イノシシ達の挽歌  二ノ森に這い上がれ

平成22年11月6日(土)トランジスター・グラマー「二ノ森・北尾根」を這い上がるの巻


面河・鉄砲石川遊歩道―北尾根取り付きー二ノ森―面河尾根―愛大小屋―面河登山口

二ノ森(標高 1,929.2m)は愛媛県で標高2番目を誇る山であるが人気があまり無い。その理由は
アプローチの長さにある。石鎚連峰の丁度中間地点にある為、西の堂ガ森からも東の石鎚山からも
結構遠い。従って堂ガ森〜石鎚山の縦走のついでに訪れる行きずりのピークと言う印象が強い。

少し前にペーコちゃんと石鎚第一幕岩巡りをした時に見通しの良い大岩の下で昼食休憩をした。
その時に眼前に見えた面河山の尾根を見ながらマーシーさんが「今度あの尾根の向こう側に見える
小さな尾根から二ノ森へ這い上がって面河山尾根から下りましょうよ」と無責任極まりない思いつき
プランをぶち上げた。



          ペーコちゃん、マーシーさんと石鎚第一幕岩から見た二ノ森風景

鉄砲石川上流にある短めの尾根を二ノ森に這い上がり、手前の面河尾根を下るってアイデアである。
「面白そうやなあ」とこちらも軽く答えたものだった。今まで色んな藪尾根を這い上がった経験から
眼前に霞む尾根を眺めながら、あそこなら楽勝と思えたのだ。


    
     カシミールソフトを使ったGPSトラック・ログ図
     この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 


そんな経緯があって平成22年11月6日(土)「鉄砲石川」から二ノ森北尾根を這い上がる事になった。
首尾よくお昼位に二ノ森に到着出来れば左側から、つまりグルリと五代ノ別れ〜五代ヶ森から面河へ下りよう
と言う意図もあり、少し早目の05時新居浜インター出口でマーシーさんと待ち合わせる。

川内インター経由で真っ暗な道をひたすら面河渓谷に向う。
07時少し前に面河国民宿舎上にある駐車場に
車を置き準備をする。
やはり鉄砲石川方面へは鎖があり車両侵入禁止となっていた。

「鉄砲石川」とは又物騒な名前だが、その由来については大雨が降った時上流から鉄砲水の様な濁流が流れて
くる事や、キャンプ場の近くに鉄砲の様な形をした石があることからなどと言われている。


しかしながら、長さ2m位の鉄砲みたいな花崗岩なんで石鎚山系の沢筋にはあちこちにゴロゴロしている
のでこんな小さな岩から沢の名前を付けたとは思えない。


出発してすぐにトンネルを潜り、キャンプ場の横を通り、鎧岩や布引の滝などを「へ〜これかい!」と言い
ながらさっさと通過する。薄暗い木々の上側に朝日に照らされた主稜線が見える。鉄砲石川遊歩道は車の新しい
轍(わだち)もあったが、
falconさんが言われる様に途中からは車の進入を阻む荒れ様だった。

 
面河国民宿舎上にある駐車場が登山口 (0700時)         トンネルをくぐり鉄砲石川側へ向かう

 
     最初は車も通れそうな道路だ                    遊歩道って感じね

 
これが鎧(よろい)岩  確かに鎧みたいや               布引の滝  水がほとんど無いから単なる川床やで

 
     立派な橋を渡る 車の轍(わだち)がある            川床は落ち葉の色素が沈着しているのか茶色い

 
  3つ目の橋(最後)を渡る  この辺りは路面が悪い            鉄砲石川の沢は爽やかだ

 

登山口の怪

07時54分林道終点から沢に出ると、広い滑(なめ)河原の中央に四角い大岩がデンと構えている。上流には
低い小滝を持った水量豊かな美しい沢が続いている。


さて、地図を見る限り二ノ森北尾根へは川筋に沿って左側を北北東に進む事になるのだが、磁石だとその方角は
川の右側へ渡らなければならない。


現場へ行くと最初の取り付きでは多少方角を振る事も珍しくなく、取り敢えず少し川に沿って左側の山手へと
進む。でも方角は東北東を進んで一向に右へターンする気配がない。マーシーさんも先ほどからどうもおかしい
と言い、ここはもう一度出発点に帰って再確認をする事に。

林道終点部より100m位下側に崖が見えて、どうももう一本川が右手に曲がっている様だ。
そこで浅い沢を渡り対岸の支尾根に這い上がると確かに向こう側に別な沢がある様だった。

2万5千分の1地図による事前学習で「鉄砲石川林道終点の右手に沢があり、その沢に添って左手を進むと二ノ森
北尾根に至る」と脳にインプットした情報に思い込みがあったのだ


つまり私が今この眼で見ている立派な沢は、実は本流から西側に分かれた地図に載っていない支沢だった訳だ。
でも地図には文句を言えない。判断をするのは人間である。これは最初から油断なるぬ尾根歩きだと覚悟を決める。

  
   遊歩道が終わった所で沢に進む           デカイ四角な大岩がある (ここを渡渉する)



               上流の沢は紅葉で美しい

 
沢の左側を少し上がるが、直ぐに引き返す       大岩に戻って沢を渡る

イノシシのヤギの背・谷渡り

08時15分ついに尾根取り付き部より這い上がり開始のゴングが鳴らされた。細い植林尾根は相当急な傾斜で
ストックなどは使えない。雑木の幹や岩の角を掴みながらよじ登ると08時40分岩山のピークで行き詰った。

行く手はどの方向も断崖絶壁で五代の別れから五代ヶ森へ至る1700mから1800mの尾根が谷の向うに
とてつもない高さで広がっている。すぐ右手は絶壁が谷へ切れ落ちており、対岸も又鋭い絶壁である。
しかしながらこの方向にしか二ノ森へ進むルートはない。


下からマーシーさんの声がして「右手がルートの様です」と声がする。「景色が良いからここまで登ってらっし
ゃいよ」と声をかけるが「そんな所まで絶対いや〜〜」と断られた。

 
   沢を渡って尾根に取り付く             いきなり崖の様な傾斜を這い上がる


  
    岩山を這い上がる               朝日に黄葉が美しく輝く

 
    岩山のピークに向かう     崖で行き詰まる。右手に岩の絶壁が見える え〜あっちへ行くの?


        岩山の正面は谷を隔てて壁のような五代ヶ森の尾根が広がる

ターニングポイントに帰り、一体この先の断崖絶壁ルートはどうなっているんだろうか?と不安に駆られる。
「兎に角渡れる場所まで下がりましょう」と右手に向って崖を下がっていく。

とすると・・・09時05分幸運にも渡り廊下が眼前に現れた。

但し幅が40cm位の岩がこちらの岩尾根とあちらの岩尾根とをかろうじて繋いでおり、左右とも50m
〜60m位垂直に切れ落ちている。救いは両側に天然檜が生えており心強い事だ。


ここはへっぴり腰の4点確保で難所を渡りきる。対岸の岩尾根を少し巻き気味に這い上がると植林の細尾根
となった。 一体こんな場所まで植林をして日本人はどこまで勤勉なんだろう。

細尾根の左手が比較的緩やかで植林され、急斜面の右手には自然林が残されている。足元にはポツポツと
背丈の高いスズタケが現れる。


相変わらず傾斜が急で息が切れるが、右手に続く雑木林の黄葉が朝日に照らされてキラキラと輝いて美しい。
「お互いいい歳なんだから心肺停止が心配やで」とのんびり山歩さんよりまだヒドい駄洒落を言いながら時々
息を整える。



 
     ターニングポイントから右手に進む              岩尾根を下ると向こう側へ渡る接点があった

 


     ウゲッ    右も左も垂直に切れ落ちている   白潰どころの騒ぎじゃないぞ


        神様〜〜  オラを孫の結婚式まで生かしてケロ〜   (マーシーさん撮影) 
 
イノシシ三軒屋

10時30分頃益々笹藪がスケールを増し掻き分けると埃がヒドくなる。マーシーさんはどこからともなく
マスクを出して怪しいオッサンに変身してソツがない。先を行く私はなるべく埃が出ない様に笹を漕ぐが、
疲れてくるとそんな事に神経を使う気力が無くなる。

平たい細尾根に這い上がると、一瞬登山道かと思える程笹が刈られている。良く見ると例のミステリー
サークルがある。そこから平らな部分がある度に笹のサークルが現れる。又中からイノシシが飛び出さ
ないか恐る恐る横を通るが、笹自体は枯れかけて古いので現役居住区では無い様だ。

3個立て続けにあったので「ここはイノシシ三軒屋」ですねとマーシーさんが言う。すると又すぐ上に
4軒目のイノシシ宿があった。


 
 右手の岩尾根へ渡ると植林の急登となる              右手の自然林は広葉樹の葉っぱがキラキラと輝く

 
   笹薮の中でひと時の安らぎ                    コウヤマキの大木が多くシルエットを造る


     トチやシロモジやコナラなどの葉っぱが重なる広葉樹林はいいなあ


 
 
        足元は笹薮  頭上は紅葉                 イノシシの宿 ミステリーサークル

その先から予想通り笹が元気で大きくなり尾根全体を覆う様になった。足が笹で抜けない為太モモを引き上げ
なければ歩行出来ず、普段と違った足の筋肉を使う。林道歩きを想定してモンベルのローカットシューズを
履いて来たのだが、靴の中に藪ゴミが入るし、むき出しの靴下がボロボロになっている。ローカットシューズ
は藪歩きには不向きだとわかった。


 
  深い笹薮がず〜〜と続く                           天気が良いので気持ちが良いのだが・・・

 
   確かに黄葉も美しいのだが・・・・                  笹に溺れちゃうのよね

コウヤマキ尾根と名付けよう

足元は地獄の様な笹藪で悪戦苦闘ではあるが、頭上はと言えば紅葉が美しいので気晴らしになる。又、
この尾根の最初からコウヤマキの樹が沢山見られたのだが、縦走の中盤になっても尚コウヤマキの大木が
続く。かわいい幼木が林床から沢山顔を出している。


コウヤマキは文字通り高野山に多く自生し、仏にお供えする香木としても利用され、又水にめっぽう強く
朽ちにくい所からお風呂の湯船や橋の材料として使用された。古代には高級棺(ひつぎ)としても利用
されていたらしく古墳からも多く出土している。
二ノ森北尾根の樹林帯を通してこのコウヤマキが沢山見られた。

11時00分 左手に五代ヶ森とその尾根筋が木々の間から見える。あ〜あ〜 この尾根さえ早めに突破
出来ればあそこを下りる筈なんだけどなあ。でもこの時間でまだ先が見えないと言う事はほぼ面河道で
帰らざるを得ないと覚悟する。


11時20分相変わらず笹が深い尾根であるが、ゴヨウマツなどの巨木が沢山立ち並ぶ美しい尾根になる。
岩の上や笹が薄い所で息を整える。


 
    左手には五代ヶ森が見える                      コウヤマキの根元でちょっと休憩

 
  コウヤマキやゴヨウマツの大木が多い                  基本的には美しい尾根だ

 
 


            天を仰いで深呼吸をし、次に笹に潜る

 
    イノシシもおだてりゃ木に登る                     筒上山らしき山影が見える


双頭の妖怪現る!


12時22分前方に岩場が見えた。近づくに従いその岩峰は妖怪の様に真ん中で頭が二つに裂けて、オーバー
ハング気味にこちらに突き出しているのが見えた。
標高が上がると樹林帯が消えてしばらく見通しの良い急な笹原が続く。二ノ森北尾根は西には五代ヶ森尾根、
東には面河山の尾根と、大きく長い二つの尾根に挟まれた短い尾根である。

最初は左右の尾根より低い位置を占めている為、右手の展望は面河山尾根しか見えない。ところがこの辺り
から二ノ森北尾根が急に競りあがって標高も上がり、面河山尾根の向うに石鎚山が見えて来る様になった。
石鎚山系の山に登ればこの御本体を拝まずにはおれない。


    こんな風景が尾根歩きで美しいとおもう場面の一つです

 
高い尾根に挟まれているので木々は高く伸びている   笹に埋もれてちょっと休憩

 

 
     早く笹地獄から開放されたいわ          お〜〜  岩尾根が見えたぞ

 




        樹林帯が切れて岩峰が見える


    双頭モンスターに向かって笹原を這い上がるエントツ山   (マーシーさん撮影)

岩場の下側は風避けになっているのか潅木帯となっている。12時44分その潅木帯を抜けて双頭
モンスター岩に取り付く。二つに割れた岩の間には草付きが上に向って伸びているのでこれを息を
切らして這い上がる。

岩尾根のピーク近くで少し左に振り、狭い岩棚にへばり付く。見晴らしの良いその岩場からは眼下に
広がる這い上がって来た尾根が一望する事が出来た。う〜〜ん 真上から見るとそんなに迫力を感じ
ないんだがなあ・・・

左手に長く続く大味な面河山尾根と比べて、二ノ森北尾根はシャープでコンパクトだ。その分愛媛
第二位の標高を誇る二ノ森へ競りあがっている訳だから厳しい訳だ。



                  石鎚の南峰と弥山の小屋が見える

 
     えげつない形をしとるのう                        岩の間を這い上がる

 
  う〜〜ん 上から見たら簡単そうな尾根なんだけど         右手に延びる五代ヶ森の尾根 


12時57分双頭モンスター岩の上に出ると、今度は笹尾根の向うに次の岩場が待っていた。それは数本の
白骨樹を配置して一見スマートな風景だが、ちゃんと人間の侵入に立ちはだかっている。岩場の直下まで
進み、更にここを突破するには一箇所高さ4m程の岩バンドを這い上がらなければならない。

転落すると確実に擦り傷どころでは済まない崖である。顔の高さに手がかりはあるものの足がかりが乏しく、
右足を架けるべき細い樹の枝が右肩の高さにある。無理して足を上げると太ももが攣った。ムムッ 先ほど
から激しい藪歩きに相当足の太ももが音を上げていたのだ。ありゃま〜 こりゃどうしよう、脚が上がらん
バイ。

すると先に上がった「メタボの軽業師」マーシーさんからザイルが下ろされた。私のザックにはスリング2本
入っていてこちらの方がいいのだけれど、もうそれを出すのも面倒だ。ザイルを左手にグルグル巻いて足を
バタつかせてかすかな足がかりを求め、腕力で上のバンドまで体を持ち上げる。う〜〜活性酸素が相当発生
したぞ〜


 
    白骨樹で飾った岩場が現れる          これも岩の弱点を探して突破を図る


イノシシの笹滝登り

やっとの事でこの難所を切り抜けホッとする。息を整えて岩を越えると13時28分今度は前方の大岩の横
から壮大な笹滝を持った傾斜が天に向って伸びている。


え〜〜ここを又這い上がるんかい! 大岩の付け根を回り込むが、傾斜はほぼ90度に近く笹が生えていな
かったらとてもそこをクリア出来るものではない。
ズリ落ちない様に笹をしっかり掴んで若干傾斜の緩い笹滝中央部に出る。


ここからは心臓破りの笹滝が続き昔映画で見た大魔神の様にガキーン、ガキーンと油の切れたロボットの様に
ゆっくり一歩づつ前方の笹を掴みながら這い上がっていく。所々で力尽きマーシーさんと笹にぶっ倒れる。


ここで恒例のエントツ山の替え歌が飛び出す

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原曲は
 山口百恵の「ひと夏の経験」
(あなたに女の子の一番 大切なものをあげるわ〜ってヤツね)

題:ヒド尾根の経験

あなたは石鎚で1番  きびしい 尾根を上がるわ ♪
 
    鉄砲石川の奥に隠れた 二ノ森 北尾根を 登るわ

物好きな人に 捧げるため  守って来たのよ ♪

  汚れてもいい ♪ 倒れてもいい ♪ 藪は尊いわ ♪

   誰にでも 1度たりとも経験出来ない ♪ 誘惑の地獄尾根


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「何でわざわざこんな事しよんかいねえ」自虐の呟きを交わす。日差しが暖かくぽかぽかしているので
そこで昼寝をしたい気分になる。「も〜歩きたくないよ〜・・・でもここを登り切らにゃ帰れんわ」又
気を取り直して大魔神歩きを続ける。



   ゲッ ゲッ ゲゲゲのゲ〜〜   これをまだ登るんかい  とほほ

 
   マーシー 転げ落ちるなよ                     這い上がって来た小ぶりなモンスター尾根


                    笹滝を上りきるとお馴染みの風景が現れた

隠れ山頂が姿を現す


13時52分やっとの事でピークに這い上がる。 あれ? ガビ〜〜ン そこで見たものは・・・更に
上方に二ノ森ご本体が「ここまでおいで」とせせら笑う様に聳えていた。

負けてたまるか! 小休止の後、これが最後であろうイノシシ達の這い上がりが再開された。

でも今までの傾斜よりは若干緩くモミの樹林帯を抜けて14時25分待望の「二ノ森山頂」に立った。
「あ〜〜自分を褒めてやりたい〜」(マーシー)「オレもついでに褒めてくれ〜」(エントツ山)



              二ノ森をこの方角から眺めた者は数少ない

 
 まさかあの向こうにはピークは無いやろ〜               ローカットシューズで靴下は薮でボロボロに・・

 
   つ・い・た  着・い・た  ホンマに着いたのね                  石鎚と西冠

二ノ森にお昼位について五代ヶ森へ回る野望は脆くも崩れ去った。しかしこの尾根を登りきった満足感は、
その残念な気持ちを吹っ飛ばすのに十分だった。お昼をとっくに過ぎているのにお腹が空かない。全身が
消化器官と言われる「ホヤ・マーシー」でさえもさすが疲れきって食欲がない様だ。少しだけ食物を喉に通し、
山頂で展望を楽しみ14時40分下山する事に。厳しい登りでふらつく足元をストックで支えながら足早に
面河山分岐を目指す。


 
   お互いを褒めてやりたい  ご苦労さん               しぇ〜〜

帰り道も遠かった。 愛大小屋で白石さんに会う


15時15分面河山分岐を通過。しっかりした踏み跡が低い笹原に付いていた。15時28分愛大小屋分岐を
通過して15時48分愛大避難小屋に到着。

小屋には誰も居なかったが山の道具が置かれており宿泊者が居る様だ。下から見覚えのある人が上がって来て
少しお話を伺うと、この避難小屋再建の中心となられた「白石」さんだった。


 
鞍瀬北方稜線が見える   あ〜ここも全踏破したんや      面河山の分岐ピーク  面河の頭 ?

 
     面河尾根分岐点                          鞍瀬北方稜線の核心部の岩場が見える

 
    面河稜線は最初は樹林帯がある                    それを過ぎると笹原となる

 
  石鎚南嶺の鋭い傾斜を眺める                        二ノ森北尾根  その向こうに五代ヶ森

 

 
    愛大小屋分岐の標識があった                 愛大避難小屋にて改装の立役者、白石さんと記念写真


面河愛大小屋は昭和27年に初代小屋が愛媛大学教職員とボランンティアによって立てられ、その後傷みが
激しく倒壊しかかっていた。この白石さんが会長となっている愛大山岳会の寄付やボランティアによって
平成5年に再建されたのである。


今日も5人位宿泊予定者が居るようで、白石さんは時々小屋が汚れていないか様子を見に来られているそうだ。
後で掲示板の書き込みで知ったのだが、何とリップさんもこの時小屋に荷物を置いてご来光の滝へ行ってた
らしい。ご来光の滝方面でしきりに人の声がしていたが、この中にリップさんも居たのかな? 
避難小屋の利用費として一泊500円をどこかに支払う事になっている様だ。


白石さんともっとゆっくりお話を伺いたかったが、下山が遅くなるので15時55分失礼して面河へ向い登山
道を下る。


面河尾根が登山道に合流する辺りの紅葉は見事なもので、尾根筋にあるブナ林が今日一日の二人の山行を祝福
する様に西日を浴びて輝いている。


左手に下がる谷筋に向っては秋色の衣装を纏(まと)った自然林が広がっている。う〜〜ん何と素晴らしい
自然林だ事。登山道にもこんな壮大な景色が堪能出来るのに何でわざわざ藪尾根をひいこら歩かにゃいかんの?
と自問自答を繰り返し、二人で藪歩きの因果を嘆く。(毎回の事なんだけどネ)



             面河山稜線に西日が差して木々を紅く染める


    石鎚の形も次第に変わってくる。 正面の尾根が石鎚南稜  南沢の右手に横たわる尾根だ

 
陽が差さなくなった左手の沢筋にもブナ林の黄葉が見事だ     薄暗くなりかけた沢筋を美しく染める


面河登山道はいかにも長い。薄暗い内に何とか下山しようと思ったが冬の暗闇の到来は早く、17時20分頃
から登山道がはっきり見えなくなった。マーシーさんはイノシシ目だが私は鳥目なのでヘッドランプを出す。

途中石段でつまづき転んで唇の中を切ったが、大過もなく登山口の鳥居を潜り石鎚山の神に一礼する。この
登山口から面河国民宿舎までの遊歩道も結構遠く、車に帰り着いたのは18時20分となっていた。

結局11時間の長丁場となったが、このタフな二ノ森北尾根を二人で制覇出来た達成感に満足しながら又遠い
帰路についた。


「二ノ森北尾根」我々の四国山行の中でも記憶にも記録にも残る珠玉の這い上がりとなった。マーシーさん
 ありがとう 

    
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