平成23年1月29日(土)健全なる女体三昧  大窪寺の裏山縦走 

東女体山(五名ごみょう女体山) 673.6m ・中女体山(石田女体山)761.7m ・ 西女体山(長尾女体山) 774m
矢筈山 北峰   787.7m  ・  矢筈山 南峰 789 m


大窪寺―国道377号線の沢沿いー東女体山―中女体山―西女体山―矢筈山―矢筈尾根―大窪寺


カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 


以前、香川の里山歩きにハマっていた頃、大窪寺の裏山に女体山という山頂が三箇所もあるのに気付き
「女体三昧」という山行を思いつく。四国百名山「女体山」は大窪寺から登山道があり2度程歩いたが、
山頂部に道路が通っておりがっかりしたものだ。


それならと、例によって登山道を無視した藪尾根縦走を計画する。

1月29日、全国的に大寒波となり香川県も相当週末は荒れ模様との予報だった。笹ヶ峰あたりのスノー
シュー歩きもこの天気予報であっさりと諦める。朝目が覚めると天気が悪くなさそうだった。こんな時は
例の女体三昧とするか。

以前から用意していた緯度経度が入ったカシミール2万5千分の1地図、GPS、シルバのコンパスを
ザックに入れて、自転車をラッシュに積み込み自宅を出発。 長尾新道を東に向うと檀特山と女体山山塊
が香川の山としては珍しく厳しそうなシルエットを見せる。



     北側から見る壇特山(左) と 女体連峰のシルエット  女体の割には柔らかさの無いギザギザ尾根だ

前山ダムから大窪寺付近に出て、車を駐車。見上げる矢筈山が厳しい岩肌を見せている。車から通勤自転車
を下ろして08時30分計画通り払川から尾根筋に取り付く予定で出発。


あれ?何時に無く自転車が重たいのは上り坂のせいだと思っていたが、下り坂になると車体がいやに
ふら付く。ベコベコ音もする様だ。ありゃ パンクしてるじゃん!


 
出発してすぐパンクしてしまった愛用の通勤自転車              矢筈山方面を見る

コーナーの場所で道路の高架工事をしており、ガードマンに一旦止められる。するとその角から左手に脇道
が伸びているではないか。ここから登ろ・・・実にいい加減な性格だこと。傍にあった道路標識ポールに自転車
をワイヤーで繋ぐ。
私のブリジストン折り畳み通勤自転車は価格が高いだけあって、ワイヤーロックがハンドルのパイプ内に収納
されている優れものだ。


道の両側には猪対策の電気ショック針金が張られている。以前ゴルフ場でこれに触れて吹っ飛んだ経験のある私
は恐る恐る道の真ん中を歩く。左手の高い所に民家があるが、立派な道が山の方に伸びているのでそのまま進む。

奥の山道に入る左側に一段高くなった畑があり、そこに番犬が2匹繋がれている。一匹はこの侵入者に対して
敵意丸出しのいい番犬で盛んに吠えられた。だが、もう一匹は仲間につられて吠えてはいるが、体をくねらせ
および腰でキュィ~ンという声も絞り出す優柔不断で役に立たない番犬だ。家の人が出て来る前にそそくさと
通り抜ける。


 
道の両側に嫌な針金柵が・・・ 左手上に民家が見える        橋を渡ると林道がしばらく続く


その奥にはさらにもう一軒の廃屋があり、沢から引いた水が黒いゴムホースから風呂桶に滔滔と流れ出し、ツララ
が出来ていた。廃屋の裏手に沢に沿って小道がありこの快適な山道を出来るところまで詰める事に決めた。



「ハンディGPS」と言う魔法の道具を持っていれば、里山ではほぼ安全が保証され怖くはない。しかしこれには
条件があってカシミールソフトを利用して「2万5千分の1地図」に東経・北緯線を10秒間隔で印刷しておく事
が肝要だ。それにスントかシルバの透明プラスチック板付きの「方位磁石」いわゆるコンパスだ。
これが「藪歩き三種の神器」だ。使い方は後ほど説明しよう。


ほとんど水の無い沢が北に伸びており、それに添って進む。最初は右側(上流からは左岸)に作業道が続くが、
08時54分左に沢を渡る(右岸)。なるべく東女体山に近い右手に進みたいと思いながら進んでいると、やがて
道が怪しくなる。尚も歩きやすい植林の斜面沢に沿って北に上がると、右手の上方遠くには鉄塔が見えた。 

 
奥に廃屋があり、その裏手に沢道が続く           沢筋に入る

 
   前半は沢の右側に作業道がある         後半は沢の左側の作業道を進む

 
作業道が薮いて歩きづらいので植林の斜面を少し進む      右手に鉄塔が見えた。 あの辺りが東女体山から続く尾根だ

東女体山は東側にあるのでこのままでは行きつけない。09時12分そろそろ自分の位置を確認する事にする。

さて、ここで「藪歩きの三種の神器」の登場だ。


薮山での位置確認とその後のルート決め方について私なりの方法や考え方をこの際解説しよう。

先ず、「緯経線の入った地図」を出す。これは無くした時や濡れたりして汚れた場合を想定して必ず2枚印刷
して別々な場所に入れておくのだ。私の場合、1セットはポケットに入れて、予備のセットはザックに仕舞って
いる。



次に「ハンディGPS」をザックの天蓋から出して現在自分の居る位置を東経・北緯で確認する。私のGPS
では衛星通信状態の画面で北緯、東経が表示される。もちろん電池で駆動するものだから電池が切れればただの箱。
予備の電池は必携である。


近視で老眼の為、GPSの画面はメガネを外して見なければらない。歳は取りたくないもんだ。その位置を一人歩き
の寂しさを紛らわす様に声を上げながら読み、地図上にポイントを細い木の枝などで押さえる。
(指では太すぎるし、鉛筆で書いてもよいが私は筆記用具は山に持って来ない) マーシーさんと二人の時は私が
地図を持ち、マーシーさんが位置を読み上げる分担だ。


そうして、次は「方位磁石」コンパスの登場だ。地図の縦線=経線に沿って方位磁石の赤針(磁北)の方向に合わ
せて地図の上側を北に向ける。これで地図の向きと実際の方角がほぼ一致する訳だ。


次に、地図に記した自分の立っている位置から目的地、東女体山の方角を地図上で確認する。そして、方位磁石の
プラスチック板の矢印を地図上で目的地の方角に向け、磁石の赤針(磁北)と回転式方位表のN(北)を合わす。


これで、以降の進行方向は方位磁石を見て、赤針を回転式方位表のNに合わせた時の透明プラスチック矢印方向と
なる訳である。(今回は真東方向に進むのでそこまでしなくても簡単なのであるが・・・)



山歩きの三種の神器  地図(東経北緯入り2万5千分の1)・  まともなコンパス・  ハンデイGPS
① 先ず 地図の上側を磁石の北を指す方向に向ける。 (磁方位の西偏誤差6~7度は無視)


② 下側のコンパス参照 自分の位置から目標にプラスチック矢印を向ける
③ 上側のコンパス参照 磁石の北針=赤色に円盤目盛りをクルクル回して赤い矢印を磁石の北針(赤色)に
   合致させる

ここから目的地=東女体山へ歩く場合、途中で北針と円盤針が合致する様にコンパスを回して、その時透明プラスチック
の矢印が大まかな進行方向となる訳である。


カシミールソフトを利用して2万5千分の1地図に東経北緯線を10秒間隔で印刷する。
GPSで位置確認した場所から、地図上の目標方角に向かって歩けば良い

磁北線の西偏誤差に関する私の考え方

ここまで読んで、あれ?この方法は間違っていると思う人もいるだろう。
本など読むと、結構数式などを使って正確な磁北線を出したり、線の引き方まで正確無比にその方法を
真面目に解説している几帳面な人のサイトもある様だ。こんな事をしていてもそんな緻密な正確さは実践に
大して寄与しないし、地図やコンパスの使用をより面倒で複雑怪奇なものにしてしまう。

7度角度が違うと1キロメートル先では100m弱の誤差になるって真剣に心配する人もいるが、そもそも
山歩きは運動場の様な場所を歩く訳ではないので山あり谷ありで誤差だらけのフィールドなのだ。コンパス
の西偏誤差など実際の山歩きに於いては複雑な地形を歩く誤差に吸収されてしまう訳だから気楽に考えよう。
重要な場所、難しい場所、ターニングポイントでは何キロか歩いたら又その場所で位置確認をすれば誤差は
より少なくなる。
里山のピーク近くでも周囲何百メートルもあるのだから宝探しみたいにドンピシャ狙う必要もない。


気軽にアバウトに使うのがいいのだ。

もう一つの方法は、目標の山が見える場合である。隣の峰から目標の山に向ってほぼ一直線に藪を駆け上がる
時等のケースね。 先ず目標の山にコンパスの透明プレートにある矢印を向ける。その時指している磁石の赤針
(N極)に中央の回転盤のN印を合わせる。


こでだけね。 後は見通しの効かない谷部や藪の中でも時々コンパスを出して、赤針と回転盤のN印を体の向き
を変えて合致させる。その時、透明板の矢印の指す方向に進めばいい訳だ。



薮の正面に目標の山が見える。 薮を這い上がってこの目標に行く場合、目標にプラスチックの矢印を向ける
次に磁石の北針(赤)と回転盤のNの矢印を合わせる。 これ以降回転盤は動かさず、両方の針を一致させて
その時のプラスチック矢印方向に歩けば、大まかに目標近くに行けるって按配だ。

まあ、正規の登山道を歩く場合は常に道は地形に合わせて方角が変わるのであまり意味がないかもね。


最後に結論ですが、この様な地図やコンパス、GPSを使うのは切羽詰った時の言わば保険の様な物で使わず
に済めばそれにこした事はない。周りの景色を楽しみながら、地形を見ながら歩くのが一番楽しい山歩きだと
思う。事実、私の山歩きでこの三種の神器が登場する場面はごく稀である。

それよりも需要な事は、山全体の地形と裾野の林道配置を頭に入れておく事だ。迷った場合、どちらの方向に下り
切れば道に出くわすか。地図と方角を信じて藪を越えて、沢を渡り林道まで歩き切る精神力と体力が遭難を無縁の
ものとする。


余談が長くなってしまったが、かくして、ここからアバウトな東に向って進む事にする。

まず沢を跨ぐ。そうするとその東には又沢部が出現して、そこからは急な斜面を這い上がる事になる。地盤が弱い
のでズルズル滑りながら尾根部まで這い上がる。そこから又アバウトな東に向って尾根に沿って上方へ進む。
カラスザンショウのお灸の様な刺を掴まない様に雑木に助けられながら高度を稼ぐ。


見晴らしが利く場所で確認すると、左手上方に鉄塔と電線が見える。向かいの西側斜面には楽そうな舗装道路の
ガードレールが斜面をうねっている。そのまま雪の残る尾根部に息を切らせて這い上がると、左手にはっきりと
鉄塔尾根が見えた。東側には東女体山らしきピークが樹木越しに見える。


 
   涸れた沢をアバウト東に向かう                  もう一つ沢を越えて緩い尾根を進む

  
  カラスザンショウ ざんしょ?                         沢筋に石積みも見られた

 
09時25分方角修正の為急な尾根に這い上がる               振り返ると舗装道路のコンクリート壁が見える

09時40分雪の残った尾根に這い上がる。この尾根にはテープなども見えて、北寄りに鉄塔の方角に伸びていた
が、構わずその尾根を東に一旦下がる。  
10時02分最下部まで下がると雪が残った窪地となっており、多く
のヌタ場が凍っている。そこから更に東のピークに向って這い上がる。

下ったり登ったりと効率が悪いが折り合いの付く山歩きである。
ここは藪といっても厄介な笹やイバラが無く快適
だ。


 
 這い上がった尾根で位置と地図を確認             更に東方面に東女体山らしきピークが見える(ニセピークだった)

 
  ニセピーク直下の窪地にはヌタ場が凍っていた       ピークに這い上がると鉄塔巡回道が東女体山へ続いていた


東女体山だと思ったピークは手前のニセピークで、何とここから快適な鉄塔巡視路が更に東へ伸びていた。
しばらく進むと鉄塔巡視路はピークをトラバースしているので、左手の急な尾根部を這い上がる。赤テープ
が多少見られた。10時13分第一目標の「東女体山」の山頂部へ付くと祠があり、その向うに山頂標識と
三角点が見えた。


ここは白鳥町の五名(ごみょう)にある事から「五名女体山」と呼ばれえいるそうだ。ルートは決して計画したものでは
無かったが、予定通り東女体山に至る。


 
    東女体山の尾根に取り付く                         山頂にある祠

 
   少し外れた場所に三角点があった                     第一女体を制覇~  色気はないなあ・・・

来たルートを暫く引き返し、鉄塔巡回路は通らずに尾根を進む。

四国電力の讃岐鳴門線鉄塔に到着。この辺りには70番から72番がある様だ。10時47分、71番鉄塔外れの
分岐、泉保さんや坊主さんが進んだ檀特山へ至る稜線を確認。途中の尾根斜面が少し崩壊している様だった。


西の方角へ向う藪いた尾根に乗って進むと、鉄塔巡回路と尾根が合流し、お地蔵さんがある鞍部へ着く。道は右手
に下がっているが、尾根を進むと少し整備された階段があり、これも四国電力の鉄塔巡回路だった。


 
東女体山の東側には里山らしく集落が近くに見える           71番鉄塔より72番鉄塔、東女体山方面を振り返る

 

 
   ここが壇特山への分岐尾根                      壇特山方面を眺めて引き返す

 
   ここから西の方角に薮尾根を進む                鉄塔巡回路に合流後、分岐にお地蔵さんが置かれている

斜面を上がると正面にガードレールが現れ、10時58分車道に這い上がった。舗装道路には雪が積もって凍結した
部分もある。そこからの尾根は断崖絶壁の為、雪でその凍結した車道を雪を踏みながら少し進む。11時05分這い
上がれそうな尾根に取り付き、藪と格闘しながら進むと電波搭があり又車道に下りる。そこから又猪の掘り返した穴
だらけの尾根部に這い上がり進んでいると、11時25分ベンチのある休憩所に飛び出した。そこから尾根を少し
尾根筋を歩いていると、いきなり三角点が現れた。あれ? こんな所に三角点があるぞ。
前方を眺めると何か祠があるし、鳥居も見える。


ここが「中女体山」だった。寒川町の石田にある事から「石田女体山」とも呼ばれている。


 
快適で嬉しい様な、面白く無い様な・・・歩道歩き         やはり面白くないから尾根に這い上がる


 
   電波塔に出る  道路に出て又薮に這い上がる         猪の穴が無数にある尾根

 
      休憩所に飛び出る                     標石と三角点表示材をこんなに離さなくても・・・

 
    11時27分 中女体山に着く                   ここが車で来れる一番お手軽な女体だ

そこから北側に車道へ向って下りる道があるが、あくまで西側の尾根伝いに歩く。すると又車道と合流。これを繰り
返すが途中であほらしくなり次の合流点から車道を進む。

右手にあたる北側には東讃地方ののどかな平野が見え、特徴のあるクレーター5山なども見渡す事が出来た。左手に
低い稜線部を見ながら車道を西に進むと、11時54分いわゆる四国百名山の「女体山」とされる車道交差部に着き
、右手の登山道に上がってく。11時53分雪に覆われた「西女体山」に着き、長年温めて来た還暦オヤジの女体
三昧はさしたる緊張も興奮も刺激も無くあっけなく終わりを告げた。

最後に訪れたこの女体山が一番山頂らしい雰囲気があり、祠と岩の取り合わせがその向うの眼下に霞んで広がる平野
を配して典型的なさぬきの里山風景を作る。 ここは長尾町に属するので「長尾女体山」とも呼ばれ、山渓の四国
百名山に紹介される「女体山」である。

 
    尾根も直ぐに舗装道路に合流        11時49分 大窪寺からの登山道に合流

  
   雪に覆われた女体山山頂付近           11時53分 三体目の女体山に到着


やっぱり女体山の中ではここが一番良い雰囲気=美人であるぞよ

更に西に向って矢筈山へと向う。矢筈山までは尾根歩きではあるが、ちゃんとした登山道があり快適である。
結構雪が積もっており愛媛の雪山を逃げた身としては少し気持ちが楽になる。三角点のある「矢筈山(北峰)
に12時30分着くと山頂は雪に覆われていて少し寒い。

山専用ポットにお湯を入れて来たのだが、今から下りる岩尾根が気になって、ローソンのだし巻き玉子おにぎり
だけ口に入れてすぐ出発する。

 
次の目標 矢筈山へ進む 双耳峰らしくピークが2つ見える   12時02分 矢筈山登山口


 
香川の里山の割には雪が沢山降っている       矢筈山付近から手前に小さな尾根が下がっている

 
    尾根道を矢筈山へ向かう              矢筈山の尾根
  

     三角点のある矢筈山  標高 787.7m

更にその向うに矢筈山(南峰)が見えるが、細い尾根に雪が積もって滑りやすいので用意していた4本爪アイゼン
を出す。何年振りかに使う4本爪アイゼンはゴムがきつくてフックに掛けるのに苦労する。歳を取ると体が硬く
なり、アイゼンやスノーシューの装着に苦労する。退職したらヨガ教室にでも通わなければ・・・・


南側の矢筈山ピークへの尾根は訪れる人も無く藪いていた。山頂手前では境界割り出しの為が3m置きに赤いテープ
が貼られていた。


寂しい「矢筈山南峰」に12時26分到着。ここは薮の中なので山頂らしくないピークである。さてここからの
下山ルートを検討する。地図で見る限り、右手の隣の尾根を下りるのが妥当だと考えていた、見通しの効く場所に
出て右手を見ると尾根がスッパリ切れ落ちて厳しそうな地形になっている。

その向こう側にお助け樹木ルートがあるとは思うがはっきりしない。あそこまで行ってそこで行き詰るのはいかにも
辛い。


上から矢筈尾根を眺めると、結構樹木に覆われている様に見える。よっしゃ~ これを下りよう。矢筈尾根は下から
見上げると岩の絶壁があり、とてもそこを下りれるとは思わなかった。しかし、乗りかかった尾根、何とかなるやろ


 
     矢筈山南峰が見える                         尾根道を進む

 
境界割り出しの為が付近に赤テープが沢山置かれていた     この辺りが矢筈山南峰 山頂付近・・・・・ 単なる薮尾根や


矢筈尾根が展望出来る場所に出る  う~~ん いい眺めだ 上からは樹木が十分ある様に見える 


隣の尾根は スッパリと岩が吹き飛ばされている様に崩落しているぞ  あそこは止めとこ

 
少し下りて矢筈山 南峰ピークを見上げる  岩壁も見える    西女体山を見る  尾根が道路で二つに分かれている
向かって左手の尾根を下りたが、上からは見えなかったが
右手にも下りれる尾根があるぞ


前半は高度差の割には植生が豊かな為に絶壁を左手に見ながら、正面や右手から迂回戦術が可能だ。崖の様な急な
傾斜も樹木や藪に摑まりながら、岩の段差を利用して下りて行く。ここの岩はフリクションが効いて滑りにくい。


時々左手に出て絶壁からの眺めを楽しむ。振り返ると女体山の山容が東手に広がる。ここからは東側の尾根に隠れて
大窪寺は全く見えない。


右手の尾根は先ほど上から見下ろしたスッパリ切れ落ちた岩場が次第に眼の高さになり、やがて上側に位置する様に
なる。矢筈尾根は基本的には左手(東側)は崖となっており到底私の手に負えるジャンルではない。又場所によって
は右側も樹木の少ない岩の崖となり、岩尾根を藪のお世話になりながら安全に下れる場所もある。緊張の連続では
あるが、ルート選びによって危険と思った場所はなかった。



 
    12時57分 第一岩場に出る                 下から振り返る  樹が沢山あるので助かるわ~


          13時6分 第2岩場が現れる

 
  ここも岩に段差があり下り易い                   ここの花崗岩は表面が風化しているので足がかりが良い

  
枯れた松を掴むとヤバイので元気な樹とお友達にならねば。。。  万作おじさんに教えて貰った「ウバメガシ」の樹が
                                          頼もしい。 

ここのウバメガシは岩場で荒地の為極端に葉っぱが少ない。四国のあちこちで見てきたウバメガシと少しタイプが違って
見えた。環境によって少しだけ姿や形を変えるので樹木や草花は私には手に負えない。


13時17分 下って来た岩尾根を振り返る   やはり崖っぽい尾根だわ
 
  尾根の左手は概ね断崖絶壁となっている             13時30分 下りて見てぞっとする岩場

 
ヒノキ科のネズミサシ  香川の里山では岩場でこれに相当           むむっ 13時35分 又 岩場に出る
ヒドイ目に遭っている。 掴んだら手袋の上から刺(とげ)が刺さるのだ     さてここはどう迂回するかな・・・・
この樹も万作おじさんに確認させてもらった


 
隣の尾根の切れ落ちた部分も高い所に見え出した         何やかや言いながら幾多の崖を切り抜ける

 
この様に樹や岩の段差があるので危険はない          迂回してウバメガシに掴まりながら難所を切り抜ける

眺めは痛快で、眼下には大窪寺に続く国道377号線、その向う正面には阿讃山脈が雪雲を被ってデンと控えている。
相当高度が下がって民家らしき物が近くに見える場所まで来ると少し安心したが、実はこの矢筈尾根は高度が下がっ
た場所の方が危険度は高く思えた。生きた樹の枝や幹を利用しながら慎重に下山していく。
うっかりして枯れた木などを掴むとえらい事になる。


10m位の岩場をクリアすると又、次のピークがあり藪がひどくなる。まあ岩場より藪の方がホッとするのだが・・
そのピークを越えると又小さな次のピークがある。


遠目にはシンプルに見えても、現場に入ると沢山のピークがどんな尾根にも存在する。

最後のピークらしき場所を越えると、地質が脆く足元が崩れる斜面となるが、樹木が結構生えているのでそんなに
危険ではない。


 
14時10分 最後の岩場をクリアする               その後は見通しの利かない小さなピークを越えながら進む

低部が歩き易そうだったので窪地に向って下りるが、磁石を見ると思ったより西側を向いているので北に方角を
取り尾根部に添って進む。一つ小さい尾根を越えると沢があり、正面にはまだ小山がある。

14時21分、この沢が北の方角に続くので少し遠回りになるかも知れないが、沢沿いを下りて道路に出る事に
決める。車の音が近くに聞こえるので道路はそう遠くはなさそうである。


幅がそう広くない沢が次第に水溜りが多くなる。すると、急に辺りが明るくなって16時26分大きな家の横手に
出た。この家も沢からホースで水を引いてタンクに貯めている。ここから沢を上がり、民家の隅に留めてある
軽トラの横を通って前の道に出させて頂く。どう考えても家の敷地内だから恐縮するが、それにしても大きい屋敷
だ。


 
沢に沿って北の方角に進む事にする                辺りが明るくなって前方に橋が見えた

 
      民家の裏手に出てしまった                  後ろに岩山を配した凄い屋敷だわ
                                         え~あんなとこを下りてきたんや~


    14時30分 道路に出て遍路道を歩きながら下って来た矢筈尾根を見上げる 
    う~~ん 凄い岩尾根だこと   矢筈山って言うだけにピークが二つある (双耳峰)

 
    14時50分 大窪寺にお参りする               帰りに大川ダム横の無名岩峰を眺めながら帰宅


舗装された道に出ると向かいの国道377号線に車が走っているのが見える。適当な農道を伝って小雪の舞う国道
に上がり、14時40分デポした車に帰り着く。


この後、大窪寺にお参りした後、あまり今回役に立たなかったパンク自転車を回収する。そして当初取り付く予定
だった払川集落付近までGPSの記録を取る。そこそこの距離があり、手前から沢沿いに変更して歩いた事に納得し、
「日下峠から例の無名岩峰群を眺めながら帰途につく。


「女体三昧」軟(やわ)いタイトルの山歩きではあったが、矢筈尾根を下りた事で最後は非常に引き締まった山行
となった。
女体万歳~~!


                目次に戻る              トップページに戻る