2010年1月17日 冬の石鎚山 天狗岳・南尖峰 成就社コース パート2
平成22年1月9日に入港した坂出LNG基地クールダウン目的のマレーシアLNG船が無事1月16日に出港したので翌17日
早速石鎚蔵王権現様にお礼参りへ出かけた。
無神論者であるが、石鎚山の姿を見ていると何かの力を感じる。古来から自然の姿に畏怖を感じてきた人類の血が自分
をそんな気にさせるのだろうか。
今日は拝殿から霊峰石鎚山のお姿がはっきり見渡す事が出来る。 どんな秘宝や秘仏を配する神社仏閣よりこの石鎚山の
姿を背景に映す成就社拝殿には適わないだろう。
今回はお礼参りでもあり単独で登拝する事に。元旦と同じ08時40分のロープウェイに乗るが、天気が良い事もあって大混雑
だった。成就社駅で6本爪アイゼンを装着して先ず成就社を目指す。
09時15分成就社にてお参り。拝殿に回るとバックのスクリーンには石鎚北壁が雪をあしらって鎮座している。ありがたや あり
がたや〜〜
気温が高いせいか元旦の風景より雪景色の迫力が今イチ。霧氷が少ないのが不満ではあるが、やはり展望が良いのがいい。
霊峰石鎚山を配する「成就社 拝殿」
成就社拝殿裏手から見る石鎚山
今からあの弥山まで歩きます
八丁坂を下ると、今度は前社ヶ森へ向かって急な登りが続く。この辺りは北面で日当たりが悪く霧氷が比較的残っている場所で
ある。09時55分背の高い精悍そうな男性から声がかかる。 お〜〜 「花の山を歩こう」の菅さんだ。伊予富士でお会いして以来
で奥様もご一緒されていた。
それから5分後に今度は去年西赤石でお会いした上砂(あげすな)さん達に会った。梶原さんご夫婦とペア登山だったので簡単な
ご挨拶を交わして先に進む。
「花の山を歩こう」の菅さん 上砂(あげすな)さん、梶原さん達に遭遇
10時10分に前社ガ森の休憩小屋に着く。ここの東面は日当たりが良いので霧氷はあまり残っていなかったが、向かいの
瓶ヶ森の氷見二千石原(ひみにせんごくはら)が土俵の様に平たく構えており、その右手にはジョーズの背びれ子持ち権現
が見える。
前社ガ森から又なだらかな登りのトラバース道を抜けると眼前に石鎚山の北面が一気に姿を現す。いよいよここからが石鎚山
に取り付く登山として雰囲気たっぷりの本番となる。
土小屋コースと成就社コースの違いはここからの眺めにある。左手には雪のブロックを固めたイグルーの様な物がある。聞く所
によると愛媛大学の山岳部が作ったテント用のイグルーらしい。10時25分夜明峠を通過。霧氷が無いのでここの景色ももう一つ
キレがない。
前社ヶ森の小屋から見る瓶ヶ森
わ〜〜い 東稜 〜 南尖峰 〜 天狗岳 〜 弥山 が見渡せるぞ
夜明かし峠 ここは霧に包まれた方がいい写真となる
10時50分 土小屋分岐の鳥居は元旦より少し雪に埋まっている
石鎚天狗岳と南尖峰
11時20分弥山に到着。まず山頂石鎚社にポケットに残っている小銭の内100円玉は除いて残りを賽銭箱に奮発! お金の
価値がわからないであろう石鎚蔵王権現様だから100円玉も10円玉も同じようなもんじゃなかろうか・・・
天狗岳はこれ又正月み見た雪の迫力は無く写真を撮る意欲が湧いてこない。じっとしていると流石石鎚山頂だけに寒い。
避難小屋に入って6本爪アイゼンを外して10本爪に付け替える事にする。
狭い避難小屋の中には12本爪のアイゼンを履いた4人程の男性グループが立っており、奥の隅に一人アイゼンを履いていない
背が高くて黒ずくめの一見山のベテランの雰囲気漂う登山者が居た。歩み板に座って6本爪アイゼンを外そうとしたその時、奥
の玄人(くろうと)さんから「避難小屋の中へ入る時はアイゼンを外した方がいいですよ」っと静か〜に諭(さと)す様に声がかかった。
え〜〜?! だって隣の4人組は12本爪を履いたまんま私の横に居るじゃん。何故私だけ・・・・・
ふ〜〜ん さては 私の様なシロウトに注意をしながら、横にいるセミ・クロウトにも苦言を呈しているのか 成程 結構テクニッシャン
じゃのう。 「すみません 外が寒いのでアイゼンを取り替えたら直ぐに出ます」 いつになく素直なワタシ。
確かに狭くて暗い避難小屋には時々ザックなどが沢山置かれており、アイゼンでそれを踏んづけてしまう事があるのだ。私のザック
も穴が空いているのはその為か!! (いえいえ そうでは ありません あなたのは藪でヤブいたのです=天の声)
10本爪アイゼンに履き替えてついでにおにぎりを食べた後天狗岳に向かう。下り口でオジサンがロープを結んでそれを吊り下げようと
している。何やってんの?「鎖が雪に埋まって手がかりがないから安全の為・・・」「そんなじれったい・・・お先に失礼します」とサッサと
天狗岳に向かう。
稜線は誰も歩いておらずウサギの足跡があったので、安全の為それを辿る。雪がある方が返って歩きやすかった。
天狗岳を越えて南尖峰へと進む。
石鎚天狗岳
弥山から天狗岳に下りる ウサギの足跡がある
石鎚 天狗岳直下
天狗岳手前から 弥山を振り返る
弥山(みせん)とは仏教の聖なる山「須弥山しゅみせん」の略称で、宇宙の中心、万物の根源をなす仏教のユートピアである。
天狗岳方面から見る弥山は確かにその様な雰囲気が感じられる。その宇宙の中心から私の後を追って登山者が逃げ出して来る
ではないか。
石鎚天狗岳は勿論、弥山からの形が有名なのだが、私は逆に南尖峰=東側から眺める天狗岳が好きである。12時20分南尖峰
に着き、東稜方面を眺めた後、反対側の墓場尾根へと下りていく。墓場尾根というイメージを嫌って正規の「柱状(節理)尾根」と
呼ぶ人もあるが、やっぱり墓場尾根って呼び名がぴったりする。
墓場尾根への土壇場まで慎重に下りて、そこから岩場を這い上がる。折からの暖かい太陽熱で岩の雪はあまり無く、苦労をせずに
墓場尾根の上部に出た。しかしながら雪景色を眺めに行った割には期待外れで直ぐ引き返す。
南尖峰への縦走路から天狗岳を振り返る
石鎚南尖峰 ここも西日本で一番標高が高いので岩黒山(手前左)が低く見える
東稜コースを眺める
墓場尾根へのルートから見る白骨林
石鎚南尖峰の南面より二ノ森方面
石鎚墓場尾根 (柱状尾根)
南尖峰へ上り返して今度は北側の景色をゆっくりと眺める。全ての山々が自分が立つ場所より低いのだ。社会的な地位の無い
私は、せめて標高で一番高い所に立っていい気分に浸る。準隆起平原と言われる瓶ヶ森の笹原には雪が沢山残っている。
天狗岳へ帰ると向うから赤い服を着た人影が岩をピョンピョンと跳ねながら近づいてくる。運動バランスが良い若者じゃのうし。
天狗岳でこの若者を出迎えてお互い写真を取り合う。「彼女を弥山に待たせている」と言うので一緒に帰る。
石鎚岩尾根より瓶ヶ森
天狗岳へと帰る
石鎚のサンタクロース ケンちゃん
サンタクロースに写真をお願いする
13時20分、宇宙の中心、弥山に帰って若者の彼女に会い少し話をしていると「あれ〜 天ヶ峠で以前会った事があるサッチン
じゃないのよ」 トライアスロン・カップルだけに毎週の様に山歩きをしているらしい。
アスレチックな二人に付いて下山はしんどいので、ザックやストックをゆっくり回収して13時45分弥山を下りる。途中で着替えを
している二人に追いつきサッチンと話をしながら前社ガ森まで一緒に歩く。
前社ガ森で上砂(あげすな)グループに再会したので、旅の道ずれを乗り換える。山では出来るだけ色んな人と話をするのが
興味深い。道中話をしていると、同伴の梶原さんの奥さんがマーシーさんの同級生である事がわかった。マーシーさんの成績を
聞くと「いつも学年で10番以内でした」 へ〜〜 マーシーって以外と頭いいんだ・・・ 私の学校は戦後のベビーブームでもあり
1クラス50人以上で9クラスあったから450人位いた。「で・・・ 何学級あってクラスは何人いたの?」
学年は1クラスしか無く、1学級17名でした〜」 ガビ〜〜ン
楽しい語らいをしながら八丁坂にさしかかると女性3人組が道の横で休憩していた。 あれ? 良く見ると寒竹(かんちく)さんと
末廣さんじゃあ〜りませんか。 以前アケボノツツジのシーズンにサマンサと西赤石に行った時、この二人に会いおじょもさんも
加わって一緒に兜岩まで歩いた。いつもニコニコして感じが良い人達なのだ。もう一方はお名前は知らないが以前筒上山に行っ
た時にペーコちゃんともどもこの3人に鉄の廊下で遭遇した内の一人で写真が趣味の方だった。
さっちんと彼氏
サンタのケンちゃんと エントツ山のコウちゃん (サッチン撮影)
「花の山を歩こう」の 菅さんに伊予富士以来の再会 (午前中)
梶原さんご夫婦と上砂(あげすな)さんご夫婦 梶原さんの奥様はマーシーさんの同級生
ありゃ 寒竹(かんちく)さんと末廣さんじゃあ〜りませんか
山を歩いていると知り合いに会うと何故か嬉しい。四国の山友達の輪が広がって声を掛け合いながら安心して山登りが
出来る。こういう役割の一端を担うのも山サイトをする者としては有り難い事だと思う。
今日も石鎚山を堪能した一日だった。