5月29日 アカモノ・ツガザクラの銅山峰・西山へ KYOさん・静御前的登山記に挑戦
銅山峰のアカモノ (エントツ山)
銅山峰のツガザクラ (徳永 治夫 撮影)
アケボノツツジが終われば今度は「3年前にツガザクラ・アカモノを見せてくれるって約束してたよね」って振り子を目の前で振り
ながら静かに魔法をかけてくるサマンサ。そう言えば確か3年前にそういう約束をしたような気が・・・旧人類ネアンデルタール人
の血を引くエントツ山は暗示にかかりやすい。
前日皿ヶ嶺に行ってダウンしていたはずのサマンサが、朝起きると蘇えっていた。今度は小さめの魔法瓶にお湯を沸かして用意
している。あ〜今日も楽しいピクニック。
日浦登山口 接待館にて
日浦駐車場は既に一杯で車は停められなかったが、アケボノツツジの時期よりはちょっとマシ。前回と同じ駐車場をやりすごし
広めの路肩に車を停めて歩き始める。娘と来たのが一年前。その時は遠登志に自転車を置いて帰りは一人で東平―遠登志
へ下った。今日はそんな小細工は通用しない。団体客がいたのでサマンサを追い立てて先に進む。
アカモノ登場 ギョッ 心霊写真! なんだサマンサか
見慣れた旧別子の「その昔生活道」を歩く。目ざとくアカモノを見つけたサマンサはソプラノの声を辺りに響かせてマサイ族のよう
に小躍りして喜んでいた。確かにそれほど初めて見るアカモノはかわいいのだ。右手には美しい渓流に落ちていく崖にアカモノが
かわいい微笑みを浮かべる。開いていない花は口を尖(とん)がらしている赤い頭巾をかぶった天使のようだ。
白と黄色のニガナ ホウチャクソウ
アカモノが登山道に沿って咲いている 高知の車にカメラを忘れた人
登山道で女性が携帯電話でしきりにアカモノを撮影している。その姿がやけに真剣なので声をかけると「カメラを駐車場の車に
忘れてきたがやき・・」悲劇の高知人だった。横にいる連れの女性のカメラをみると只者ではない写真趣味家グループと見える。
今日一日悔しい思いをして、帰って更に後悔し、後日友人の美しい写真を見せてもらってまた後悔する。これ以上の悲劇はあろ
うか?いくら慰めてもキリがない状況なのでそっと先へ進む
アカモノはこじゃんとかわいい
ここは昔の生活道だけあって水場がたくさんあるので今日はお茶のペットボトル一本だけ。あとは空のペットボトル2本。ダイヤモンド
水休憩所に着いたが誰もいない。地底はるかに眠るダイヤモンドの削岩機より豊富に流れ出てくる地下水を鉄管からペットボトルに
採る。すると大きな三脚をザックに結びつけた男の人がやってきた。四国中央市の人で本州の山を泊りがけで写真を撮ったりしてい
るらしい。へ〜 カタクリーアケボノーツガザクラと春はこの界隈はカメラマンで賑わう。
ダイヤモンド水をペットボトルに 三脚を背負ったカメラマン
右岸道は木に覆われて急な坂道が多い アセビの登山道
今日は右岸道(左側の直進登山道)に進み、初めてのサマンサを蘭塔婆に案内する。元禄の大火災犠牲者を弔ったピークなのだ。
ここに咲くアカモノが遠い過去の歴史に忘れ去られようとする銅山峰の人々の霊に花を手向けるように咲いている風情がなんとも
言えない。花の力がサマンサの歩みに力を貸してなんとかこの急坂を後ろから付いてきている。
蘭塔婆 蘭塔婆に手向けるように咲くアカモノ
上から見た蘭塔婆
このピークに立って周りの山々を眺めると別子銅山300年の歴史がここに眠っている時の流れの不思議さを実感する。後日、キララ
さんからこの蘭塔婆と峰地蔵で瑞応寺の若い修行僧の供養の読経が峰々に響きわたったとの報告があった。そんな場に出くわして
みたい、想像しても荘厳な風景だなあ。
歓喜坑の水が少ない 中萩の百名山制覇おじさんと
お参りをして合流地点から歓喜坑へ寄る。ここの水は以前は勢い良く流れていたのに今日は水量が異常に少ない。ここで先に
大山祇神社跡でお会いした中萩(新居浜市)のご夫婦に再会しお話を伺う。年配のご主人はヤマケイと高知新聞社の四国百山
を全て踏破されていて、殆ど一人で車に泊まりこんで山に入るとの事。傍でニコニコしている奥さんも30山くらい付き合ったという。
みんな何かのきっかけで山の魅力に獲りつかれる。
足谷川源流に向かう牛車道 沿道にはツガザクラが迎えてくれる
歓喜坑の石畳を上がると道が二股に分かれていて、左が牛車道、右が銅山峰への近道となる。牛車道にはツガザクラが咲いて
いるので左へ進む。今日はここまで既に2時間もかかっている。銅山峰は遠い。 懐かしい牛車道の周りにはアカモノに混じって
ツガザクラが現れる。
アカモノは葉が丸く、赤い大振りの顎なので赤頭巾ちゃんと呼んでいる。このアカモノの庶民的な柔らかさとは対照的にツガザクラ
の葉は濃い緑で栂(ツガ)の様に尖がっている。若い花の顎は緑っぽく、赤い色になってもその顎が小さいので花の白さが強調され、
冷たく気品のある繊細な貴婦人のイメージとなる。事実こちらの方が絶滅の心配がある。
左がツガザクラ 右がアカモノ
ゆっくりと牛車道を牛の様に歩んで、アセビの紅葉した登りにさしかかるとお昼になった。登山道が広くなり、足谷川の源流と
牛車道を見渡せるお気に入りの場所で昼食にする。
しまなみ隊 本隊に遭遇 〜!
大好きな紙に包まれた鮭おむすび(これしかマトモに開封できない)を食べてながら、初めて山でトライするカップ味噌汁を興奮
して準備していると上から数人の登山者が下りて来た。あれ?先頭の少し丸っこいあの顔は?! どこかで御馴染だぞ?
そうやいつも投稿登山記の編集中に見ている楠さんじゃあ あ〜りませんか! って事は? 声をかけて集団の歩みを止め、
後続者を確認。見覚えがあるしなまみフラワーズ? そして一番後ろにおわすのは水戸の御老公 いや〜「はるちゃん」じゃぞ。
「しまなみ隊ですか?」と大声を張り上げるとはるちゃんがハトが豆鉄砲くらったようにキョトンとして・・・暫くしてニカ〜って顔に。
気がついたのね。
盟友 はるちゃん 楠さん エントツ山 しまなみ隊とエントツ山 (
前:白石・山内、後:楠橋・エ・徳永)
思えば偶然石鎚天狗岳―南尖峰間の岩場で袖を擦り合せ、以来ネットだけの付き合いが続き、知らぬ間に我がHPの隠れた
主役になってしまった「はるちゃん、楠さんコンビ」なのだ。先日西赤石で接近遭遇して残念がっていたところなのにこんなにあっ
けなくご対面が叶うとは・・・
全員で記念写真 はるちゃんのタイマー写真
はるちゃんとサマンサ また会いましょう〜〜
30分くらい懐かしい話しをしてから、我々はまだ長い道のりが待っているので互いの健闘を讃えあって別れる。サマンサに引かれて
ツガザクラ参りの甲斐があったというものだよ
この牛車道から銅山峰へ合流する最後の小道にツガザクラの群生地がありカメラマンがウロウロしている。所々の斜面が撮影する人
の足跡で傷んでいるが、これは花の山の宿命というものだろう。ほどなく銅山越へ着き峰地蔵にお参り。東山へ上がって行きたいところ
だがサマンサにはちょっとキツ過ぎるので銅山峰を歩き、西山へ登る。
牛車道を望むツガザクラ
アセビの紅葉が美しい 銅山峰 峠の峰地蔵
この砂礫地にはツガザクラを保護する為にロープが張られている。憧山会などの方達によるツガザクラを守る活動によって何とか
この貴重な花が保護されている。先日くろもじさんが「満開」と教えてくれたツガザクラはここでは3分の1くらいが既に散っていた。
それでも残っているツガザクラを探しながら西山へ上がる。
風がいつも強い砂礫地 銅山峰
銅山峰のツガザクラ バックは東光森山・大座礼山・三ッ森山
西山山頂から銅山越に引き返すかツナクリ分岐から谷へ下がるか迷ったが、来年のアケボノに備えてツナクリ山を見たいという
サマンサに従って西へ進む。
西山斜面のツガザクラ
急な坂を下りて分岐から左に折れ牛車道へ向かって進む。ここの沢も水が殆ど無かった。今年は雨が少ないのか? この辺り
から下り坂になるとサマンサの足が詰まって痛がりだしたのでガレ場で休憩。やはり靴は大事だね。子供達からプレゼントして
もらったサマンサのトレッキングシューズは普通履いている靴のサイズだという。 そりゃダメね、靴っていうものは・・って黒酢さん
みたいに説法をする。
西山山頂 ツナクリ分岐
ギンラン 葉の形からアリアケスミレと見た?
足谷川源流の沢を下りる 牛車道へ続くガレ場
いくら説法をしても現状は改善される訳でもなく、更にゆっくりと全ての登山者に追い抜かれながら日浦で待つ「文明の足」ナディア
を目指す。雷鳴がチチ山方面で轟き雨が落ちそうな気配となった。最後に追い抜かれた黄色のタオルと黄色のサイドバッグをつけ
た男の人は、日浦で自転車に乗る準備をしていたので当然取材。
帰りは左岸登山道を通る 左岸と右岸登山道の合流点
「自転車で来られたんですか?」「いえ 車を筏津に置いて東(赤石)から縦走して来ました」お〜 ここにもグランパ・グランマみたい
な人がいた。やはりここに自転車を置くと帰りが下りになるから・・・セオリー通りだ
無事下山 バンザ〜〜イ 東赤石からの縦走に使う自転車
車に乗ったときから雨がポタポタ落ちかけた。考えてみると車という空間はスゴイ。多少の雨も風も関係なく人間の足となる。(4WDの
足ならもっといいのだけれど・・・)二日続けてサマンサと記録的な二人歩きをした訳だが、今日も新鮮な出会いが待っていた。 KYOさん!
貴方と静御前の登山記を真似して見ました。
しまなみ隊 楠橋さん撮影 アカモノ
来年も再来年もその次の年も・・・・ず〜っとアカモノ・ツガザクラが元気に咲いてくれます様に・・・・・
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