平成22年2月13日 大永山トンネル口ーチチ山ー獅子舞の鼻ー笹ヶ峰ーチチ山の別れー
一ノ谷越ーナスビ平ー上部歩道ー分岐ー大永山トンネル口 (約8時間)
霧氷を見に笹ヶ峰へ
笹ヶ峰の霧氷 前方は西黒森ー瓶ヶ森、その奥に石鎚
カシミールソフトを使ったGPSトラック・ログ図 大永山トンネル口より周回路
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである
前回の高瀑の滝がちょっと山歩きとしては不完全燃焼だった。その後暖かくなったので冬山がそろそろ終わった
かと観念していたのだが、もう一度寒波が来て愛媛の山が白くなったみたいだ。
マーシーさんはまさかミーハーな霧氷の笹ヶ峰へは行かないと思っていたので、他の件で電話したついでに「明日
は南尾根から笹ヶ峰へ行ってくるわ」と言うと「え〜私も大永山トンネルから笹ヶ峰へ行こうと思ってました」
と言う。 ほ〜 こんな場所で二人の意見が合う事は珍しい。 「じゃあ 大永山トンネルから付き合うわ」と
話がまとまる。
平成22年2月13日 大永栄山トンネルで08時に待ち合わせる。雪は思った程多くない様子なので私は6本爪アイ
ゼンのみ持っていく。マーシーさんは12本アイゼンをザックに入れる。彼の6本爪アイゼンは去年槍ヶ岳山荘で
ザックの横に置いて廊下に出していたら翌朝、ヘルメットと一緒に無くなっていたのだ。
07時55分トンネル口から尾根への登山道に上がり、縦走路へと進む。雪はあまり無いものの霧氷が結構低い
場所から見られて、相当冷え込んだ事がわかる。
08時24分土山越、08時41分馬道の別れ、08時46分舟窪分岐を過ぎて急坂になると霧氷は次第に発達して
くる。ブナ峠に09時08分到着。手前の岩場から霧氷が落ちて真っ白けである。
大永山トンネル手前道路より チチ山 同じく 沓掛山と黒森山
大永山南口 笹ヶ峰登山口 沢のツララ
土山越え 縦走路に合流 林道合流点
霧氷が現れた 馬道の別れ
舟窪分岐 まっすぐ進めば炭の道 チチ山が霧氷の間から見える
霧氷の下なら急登も楽し〜? ブナ峠手前の天狗の庭
ブナ太郎も元気じゃった ブナ次郎もおるおる
ブナ太郎 と ブナ三郎
ブナ太郎を見上げる
09時18分獅子舞の鼻で初めての小休止。南に赤石山系、北にチチ山が姿を見せて実に爽快な気分である。
いかに雪が深くてもこの獅子舞の鼻までは何とか来る事が出来るのでお気に入りの冬景色がそこで待っている。
ここからチチ山の別れまでがいよいよ冬の正念場である。笹が深いので二人ともスパッツを履くが、思った程
雪や氷が少ないのでアイゼンは付けない。
斜面に取り付きながら時々振り返って見渡す赤石山系は特に東赤石のドームが見えるので嬉しい。雲が北側から
湧いてきて銅山側の上部にたなびいている。縦走尾根の左手には冠山の特徴のある出っぱりと平家平が逆光に白く
輝いている。
見上げる度に気の遠くなる様なチチ山の別れへの細尾根を足元を見ながら一歩づつ距離を詰めて行く。笹が多く
なるとチチ山の山塊そのものを這い上がる事になり、さらに景色が開けてくる。
沓掛山と黒森山がいつもいいコンビとなって右手に陣取る。この二つの山形のお陰で付近の山々の同定が実に容易
なのだ。
獅子舞の鼻 バックはチチ山の別れとチチ山 又 霧氷の間からチチ山が
チチ山の別れ(中央)への稜線縦走路とチチ山(右)
チチ山の右手に見える 沓掛山と黒森山 (笹ヶ峰はチチ山の後に隠れている)
平家平(左)と冠山 雪が残る登山道
霧氷に埋もれるチチ山の別れ
赤石山系を遠望 東赤石のドームが見える
次第に高度が上がって沓掛山が目の高さに
霧氷の林の向うに赤石山系
10時25分チチ山の別れに着くとあとは急な登りは無いのでホッとする。ここの道標は四国でも屈指の趣きを
誇る場所にある。冠山と平家平の尾根が眼下に広がり、それを中心に愛媛の山々と高知の山々がそれぞれ分かれて
広がっているのだ。尾根筋まで上がると今度は寒風山と伊予富士が顔を出す。素晴らしい峠、分岐点と言える。
雪が残っているとチチ山南斜面をトラバースする登山道が滑って実に歩きづらいのであるが、ほとんど雪は太陽の
熱で溶けているので助かる。それでも時々ズルっと左足が斜面に取られる。
チチ山トラバース道を進むと笹ヶ峰が丁度くじらの背の様に前方にデンと構えて待っている。チチ山斜面の樹林帯には
霧氷が残り陽の光を受けて一段と白く輝いている。チチ山へは帰りに寄る事にして先に笹ヶ峰の霧氷を見に行く。
もみじ谷分岐までくると、遠くから雪が少なく見えた笹ヶ峰にも沢山の雪が残っていた。緩やかな笹ヶ峰東面の
登山道を喘ぐと、後ろにチチ山、右手に沓掛・黒森、前方笹ヶ峰北面の彼方には瓶ヶ森と石鎚が霧氷の彼方に見え
てくる。これが笹ヶ峰縦走路の醍醐味だ。
チチ山の別れから冠山と平家平 左手前方には寒風山と伊予富士 その奥に瓶ヶ森
笹ヶ峰が霧氷の間から見える 山頂付近以外にはあまり雪は見えない
伊予富士 チチ山トラバース樹林帯
ちょっと気に入った風景
チチ山トラバース路の霧氷 もみじ谷付近の笹ヶ峰東ゲート
笹ヶ峰の北斜面の向うに石鎚山が見える
笹ヶ峰から東側風景 笹ヶ峰山頂
11時36分笹ヶ峰山頂に着く。標識には期待していたエビの尻尾はほどんど無く、ちょっとがっかりだった。
石積みの祠を背に年代物の赤いスパッツを付けた岳人が一人食事の準備をしていた。「どちらから?」と聞くと
「寒風山から」と答える。「その前はどちらから?」と朝自宅を出発した場所を聞く。「東香川市からです」と
答え、結構若い時から北アルプス辺りを闊歩されていた様子。
暫くするともう一人丸山荘方面から現れる。これまた「何処から来ましたか?」と問うと「多度津からです」と
言う。へ〜〜結構香川県からの人が多いんだ。
「マーシーさん 香川県人会で記念写真撮ってくれる?」と言うと「え?マーシーさんと言う事は、お宅がエン
トツ山さん?」「そうです。良くご存知で」「時々HPを見させて貰っております」 う〜〜ん 山で読者とお
会いするのは嬉しいものである。
先ほどまで頭上で輝いていた太陽が雲に隠れてしまい、立ち止まると結構寒い。持ってきた魔法瓶のお湯をチーズ
フォンデデューとかいう物に注ぐ。あれ?湯気が出ていない・・・ マーシーさんのスプーンを借りてかき混ぜる
が温度が低すぎて一向に混ざらない。 お山に捨てる訳にもいかないので無理に口に流し込む。ひどい味だ。
前回も確か同じような現象を体験したから、この外見は立派なこの魔法瓶はもう魔法が無くなっているみたい。
もう捨てよう・・・
気分転換に立ち上がるとあれ? 見たことのある人がやって来た。石鎚山でお会いした上砂(あげすな)さんじゃ
あ〜りませんか。 奥方は忙しくてお仕事らしい。山の花と同じで一度山で会うと又別な山でも不思議とお目に
かかる様になる法則がある。丁度良かった。マーシーさんを紹介して二人の記念写真を撮る。
雲が湧いてきて石鎚も見えなくなった。
その後、背の高い前途洋々な若者が来たが、入れ違いに我々もナスビ平経由で帰るので12時18分笹ヶ峰に
お別れを告げる。
ちょっとエビの尻尾も迫力がない 多度津・高松・東香川 県人会
マーシーさんと上砂さん 西赤石ー石鎚ー笹ヶ峰ともう顔なじみ
帰りは12時50分にチチ山山頂を訪問する。ここは北斜面をマーシーさんと這い上がってきた懐かしい山頂だ。
山頂稜線部からトラバース路まで滑り落ちて13時21分チチ山の別れまで引き返す。ここで迷わず右手に
なだらかに下がる県境尾根へと進む。前方の尾根は霧氷の広がる北斜面にガスが湧き上がり尾根を境に北側は
何も見えない。
県境尾根は最初が笹原であるが、やがて樹林帯となり霧氷が広がる。13時31分一ノ谷分岐を通過。ここから
南側へヘアピンに下がって行くと沢部を経て一ノ谷屋敷まで下る登山道が続いている。
更に樹林帯が濃くなりブナなどを現れ、13時54分「一ノ谷越」分岐に立つ。これを真っ直ぐ尾根沿いに進むと冠山から
平家平に至る。
笹ヶ峰からチチ山へと向かう チチ山斜面を尾根部へ上がる
コメツツジの霧氷が珊瑚の様である。県境尾根の北側にはガスが湧いている。
チチ山山頂の祠 13時21分 チチ山の別れ
チチ山の別れからなだらかな県境尾根を東に下りていく
枝垂れ霧氷 13時31分 一ノ谷分岐
うひゃ〜 北面は凍ってそうや 正面は冠山
ブナもある
今日は当然一ノ谷越からナスビ平に向かって下がる。北斜面には雪が残っており真っ白である。一部凍結した
崩壊地がありアイゼンを着ける。14時16分見覚えのある銅山川源流碑に着いた。確かにこの場所から左手上方には水の流れが
無いが、右手下方へ水が流れ落ちている。
登山道付近の崩壊地は全く補修されておらず、以前と同じ上方へ迂回する。雪深い静かなるナスビ平に到着。平
(なる)い場所はルートがわかりにくいものだが、見覚えのある場所なので安心だ。気の早いカタクリは無い
かいな?と辺りをザッと見るが本気で探す気がないので当然見つかる訳がない。
なすび平からは大まかに道が2つに分かれている。カタクリ群生地をそのまま東側に進み斜面を下って行く。このルートは一旦沢を
渡り沢沿いの遊歩道に続く。以前はこの沢沿いの遊歩道は通行止めになっていて、広い林道へ上がる様に道標が設置されていた
が今はどうなんだろう?
もう一方はナスビ平の上部から沢を渡り、昔の居住区があった平坦地を経て中部歩道を経て広い林道に出るコース。我々は後者
のルートを途中まで進む事に。
一ノ谷越 雪がびっしりの北斜面
ちょっと凍結部がヤバイのでアイゼンを着けてクリア その後も凍結部が幾箇所かあった
銅山川源流碑 銅山川源流
登山道の崩壊地 ナスビ平付近
ナスビ平の上部を左に沢を渡り、平坦地の外れでまた沢を越えて暫く行くと14時49分分岐に直面する。一般道の
中部歩道は右下に下りて行くのであるが、「フォレスターハウス」の標識がこの方向に向いて立っている。直進方向
には細い木が道の中央に積まれている。「この先は登山道ではないですよ」という印なのだ。
我々はこれを真っ直ぐに進むのであるが、山渓・四国百名山の「平家平」で「上部歩道」と記されている破線ルート
である。マーシーさんは「これが炭の道に違いない」と主張。結構水平道が馬道の別れまで続いているのだ。私も
その説に同意する。土佐と伊予を一ノ谷越を経て結ばれる街道の中継地であったなすび平が、炭や薪の集積地でもあった事は容易
に想像出来る。
精錬に使う膨大な炭と薪を運ぶロジスティック・ルートが銅山峰近辺の山襞(やまひだ)を刻む。
炭の道は天が峠から笹ヶ峰の宿を経てチチ山北面を馬道の別れまで歩いたが、相当荒れていた。ちゅう事は、ここも
荒れていれば先ず炭の道に間違いない。
暫くすると崩落地があったり沢筋が荒れており、益々炭の道であると確信する。何せルートは山襞に沿ってず〜〜と
水平で、道の状態さえ良ければ馬道の別れまで文字どうり馬でも薪や炭を背負って快適に歩く事が出来そうだ。
アイスバーンになった崩落場所に来たので慎重に渡る。滑っても下に木がある場所は良いが、数十メートル滑落間違い
ない場所は用心するに限る。
北斜面の為ツララが多い。次第に道が良くなり左手になだらかな稜線部となっている。これは恐らく獅子舞の鼻から伸
びた稜線だろう。 休憩してGPSと地図で確認すると間違い無かった。
暫くすると15時43分道がヘヤピンに右下へ切れ込む分岐に到達。そのまま水平道を真っ直ぐ進むと馬道の別れに至る。
マーシーさんは以前反対方向の馬道の別れからこの分岐までは歩いた事があるらしい。
この分岐から右手にヘヤピンを切り、大永山トンネル方面へショートカットする。ここでやっと下り坂になり何だかホッと
する。地図を見ると電線がクロスしているが、その鉄塔までしっかりとした踏み跡があり迷うことはないだろう。鉄塔を越えると後は沢筋に
沿って広い林道を横切りながら大永山トンネル南口を目指すのである。
上部・中部歩道分岐 フォレスターハウスは右への標識 崩壊地に木が渡されている
滑りやすい場所である事は容易に想像出来るでしょ?
沢筋はちょっと荒れている 植林地帯は広くて道の状態が良い
ここが上部歩道とショットカットルートの分岐 鉄塔を横切る
右前方(なすび平方面)から来てヘヤピンに曲がる
ショートカット道の最後は沢筋 正面はもう笹ヶ峰登山口付近の沢筋
見覚えのある広い林道に下りて直ぐに又沢に沿ったショートカットルートを経て16時10分大永山トンネル口へ
帰りつく。
今回の歩きは霧氷鑑賞ツアーではあったが、思わぬ所で「炭の道」を歩く事が出来て「遠回りして帰ろ〜♪」が
吉と出た山歩きだった。マーシーさん お付き合いありがとうございました