おいでまい 香川の山へ  弾
「大滝山」 946m   相栗峠からの尾根コースー中腹線歩道コース

 

2月22日 香川唯一のブナ原生林 「大滝山」946m 尾根コースにて


       
          「大滝山」尾根コースと中腹線歩道 位置図

2月22日は盟友「登山ロボット」と四国の厳しい山へ行こうという事になっていたが天気予報が風雨模様という事で急きょキャン
セル。でも朝起きると日が射している。何じゃこれ? と言うことで「午前中ちょっと大滝山へ登ってくるわ」と妻サマンサ(日本人)
に告げ相栗峠に向かう。

相栗(あいぐり)峠」はその昔から塩江と徳島県美馬町の間を人や借耕牛の重要な通行路であった。徳島の農耕牛を香川の
農村が借り受けるという事は吉野川がある徳島県側の方が水や餌や農地の傾斜などで牛を飼う条件が整っていたという事だろ
うか。

先日「竜王山」へ登って相栗峠へ下ったのだが、その峠の景色が写真と違うのが非常に気になっていて(でも夜は良く寝れた)
確認の意味もあり「ついで」に大滝山へもこの峠から尾根伝いに登ってみようとビビビと思い立った。

 
コンクリートで固められた相栗峠     センスが無い「大滝山登山口」 

まるでお墓さんに行く階段のような登山口を上がると登山道が左へ巻いていた。例によってこの地方特有の「木の階段」を上が
ると見晴らし台のある公園があった。どんな景色が見えるのか立派な木製の展望台に上がってみるが、竜王山方面は潅木で覆
われ、角度的にも中途半端だし、香川県側とて下界は眺望できず何故こんな所にこんなものを作ったのか理解に苦しんだ。
(正直に言うとそんなに苦しんだわけではない)

      
 線路が続くよ どこまでも       この大平ピークへ恐怖の直登路がある

「見晴らしの悪い見晴らし台」に寄り道した事を後悔しながら登山道に帰ると、左に小さな池がありその向こうにものすごい直登
コースが見える。左への巻き路もあったが、それはどこへ続く道かわからないので真っ直ぐに進む。 ホ〜 これが「讃岐富士」
さんや「かざし」さんのレポートにあったやつじゃな。(「香川里山倶楽部」さんによると四国三大急登」に入っているらしい。う〜ん
 あと二つは「石墨山の峠への道」とく桑瀬峠コース「伊予富士の最後の登り」あたりかな?)

    
 大平ピーク(778.7m)への急登   最初の分岐 (右手にはお地蔵さんが)

この「笑えるような急登」は前半と後半に別れていて角度が急な上に落ち葉で滑りやすい。手に持ったストックが邪魔になりロープ
がうまく掴めないのでストックを頼りに一気に登る。こんな道に出くわすとムーチョ嬉しくなる。愛媛の山ならこんな所を登った後には
素晴しい展望のご褒美(ほうび)が用意されているのだが、讃岐の「山の神」はしみったれていてただ息切れを人間に与えるだけで
ある。

上まで登りきると標識があり左手から来る「奥の湯温泉」からの道と合流し尾根道に入る。あとはマウンテンバイクでもレンタルして
くれれば助かるくらいの快適な尾根道が続く。しばらくすると右手にお地蔵さんがある分岐を通る。

 
  鉄塔広場で明るい景色になる     北側の小出川、真名屋敷ピーク方面

尾根道は北も南も植林や雑木に覆われて殆どアウト。皮肉にも展望がある場所は人為的な鉄塔設置場所や植林伐採地に限られ
る。一面笹原やコメツツジの低木となる愛媛や徳島の尾根道とくらぶれば如何ともしがたい標高800−900mの尾根である。

   
   大平集落・相栗峠・竜王山方面    モミの大木から伐採地が続く     

この辺りの地形は南側(徳島県側)がなだらかで、北側(香川県側)が切り立っているので徳島県側には結構尾根近くまで道や集落
が存在する。唯一北側の展望が得られる伐採地の稜線からは雪を被った徳島の高い山並みが見られるが雲や霞で特定出来ない。

この尾根道は「竜王山尾根道」と違って立派過ぎる標識が随所にあり、相栗峠と城ヶ丸までの距離表示がわかる。従って相栗峠の
急坂を登ったところで大滝山まで6,800mの標識を見たら急に弱腰になる人もおられるだろう。

   
       苫尾分岐              苫尾山 標高 881m

尾根道を細尾峠苫尾峠三本松峠と快調に飛ばす。(殆ど小走り) 苫尾峠からは大屋敷橋やウドン谷への分岐がある。沢山の
峠が交差するがどれもこれも特徴のない同じような風景の為写真でも撮って確認しないとどれがどれだったかわからない。(歳のせい
ではないよ) 三本松という大きなクロ松が2本(一本は折れているらしい)あるが顕著に大きいのは1本だけだった。 

  
   三分の一本松          大滝山がやっと姿をみせる
                      ここも裏側を人間が醜く削っている。

 
 大生(おおばえ)峠             城ヶ丸 山頂休憩所

最後の峠「大生峠」を過ぎると城ヶ丸(943m)への登りとなり、見慣れた休憩所が現れる。里山の最大の欠点は人口的な標識が
たくさんありすぎるという宿命だ。「山を大切にしよう」だとか「タバコのポイ捨て禁止」とかマナーの悪い登山者もたくさんくるので仕方
がないんですねえ。

城ヶ丸からは両側に「ブナの原生林」尾根道が続く。ブナ峠から大滝山山頂へと進む。何の標識もないので初めて来た人はおそらく
城ヶ丸が山頂と思うだろう。大滝山の山頂はブナ峠を越えて小高い場所=「大滝寺」の所有地内にあるので礎石があるだけで何の
標識もない。(取り付けても除かれる)

      
  大滝山 ブナの尾根道          ブナ峠 この奥が山頂 

 
 大滝山 山頂 (大滝寺 所有地)       西照(にしてる)神社

山頂から適当に右に入り込むと西照(にしてる)神社境内に入る。ここには推定樹齢800年といわれる大杉があり、日露戦争と
その前の戦争に勝ったときに杉の天辺が数日輝いて徳島の人々に知らせたという謂(いわ)れが表札に書いてある。この手の話
はあまり好きでない。狸や狐の話しの方が心地よい。

この神社は大滝寺と同じ場所にあるので不思議に思ったが、明治維新の神仏分離政策で大滝寺と分かれたという。
相栗峠登山口を約9時30分に出発してここに着いたのは約11時30分、飛ばして2時間が今回尾根道の所要時間。
 
    
     自分の走ってきた(?)尾根道と竜王山を振り返る

 
  大滝寺と秋田からの参拝客      中腹線歩道 進入口

神社の境内を下りて右に進むと大滝寺がある。ここも行基と弘法大師ゆかりのお寺で何と秋田県からはるばる来られた信者さん
がお経を唱えていた。お話を伺うと東北訛(なま)りが激しかったが唱える般若心経に訛りはなかった。
お邪魔にならないようにそっと失礼して少し雪の残った車道を山の反対側に向かう。途中、駐車場があり、ブナ峠への登山口が
ある。そこから少し車道を下りると「中腹線歩道」入口があり、この道を苫尾峠まで行ってみることに。

  
  中腹線歩道 沢のガレ場             向かいの大屋敷集落

 
 一部整備された中腹線歩道       栃の木(手前の黒いのが枝)

「中腹線歩道」 大滝山尾根コースと小出川沿いの車道の間に遊歩道が設けられている。前半は谷が深いこともあって
道が結構狭く、谷のガレ場では崩壊しかかった場所もあるが、気をつけていれば歩行に危険は無い。後半は道も整備され
中腹を巻くので距離があり、向かいの景色がいつまでたっても変らない。林野庁の「栃の木百選」に指定された大きな木が
あるところからグッと標高が下がり、その分又相当登っていくキツイ場所がある。

途中、大生(おおばえ)口三本松口ウドン谷口への分岐があるが標識が随所にあるので間違う心配は無い。苫尾峠
に向かって尾根伝いに登って行くと見慣れた峠に合流。この間 「サマンサ」(日本人妻)の顔が脳裏に浮かび自然に小走り
となる。

休憩は苫尾峠で5分のみ 食事は歩きながらおにぎりを食べる。水分は中ペットボトル2本をナップサックの両側に差してあり、
早撃ちマックのようにナップサックを背負ったまま抜いて歩きながら飲む。野性的でこんなライフスタイルが好きだ。

  
   苫尾峠に出た              老人福祉センター 奥の湯温泉

例の「奈落坂」を滑るように下りて登山口に着くと時間は午後2時15分。遅れついでに「讃岐富士さん的登山法」すなわち
○○温泉にて汗を流す方式が頭をかすめ、自宅に電話を入れると留守電。シメタ よっしゃ〜 奥の湯温泉偵察決定!
この結果の責任はこんな悪い習慣をHP上で勧めた「讃岐富士さん」にある。

ここは入浴料450円 (老人300円 適用はまだ早い)でもロッカー代100円が要るので「木の香温泉」のロッカー込み
600円と変らない。

冬枯れの中、山登さんの「プロジェクトK」に対向する 我が内なる「プロジェクトS」計画(讃岐の県境を走破する)が少し
実行された。

総括:やっぱ大滝山尾根コースは花の季節、新緑の季節、紅葉の季節に限りますわ。 この時期は登山道に色気が
無さすぎます。




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