2005年07月17日 矢筈山ー石堂山
2005年07月24日 黒笠山
何ってたってヤブ〜 ♪ 夏だってヤブ〜 ♪
落合峠よりピストン縦走 矢筈山(1,848.5m) ー 石堂山(1,636m)
夏の坂道  黒笠山(1,703m)
平成17年7月17日 落合峠―矢筈山―石堂山 ピストン縦走 (約 7時間半)
平成17年7月24日 黒笠山 (約5時間)


矢筈山ー石堂山 ピストン縦走路 (地図作成 国土地理院数値地図50000 承認番号 平15総使第634号)
落合峠ー矢筈山 2時間30分
矢筈山ー石堂山 1時間30分    4時間
石堂山ー矢筈山ー落合峠       3時間30分  合計 7時間30分

白井登山口ー黒笠山ー白井登山口  約 5時間

7月17日
徳島の車で行ける眺めの良い峠として名高い「落合峠」で天狗塚、三嶺を眺める。それから矢筈山―石堂山を縦走する
計画を立てる。分県ガイドブックには両山とも夏場は藪が深く不可とある。てやんでぇ こちとら軟弱と言えども野武士ローン
・コヨーテよ!


落合峠より 左から 三嶺 −西熊山 −地蔵ノ頭ー 天狗塚 −牛ノ背

落合峠から見る剣山系の眺望は聞きしに勝る素晴しさで、牛ノ背、天狗塚、西熊山、三嶺と一直線だ。美しいこの風景
に我を忘れて見入っていると短パン姿の涼しいいでたちの人が車で来られた。挨拶を交わすと、山岳レインジャーの方
だった。
落合峠には登山者ばかりではなく景色を楽しむ行楽客も来るので峠の少し下がった場所い駐車場とトイレが設置され
ている。


徳島パークレンジャーのNさんと落合峠で
 
パークレンジャーの腕章を見せて頂く   矢筈山登山口

標識の立つ登山口から笹の小道を最初の岩ピークに向かって上がっていく。ウツボグサ、イブキトラノオ、シコクフウロ
などが咲く急坂を朝露にズボンをビショビショに濡らしながら上がると、大きな岩がありそこからの天狗塚から三嶺への
展望がすこぶる良い。車を停めた落合峠が眼下に小さく見える。

    
            ソバナとイブキトラノオと天狗塚  土佐矢筈山

    
           大岩から三嶺       西熊山        天狗塚

       
          第一岩場展望所から落合峠を見下ろす

ここから暫くは塔ノ丸みたいな小さな起伏のある尾根道をサガリハゲ分岐への急坂まで30分ほどの行程を進む。
その間、笹原から木立の尾根道、藪いた坂が次々に現れる。落合峠標高1,520mから1,654mピークまで東北東
方向になだらかな上りが続き、そこからいきなり右手に見えるピークに向かいロープの張られた急坂を這い上がると
サガリハゲ分岐の標識に出会う。ここから登山道は草薮や笹薮のトラバース道と岩などのある尾根道を伝って高度
を上げていく。頭上には自然林が天空を被い夏山の苦しさはない。

 
矢筈山まで2.5km 標識             ヤブ登山道

 
     尾根道             左 矢筈山 中央 サガリハゲ分岐ピーク

    
       歩いてきた尾根道  落合峠へ続く道路

   
道は少し南東方向へ振る         サガリハゲ分岐手前の急登り ロープあり

 
サガリハゲ分岐 あと0.8km          トラバース道

ここまで来ると目指す矢筈山はもう目と鼻の先だ。やがてイワキンバイの咲く大岩が現れ、展望が良くなる。そこを抜け
ると矢筈山の山頂に到着した。 細長い廻廊の先には正面に山頂の標識があり、道は更にそこから右の黒笠山縦走路
と左の石堂山縦走路と二手に別れる。 先ほど大岩手前で元気良く私を追い抜いていった3人連れは既に山頂にはおらず、
どちらかの縦走路に向かったらしい。

 
    矢筈山が見えた             尾根道に上がる

    
      ここまで来ると 奥に剣山と次郎笈が見える 中間に塔ノ丸が
 
もうすぐそこに矢筈山 山頂だ      大岩が現れる

  
山頂手前から大岩を振り返る  左手前がサガリハゲ その奥が天狗塚、牛ノ背

     
                 矢筈山 山頂

矢筈山山頂からは途中から見えなかった剣山や次郎笈、その手前に塔ノ丸がやや低く見える。その展望をしばらく
楽しんだ後、左手の石堂山縦走路へと下がっていく。丁度沓掛山から黒森山へ下がっていく様子に似ていて、クロ
ズルなどの藪が登山道を被っている。藪を嫌う人なればここで尻込みするのは間違いない。

 
石堂山へ向かってクロズルの急坂を下る  げへ〜~ クロズル攻撃〜

藪というものは不思議なもので、大体が入口付近が一番ひどいものだ。ここで撤退すると何処の藪も歩けない。
案の定ひどい藪を下り切ると眼に見える道の地肌が現れ細い尾根道に入った。そこから今下ってきた矢筈山を
見上げると文字通り「矢筈」(弓の矢を左指で固定る辺り=ゆるやかなM字形)の形をしている。相変わらず両側
には涼しげな木々が茂り小鳥の群れが乱舞する。

      
       ヤブを超えなければこの矢筈山の形は拝めないのよね

 
    胸まである草ヤブ          こういう天国みたいな道もあるのよね

あわてて10倍ズームを取り出し小鳥を追っかけるが、その動きの早いこと。近くにいるのだが一刻もじっとはして
いない。それも全員木陰の中をごぞごぞ動き回る。不満足だが2枚くらいは鳥とわかる写真が撮れたぞ〜ANちゃん。

      
               ANちゃん鑑定のヒガラ

 
 落ち着きの無いヒガラがウヨウヨ          小鳥の道

なおも藪が現れたり美しい笹尾根を歩いたりしていくのだが、どうも気がかりな点がある。 すなわち道がず〜〜と
下っていくのだ。ちゅうことは? 帰りがず〜っと上りって悲しい宿命が待っている。ピストン縦走の場合、逆に上り
だと嬉しいのだ。

ガスが出だした尾根道をドンドン下っていくと「水場」の標識が現れた。帰りに余裕があればどんな状態が見てみよう。
先に石堂山の山頂を目指す。尾根を右側に回りこむと眼前に絶妙に傾いた四角い岩柱が向こうのお山にそそり立っ
ている。あ〜これがKAZASHIさんのHPでみた御塔石(おとういし)だ。 

     
      御塔石 (おとういし) バックの山は石堂山ではない

でも石堂山の標識はそこへ続くと思しき道から外れて左上を指している。不思議に思いながらそこを上がると・・
あれ? ここが石堂山の山頂だった。あっけないゴールだった。記念写真を色んなポーズで撮る。矢筈山も霧の
切れ間から見え隠れしている。標高差200mなのだがそれ以上にあっちが高く見える。

 
石堂山分岐 すぐ上が山頂            石堂山山頂

先ほど見たカキ餅を高く積んでちょっとずらしたような、何ともいえない味のある不安定な板状節理の御塔石まで
進む。近くにいくとこれが結構デカイ。平凡な石堂山を背景に修験者などの信仰の対象になったのもうなずける
光景が眼前に広がる。なおも矢筈山がその右側に特徴ある姿を見せる。

     
       石堂山の向かいにある御塔石(おとうせき)

さあ あそこまで登り返さなければ・・・
石堂山手前にあった水場まで200mという標識を見てその様子を見に行く。確かに何がしかの水が湧いてはいるが、
時期にもよるんだろうが浅い水溜りがあるだけで飲み水としては使えそうに無かった。周りには大きい動物の足跡が
あり、あの標識は「動物の水場」だったのか

 
水場まで200mの標識 (矢筈山側) よっぽど死にかかったら飲むだろうが・・・


 こういう美しい縦走路を歩きたい為にヤブ尾根に入っていくのだ

大まかに数えて4つくらいのピークを越えて次第に高度が上がっていく。心配していたよりキツくなかった。あいかわらず
オオルリやウグイスの声がするが姿は見えない。

 
こんな草ヤブでさえも美しい風景だ   矢筈山への急登を上り返す

矢筈山の山頂に帰るとジャージ姿に立派な登山靴を履いた若者が来た。香川県の人でこの矢筈山には標高につら
れて来たが、この藪を歩いてもう2度と来ないだろうとの感想に笑ってしまう。彼によると標高が1,848.5mもある
のに藪ばっかりで何故森林限界を超えていないのか不思議だという。う〜〜ん その意見には私も大賛成だ。 

1,848mと言えば笹原で有名な 平家平(1,693m)白髪山(1,770m)笹ヶ峰(1,859m)堂ヶ森(1,689m)
三嶺(1,893m)と同等かそれ以上の高さなのだよね。でも美人ばかり見ているとダメ。毛深い個性的な女性も見
つめなきゃ

    
      イブキトラノオがニョッキリの矢筈山 山頂に帰り着く

この温和そうな若者の不満に相づちを打ちながら矢筈山頂を去る。途中で例の3人組に又追い抜かれた。聞くと
黒笠山まで歩いてきたという。デジカメを撮る風でもなし景色をゆっくり眺めるでもなし、ただ元気良く3人で足早に
行進をする。色んな山の楽しみ方があるもんだなあ。

 
黒笠山縦走グループに追い抜かれる   落合峠に帰り着く


昼からガスが広がり、朝見た剣山系の山々は霧の彼方。矢筈山を振り返りながら落合峠に下りつき深淵(みぶち)
を経由して帰宅する。落合峠から矢筈山ー石堂山 夏でも全然問題ない山歩きが出来ますよ〜


矢筈山ー石堂山で見かけた花たち

 
   イワキンバイ                 ウツボグサ 

     
              クガイソウとバイケイソウ

     
 
          クサタチバナ

 
   コナスビ                  ヨツバヒヨドリ

     
                    シコクフウロ

 
      ソバナ                 タカネオトギリ

 
       ツルアジサイ           トリアシショウマ

 
     バライチゴ              ホソバノシュロソウ

     
          矢筈山 山頂近くの大岩に咲くイワキンバイ

 
   ホタルブクロ                ホタルブクロ 白

 
  ヤマアジサイ                ヤマボウシ

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7月24日 白井登山口より黒笠山へ    登山口で苦戦

午後用事があるので午前中に黒笠山へ行く。津志嶽(つしだけ)への縦走路をチェックするのも今回の目的。
自宅の国分寺町から国道438号線に出て三頭トンネルを越えて吉野川に出て、貞光川を剣山方面へ進む。
黒笠山登山口へは初めての道。、岩戸温泉を過ぎた辺りでぼんやり運転していて「矢筈山」の標識が見えた
ので、咄嗟にその方向に直進してしまった。

20分くらい谷あいを進むがどうも様子がおかしい。地図で確認するとどうもそれは石堂山(いしどうやま)の登山
口、木地屋への道だった。元の438号線に帰り、剣山方面へ進む。工事中のカーブを回ると「祖谷 菅生(すげ
おい)」の道路標識があり、それを直角に右に折れ橋を渡って黒笠山登山口へ入っていく。

 
まっすぐ行くと石堂山登山口へ行ってしまう  この赤い鳥居にUターンすると
(標識は矢筈山 308とある)          津志嶽への登山口へ行ってしまう

 
ここを右に曲がらないといけない   前方から来て右折、谷筋を上がると登山口

小島峠への道を進むと20分くらいで白井の登山口へ着く。県道沿いには駐車スペースが無いので沢筋の狭い
舗装道路を右へ上がっていくと突き当たりに駐車場があった。これが良くわからなかったので林道を小島峠側へ
進んで何とかスペースを見つけ車を留め、登山口まで歩く。 標識を見る限りこの登山口近辺の住人から登山者
はあまり歓迎されていない様な印象を受けた。結局それからも登山道を見つけるまで時間がかかってしまう事に
なるのだが・・・

 
この道を谷川に沿って上がっていく    駐車スペースがありここが登山口

    
      登山口の涼しげな小滝とオニユリ

民家の前にある谷川は水がとても綺麗でオニユリが周りの風景に良く似合う。さすが夏場は人気がないようで駐車場
には車は一台もなかった。さあ ここからも迷路のような登山道探しが続いた。KYOさんのレポートを読んできたのだが、
うる覚えの記憶では歯が立たない迷路だった。働きアリのようにあっちいってチョンチョンこっちいってちょん。

 
登山口をあがると即 左折ですよ!!    橋はこの一つだけを渡る

     
       橋を渡るとまた オニユリの咲く清流が

 
橋を渡って今度は左の山すそを右に曲がる  やっとまともな標識にたどり着く

農家の縁側でおばちゃんに教えてもらったり、橋を渡って民家の軒先に入り込んだりして、やっとの事で杉林の
登山道に行き着いた。もうここまでで疲れました。

ギンバイソウが群生した暗い杉林に入ると一本道でほっとする。藪道で迷うのは納得いくが、民家の近くで登山
道を探し回るのはゴメンだ。皆さんのHPレポートにある農機具がそのまま置かれた廃屋を右手に見て石垣など
がある急坂を上がっていく。

     
         ギンバイソウの群落

 
懐かしいコンバインが置かれた廃屋          登ってきた道

    
      初めての分岐  道は左へ一本道となる

坂を登りきると標識があり、直角に左折すると鳥居が現れ、ここが信仰の山である事がわかる。右手には獅子脅し
の音が静かな杉林に木霊する。鳥居の前で一礼したあと、悠久の獅子脅しのリズムを崩して顔を洗う。一定のリズム
を刻む事を定められている神経質な竹筒に申し訳ない気がしながら、なおもリズムを崩してタオルや帽子を聖水で
冷やす。気持ちいい〜

 
黒笠神社の参道を表す鳥居さん         獅子脅し

ここから尚も植林された杉林を進むと辺りが明るくなって自然林が現れた。植林と自然林を繰り返して徐々に高度を
上げていく。登山道は沢に沿って黒笠山の尾根へほぼ一直線に登っていくので勾配がキツイ。でもその分勝負が早い
って事。REIKOさんの黒笠山レポートに出てきた熊の形をした倒木を越える。

 
自然林と杉林が繰り返し現れる      沢の音を左手に聞きながら歩く

 
岩がゴロゴロした沢筋もある     大木が倒壊して4ブロックくらいになっている

     
                緑の世界

     
        黒笠山が見える ここでオオルリが啼いていた

沢筋を突き当たるとシモツケソウの咲く岩盤を左手に上がって行き、急な細道を登って行くとやがて黒笠神社が現れる。
ここがREIKOさんがのんびり師匠から声をかけられた場所だ。お地蔵さんも2体仲良く並んでいた。もうここまで登ったら
尾根は近い。

     
               黒笠神社が見えた

  
  尾根に上がった事が笹道でわかる   矢筈山縦走路分岐 (右側)

黒笠神社からなだらかな広場を登って行くと急に笹が出現し尾根筋に到着。去年REIKOさんが来たときは笹が一杯
茂っていたが、今は刈り広げられてとても歩き易い。左手には登山口あたりの集落が霞んで見える。やはり沢筋を
一直線に登って来た実感がする。右手に広がるブナ林は石墨山を彷彿とさせる美しい風景だ。

      
         矢筈山縦走路は腰までの笹薮道だ

津志嶽への尾根らしき所を越えると「矢筈山への分岐」標識があった。先週元気の良い3人組が矢筈山からここまで
やって来たのか。それにしても深い笹薮だ。そこから黒笠山へ向かって少し道が下がっていくが、ここで山頂がちょっ
と姿を現す。どのHPを見てもここからの山頂写真は逆光で黒い。

      
      黒笠山の山頂が見える ここは誰の写真を見ても逆光となる

 
矢筈山縦走路の尾根には大岩が    山頂手前の岩場 (鎖がある)

このあたりから少し花が咲いているので虫がうるさい。先ほどから大きな蜂が一匹ブンブンうなりを上げて突っかかっ
てくる。この偵察隊を刺激しない事って本に書いているけど、やはり近寄ったら本能的に手で追っ払う。うなり声が消え
たら、大編隊を引き連れて帰って来ないか心配になる。人畜無害のオッサンを見逃しておくれ〜

クロズルなどが生い茂った登山道は最後のフィナーレを迎える。そう 鎖場だ。別にどうって事もない鎖場だが一つの
山頂への儀式としてのアクセントにはなっている。 山頂は狭い。愛媛の豊受山が3畳一間ならここは4畳半の襖張り
ってとこかな。

 
黒笠山 山頂                 山頂から矢筈山方面

  
黒笠山 山頂標識               小島峠への縦走路入り口

あいにくガスが一面にかかって、この山の唯一の役得「展望」ってものが無い。覚悟はしていたが、やはりつまらん。
絶壁から眼下に広がる樹海を見ながら、例の紙に包まれたおにぎりを食べる。ここも標高1,703mにしては香川県
の1,000m高山と同じくらい樹木に覆われている。おどけた写真を撮ろうにもそのスペースすらない。はるばる香川
からやって来た登山者をバカにしているこの山頂から少し小島峠側に下りて様子を見る。

帰ろうか・・・・ 更にひどくなる展望にしびれを切らせて、盛り上がりに欠けた山頂を下る。次は津志嶽への縦走路
チェックだ。

       
              美しい黒笠山のブナ林

  
    津志嶽への尾根道           少し尾根道に入って道を確認

      
         ぎょへ〜 インディアンの皮剥ぎだ〜

津志嶽への尾根道を少し進んでみる。ここも藪の鉄則で入り口がひどいが、少しガマンをして進むと結構踏み跡が
あり行けそうだ。でもふと前に見えた光景に身がすくんだ。大型の動物によって木の皮がえぐられている。くわばらく
わばら・・・帰ろ・・

      
             二つの沢の間を下る登山道

 
 鳥居まで帰る                 登山口近くから黒笠山を振り返る

途中で香川から来た若者とすれ違ったが、結構山にマニアックそうだったので挨拶だけで失礼した。まあこの時期
黒笠山に来るって事自体私も変人の部類だわ。帰りは下り一方だったので快調に飛ばして下山。津志嶽の下山口
である変電所あたりをぶらつき帰途につく。

結論
やはりTAKAさんのHP写真にあった様にこの黒笠山は小島峠から登らないと「阿波のマッターホルン」とは無縁の
山となる。




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