平成201115日 
香川が誇る秋の絶景地 小豆島 「寒霞渓」(かんかけい

ついでに男のロマン 星ヶ城山


草壁―紅雲亭―(ロープウェイ)−寒霞渓―星ヶ城山―寒霞渓遊歩道―紅雲亭―草壁

 
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図250000(地図画像)を使用したものである 
カシミールを使用したGPSトラック図

四国には紅葉の名所が沢山ある。面河渓谷、祖谷渓谷、別府峡、安居渓谷・・・
さて、これが香川県となると渓谷が少ないのと標高が低いハンディの為、県外のスケールには見劣り
するのは致し方ない。

が・・・香川県に於いて唯一県内外からの観光客で賑わう場所、それが小豆島の寒霞渓である。
幸いにしてここには「星ヶ城山」という山渓の四国百名山がある。

電車で高松に出て、高松港発 0750分のサンオリーブ号(高速船)に乗り0835分草壁港に着く
フェリーには観光客以外に登山者も数組おられた。

寒霞渓ロープウェイ行のバス時刻表を見ると何と小豆島バスは0955分まで何もない。
いつも行き当たりばったりの旅だから仕方がない。標高0mから寒霞渓の麓まで歩く事に。

 
     小豆島草壁行き双胴船                      神懸通りをひたすら北へ歩く

一緒のフェリーで来たグループの登山客にも歩いた組もあったようだ。

車道を進むが途中からぐるぐる迂回して効率が悪そうだ。近道らしき「遊歩道」の標識に従って歩こうとするが
サマンサは今までこういうケースで成功した例が稀なので頑として私の怪しげな提案に乗って来ない。

結局延々と1時間半ほど車道を歩いてロープウェイ乗り場に着く。

 
       次第に山が近づいてくる                  ズームで見ると紅葉がいい感じだ


            静かな池の水面に影を落とす寒霞渓

途中で何台もの観光バスや乗らなかった小豆島バスにも追い抜かれたが、臨時便で先に出たらしく私達が乗った
ロープウェイは意外と空いていた。


 
    紅雲亭ロープウェイ乗り場                   ロープウェイ乗り場の紅葉

ずっと天気は芳しくなかったが、このロープウェイに乗ったとき丁度日差しがあり、短い時間だったが、寒霞渓が
誇る奇岩と紅葉の鳥瞰図を見ることが出来た。

想像がつかない程の大昔、火山活動で出た火山灰と火山弾の礫が堆積してできた凝灰角礫岩や集塊岩などが風化、浸食によって
こんな姿になりました〜って眼下に現れる。
それとここの紅葉はツバキなどの常緑樹の緑によってなお紅く強調される。

従って、寒霞渓は片道ロープウェイ、片道を遊歩道ってのがこの素晴らしい造形美を2度楽しめるコースだ。

 
ロープウェイが出発すると乗客の歓声が自然に上がる      色んな形の岩が見える


           迫力ある岩壁が真正面から迫ってくる  これが金屏風かな


    正面右上のコブが蟾蜍巌”「せんじょがん」 蟾蜍とはヒキガエルのことみたい 


           見事なパッチワーク模様  ロープウェイから真下を見る


           遥か向こうの山肌も紅葉に染まっている

 
     再びゴンドラの真下を見る                    この一面に紅い樹は何じゃろか

 
        
                スケールが大きい岩壁風景

  
 岩に這うツタが紅葉しているのだろうか              山頂駅付近の黄葉

山頂駅は想像通り大勢の観光客でごった返していた。休憩場所が空いたので幕の内弁当を買って食べる。
「星ヶ城山までは大した距離では無い」といつもの手を使いバス駐車場裏にある三笠山 (671メートル)まで
サマンサを登らせる。
そこからはダラダラと登りが続くので、周りのシロモジと思われる黄葉の素晴らしさに釣られて何とか付いて
来ている様だ。シメシメ


 
きゃ〜 綺麗!!  もちろん紅葉が               星ヶ城山への登山道風景

 
   テンナンショウみたいなのが両脇に              まあ 同じ様な景色ですがね

 

西峰、星ガ城神社 南北朝時代に南朝方に付き           西峰  阿豆枳島(あずきしま)神社
戦死した備前飽浦城主佐々木信胤を祀っている。

神社に着くとそこからの道は意外と平坦になり落ち葉の絨毯を踏みしめて歩くのが快適である。ここから引き返す
と言っていたサマンサも星ヶ城山まで行く気になった様だ。
シメシメ

標高804.9mの西峰はどこか判らなかったが展望の良い大岩のある場所あたりだろうか。ここから東峰 
816.6mの間は目で見ると一旦コルへと下がらなければならないが、眺める山塊は紅葉に包まれている。

 
 西峰  阿豆枳島(あずきしま)神社の由緒書          東峰は瀬戸内海の島で一番標高が高い約817mだ

東峰への鞍部へ下がると、左手からの広い道と合流した。右手の下側に昔の遺構があるのでそれを見た後、最後の
登り坂を進むと今度は「人工井戸」だの「舟形遺構」だのと言った中世山城の名残があるのでそこを覗きながら
歩く。黄葉が素晴らしいのと足元が柔らかく高低差もあまり無いのでこの季節は最高の遊歩道だ。

 
う〜〜ん 何とも言えない柔らかさ       「下の空壕」付近 落ち葉がこんなに美しい場所も
                                あまりない

 
     西峰からコルへ下る            大きな道と合流した

 
      東峰山頂手前             落ち葉のじゅうたん

  
     人工井戸                    舟形遺構

舟形遺構から遊歩道に這い上がると、向こうが開けて星ヶ城山が近い。すると上手から三人組の女性が下りてきた。
登山口で出会い、途中で追い抜かれた女性たちだったので挨拶をする。四国中央市から来たと言う。それならばと、
ストーンリバーさんやグランマー啓子さんの名前を出すと知り合いだと言う。「おたく様は?」と聞かれて芸名を明かすとご存知の様で有難かった。

仙ちゃんと一緒にご来光の滝へ同じ日に行ったという。実に楽しそうな方たちだった。

 

    四国中央市の三人娘                         星ヶ城山のシンボル

星ヶ城山は備前児島の勇将、「佐々木信胤(のぶたね)」の山城で、普段は山麓の「安田城」で水軍なども持っていたらしい。
この佐々木信胤という人は南北朝時代、最初は北朝方で活躍した。その後南朝方に寝返るのだが、このいきさつが面白い。

信胤(のぶたね)は北朝の細川定禅に請われて京都攻めに加わったが、その京都で足利尊氏の権臣・高師秋
(こうのもろあき)の愛人・お才(御妻)という絶世の美女を奪って小豆島に連れて帰り、この結果、当然の
事ながら高師秋と対立し、何と南朝方についてしまった。 つまり女性によってポリシーを変えてしまったのだ。

この為、星ヶ城山の城主、
「佐々木信胤(のぶたね)」は北朝方で四国の総大将だった細川頼春の大軍によって総力戦の
末にここで滅ぼされてしまった。 まさに「芸は身を助け、女は身を滅ぼす」って事ですかい?

(降参して又北朝方に改心して生き延びたって説もあり、実際の所はよくわかりません。つまり これがロマンって事かな )

そうこう男のロマンに思いめぐらしているとサマンサが「もうそろそろ帰りましょう」と夢から現実に引き戻された。

 
        星ヶ城山頂 三角点                  こんなに楽で綺麗な場所ならいつでもOKよ

ロープウェイ駅近くの喧騒に比べてここ星ヶ城山登山道は静かでゆっくりと黄葉を楽しむ事が出来た。帰りは
ほぼ下りになるので楽だ。東峰手前の鞍部から右手の道を進んで見ると、合流した。


 
   ご満悦のサマンサ後姿                          最後の黄葉写真

 

    三笠山からロープウェイ乗り場へ               駐車場西側の遊歩道から四望頂へ下がる

ロープウェイ乗り場に帰ると依然と人でごった返しており、ロープウェイの待ち時間は1時間から1時間半だという。

ロープウェイの予約券を握って待合所を一歩も動かないサマンサと分かれて私は遊歩道を下る事に。こちらは
表12景と名付けられた渓谷に沿って奇岩を眺めながら歩くには丁度良い距離である。

東屋横から展望所への遊歩道を下がると、眼下に岩と瀬戸内海が見渡せる「四望頂」と呼ばれる素晴らしい場所に
着いた。 ここからちょっとした鎖場を下りると、快適な遊歩道が続く。


     
     四望頂まで320mとある分岐                   ここの紅葉も鮮やかだ

             四望頂”の展望台よりのどかな瀬戸内海を見下ろす

 
  四望頂”の展望台から少し鎖場もどきがある              表12景の始まり

 
荷葉岳”(かようがく)=仏像を安置する台座の形らしい    画帖石(がちょうせき) 綴じ本の事らしい


               層雲壇(そううんだん

 
        玉筍峰  タケノコ岩ですか                     金屏風

         
         岩もいいが 黄葉の色が又何とも言えませんわ

紅葉した木々の間から見える奇岩を楽しみながら20分位で紅雲亭に着き、ロープウェイで下りてくる
サマンサをひたすら待つ。
ロープウェイ乗り場のもみじはこれまた素晴らしく時間を忘れてベンチで木々を見上げていた。

ロープウェイ乗り場は午後と言うのに次から次へと観光バスが到着して長蛇の列を作る。やっとサマンサが
下りて来たが、既にバスが出た後で又
1時間待ちとなった。


                           金屏風

 
       金屏風

彼女はもう煽ててもすかしてもバス以外の交通手段の選択はない。金屏風の見える場所まで移動して時間を潰す。
バス停留所に帰ると結構乗客が並んでいた。バスは15分位で草壁港に到着、料金は310

草壁―高松のカーフェリーは 1時間ほどで料金は670円だった
香川で最も紅葉の美しい場所は? と聞かれたら迷わず「小豆島の寒霞渓」と自信を持って答える事ができます。

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