2006年02月22日
冬山の登竜門  桑瀬峠の両手に花 「伊予富士」と「寒風山」 
嗚呼 冬の桑瀬峠 右と左の分かれ道 どっちへ行くか それが問題だ〜
「伊予富士」と「寒風山」の魅力


桑瀬峠から 伊予富士、寒風山位置図   
                                 (国土地理院 50000数値図使用(承認番号 平15総使、第634)


登山口までの「アクセス」
初心者でも冬山をお手軽に楽しむ場所は?と聞かれれば迷わず「桑瀬峠」と答えておいて間違いない。瓶ヶ森林道が12月から3月末まで
閉鎖になるので、冬場の登山口は「旧寒風山トンネル入口」となる。

国道194号 「西条−伊野」線 新寒風山トンネルを高知県側に出たすぐを左の旧寒風山トンネルへの林道を約30分登っていく。冬場は
雪と凍結があるので4WDかFFのチェーンが必要な場合が多い。道幅はけっこう広いのでスリップに気をつけて慎重に運転すれば対向車
への離合ストレスは少ない

旧寒風山トンネル登山口
駐車場は2つあり広くてトイレもある。ここに来ると他の登山者が準備をしている光景を見えるので自然と気持ちの準備が出来上がる

   
         旧寒風山トンネル 登山口駐車場

「登山口から桑瀬峠」まで約40分  最初は急坂を登り、途中から笹の登山道を折り返す。一部崩壊しかけた場所があるがロープがかけられ
ている。

桑瀬峠
尾根に上がるとそこは「桑瀬峠」と呼ばれる分岐点。南(左)へ進めば伊予富士、北(右)に進めば寒風山(かんぷうざん) どちらも山頂まで
ここから約1時間半 う〜〜んどっちに進むか迷う所だ。
雪の尾根道をダイナミックに歩きたければ伊予富士がお勧め
いきなり雪の急坂登山の雰囲気を味わいたければ寒風山 どちらも霧氷、展望が申し分ない

第一部 マーシー、ランボールギーニと行く「伊予富士」


伊予富士直下で山頂を見上げるマーシーとランボールギーニ

平成18年の正月に孫が生まれて娘が自宅に帰った為、冬山禁止令がサマンサより発布された。憲法の次に守らねばならぬサマンサ法典
だから1月一杯は忍の一字!
2月になって冬山解禁令がでたので、どこでも良かったが一ヶ月のブランクを考えて取り敢えず桑瀬峠まで行って決めようと考える。

平成18年2月5日 色々あって「マーシー」とその友「ランボールギーニ」が合流し伊予富士へ登ることになった。登山口から雪が結構
あったのでアイゼンとストックで歩く。

 
登山口  ランボーとマーシー       マーシー 10本爪 私6本爪アイゼン

 
     登山道                  崩壊地 (ロープあり)

桑瀬峠で今朝までテント泊していた「土佐の仙人」さん達の痕跡を確認の後メッセージを残して伊予富士へ。よくもまあこんな雪の中で
一晩を過ごせるものだ。

 
     桑瀬峠                土佐の仙人さん 野営地跡

峠からしばらくしてトラバース道がヤバそうなのでピッケルを出す。3人とも同じメーカーだが微妙に長さが違う。窪地を越えると伊予富士
のジャバラ屏風怪物が眼前に現れるのだが、天気が悪くガスって見えない。でも快適な冬の尾根歩きを楽しむ。

 
   尾根道に上がる              トラバース路

   
       霧氷の登山道

 
滑落の危険性があるのでピッケルを出す    斜面を登っていく

 
トラバース道から尾根に上がる窪地   尾根に上がってもガスが濃い

尾根道を進んでいると霧の中から伊予富士の縦姿が次第に間近に迫ってくるのを感じる。この山は何処から見ても怪物みたいな
形をしているのだがどことなく愛嬌がある。


    伊予富士尾根ルート 冬の楽しみ

 
マーシーとランボールギーニ             伊予富士直下まで到着

伊予富士登山の醍醐味は最後の一気の登りにある。まさにバベルの塔に取り付く神を恐れぬ民みたいに斜面にへばりついていく。
霧氷もこの辺りに集中して、冬の伊予富士最高の見せ場を演出する。

 
雪渓斜面 アイゼン利かして登る       急坂が続く

   
   話題の「氷壁」をマネてピッケル二丁拳銃で雪渓を這い上がる

見通しがあまりよくないのであっけなく山頂へ着いてしまった。山頂に上がっても天気が回復せず、時間待ちに南側斜面で食事を取る。
山頂には香川から来られた男性二人連れが居られた。

  
             伊予富士山頂

  
        伊予富士山頂  安物ピッケル三兄弟

 
マーシーのバーナーコックがこげ落ちた  おっ 少し日差しが見えてきたぞ

天気が一向に回復しそうに無いので下山する事に。すると急に周りが明るくなり、低く垂れ込めていた雲が薄く流れ出し日差しが現れた。
マーシーとランボールギーニはすでに斜面を駆け下りているが、私はしばらく様子を見る。

 
   下山する二人               右下隅に下山する二人が見える

山頂から急斜面を下りながら、自分が歩いてきた稜線を見下ろすこの高度感は、ヘロヘロになって伊予富士の山頂を極めた者への神から
のプレゼントだ。二人の姿が小さくなるまで山頂に留まり、後を追う。マーシーとランボーは伊予富士の山塊を下った斜面で先に下山していた
香川から来られた人と一緒に急に眼下に現れた展望を楽しんでいる。

ここから桑瀬峠まで展望の雪山尾根歩きをエントツ山の写真からご堪能下さい

   冬の伊予富士 尾根道風景


天気が回復してきたので寒風山方面の眺望を楽しむ登山者


       霧氷の向こうに現れた寒風山

    

   
         伊予富士ジャバラ怪獣 この樹氷も圧巻だ


        伊予富士の縦姿は愛嬌がある


         伊予富士 尾根縦走路風景


登山道の人影は香川の二人組 マーシーとランボーはもう見えない

    
      桑瀬峠への尾根に出ると寒風山の威容が眼前に迫る

今回は寒風山へ向かった土佐の仙人さんグループと Falcon さんに会えなかったが、マーシーの竹馬の友「ランボールギーニ・
カン’トアタック」と初めて山歩きを楽しむ事ができました。



第二章  サマンサも行けた冬山「寒風山」

サマンサが今年こそは霧氷を見に私でも行ける所へ連れてってとおっしゃる。う〜ん・・・
それなら寒風山しかないか! 桑瀬峠まで取り敢えず行ってみて、後はいつもの手でなだめすかしたり、脅したり、騙したりで何とかなるか・・・

平成17年2月19日 朝仕事を090時に済ませてから坂出を出発。この一週間ですっかり雪が減り、寒風山登山口まで路面に雪は無く11時到着。
桑瀬峠までの登山道には雪が残っているのでアイゼンを装着 前が騒がしいので団体さんが先行しているらしい

 
登山口は雪が減っている           桑瀬峠への登山道

途中で上から異様に長いピッケルを持った年配のおじさんが下りてきた。狭い場所なので道を譲りながら話を伺うと、この寒風山が気に入って
20年以上の間毎週末ここに通っているという。こりゃ趣深山TAKAさんの愛媛版だ。 ひょっとすると? やはりそうだった。この人は同郷(愛媛
の新居浜在住)の橋本さんで、寒風山の魅力にとりつかれ、登山道のアルミ梯子や標識などを取り付けてくれている方だった。中々出来ない無料
奉仕活動にお礼を言って別れる。世の中にはいろんな変わり者がいる者だとサマンサに言うと「アンタも相当変わり者よ」って返された。

 
お〜 長いピッケルだのう       寒風山の登山道整備をしている橋本さん
(タガネを打って自分で製作されたんだって)

桑瀬峠に着くと若い男女の学生さんが食事をしていた。こちらから挨拶をする前に気持ちの良い挨拶が皆さんから投げかけられる。素直な連中
のはずだ。聞けば我が息子トミーの後輩だもの。
健全なる若者達の交流の邪魔をせず、お先にと言いながら、「土佐の仙人さん御宿泊地」のくぼ地に下がって2回目のバーナーを使用。慣れたら
意外と簡単なもんだ。これでラーメンとカフェオーレを作る。学生達が2班に別れて寒風山へ向かったあと、ゆくりと出発。

 
桑瀬峠の若者達 (愛媛大学生)       桑瀬峠から伊予富士をバックに

 
バーナーを出してカップラーメンを作る   霧氷が少し残っていた

寒風山の良さはいきなりの急登とブナの細尾根、一ノ谷への一途な奈落とその向こうに立ち上がる秀麗な形をした冠山などの山並みの
眺望だ。 まるで鳥になった様な気分にさせてくれる。サマンサを見ると、今の所は森光子の影響で朝晩やっているというヒンズース
クワット効果がでているようだ。 私もやろうかしら・・・

   
     ここからがいよいよ寒風山ハードコースの始まりだ

最初の樹林帯の坂道を抜けると少し平たい尾根部に出てすこぶる見晴らしが良い。前には寒風山の前衛峰の岩壁、後ろには伊予富士の
屏風が控える。
最初の岩場で上から少人数の団体が下りてきた。我々に「○人降りますので宜しくお願いします」と丁寧に挨拶の後、すれ違う時にもお礼を
言われる。このリーダーの様子でどこかのアウトドアショップのツアーである事は間違いない。リーダーの指示で恐る恐る崖を下りる初心者の
方も装備は冬山用でかっこよく決めている。しんがりもベテランが確保していた。

 
  エルクさんのツアーか?          這い上がる? よじ登る? ヒェ〜

急峻な岩場の落差も前述の橋本さんが敷設してくれたアルミ梯子やロープのおかげで安全に上昇を続ける。一箇所、岩の斜面を迂回する
ルートが凍結していて、ロープも近くに無くちょっと危険。案の定 先行の愛媛大学の学生達もここでは慎重に通過している。こちらはアイ
ゼンを付けているので問題なく通過。学生達が広い場所で道を譲ってくれた。

 
岩場には橋本ラダーが敷設されている     唯一の危険箇所

そこを抜けると手前のピーク2つをトラバースして奈落の東斜面を登山道が巻いている。笹が生い茂り太陽熱を溜め込んで暖かい為
雪が解けている場所が多い。前に土佐の仙人さんが雪崩の危険性を注意していた場所が雪渓として残っている。やはり裂け目が入
っている。この雪渓の上辺部を通って最後の尾根部に出る。

    
     ブナ越しに見る寒風山のタコ坊主山頂

 
冠山と同じような高さとなる           伊予富士とも肩を並べた

 
   山頂の岩塊が見える          残雪が割れそうな場所を通過


寒風山の東急斜面と 冠山 その右に平家平が覗く

山頂には先行した大学生の第一部隊が山頂に着いていて、後ろからは第二グループが追ってきた。山頂に到着し、学生達と気さくに挨拶
を交わすと、山頂標識の周りにおいた荷物を記念撮影の邪魔になるからと片付けてくれた。ほ〜中々マナーがいい若者達だ。おまけに
「写真も二人で撮りましょう」とツーショット写真を撮ってくれた。いう事無し!

 
霧氷が少し残っている暖かい東斜面       第二ピーク


寒風山東斜面  雪渓を渡る愛大生後続グループ

後続部隊も到着したので今度は皆さんの記念写真を撮ってあげる。シェーのポーズをリクエストしたら素直に応じてくえた。

    
      寒風山  山頂

   
      若くて楽しい愛大生にシェーをお願いする

天気は今ひとつだが見通しがとても良い。北側の笹ヶ峰、チチ山の南斜面は雪が減りまだらになっている。寒風山の山頂に雪は無く、
FALCONさんが暖を取っていたという「マッチ売りの風穴」も確認する事が出来なかった。

山頂手前の第二ピークはとても展望がよい穴場だ。ここの西斜面には霧氷が残っている。

 
笹ヶ峰の雪はまだら模様になっていた  右の第二ピークは展望が良い


     第二ピークの樹雪と西黒森山


サマンサ 得意のポーズ ヒンズースクワットの賜物(たまもの)か? 結構元気
伊予富士     奥   手箱山  筒上山     岩黒山 石鎚(奥)  東黒森   

山頂からの展望は伊予富士も寒風山も甲乙付けがたい素晴らしさ。寒風山からは北側の笹ヶ峰、チチ山、冠山がより近くに見え、
伊予富士も二ツ岳を思わせる形の良さを見せる。但し西黒森山の山塊の為 石鎚山、瓶が森がちょっと見えにくいのが贅沢な悩み。


学生の姿が見える寒風山に別れを告げて下山する事に(左後ろは笹ヶ峰)


寒風山の魅力の一つ 一ノ谷へ落ちていく東斜面の展望

 
ブナの尾根道も楽しむ事が出きる     寒風山の岩壁と伊予富士

帰りは快調に桑瀬峠まで約1時間、 桑瀬峠から約30分で登山口へ下りつく。雪山初心者「サマンサ」を案内して納得の寒風山でした。

6本爪アイゼンでも冬山を楽しむ事が出来る「寒風山」は冬山の入門編としてピッタリの存在だと思う。四国の冬山で迷ったら石鎚山系
なら桑瀬峠から「伊予富士」か「寒風山」、剣山系なら夫婦池から「塔ノ丸」か「丸笹山」ですぞ。




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