中高年の新日本百名山に選ばれし山 「稲叢山」(いなむらやま)へ 高知県
稲叢山 位置図 地図作成 国土地理院数値地図50000 承認番号 平15総使第634号
稲叢山(いなむらやま) この変わった名前を知ったのは4年前の事。それまでゴルフに明け暮れていた私はふとした事から
知り合いに勧められたこの山へ行こうと思いつき訳もわからず何とかトンネル登山口にたどり着き狭い山頂に立った。そこで
あった高知の女性に「三嶺に登りなさい」と勧められ私の山登りが始まった。
6月12日は天気予報が雨で、ちょっと長く山を歩こうかと考えていた出鼻をくじかれた。それならゴアテックスのレインコートを
着て、この懐かしい振り出しの山「稲叢山」へオオヤマレンゲを見に行こう。
稲叢山に咲く貴婦人 オオヤマレンゲ
オオヤマレンゲはFRVさんが掲示板でもうそろそろと言われていた。インターネットでオオヤマレンゲを検索すると何と我が
HP投稿登山記のハルちゃんレポートが出た。もう少し検索すると去年「萩生の森」さんが愛犬を連れて沢コースを下りている。
よっしゃ!このコースに決定!
何とか小さな間違いだけで稲村調整池に到着。駐車場にはトイレもあり前面に池が広がり右奥にそんなに特徴の無い稲叢山
らしきピークが傾いている。何だか低い山だなあ。
登山口は池の奥に向かって伸びている車両通行止めの道沿いで標識もありすぐわかった。問題はオオヤマレンゲの咲いて
いる場所だが、まあこれも何とかなるだろうて。
稲村ダム 尾根鉄塔コース 稲村調整池が次第に眼下に見え出す
最初はダム湖や背後の山を見ながら鉄塔の電線に沿って尾根を進む。ウグイスがたくさん近くで鳴いているが、彼らはニンジャ鳥
なので見つける事が出来ない。小さな枝の天辺に止まるって事はまずない。登るにつけいやに暑いので良く見ると黒い半そでの
シャツは冬用のサーモタイプだった。いまさら裸にもなれず襟首を押し下げて空気を入れながら歩く。 やがて木々が頭を被うよう
になり少し涼しい風が吹いてきた。東手の西門山(にしかどやま)が見えるように道が少し東にトラバースする。ここから登りがきつく
なるが、その分木々が頭上を被って美しい自然林の道となる。
東手には西門山(にしかどやま) 尾根からトラバース道に入ると緑が一杯
緑のステンドグラス道を更に進むと道がなだらかになり、道沿いにカメラを構えた男の人がいた。その傍らを見ると白い椿のような
花が咲いている。あ〜〜これがあのオオヤマレンゲか〜 思ったより小振りだが清楚な白がかわいい
葉がたくさん生い茂りまだ蕾が多いので誰もいなければ見過ごしそうな感じだった。しこたまここで隣にぶら下がったベニドウダンと
一緒に撮影する。 次第に人が増えてきたので先へ進むことに。 少し行くと又道の両側に小さめの花が咲いていた。
ここにもかたちの良いブナが オオヤマレンゲじゃ〜
オオヤマレンゲ モクレン科
オオヤマレンゲの蕾 数日で変色してしまう繊細な花
ベニドウダンもすぐ横に オオヤマレンゲの木の前で
そこから更に進むと信号の無い交差点に着いた。本によると3差路とか4差路とかになっているが正確には 五差路だった。すなわち 1)私が歩いてきたダムからの尾根道 2)右手には行き止まりになっている踏み分け道 (FRVさんに行き止まりと教えてもらう) 3)正面にはトンネル登山口への道で西門山への縦走路ともなっている 4)左には稲叢山の山頂への尾根道 5)さらに左に洞窟コース(沢コース)への道
山頂への尾根道を上がって行くと見た顔がいた。その人は何やら登山者とこちらに気がつかないくらい大いに話しこんでいる。良く見る
と無口なはずのFRVさんだった。「何しよん?」って歩み寄るとあ〜見つかっちゃった〜って顔。そう!私に会うと肖像権が消滅するんです。
ふと寡黙なFRVさんに口を開かせていたお相手は誰ぞいなと見ると ン?? あれ〜? 四国中央市の四国100名山王手夫婦ストーン
リバーさんだった。 狭い尾根道で他の登山者をやり過ごしながらみんなで再会を喜びあう。 元気で山登りを続けられている仲間に会う・・
・何と幸福な瞬間。
自然百科事典男FRVさんとストーンリバーさん御一行
この山頂尾根の両側でオオルリらしい鳴き声がする。いるいる、2羽で枝を渡り歩いている。カメラを構えてももうそこにはいない。ここぞ
と思うと団体客が通過する。仕方ないわい。 木の根を保護するロープが張られた尾根道を詰めると更に一段上がった場所が山頂だ。
稲叢山の尾根道
シャクナゲの残った尾根道 山頂直前
狭い山頂は案の定混雑していた。香川のセルフうどん店みたいにはお客ははけて行かない。そう、今日は石鎚への展望は良くこんな
チャンスに長く留まらないほうが不思議なのだ。おまけに祠が強風でほこらに飛んでいかんようにワイヤを無粋に張っているのでつま
ずきそうで危ない。これは足元が心もとない中高年登山者にとって危ないじゃろう。 懐かしい岩場に向かうがここも既に先客に占領されていた。何せここの山頂ときたら狭すぎるのよね。
山頂から稲村ダム湖 山頂直下の見晴らし岩
スペースを見つけて稲村調整池を眺めながらおにぎりを食べていると、更に下のほうからも山頂の椅子取りゲームに負けた人たち
の声があちこちからしてくる。 山頂からは 手箱―筒上―石鎚―子持ち権現―瓶―伊予富士―寒風山―平家平まで ずら〜っといつもと反対側のパノラマが見渡せる。
稲叢山山頂 筒上 石鎚 瓶ヶ森 伊予富士 寒風山
手箱 筒上 岩黒 二ノ森 石鎚 子持ち権現
稲叢山からのパノラマ 位置関係図
山頂で丸亀から来られたご夫婦に途中で買ったという名物「山菜弁当」をおすそ分けしてもらう。横にはバーナーでお湯を沸かす
ご夫婦も・・・きょうはオオヤマレンゲが見られて満足の山歩きになったでしょう
山菜弁当をおすそ分け 山頂標識 テーブル
さあ、目的の渓谷コースに向かう事に。
木の根っこがたくさん浮き出た細尾根を下りていくと数人の登山者とすれ違った。その先頭を歩く人の顔に見覚えがあった。
後続を見ると あれ〜 ジャンボ阿部、先日銅山峰であった白石さん、山内さん、あとおなじみの顔、それに楠橋さん、徳永さ
んまでおる〜 なんとまあ再会するまで日数が相当かかったが、一旦あえばこんなもの。互いの健闘を讃え合い別れる
しまなみ隊に遭遇 石立山でお会いした松山の林さん
更に下ると数人の最後尾の男性と顔を合わせて立ち止まる。「どこかでお会いしましたね」「あ〜 石立山でお会いしましたよ」
「あの時、憧山会の石井さんの話をしましたね」 またまた再会を喜び合う。元気にお山で再会する喜びをかみ締めながら分岐
まで下る。
例の5差路から「伝説の洞窟コース」へ。最初からムードがある樹海を左手に登って来た尾根コースを見ながら下りて行く。
ゴヨウツツジらしき木がたくさん見られた。
洞窟コースへの標識を下る 左手には尾根鉄塔コースが見える
美しい沢コース
右手から沢の音が聞こえ、一旦開けた場所に出た。対岸にはすくっと伸びた端正なブナがこちらを見ている。板状節理(ばんじょう
せつり)をした岩場が現れ、道が急になった。どの岩もまるで人間が築いた石垣の様に聳えている。 この沢にある岩場を滝となして
水が落ちてくる幽玄の世界だ。土佐の仙人さんによるとこの板状節理は、変成岩と硅質片岩、泥質片岩から成っているとの事。
すくっと立ち姿が美しいブナ
岩のテーブル 板状節理の断崖
伝説の洞窟らしき巨大な岩盤が目の前に現れる。安徳天皇が横倉山への逃避行の中で56人の平家落人がこの地で餓死したとか
言われている洞窟らしい。傍にはお地蔵さんも祭られていた。
ダムを見下ろす景色 鎖場もある
伝説の洞窟 (風穴って説も) 魔崖仏でもありそうな大岩の登山道
それを回り込んで更に降りていくと4mくらいの岩場に鎖があり、それを越えると見事な滝が現れた。 いくら見ても見飽きない
素晴しい景色だった。
板状節理の岩盤から落ちてくる滝
更に岩盤に沿って滝が続き素晴しい風景を作っている。
水を貯めた小さな堰を越えると急に明るくなりダム湖の道に下り立った。 ここに西側尾根直等ルートと沢コースの共通登山口の
標識があった。
萩さんみたいに犬連れだ 涼しげなる風景
コンクリートの梯子段 岩盤を清流が滑る
分岐がくれば下山口は近い ダム湖畔の下山口
駐車場に下りつくとはるちゃんたちが居て、私が下りてきた洞窟コースからの仲間を待っていた。車2台で来てトンネル口から
西門山―稲叢山を縦走し、二手に分かれてお山を楽しんでいるのだった。コーヒーを頂きながら歓談して別れる。本当に元気
で楽しいグループだこと。このグループとえにしが出来た事は石鎚大権現様のご利益でしょう
又 しまなみ隊に逢っちゃった 池内・阿部・滝本・ 楠橋・ 原 ・徳永・ 古川 白石 山内
稲叢山で見た花
カマツカ ガマズミ
ウワバミソウ ガクウツギ
ベニドウダン ヤマアジサイ
ヤブウツギ コツクバネウツギ
コケイラン サワギク
コナスビ ジシバリ
ニガナ キバナとシロバナ ツクバネソウ
テンナンショウ (マムシグサ? ミズタビラコ
まあこれで3回続けてのゆったり歩きだったが、改めて稲叢山の良さを少しわかった山歩きでした。
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