平成24年2月19日 冬の散歩道 寒風山〜笹ヶ峰縦走
旧寒風山トンネル登山口〜桑瀬峠〜寒風山〜笹ヶ峰〜南尾根〜林道歩き〜登山口 約8時間
寒風山から笹ヶ峰への縦走路
Toshi さん撮影の寒風山から笹ヶ峰遠望写真を加工
掲示板で石鎚公園線から寺川経由「伊吹山」登山口からのルートを皆さんが行かれて紹介されていたが、マーシー
さんも私も初めてだったので一度行ってみようと言う事になった。日程は2月18日の土曜日が天気が悪そうだっ
たので翌2月19日に決める。
所が当日大雪が里にも降り積もり到底石鎚公園線〜寺川林道を運転する自信が無くなった。
マーシーさんは高速道路が不通になったにもかかわらず四国中央市から待ち合わせの新居浜の山根公園まで国道11
号線で来てしまった。それじゃ取り敢えず寒風山トンネルまでの道路状況を判断し、厳しければ伊予富士に変更しよう
と言う事にして07時過ぎに出発。
多少凍結気味の国道11号線を車間距離を空けて運転し、西条のコンビニで話題の「爆弾おにぎり」を買い加茂川から
国道194号線に入る。雪が益々積もっており、路面は凍結して下り線が大きくスリップをしたタイヤ跡がここかしこ
に・・・
寒風山トンネル手前では凍結防止剤を作業の方が撒いていた。こりゃ寺川方面は無理〜ここで長沢ダム方面の下り運転
を諦めて旧寒風山トンネル方面に上がる。
08時50分駐車場に着きアイゼンを付けスノーシューを背負って伊予富士に向けて出発。風が無いのか雪が木々に降
り積もっていい感じの雪景色を作っている。
雪を被った山根公園と煙突山 西条のコンビニにて爆弾おにぎりをゲット
旧寒風山トンネル口の桑瀬峠への登山口 雪のトンネル
桑瀬峠手前から見る冠山
寒風山〜笹ヶ峰縦走に変更〜!
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである
カシミールソフトを使用したGPSトラック・ログ図 寒風山〜笹ヶ峰縦走ルート
09時40分桑瀬峠に着き「天気が良いから笹ヶ峰まで尾根歩こうよ」と意見が一致。一度計画が狂うとどこまで
も変更になる法則でここに来て急遽寒風山へと進む事になった。
寒風山〜笹ヶ峰への縦走は以前紫雲さんと霧氷の時期に歩いている。今日はその時と雪の量が違うものの、距離的或
いは地形的にストレスがかかる縦走ではないので比較的気楽だ。
標高約1,100mの登山口から一旦1,450mの桑瀬峠へ上がり、標高1,763mの寒風山から一旦最低コル
部1,630mに下りて、とんがりピークと前衛ピーク(1,750m)を経て 標高1,859.5mの笹ヶ峰へ
到る。その後南尾根ルートを標高1,140mの大座礼林道に下ると言うアップダウンと展望を楽しめる人気のルー
トである。
桑瀬峠からすぐ樹林帯に入り暫く登ると見たことのある特製ピッケルに出会う。良く見ると寒風山の主「橋本さん」
だった。ご挨拶をしていると左下から「ヒコーキ1号さん」とお連れの山ガールが登場。
ヒコーキ1号さんは山の掲示板で山仲間を巻き込んでの楽しい編隊ヒコーキポーズで知られる様になった。ルーツは
良く知らねど四国の山ではヒコーキ1号さんがその輪を広げている様でこの為、「エントツ山のシェーポーズ」の陰
が薄くなったようだ。掲示板で親しくなると初対面という気がしない。挨拶を交わしていると橋本さんがザックから
寒風山DVDを出してプレゼントしてくれた。
お二人は橋本さんの案内で別ルートで登ると言うのでもう会えないと思い、その場でヒコーキ小編隊を組む。3人と
お別れして山頂を目指す。霧氷や着雪で賑やかな樹林帯を抜けると見晴らしが良くなり南側の伊予富士、北側の冠山
を見ながら爽快な雪山を楽しむ事が出来る。登山道はコル部を経て左の岩峰に向うのだが、右手ピークとの間に作ら
れたV字谷の向こうに笹ヶ峰が姿を見せている。 遠い〜〜〜
桑瀬峠 09:40 h ヒコーキ1号さんにシェ〜を強要
マーシーさんとヒコーキ編隊 のどかな雪山風景
伊予富士をバックに寒風山を目指す 谷間に笹ヶ峰が姿を覗かせる
急登を上がると稜線岩部を左側へ少しトラバースする。岩尾根を回り込むと左手が切れ落ちており特に冬場に滑落の
危険性がある寒風山で唯一の危険箇所が待っている。ここでは多くの登山者が橋本アルミ梯子や橋本ロープに助けら
れる事になる。
その後、左手に巨大な顔の無いスフィンクスの様な大岩壁を見ながら更に樹林帯を登る。
樹林帯を抜けると眩しい光の中に目指す寒風山の本峰が姿を現す。無雪期には何でもない笹のスロープなのだが、雪
が積もると滑落しない様に注意が必要だ。4〜5名の登山者が雪原を先行しており、近づくと前に声を掛けて一斉に
道を譲って頂く。マナーが良い人たちだ。(後で一万尺クラブの人達だとわかった)
南峰コル近くでマーシーさんの携帯が鳴って何やら話してる。聞くと「与力さん」がこちらに向っているとの言う。
そりゃ〜一緒に笹ヶ峰まで行かにゃならんと寒風山で縦走の友を待つ事にする。
そうと決まれば時間待ちに南峰へ進む。この南側テラスは裏寒風からの這い上がり口がある所で、伊予富士、西黒森
の大展望が遮る物なく広がっている。伊予富士の右奥には手箱山と筒上山が姿を見せているが、石鎚山は黒いベール
に覆われていた。
明るく輝く雪景色 アルミ梯子から少しテラスに出て撮る
寒風山名物の岩壁 尾根をトラバースして下りる場所に橋本ラダーがある
トラバース路で滑落の恐れがある場所での橋本ロープ 霧氷? 着氷 ? 着雪 ?
紺色の空をバックに眩しく輝く樹氷
顔のないスフィンクスが姿を見せる 山頂手前の雪原
双耳峰の様な寒風山 奥が寒風山本峰 寒風山南峰テラスより登山道を覗く
寒風山南峰テラスより桑瀬峠〜伊予富士を眺める
11時20分ゆっくりと寒風山の山頂に移動すると見知らぬ男性から親しそうに声をかけられる。
「あのう・・・どなた様でしょう?」「いえ 名乗る程の者ではございませんがエントツ山、マーシーさんにお会
いしたかった者です」とコテコテの土佐弁で話す。
聞けばヒコーキ1号さんのお仲間で井上さんと言い、ヒコーキ1号さんから我々がそちらに向ったと連絡を受けて
いたらしい。AKB48ならいざ知らず、イノシシ達に「会いたかった〜会いたかった ♪イエイ 君と〜♪」とは
まっこと変わったおんちゃんである。山頂には他に二人連れの男性と奥に先ほど道を譲ってくれた4〜5人の登山者
が居られた。
寒風山からの展望を楽しんでいると「与力さん」が到着して正月の石鎚以来の再会を喜ぶ。与力さんの案内で以前
話題になった山頂の風穴を見る。祠近くから湯気を出しながら暖かい空気が噴出している。逆に夏には涼しい風が
吹き出すと言う。
近くに居られた女性登山者から声をかけられる。「エントツ山さんは青い登山服を着ています」と言われた。そう
言えば一卵性双生児だった私は小さい時から双子の区別に青い色を主に着せられていたのだろうか、青を好む様だ。
この方達はグランマー啓子さんも所属する松山のコンパスが主催する「一万尺クラブ」の人だった。一万尺クラブ
のブログを担当しているという大柄な男性から小柄なキンカンを頂く。
昔近所にキンカンが植えられており、酸っぱいので皮だけ食べていた。その頃の記憶でキンカンを見た瞬間パブロフ
の犬となり酸っぱい唾液が口の中に広がった。ところがこのキンカン、品種改良が進んでいるのかとても甘くて中身
までおいしかったのでもう1つ頂いた。
そうこうしている内、ヒコーキ1号さんやストーンリバーさん達が山頂に上がってきた。
ストーンリバーさんは山歩きを始めた頃にお会いした親しい山友である。サマンサと福寿草を見に西三子峰に行った
際、後ろから「お〜〜い お〜〜い」と何度も呼ぶ声が聞こえて来る。不思議に思って少し待っていると夫婦連れが
後ろから追いついて来て「西三子山の道はこれでいいのでしょうか?」と山初心者の我々に尋ねてくる。
山ではこんなコンタクトの仕方があるんだ・・・と思いながらもかわいい奥さんと人の良さそうなおっさんに安心
して、「我々も初めてなので一緒に行きましょう」と4人で福寿草を楽しんだものだ。
おっさんストーンリバーさんはビデオカメラを1脚に固定し、更にカメラ本体を紐で身体に結び付けている。こんな
に慎重なオッサンが朝、車のキーを閉じ込めてしまうなんて魔が差すって事があるんですなあ。
さてお昼が近づいたので11時50分皆さんにご挨拶し、与力さんを誘って笹ヶ峰に向う。
井上さんとマーシー 祠の傍から湯気が上がっている
今から行こうとする笹ヶ峰への尾根 雪が深そう〜〜
マナーの良い一万尺クラブの皆さんと
本家ヒコーキ1号さん達と編隊を組む 与力さん 撮影係りありがとう
行って来ま〜〜す
先ず左手の樹林帯へ向うが、どこも雪を被ってスペースが無い。適当に先頭のマーシーさんが雪の壁に突っ込み
3人共雪まみれになりながら前方の稜線へ抜け出す。午前中の素晴らしい天気は怪しくなり雲が湧いて来た。
しばらく雪の稜線を進み、次の樹林帯が現れる。ここは記憶では左手にトラバースするのだが、雪が深く急斜面を
苦戦しながら進む。 突然与力さんが立ち止まり「あっ 今日はカミさんを高知空港へ夕方迎えに行くんだった!」
え? そんな大事な事 今思い出すの?
「火打ち石のお静」を迎えに行く為戦列を離脱する与力さんを見送り、イノシシ2匹は先を進む。
最初の樹林帯を抜けると雪原に出る 寒風山を振り返る
行先にはガスが飛ぶ 雪庇の縦走尾根
左トラバースの樹林帯へ入る ルートは斜面をテキトーに
こら〜〜 与力さん! 嫁さんとの約束を忘れて何とする
尾根筋には左の北西側から風を受けるので右側に雪庇(せっぴ)が張り出している。縦走尾根は多少のピークは
あるものの最下部まで下りると、この先に二つのピークを越える。一つ目の低いピークは樹林帯となっており雪の
季節には往生する。
頭から、襟から雪を被り耳や首筋が痛い。二人共ザックの後ろに背負った無用のスノーシューが仇となり余計に雪
の付いた枝を引っかき回り雪を頭上からばら撒く。更にやっかいなのはメガネやサングラスの内側に雪が入りワイ
パーが欲しい位だ。
でもまあこういう苦難は雪尾根を歩く楽しみの中に包括される。
尾根の雪は下側が凍っている場所が多く新雪はその上に積もっているので歩き易い。時折とんでもないド壷が待っ
てはいるのだが・・・
難所と言えば右側斜面へのトラバースに滑落時身体を止めてくれる樹がない場所があり、そこだけは気を使った。
笹ヶ峰・南前衛ピークの手前に雪のプチピークがあり初めてザックを下ろし5分休憩する。
最後のピークへそれぞれのルートで取り付き14時00分尾根筋に出れば後は笹ヶ峰ご本体に取り付く単調な歩き
となる。
最低コル近くは樹林帯となる 前方は樹林小ピーク 寒風山を振り返る
右手トラバースより尾根へ復帰する 東予方面を眺める
こんな景色を見に雪山へやって来るのだ
油断のならない雪原 滑落しない様に樹林帯ギリギリをトラバースして歩く
雪まみれになりながら尾根に復帰 う〜〜ん ここは這って抜けなければ
やっと前方が開ける 前衛ピークが眼前に現れる
お化け屋敷を抜ける 気持ちの良い雪原に出る
寒風山が遠ざかっていた
冠山が右手に付いてくる 手前のピークまで行って少し休もうぜ
前衛ピークへ向かう最後の急登 ちょっとトラバースに手間取り稜線に出る
笹ヶ峰前衛ピークより縦走尾根を振り返る ここまでの右トラバース路はちょっと苦労した
寒風山と高さが並ぶ 笹ヶ峰本体への尾根に取りつく
最終ピークを過ぎた場所に笹ヶ峰まで25分という橋本標識がある。これは橋本さんが元気な時のタイムレコード
なので当てにならない。天気は余り思わしく無いが、左手に懐かしい天ヶ峠と又兵衛岳への尾根が見える。
左前方には沓掛・黒森から傾山を経て櫛ヶ峰へ続く尾根が見えその向うに西条、東予の町が見える。以前無謀に
2度も渡った傾山大崩壊地の跡は草木が生えてあまりめだたなくなっていた。
ボリュームのある笹ヶ峰への尾根筋を左に巻いて登山道を進む。いつもの事だが写真を撮っている内にマーシーさん
はドンドン先へ進む。写真を撮る度に右手のオーバーグローブを着脱するので冬場の山行は無駄が多い。
一度尾根筋に出て、最後はコメツツジの樹氷を避けて平らなスペースを適当に山頂へと進む。
晴天が逃げてしまった笹ヶ峰山頂に14時43分到着。今期何度目かの笹ヶ峰であるが、エビの尻尾や石積みの祠
はいつもの迫力が無い。昨日里に降った雪はここでは大した事は無かったようだ。相変わらず石鎚方面は黒っぽい
雲に覆われて展望はない。日差しが無いのでとても寒く、昼ごはんも出すのが面倒なので南尾根へ向って下りる事
にする。
前衛峰を越えると細尾根が終わる 天ヶ峠から又兵衛岳への尾根
沓掛山から傾山への尾根 笹ヶ峰が近づいてくる
右側に尾根筋があるがトラバース登山道を歩く 一旦尾根筋へ上がる
笹ヶ峰山頂の標識が見える エビの尻尾はあまり付いていない
笹ヶ峰 石土大権現の祠 鳥居と社が見える 一応シェ〜もアピールしておかなければ
以前太ももまで壷足になった南側の雪は寒気で締まり歩きやすく、スノーシューはここでも不要だった。
山スキーの方が来られた様で雪原にシュプールがあったが、雪の状態が悪いので華麗なる山スキーとは行かなかった
様だ。
15時15分ブナ広場を通過、この辺りまでスキーの跡が見られた。雪の残る急な傾斜をどんどん下りて15時55
分林道に着く。
笹ヶ峰南尾根を下りる 縦走尾根には低い雲が垂れ込める
チチ山の別れ方面 山スキー板の跡がある
笹ヶ峰南尾根を振り返る スキーのシュプール
先ほど歩いてきた寒風山からの縦走尾根
ブナ広場に到着 ここまでスキーの跡があった
少し青空が現れ良い景色となる
大座礼林道が見えるとホッとする 15時55分 林道に下りつく 登山口標識がある
覚悟していた林道歩き小1時間の後16時50分頃旧寒風山トンネル口の駐車場に帰り着く。朝賑わっていた
駐車場には登山者は残っておらず、家族連れの子供が雪遊びで幸せそうな甲高い声を辺りに響かせていた。
国道194号線に出るとあれほど積もっていた雪も解けて春を感じさせるドカ雪であった。
行き当たりばったりの山行であったが、寒風山では久しぶりに橋本さんやストーンリバーさんにお会い出来たし、
与力出現のおまけやヒコーキ1号さん達や一万尺クラブの方たちとの山仲間の交流も出来た楽しい1日となった。