平成23年1月22日 山歩きとしての五色台  


「五色台とは」

五色台は香川県の中北部にある広大な溶岩台地で坂出市と高松市にまたがり、大まかに言えば、
これを境に東讃と西讃に分かれる。



この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200、000(地図画像)を使用したものである 

最高点は猪尻山 483mであるが山頂というにはほど遠く桜の樹にかかった山頂標識を見ないとここが
五色台の最高点だとは分からない。 五色台で三角点が所在する最高点は大平山(478.7m)で
これとて三角点がなければ行きづりの平地であるし、登山口さへ分からない。高知新聞の「四国百山」に
取り上げながら編者はこの山に到達出来なかった程だ。



五色台の成り立ちは、今から約1千万年程前に瀬戸内海辺りの激しい火山活動の為、花崗岩の上に火山灰
などが堆積し(凝灰岩、角礫岩など)、更にその上に溶岩(安山岩、カンカン石)が流れて覆われたのが
ベースらしい。

それが長年の間に浸食が進み、固い溶岩が残った所が頂上部として取り残されたという訳である。

頂上の溶岩が広く残されてテーブル型となった山の地形を「メサ地形」と呼ばれ、屋島のほか五色台、
城山(きやま)などがこれに当たる。


又、更に小さく残され、おにぎりのような形となった山の形を「ビュート地形」と言い、香川には讃岐
七富士など多くの里山がある。



基本的にはどれも花崗岩の上に凝灰岩、安山岩が分布している格好である。

従って、五色台の山は台地のピークに無理して山頂を設けているのだから決して痛快な山登りとはいかない。
と言っても遍路ウォークとしたのではジャンル違いとなってしまう。


それだけこの五色台を山歩きの対象とするには苦しいのである。


「山歩きとしての五色台」

とりあえず、騙されたと思って五色台の五色の山を巡ってみましょうか

「五色台の名前は赤峰、黄峰(黄ノ峰)、黒峰、青峰、白峰の5峰にちなんでいる」と多くの出版物やHP
サイトに判を押した様に解説されている。


ごく一般的には五色の山とは北から順に紅峰、黄ノ峰、黒峰、青峰、白峰を指すらしい。

又、紅ノ峰を含まず別に赤峰(台)の存在を主張するサイトもあるが、この場所が何処を指すのか具体的な
指摘をしているものはほぼ無い。


更に資料を検討して見ると赤峰(台)とは国分寺の北に競(せ)りあがった台形の国分台があり、その北側
に隣接する辺りとするものや、猪尻山の北側、大平山辺りを指すという説もある。



尚、国分台は広義には五色台全体を指す別称ともされるが、狭義には国分寺の北側に広がるサヌカイトを産
する自衛隊演習地のある台地を指すと考えられる。個人的には後者に賛同する。




唯一 赤峰台の場所が記されたサイトの資料地図

「五色台へのアプローチ」は基本的にはどうしても遍路道利用となる。

南側にある四国霊場80番札所国分寺から遍路ころがしを経て1本松へ、ここから左が白峰、右に進むと
猪尻山、大平山を経て青峰や黒峰方面となる。


西側からは坂出の青海から81番札所白峰寺へ出て白峰スタートとなる。

鬼無からは82番札所根香寺の裏山である青峰へ至る。 この遍路道は約17キロメートルもに達する。

それに加えて、五色台の北東部にへばり付く黄ノ峰、更に亀水の平地を隔てて紅峰となるとまあ全て1日で
歩くのはほぼ無理!
途中のアプローチは車で移動と言う事で山ノ神にも許して貰えるだろう。


カシミールソフトを使用した五色台GPSトラックログ図
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 


「白峰(台)」坂出市 ( 三角点 標高 336.9m

白峰は保元の乱で讃岐に流された崇徳(すとく)上皇の御陵がある四国88ヶ所81番札所の白峰(しらみね)
寺の近くにある。


「白峰三角点」336.9mは「白峰温泉 かんぽの宿坂出」の裏山にある。裏山と言っても台地であるので尾根は
無きに等しい。特に位置的には国分台陸上自衛隊演習地の標高400m辺りから標高が下がっているので、この
辺りに「山の山頂」など存在する気配もない。


せめて三角点を押さえようと、かんぽの宿の駐車場近くに安山岩が露出している場所があったのでそこから
いきなり藪に突入してみる。ウバメガシの藪を進むと偶然「下乗」の石碑を発見してほっとする。近くにテープ
の付いた踏み後道があり、それに添って進むと道は直角に左へ曲がって次第に下って行きかんぽの宿の裏を
抜けて白峰寺駐車場近くまで続いていた。


 
かんぽの宿手前の安山岩が露出した所から突入してみる          結構雑木の薮がヒドイ

 
薮を分け入ると「下乗」の石碑を発見 ここは遍路道だ          新しい標石が道にある
どんなに偉い人もここからは馬から下りなければならない

 
広い道が北に向かって下がっていた                 この辺りには敷地の境界にこの様な標石が置かれている 

元に返って注意深く辺りを探すと、この本道から少し外れた場所に三角点を発見。
踏み跡を辿って帰ると、先程取り付いた安山岩のすぐ近くに三角点へと続く踏み跡の入り口があった。


 
   金網フェンスがあり中はかんぽの宿               元に帰って三角点を探す  ちょっとわき道にある

 
三角点の入り口に目印を置いて来た(いつまであるか保証はない)       直角に曲がるコーナー

 
  最後には舗装道路に出た                        道路側から入り口を見る



                白峰三角点への正規の入り口です


カシミールソフトを使用した五色台 「白峰」 GPSトラックログ図
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 


三角点を見つけてホッとする山、それが白峰だ。



「青峰(台)」高松市  (三角点 標高 449.3m)

この山は厄介だ。青峰は根来(ねごろ)寺の西側にある裏山付近で、沢山の電波塔が立ったピークへの舗装
道路入り口に侵入出来ない様にチェーンが張られている。


近くにはオレンジバークへの下り口や喝破道場のハーブ園入り口がある。目標に向っては「関係者以外立ち
入り厳禁」の立て札があり、気の弱い人は躊躇する。 

 

一応山関係者、三角点調査関係者として自分自身を納得させる事が肝要で、その後肩身を狭めて入らせて
貰う。立ち入り禁止の立派な舗装道路を5分位電波塔のある高みへとグルグル回って進む。その間、誰かに
会った場合、ここに入る関係者としての言い訳を考えながらの哲学の道である。

山頂付近には電波塔がたくさんあり、それぞれに立ち入り禁止の柵が廻らされており、恐る恐る辺りを散策
する。山頂部に立派な石積みがあり祠が祀られている。そこを更に抜けて進むと鉄柵で囲まれた敷地の隅に
青峰三角点を発見。

 
     青峰山頂付近の電波塔群            青峰山頂の祠

  
  祠あたりで三角点を探してうろつく        何と 三角点はこんな所に

  
      三角点の標石は?                三角点のあるフェンス

ここの三角点は日本一不遇な存在である。不憫な三角点発見の複雑な喜びに対して、山歩きの達成感は限り
なくゼロに近い。この山に登るには罪悪感との戦いを覚悟する必要がある。
目的を達成後はそそくさと退散する。



カシミールソフトを使用した五色台 「青峰」 GPSトラックログ図
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 


「黒峰(台)」高松市 (標高 375m  三角点標高は 340.8m)

黒峰は中山休憩所から五色台スカイラインに入り、坂出・高松有料道路のトンネル上部を抜け、更に北側に
行った「峰山展望所」の裏山である。


浜街道トンネル上部に展望所があり、坂出方面への眺めがすこぶる良い。登山口となる峰山展望所は紅峰
方面の瀬戸内海が見えるが潅木が生い茂り展望はそれほど良くはない。

私は最初にこの駐車場から直接裏山を這い上がってウロウロしたが、山頂部は平坦で稜線部まで達する事は
出来なかった。地図を持たずに来た事を後悔しながら展望所に下りて行くと広い廃道を発見。あれ?赤テープ
もある。これに添って北側へ導かれ、奥まで進むがとうとうこの日は三角点を発見出来ず。

 
峰山展望所  北側に紅(ノ)峰が見える       駐車場から直接尾根を目指す

 
   山頂部は平たい台地だ             下山していると広い廃道を発見

家に帰ってGPSのトラックログを見るとこの廃道近くに三角点があり、直ぐ横まで歩いていた事を確認。
翌日三角点に至る。


要するに峰山展望所の上側駐車場から広い廃道が北西に伸びており、これに添って10分位進むと、意外にも
右手側に稜線が存在する。それはこの廃道が左巻きに黒峰を巻いており、最後には逆に南へ向かって尾根の
狭間にある底部へ延びているのだ。ここから適当に右手(西側)の稜線部に上がると岩がちな尾根があり、
その辺りに三角点がある。
辺りにはこれでもかという程の赤テープがある。



 
10分位廃道を進むと右手の尾根にターンする場所がある    なだらかな斜面を右手の尾根に進む

 
尾根部にはリョウブの樹が右手に進むと直ぐに三角点に行き着く    2日がかりの黒峰三角点

 
黒峰三角点   駐車場から北に入った廃道は次第に西側へ振るので、三角点のある尾根は廃道の右手尾根にある

 
   上の駐車場の北側                       入り口ははっきり見えないがちょっと入るとヌタ場と広い道がある


前日は稜線部がこの廃道の左側にあると錯覚していたのだ。この廃道を最終点まで進むと、黒峰の稜線を
クロスせずに峰の左側に180回りこんで南に延びて稜線と黒峰の間にある底部で消えていた。


今更この地味な藪山をもう一度徘徊する気にもなれず、三角点の確認で納得して黒峰を後にする。


カシミールソフトを使用した五色台 「黒峰」 GPSトラックログ図
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである

三角点場所の意外性に驚かされるのが黒峰だ

黄ノ峰(高松市) (三角点174.8m)
おうのみね

黄ノ峰は坂出・高松有料道路(浜街道)の高松側トンネルを出て直ぐに左手に見えるお結び型の小さな
円錐形の山だ。(ちなみに高松・坂出有料道路は平成23年3月末で無料となる予定)

登山口は山の南側(坂出・高松有料道路の途中から下に道が付いている)にあるお堂から。(東側斜面は
ミカン畑となっている。) お堂の裏から踏み跡があり、露出した岩場と平坦地の稜線を越えて山頂まで
一直線だ。


 
高松・坂出有料道路(平成23年3月まで)の下にある          東側斜面はミカン畑となっている

 
浜街道に車を置いて下側の道路へ下りると登山口のお堂がある   ここだけ少し岩が露出している

 
     鞍部を経て山頂へは一本道                     冴えない黄ノ峰三角点のシチュエーション


展望は最初の方にあり、高松方面が見える  左は串ノ山、右は勝賀山

               
                         ここが黄ノ峰登山口

途中で高松市街方面が少し眺められるが、もともと標高が低いのと、又登山口は南側の高い場所からと
なるので山歩きの達成感は望めない。



カシミールソフトを使用した五色台 「黄ノ峰」「紅峰」 GPSトラックログ図
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである


え〜 こんなとこが由緒のある黄ノ峰でいいの〜?って考えさせられる山である。


紅峰(あかみね)(台) 紅ノ峰(こうのみね)とも呼ばれる。 (東峰最高点 245m)

高松側の浜街道から見るとまるで大蛸の様な奇怪な形をしている。全体の山塊は大きめの東嶺と小さめの
西嶺から成り立っている。以前、ここが五色台の一つとは知らずに「讃岐のギアナ高地」と名付けて大いに
徘徊を楽しんだものだった。


あちこちから這い上がった末に、東側の塩窯神社境内から正規の(?)登山道がある事がわかった。

今回はこの正規の登山道から紅峰を目指す。非常に荒れた塩竈神社が痛ましい。裏手にみかん畑があり、
この間を通らせてもらう。上側のコンクリート道路に一旦出るが、さらにみかん畑のクリーク沿いに登山道が
続く。 

 
運動公園に駐車して紅峰へと歩く            塩竃神社の境内を上がる

 
草が生い茂った神社  氏子はいないのだろうか    塩竃神社の裏手kらミカン畑を上がる

山部にはいると左手の岩場練習場と右手の登山道に分かれる標識がある。右手の登山道はそうとう北側に
トラバースして山頂部に至る。


以前ここに来た時も赤テープに混ざって大きな荷造り札が登山標識として沢山設置されていて、見るに
見かねて間引きをしたものだったが、更に大きな赤いビニールテープが5m間隔に置かれて山歩きの情緒を
無くする。


山頂部には大きな石積みがあり、すぐわかる。 時間が遅かったので懐かしい山頂部を少し奥に進むが
ここにも以前より赤テープが増えていた。


 
岩場トレーニング場と登山道の分岐標識                     安山岩の節理

 
     串ノ山と勝賀山 手前は生島湾                 う〜〜ん テープが多い

 
う〜〜ん 相変わらずテープが凄い                  何でやろ  このテープの量は


     紅峰最高点  245m  ここは紅峰の東端に位置する

帰りに左手の北側に向っておびただしい数のテープがあるので、一体何処に導かれるのかとこの急な傾斜を
下りてみる。最後はみかん畑の上部で藪となったので藪を突き切ってみかん畑の道に下り、それを伝って元に
帰る。


 
   少し奥を覗いてみる  懐かしいなあ                  山頂石積みに帰る

 
   ん?  こんな方向に赤テープが                 ほぼ一直線に尾根を下る

 
一直線の道にこんなにテープは要らんやろ          ここでテープが左上に延びていたので薮をそのまま突っ切る

 
      下のミカン畑に出た                       モノレールに沿って通らせて貰う

 
     運動公園が近づいてくる                     夕暮れのクリークを渡る


山歩きとしてはこの紅峰が一番面白い。しかしながら異常な程の赤テープの数にはうんざりさせられる。

その他、五色台を取り囲む里山としては
北からぐるりと大崎山(236m)、串ノ山(214m,勝賀山(364m,袋山(262m)蓮光寺山(371m)
五夜嶽
(351m=採石場)などがある。


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