平成19年1月8日 キュート(急登)なコース 冬の笹ヶ峰 南尾根ルー
平成19年1月8日キュート(急登)な山 冬の笹ヶ峰 南尾根ルート


笹ヶ峰 南尾根ルート  カシミールソフトを使ったGPSトラック・ログ図
ピストン 4時間半
(国土地理院 50000数値図使用(承認番号 平15総使、第634)

笹ヶ峰は新居浜で育った私にとって馴染の深い山である。愛媛県では子供の頃野外教育の一環で学校登山が盛んに行われており、
丸山荘なども活気があった黄金時代と言える。小学校の時に新居浜北中学校で教師をしていた親爺に連れられて笹ヶ峰へ登った。
その後中学校時代にも学校登山や担任の先生と一緒に登ったりした懐かしの山だった。

笹ヶ峰へは西条の下津池から吉井川に沿って林道を上がり丸山荘を経由するルートが一般的であり、学校登山もこのルートが使わ
れた。その他のルートとしては寒風山から縦走して笹ヶ峰へ至る寒風山ルート、新居浜の大永山トンネル南口からチチ山を経由する
大永山トンネルルートがありそれらは既に歩いていた。

今回使ったのは旧寒風山トンネルの桑瀬登山口手前から右に折れ未舗装の林道・大座礼線に入り、笹ヶ峰の南尾根を這い上がっ
て行くルートだ。登山口は長又川橋を越えて少し進んだカーブ手前に広場があり、ここにはるちゃんが付けてくれた笹ヶ峰登山口の
標識がある。

ここ数年、笹ヶ峰のカマコン見学で2年続けて車が雪のため立ち往生し、通りがかった紫雲さんやアライグマさんに助かられた。4WD
車の必要性を身を持って知った私は小さいながらラッシュという車を買った。新寒風山トンネルを抜ける前までは雪が全く無かったが、
桑瀬林道に入るとすぐ雪道となった。その威力を試す為にチェーンを付けずに運転する。雪やアイスバーンがあったが多少スリップは
するものの快調に登山口まで辿り着いた。ちょと肩が凝ったけど・・・

 
旧寒風山トンネルへの林道 快調〜      大座礼線に入って長又川橋を渡る

 
   10本爪アイゼンを初使用           笹ヶ峰南尾根登山口

地図を見るとこのあたりは標高約1150mでここからほぼ一直線に標高1,859.6mまで登りつめる訳である。
身支度を整えて低い植林地帯に入り、すぐ尾根に取り付く。げ〜〜想像していた通りの急坂の連続である。 あちこちの急坂は経験
済みだが、この笹ヶ峰南尾根も四国屈指の急坂と言える。 あれ? 又準備運動をするのを忘れた〜

 
尾根部に上がると林道大座礼線が見える  背丈のまだ低い植林地帯を登る

 
    第一ブナの木 発見〜    一直線の急な尾根を喘ぎながら登り、振り返る

植林地帯の急坂を喘ぐと、自然林となりなおも容赦の無い急坂が続く。しかしダケカンバの赤っぽい林が近づくと間もなくこの世の
ものとは思われないブナの集団が現れ暫く唖然として立ち尽くす。大座礼山のブナにも心を打たれたが、ここのブナもそれに匹敵
するA級の景色をかもし出している。う〜〜〜ん 参った!!

 
   ブナがそこそこ現れる          ダケカンバの林に来るとブナ林が近い


うひょ〜〜  何だ〜  この風景は


       ここのブナは天に向かって枝分かれしている


        ブナの並木道を歩く   いいでしょ この構図


               見飽きぬ風景

相当な時間を此処で費やした後、更に上を目指す。樹林帯を抜けると熊笹の斜面となり、モミの木や潅木が霧氷に白く彩られている。
白色なのに彩られているって表現がピッタリなのだ。目指す山頂部への斜面はコメツツジの霧氷群により白珊瑚の様に覆われている。

  
             霧氷の向こうに冠山

 
  笹ヶ峰の丸い山頂が見えてくる      モミの木の間を抜けて山頂に向かう

笹原に這い上がると傾斜が少し緩くなる。太陽は顔を出さないが、左手には寒風山の力強く端正な姿が見え、その向こうに相変わらず
不恰好なジャバラ屏風の伊予富士が立っている。雲が丁度山頂の上に垂れ込めておりかろうじて山容が確認出来る。
右手に見えるのは右の人差し指・・・違う! 右手方面にはチチ山の別れから冠山の無骨な姿と更に平家平の撫で肩が見える。
おおむね灰色の世界だが近くの霧氷を通して見えるだけでもラッキーと思わなくちゃ。人間欲を出したらロクな事がない。

   
    霧氷越しに姿を現す寒風山(右手前)と 伊予富士(その奥)

   
       山頂が近づくとコメツツジの霧氷が幻想的だ

比較的低い笹の間をこの登山ルートがしっかりと続いており、前日誰かが下った足跡はここでは強風の為に消えていた。一瞬太陽が
顔を出し周りの雪景色を眩しく照らし出したが、すぐに厚い雲に覆われる。左手前方に先ほどから黒い大きな岩が見えていたが、これが
どうも山頂直下の目印の様である。 周りが平たくなって大きな山頂標識が見えた。

   
          チチ山と目線が同じ高さになる

   
  登ってきた笹ヶ峰南尾根を振り返るとコルから急降下している様子が分かる

   
   チチ山の別れの向こうには冠山と平家平が霞んでいる

 
    霧氷の中を進む            山頂の標識が見えてきたぞ

もっと長い道のりだと思ったが意外とあっけない登頂だった。楽しみにしていた山頂ポールの霧氷「エビノシッポ」を確認。数日前の
寒波が来る前が暖かだったのでエビのシップの成長は今ひとつだった。 山頂に立つと予想通り風が吹さらしでじっとしていたら
寒い。地団駄を踏みながら360度の景色を眺めて写真を撮る。

石鎚方面はすっぽり雲に覆われている。今日石鎚に行った人は報われないだろう。笹ヶ峰は誰一人おらず風の音がなお更寂しさ
をつのらせる。孤独を楽しむ?? 孤独ほど寂しいものはない!!  帰ろかなっと

 
山頂 ちょっとまだエビの尻尾が迫力不足  石鎚大権現様も真っ白

   
                 静寂の笹ヶ峰山頂

南側の風下に少し下りて食事を摂る。あれま ペットボトルはシャーベット状に凍っている。どうせバーナーを持ってきても風が
強くてゆっくり出来ないと考えて車に置いてきたが正解だった。スノーシューやピッケルは念のために背負ってきたがやはり無駄
だったのでせめて記念写真を撮ってやる。

 
   石鎚方面は展望は無い        使わなかったピッケルとスノーシュー


 
 山頂付近から見た寒風山           南尾根から見た寒風山

 
 南に開けた山々を見ながら下山する  実に気持ちの良い風景だ

笹原から樹林帯へ入る頃突然目の前に2匹の犬がニュ〜と現れた。誰か犬を連れて登ってくるのか? その様子はない。すぐ笹の
中に消えた。暫く下りると又別な犬が2匹現れここちらの様子を伺っている。挨拶をしても返事が無い。首に首輪を見ると無線機の
ようなものを付けているから猟犬だ。また暫くすると又次の犬が現れた。鉄砲の音が聞こえなかったがイノシシ猟をしているのだろう

。犬達は懐こうとはしなかったが、イノシシに対するような敵意は感じられなかった。良かった、猪男マーシーが居なくて! 私単体
では人間と思ってくれたんや〜

 
 さらば 笹ヶ峰よ               去りがたい風景を下りる

犬をやり過ごして、又しこたま時間をブナと共に過ごして下山する。10本爪のアイゼンを初めて使ったが、急坂ではどうしても
ズボンを引っ掛けて穴が3箇所も空いてしまった。掲示板でKYOさんが買った6本爪アイゼンを買ったと報告したら高御位山ご
意見番から「もっと本格的な物を買んしゃい」と檄が飛んだ。おまけに藪しか歩かないマーシーさんまでが12本爪はいいですよ〜
とか敵に回る始末だ。

ここまで言われれば喰わず嫌いではおられない。中を取って10本アイゼンを買っちゃったのだ。それが予想通り見事に唯一の
冬山用ズボンと買ったばかりの前チャック式スパッツに穴を開けてしまった。このアイゼンの歯は完全に凶器と言える。悲嘆に
くれながら山をトボトボ下りる。

 
   急な尾根を下る            危険な岩場にはロープが架けられていた

 
     駐車場に帰還            猟師が犬を待っていた

駐車場に帰ると高知から来た猟師のトラック2台が犬を待っていた。無線で交信したり犬笛を吹いたりして先ほどの犬を
呼び戻していた。笹ヶ峰へ往復する登山道としてはこの南尾根コースが一番簡単なルートかも知れない




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