を見上げる  下って来た尾根が蛇行して見える



   天然ヒノキの根っ子越しのマーシーさん           確かに見れば見るほど複雑な構造をしている

天然ヒノキを過ぎると潅木が覆い茂る細尾根が続き、幾つかのピークを岩などを迂回しながら越えて行く。少し尾根が
左手に蛇行しそこには幾本かのマンサクの花が咲いていた。ひょっとして今日初めて見た花じゃない?
14時50分 1,198.2m 三角点に到着

三角点を過ぎてからも長い尾根歩きが続く。自然林に変わって植林も現れる様になり、崖を迂回する場所ではちょっと
緊張する場面もあった。 変化のあるアップダウンを飽きるほど繰り返す。


   ありゃ〜  まだ向うにピークがあるがね         道が無いのに道があるように見えるのが尾根歩きなの


    まんさくおじさん  こんにちは               1,198.2m 三角点に着いた〜  三銃靴




    も〜 危険いっぱいじゃないのよ!               無心に下る修験者の心境 ウォーカーズ・ハイ

17時15分 鉄塔横にある 681.3m 三角点に到着
あ〜〜 これでやっとフツーの山道、四国電力様の鉄塔順回路を利用出来るのね。一同ホッとする。
いくら藪好きと言っても夕暮れ時に道が無い場所を歩くのは避けたい。
鉄塔巡視路は開けた伐採地を回り込み初めて人間の匂いに満ちた下界が見えた。陽が西に傾きカラスが巣に帰る頃、
我々はまだ赤く夕日に照らされた植林地帯に突入して行軍は続く。


      赤松が多くなる                       四国電力の鉄塔横にある 681.3m 三角点




    下界が見えた〜   でも尾根は更に東へ続く        夕日に照らされた植林地帯を下る

計算上は暗くなる前に金砂湖横の道路にデポした下山口に到着出来ると思っているのだが、次第にマーシーさんのピッチが
上がる。私やペーコさんはシティボーイなので後半ちょっと足腰がへたる。マーシーさんは山の子なのでメタボのくせして足腰
に地力があるようだ。 マーシーさんを追って鉄塔から暗い傾斜をを下る時、ブレーキ代わりに腕を木に巻きつけたら、棘野郎
だった。イテ〜〜〜

4個目にして最後の鉄塔を17時50分に通過して、1800時頃やっとこさ道路に降り立った


二つ目の鉄塔を下る時、マトモに触ってしまった              4個目の鉄塔が最後となる

長い一日だったが、佐々連尾山と大森山の山域を十分満喫出来た。マーシーさん、ペーコさん ありがとう
そしてガクちゃん、土佐カモシカ山岳会の皆様 ありがとうございました

ガクちゃんの佐々連尾山ー大森山縦走記は ここ


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