平成22年9月11日(土)    伊予富士・北尾根を這い上がれ


西条 桂谷・主谷分岐 − 伊予富士・北尾根 − 伊予富士 −桑瀬峠 −旧寒風山トンネル口


カシミールソフトを使ったGPS トラック・ログ図
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 


旧寒風山トンネルへ西条側から上がっていくと気になる尾根がある。桂谷から急峻に立ち上がり、途中で
凹みがありその後、ラクダの背中みたいなコブ尾根が続いている。これが伊予富士・北尾根である。

ペーコちゃんを誘うとOKという返事。大体がまともな所を歩かないので誘った時は即答が出来ないの
だが・・・



                  これが伊予富士・北尾根の全貌だ〜


     旧寒風山トンネルへの西条側林道からみた伊予富士・北尾根の山頂付近

9月11日07時旧寒風山トンネル口集合としてマーシーさんと西条の国道11号線沿いにあるコンビニに
寄るとペーコちゃんもそこに来ていて2台でトンネル口へと走る。

時間通りに旧寒風山トンネル口に着き、ペーコちゃんのパジェロ・ショートをそこに置いて私のラッシュで
川来須(かわぐるす)方面へ下がる。


加茂川は黒瀬ダムの直前で右の石鎚ロープウェイ方面が本流とされ、橋を渡って寒風山トンネルへと向う左側
は支流となり「谷川」と平凡な名前が付けられている。


さらに川来須の少し上流で大保子谷の支流が右に別れる。ここに橋がかかっており、大保子(おおふご)谷
から瓶ヶ森、東黒森への北尾根のバリエーションルート登山口でもある。

一方、谷川本流は又その上方で左の桂谷、右の主谷へと別れる。
この主谷と桂谷の間に伸びる尾根が今回のテーマ、伊予富士へと続く「伊予富士・北尾根」である。


寒風山トンネル付近の国道に出ると直ぐに加茂川に向って下がる道があり、大保子(おおふご)谷への橋を
渡らず右岸を上流に向う。07時30分途中の広い場所に駐車して身支度を整える。9月になるのにまだ夏
の様に暑い日が続いていた。


以前桂谷に来た時と同じく採石場の手前で古い車が置かれて通せんぼをしている。

対岸に渡る場所があり、石を飛びながら向こう岸に渡る。ガクちゃんが来た時に置かれていたユンボは既に
無かった。本来動く物は目印にはならない。


 
  谷川の右岸、道路の広い部分に車を停める            桂谷と主谷の合流地点近くを渡る 正面左が取り付き口

07時45分、踏み跡が付いている薄暗い植林帯に向って這い上がりを開始する。

東黒森・北東尾根もそうだった様に、この尾根も最初から急激な斜面となる。10分位急登を喘ぐと支尾根部
に着いた。その後すぐに衝立の様なガレた斜面となり三者三様、適当に這い上がる。

会社の8階までの階段にフウフウ喘ぎ、そんな時は山登りなどとんでもないと思う。だが山へ来ると心構えが
違うのか、まだ終着山頂まで気が遠くなる距離と標高差を残していると言うのに何とかなりそうな気がする。


08時23分左手から作業道が横切っていた。暫く息を整えてこれに沿って上を目指す。ジグザグの道が続き、
しばらくすると尾根を外して左手に回り込むので途中から尾根に這い上がる。
尾根に這い上がるとシャクナゲと岩が現れる。
この取り合わせが尾根歩きの醍醐味である。但しシャクナゲほど歩行に厄介なものはない。


  
   取り付き口   行くぞ〜〜                        何や いきなりのこの急傾斜は !

 
    最初は植林地帯 でもものすごく傾斜はキツイ               横掛け道に出る

 
    エンヤー コラヤー キツイなあ                         岩場を抜ける    

 
  どんどん進む (おじょも風の表現)                       シャクナゲが出現


09時10分岩の展望所に出る。先に着いたマーシーさんと景色を眺めながら少し休憩。西側が開けており
東黒森山への稜線と途中のピークが見渡される。


崖の様な岩場を下ると広いコルになっていた。左手には厳しい尾根が続いている。右手には楽チンの広い作業道
が続いている。多数決で右手の楽な道が選択された。ペーコさんのGPSで確認するとガクちゃんもこの作業道
を歩いていた事を確認。
丸木橋なども架けられた林業用作業道なのだろう。但し迂回路というものは幾つもの尾根部や沢部を持つ山襞を
回り込むので当然の事ながら距離が長くなる。


途中岩場っぽい場所ではチョロチョロと岩から落ちてくる水場もありネック・クーラーを沢水で濡らして首筋に
当てるととても気持ちが良い。

 
     西黒森が見渡せる              岩の上でしばしの休憩

 
   岩尾根を下りると広いコル部に着く        トラバース道を選択

 
       岩場を抜ける             ヒャ〜〜  気持ちいい〜  岩清水

09時46分尾根筋に回りこむ。あ〜〜又ここから厳しい這い上がりになるのか。覚悟をしていてもウンザリする
ものだ。下草が生えた植林地帯に向かい這い上がり開始


10時14分オベリスク岩を通過、次第に植林地帯から岩とシャクナゲ、赤松と細い雑木の生い茂った尾根の自然林
風景となる。不思議とこういう場所では下草が無く歩きやすいものだ。
一頻(しき)り急な岩尾根を歩いたら、ヒメ
シャラやリョウブの比較的広い尾根となる。


 
     トラバース道から尾根に取り付く                      もう又急登なの?

  
  伊予富士・北尾根のオベリスク                       自然林の細尾根となる

 
  シャクナゲが多くなると岩尾根の予兆だ                   やはり岩尾根となる

 
   もうそろそろピークに着くはずよ                   傾斜が急に緩くなりコル部が近い

11時20分頃から傾斜が緩やかになりその後進む方向が透けて見え出した。平たいピークに着いた様だ。11時
40分天然檜が沢山生えた「檜平」(ひのきだいら)に着いた。


林床に低い緑の葉がびっしり生えていたのでツルシキミと思いきやシャクナゲの幼木であった。久しぶりに傾斜の
無い尾根を快適に歩く。この外れのピークが1481mとあるから山頂まではまだまだ遠い。林立した檜越しに形の
良いピークが見えるが次の尾根部の出っ張りである。

新居浜の串ヶ峰も形は良いが単独ピークでは無くこの様な尾根の出っ張りなのである。

 
     天然ヒノキのコル              ひと時の安らぎ

 
ここを檜平(ひのきだいら)と名付けよう        あの尖がりへと進むのか〜


一旦小さな細い鞍部に下り、次の小ピークに上がる。又少し下がった後がガクちゃんが指摘した問題の
ターニングポイントとなっている。こんな所ではマーシーさんは急に元気になり必ず斥候役となる。
木が鬱蒼と茂り前方が見えない。ペーコちゃんとルートなりに進むと断崖に出てしまう。多少左右に振っても
そこはどこも崖となっている。

マーシーさんから「そこは右手へ進んでください」と声がかかる。
右手に白い岩がありそれに沿って鞍部まで下がる。結構高度差はあるが木々が茂っているので足場に危険は
ない。


次の鞍部に降りると1200時だったので休憩がてら昼食とする。レイジンソウやオオバショウマが辺りに
咲いている。マーシーさんは早速缶ビールを出してペーコちゃんと乾杯をしている。こちらは凍らせた麦茶を
負けずにグビっとやる。


 
    岩壁を右に迂回して下がる                        すぐに次のピークへ


 
   ここは基本的に岩尾根だ                           カンパ〜〜イ


さて、いつまでも休憩をしておれない、先はまだ長いのだ。ここからは急な細尾根となるが、標高 1,500m〜
1,600m
位の岩と木々の殿堂が小1時間程続き最も美しく、スペース豊かな場所である。

12時40分頃からは背の低い笹が現れ、森が深く人間が踏み込んでいない地となる。
この様な道の無い深い森を歩くのは究極の贅沢な山歩きと言える。


静寂の中に鳥のさえずりと3匹のイノシシの枝や笹の葉を分けて突き進む音だけが辺りに響く。13時40分
笹が丸く積まれたミステリーサークル「イノシシの隠れ家」が現れる。


 
 
       相変わらずの薮尾根が続く                  こんな場所を歩くのは気持ちがいいなあ



                            美しい森の風景


 
        森に溶け込むイノシシ                          しばしの休憩


                      美しい森の風景 パートII

  
  標高が高くなると背丈の短い笹が出てきた             お〜〜  イノシシのねぐら ミステリーサークル

暫くするとシャクナゲの岩尾根となり、最後はシャクナゲのくねった枝に悩まされながら這い上がると14時
04分見晴らしの良いピークに飛び出した。霧が辺りを覆い見通しが無かったが暫くすると前方に台形の山影が
現れた。



 
    相変わらずの岩尾根                           シャクナゲ尾根となる

 
     シャクナゲ尾根をもがく                       おりゃ?  尾根部に出たぞ


                 伊予富士本峰ではないなあ

そこからはびっしりと木々で覆われた岩尾根が続く。一旦鞍部に下がり暫く進むと前方に尖がったピークが
見えた。これが先ほど斜めから台形に見えたピークだろう



 
     岩峰が頭を出す                            うひゃ〜  これを這い上がるの?


14時25分岩場が現れる。足元にはリンドウが咲き踏まないように気をつけて岩のバンドを這い上がる。
14時43分岩がスパッと切れ落ちた岩場に出た。ここがガクちゃんがスリングを岩に引っ掛けて下りた
岩場だ。


既にマーシーさんが下側に降りて足場を指示してくれる。ペーコちゃんは意外と高い所が好きらしく難なく
降りてきた。結局私が一番とろくさいと言う結論だった。「だってワタシ還暦ダモ〜ン!」


そこをクリアして藪が深い尾根を進むと1500時主稜線に出た。

  
      岩に沿って這い上がる                     すると又次の尖がりが現れる

 
    赤シャツ・ペーコ 頑張る                       ちょっと紅葉しているぞ  でも霧が深い

 
   ガクちゃんがスリングを使った岩場                リンドウよ お前は一体何人の人間に会った? 

最初は霧が深く、一体どの辺りに這い上がって来たのか定かではなかったが、スッと霧が飛ぶと左手にピークと
その向うに伊予富士本峰が姿を現した。 あ〜〜やっと着いた〜


     
        15時00分   あ〜〜 やっと主尾根に到着


      霧が流れると す〜〜と I峰と伊予富士本峰が姿を現した

緊張が解けて気楽な気分で笹の稜線を最後のピークに向って進む。
藪っぽい最後のピークを越して笹深い尾根部から登山道へ出る。 まあ快適だ事。
やっぱ登山道が楽でええわ・・・

15時20分伊予富士山頂に着き、お決まりのシェーポーズを二人に強要する。ついでにヒコーキ1号
さんにも敬意を表して「ヒコーキ編隊ポーズ」も決める。 登山口から約7時間半で山頂に至った計算だ。



   
       シェーの元に薮ヤも山ヤも沢ヤも花ヤも全て平等である

  
              まあ ヒコーキ編隊も組んでおこう

 
    あっちから這い上がってきました〜              、橋本さん 又 よ〜〜け 標識を付けたもんじゃわなあ 

 
           誰も居ない桑瀬峠                    ペーコちゃんの車に帰る

16時26分桑瀬峠を通過、1700時旧寒風山トンネル口に着き水で顔を洗う。あ〜〜気持ちいい
17時30分谷川に置いてあったラッシュに帰還。

マーシーさん、ペーコちゃんの気の合う仲間と念願だった伊予富士・北尾根の這い上がりが実現し、これで半年
遅れとなったが東黒森北東尾根の這い上がりとのセット這い上がりが完成した。


ガクちゃんの伊予富士・北尾根リベンジ編は ここ


      
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