12月25日ー26日 讃岐山ネット 「一つ屋根の下」 忘年会・寒風山登山記
 桑瀬峠ー寒風山ーチチ山ー 一の谷舘 周回
12月25日 一つ屋根の下 讃岐山ネット「木の根ふれあいの森」にて忘年会
12月26日 寒風山 霧氷見物登山 − 笹ヶ峰・ちち山・一ノ谷 単独縦走



     国土地理院地図使用 (承認番号 平15総使、第634号)

旧寒風山トンネル登山口ー「桑瀬峠」ー「寒風山」ー「ちち山」ー「ちち山の別れ」−
「一ノ谷分岐」−「一ノ谷」 歩行約7時間


プロローグ ネットの不思議な仲間達

内輪の登山新聞からガラでもなく得体の知れないインターネットの世界に入ってしまった。お陰で失ったものも大きいし嫌な思いも色々した。
その中で唯一の救いは「信頼に値するネット友達が出来た事」KAZASHIさんの音頭で本人をはじめ讃岐里山クラブのKYOさん、静御前さん、
REIKOさんとお会いして彼らの「表の姿」とお付き合いが始まった。

愛媛のネット仲間とはアライグマさんの集いを通じてANちゃん、なべちゃん、萩生の森さん、堂森さん、荒獅子さん、KUROHIKOさん、
ひとなさんらと「姿が見える付き合い」が出来るようになった。

今回もKAZASHIさんの呼びかけで忘年会をしようという事になり、KYOさんの提案で万作おじさんの「木の根のふれあい森」で親睦会の
後、翌日寒風山で霧氷を見よう!という段取りに。偶然同じ日、同じ場所で「土佐の仙人」さんのグループも忘年会という事がわかりそちら
へも顔を出すことになっていた。
ぎりぎりまでの仕事を切り上げ西条から寒風山トンネルを越え「木の根ふれあいの森」へ夕闇迫る中到着。あれ?我が隊はいずこへ?
木の根の森はキャンプサイトもあり、ここでテントを張って忘年会をしていた土佐の仙人さんたちと既に合流していた。

 
香川軟弱部隊の泊まるコッテージ    土佐の仙人さん硬派の泊まるテントサイト

得体の知れないネットの裏世界。油断をする方に非があるとされるバカげたこの世界でネット仲間の「表の笑顔」が唯一のよりどころ。そういう
意味では「土佐の仙人」さんの闘志を無くした土佐犬の様な全身での歓迎の笑顔は実に嬉しいものであった。またそこには我々とは違った
「山男、山女」がいた。すぐそばに暖かくて安い料金のコッテージがあるというのにそれぞれにテントを設営して野営している。サラリーマン
週末日帰り軟弱登山隊には考えも及ばない世界だ。私みたいにほんの数年前に思いつきで始めた山歩きと違い若いときから山で鍛えられ
た筋金入りの連中なのだ。

 
土佐の仙人さんの歓迎を受ける      土佐の仙人さんのテント

このグループはある小さな出来事がきっかけで私の事を知っていてくれた。私は買いかぶられるのが嫌いなので素(す)の自分を見せて
ひとしきり楽しい「ふれあいの森」となった。途中で万作おじさんも顔をだしてくれ「春よこい」をかわいらしく唄ってくれた。土佐の仙人さんの
グループも文部省唱歌や山の歌、クリスマスソングを唄ってくれた。

我が香川軟弱グループは寒さと薪の煙についてゆけず途中で暖かいコッテージに撤退。見上げると山際に月が煌々と輝き漆黒の森と
対比してとても綺麗な夜だった。室内で内輪の交流を更に続けてお開きに。 こっそりKYOさんからなるべく遠くに離れて布団を移動し就寝。
世の中そうは甘くは無かった・・・

 
早朝 木の根三里の「はりやまばし」を確認  万作おじさんと記念撮影(?)

朝起きると冷え込みがきつく道が凍っている。前回気に入った木の根三里の「はりまや橋」が実は「はりやまばし」であった事を知り散歩
がてらもう一度見に行くことに。テントサイトでは暗い中、土佐の仙人さんグループが各テントの中でおしゃべりをしていた。ようもこんな寒い
ところで寝れるもんだなあ
ライトで確認するとやはり「はりやまばし」だった。万作おじさんにしてやられた〜

いざ寒風山へ 
 樹氷はあるか? 寒風(さむかぜ)だけか?

夕べ食べ切れなかった豪華な朝食を頂き、皆さんに挨拶を済ませて我が隊は8時頃出発
途中頼んであったお弁当を取りに寄り道をしたりした後、私は車を「一ノ谷館」へデポしてKYOさんの4WD車へ乗せてもらい「寒風山
登山口」に着いたのはもう9時近くになっていた。急に風が冷たく吹きだし準備をして急坂を登りだす。

 
 寒風山登山口「一緒に寝た仲よん」  KAZASHIさんは二日酔いで最後部

普段愛想の良いKAZASHIさんは二日酔いで車の中でも登山開始時も腕組みをして終始無口だった。ステンレスのコップがザックの後ろで
揺れて小学校の遠足を思い出す。途中下山してきたオジサンに霧氷の事を聞くと「う〜ん ちょこっと布団の綿くらいなのが少し」REIKOさん
がそれを聞いてガックリ。桑瀬峠に着くと霧氷は結構付いており笑顔が戻る。

 
 雪がだいぶ残っている       伊予富士への尾根崩壊地が大きくなったような?


桑瀬峠に大きな雑種犬が着たのでリッツクラッカーをやり寒風山へ出発。でもこの犬は赤星山の犬と違い案内はしてくれないようだ。まだ
少し天気が悪いので霧氷はバックの白い雲であまり冴えない。見る分には問題ないが写真撮影には青空と霧氷の取り合わせが必要

 
寒いのに靴下を履かない犬(桑瀬峠)  REIKOさん 霧氷に喜ぶ

登るにつれてすこし天気が回復。上から下りられてくる登山者も「今から天気が良くなりますよ」と励ましてくれる。二人組みのパーティが
多いようだ。樹林帯を過ぎて展望が開ける頃になると青空が顔を覗かせて、樹氷を引き立てる。皆が一斉にカメラを構える。KYOさんは
写真が趣味なだけに一番念入りに時間をかけている。

REIKOさんは平べったいソニーの最新デジカメで念願の樹氷を満面の笑みを浮かべて見上げる。KAZASHIさんもいつの間にか二日
酔いが醒めたようで、えなりかずきのヘアースタイルが乱れぬように毛糸の帽子を深くかぶり旧式のデジカメを操作している顔はいつも
の人懐こい笑顔が戻っている。静御前はカメラを持つ必要がないので身軽に山歩きと景色を無条件に堪能できるお得な立場を色白の
笑顔で楽しんでいる。人間やっぱ笑顔が一番美しい。

 
 まだ天気が悪くガスっている          樹氷の登山道

       
  急坂には梯子がかけられている   オーマイゴッド 突風で禁断のアングルに

         
          寒風山  雪の登山道

寒風山の絶壁が見える場所に着くと一人の若者が崖近くの細い岩場で大きいカメラを構えている。「ヤバイところから狙ってますね〜」
と声をかける。あれ?どこかで見たような?
何とFRVさんだった。撮影に集中している様子だったので少し会話をして先に進む。丸い尾根を回り込むと寒風山の山頂と笹のスロープ
が美しい姿を見せてきた。
白い雲が強風にあおられてつむじとなりそれが青空と黄色い笹との絶妙のコントラストでいっそう冬の寒さを強調する。この風景が寒風
山では一番美しいと思う。

  
あれ〜 そこにおわすはFRVさん?           青空が現れる

     
        寒風山 南壁  ここを山頂と間違う人がある

     
           今春みんなで登った冠山が姿を現す

     
         やっぱり樹氷は青空が命   寒風山の樹氷

       
         綺麗だよ〜〜  樹氷が〜〜  勿論 君たちも〜

       
       くろもじさんの念力でいい天気になっちゃった ありがとね〜

 
     寒風山山頂               霧氷には青空と流れる雲

寒風山に着くとカメラの三脚をセットした男性がおられた。我が隊の写真撮影をお願いする。そこへひょっこりFRVさんが到着。すると
この方が以前FRVさんとお会いしていたらしくて会話をしているとエントツ山もHPで知っておられた。聞くと安芸の「五位ヶ森」さんと言わ
れる方だった。
ちょっと早いがここで昼食。みるとFRVさんはバーナーを出してお湯を沸かしている。私といえばせっかくインスタントコーヒーセットと
朝お湯を魔法瓶に入れてきたのにザックから出すのも面倒くさいのでそのままだ。結局お湯の入ったまま家まで持って帰った。
行きがけに皆で買った弁当さえも出すのが面倒くさく、これも家まで持って帰ってしまった。

 
  FRVさんと 寒風山山頂       黄色のダウンジャケットが五位ヶ森さん

     
     しとやかな静御前さんと殿下がいないと豪快になるREIKOさん

     
     KYOさん 静御前 エントツ山 REIKOさん KAZASHIさん
     
   
        寒風山から笹ヶ峰方面  笹ヶ峰は雲に覆われている


   
それからのエントツ山

ここで皆さんと別れる。今日はサマンサ・カラミティ最弱コンビがいないので脱落ではない。我儘を聞いて貰って、単独で更に「笹ヶ峰」、
「ちち山」を経由して「一の谷」を歩くのだ。「萩生の森」さんが去年の10月に歩いたルート。どっちへ下りて行けばいいのかわからず
ウロウロしているとみんなが笹ヶ峰への縦走路下り口を教えてくれた。こんな調子で皆に手を振って西側へ下る。

 
 笹ヶ峰への分岐          REIKOさん こっちの樹氷が♪ す〜ごいぞ♪

      
         寒風山 − 笹ヶ峰 尾根縦走路

  
  尾根縦走路                  アイゼンがまだ要る

 
小さなピークを最初2つばかし越える   寒風山を振り返る

    
                 縦走路のブナ

うひょ〜 この縦走路には霧氷が沢山あり景色が素晴らしい。先日グランマー啓子さんがこの尾根から笹ヶ峰をピストンしたと報告が
あったが、特に冬場は実に味のある尾根だ。一人だけ登山者に会っただけの静かな時間を楽しむ。小さな尾根を二つばかしやりすごす
と1,650mくらいの大きめのピークがありここから寒風山方面や笹ヶ峰を眺望出来る。石鎚山は雲の中だった。

      

 
         縦走路              縦走路の最大ピーク

    
        縦走路最大のピークから寒風山を振り返る

    
          図体のデカイ笹ヶ峰が姿を現わす

笹ヶ峰の取り付きまで来ると北西の風が猛烈に吹き体が冷えて、太ももの筋肉が痙攣しそうだったのでちょっと休憩。寝不足だから
なあ・・・ ザックのポケットからペットボトルを抜いて飲むとシャーベット状態になっていた。去年このあたりで遭難騒ぎがあったのだ。
どんなに考えても笹ヶ峰山頂と沓掛、黒森の尾根筋の角度から道を間違えたりしそうにないから相当の積雪で歩けなくなり日没で
丸山荘まで行き着けなかったのだろう。

    
                笹ヶ峰 南西口の樹氷

      
            樹氷越しに覗く沓掛山

      
          この取り付きからが結構山頂までが遠いのだ

先月17時間歩いた黒森から西条への尾根筋と無理して渡った崩壊地を樹氷越しに感慨深く眺めながら白銀の中を笹ヶ峰山頂に
着く。記念写真を誰かに撮ってもらおうと思っていたのに人っ子ひとりいやしない。時間は午後1時過ぎだがこんな樹氷の日に人が
誰もいない笹ヶ峰も珍しい。

      
         笹ヶ峰に近づくと又雲が飛び出した

      
        笹ヶ峰の山頂付近はコメツツジに珊瑚の様に霧氷が着く

   

山頂でしばらく360度の眺めを独り占めにして、て言うかぁ 一人寂しく味わいながら、もうほとんど下山しているであろう寒風山の
仲間に思いをはせる。山登りやHPを始めなければ一生出会わなかったであろう人たち・・・人生で出会える人間の数などたかが
知れている。その中で人生のたそがれ時期に出会ったこの人たちって自分が感じている以上に重い存在なのかもしれない。

 
石鎚蔵王権現も凍てついている           笹よさらば

笹ヶ峰からちち山へは前回と逆コース。今回は山頂コースを通らず南斜面のトラバース道を進む。笹の間に取り付けられた雪道を
冠山、平家平を見ながら歩く。振り返ると笹ヶ峰の巨体に隠れていた尖った寒風山が逆光に白みながらも徐々に姿を現す。今日は
東の空気が乾いて眺めがよく、西が雲っている。ちち山山頂への分岐を過ぎれば樹氷も無くなり、何だか絶景の尾根道も平凡な風景
に見えてくる。

   
もみじ谷分岐付近からのちち山    初めて歩くちち山トラバース道

   
      ちち山 トラバース道から 冠山、平家平が姿を現わす

    
        ちち山 南斜面の霧氷地帯

そうするうちに懐かしい「ちち山の別れ」に着いた。時刻は午後2時を回っている。ふと見ると分岐の標識の下に小さなかわいい
雪ダルマがにっこり笑顔で座っているので、ちょっとこのスノーマンが収まるアングルを探し西側の尾根を撮る。後で掲示板をみる
と何とこれは「ひとな」さんが前日に作ったもので、これに別な登山者が顔を付けてくれたものだった。これもいわゆる立派な
「縁(えにし)」である。この「ひとな雪ダルマ」押さえといて良かった〜〜

 
振り返ると笹ヶ峰の陰から寒風山が飛び出した ちち山の別れから赤石山脈

      
     冠山、平家平をバックに「ひとなさん」が前日作ったスノーマン 

ちち山の別れからは初めて歩く道。何でこうも私の山歩きは最後に知らない道を組み込んでいるのだろう? ちち山の別れからは
ちょっとばかし笹が深いが登山道だけ雪が残っていてルートがはっきりしている。今日はちょっと雲がかかっているものの西赤石、
東赤石が良く見え、故郷(ふるさと)新居浜も眼下に望める。柔らかな西陽のあたる景色を見ていると望郷の念にかられる。
魂というものがあるのなら我が一族ご先祖様の魂はこの上空あたりに浮遊していて、私もやがてそのお仲間にいれてもらえるのだ。

    
     万作おじさんもお気に入りの冠山ー平家平の尾根道

尾根から15分くらい東に進んで樹木地帯を過ぎると標識があって「一の谷」へのルートが西側に向かって下りていく。ここから沢まで
の約1時間は自然林が沢山あり楽しい道だった。地図で見るとこのルートは沢の西側の尾根筋を一ノ谷へと下るのだが、沢下りは
左岸なので不思議に思っていると、突然沢道が大きな本沢に合流。ここで小沢を右岸に渡り返し杉の林道に入る。ここから約1時間
は山歩きでは一番嫌で退屈でロマンの無い杉の人植林道歩きが続く。

  
   一の谷 尾根分岐            最初は西に向かってゆっくり下りていく
     
  雪が残った雑木林の道        大きなブナが倒れて道を塞いでいた

 
 支沢の左岸を少し下る           本沢に行き着き右岸へ渡る

南西方向へ支尾根を巻きながらゆっくり長く下がっていくと広い未舗装林道に降りつく。でもすぐに左手に赤テープとケルンで標された
細い林道に導かれる。残置テープ論争などがあったが、どちらも両極端の考えは良くない。 知っている道の赤テープは不必要で
ウザイ存在だ。一方知らない道の赤テープは心強い味方となり精神安定剤にすらなる。世の中自分の置かれた立場によって存在
価値がテープでさえ変わってくる。世に中全てそんなものだ。できれば存在価値のある立場に居りたいものだ

  
ここにもジェイソンが丸太を切っていた 今年はあちこちで杉が倒れている
  
若い植林の間をさらに下がると今度は寒風山登山口への舗装林道に降りた。さらに赤テープの登山道へ入ると一の谷の大きな
屋根が見えて玄関口の脇へ降りつく。我が愛車ナディアが掃除をちょっともしてくれないあきれたご主人様の帰りをそれでも待って
いてくれた。ご褒美に正月前にはお盆以来、今年2回目の掃除をしてあげよう。

 
2回目に登山道への林道に下りる   更にテープの道を下るとナディアが待っていた

人間一人では生きて行けない。ましてやいくら山が好きだといえ、一緒に登る仲間、話し相手になってくれる仲間、ネットを見て
くれる仲間がいればこその山歩きである。昨日から色んな山仲間との触れ合いが出来た満足感につつまれて帰途についた。

今回久しぶりに会った人
KYOさん、KAZASIさん、REIKOさん、静御前さん、万作おじさん、万作おばさん、FRVさん

今回初めて会った人
土佐の仙人さんとその忘年会グループ、五位ヶ森さん、ひとなさんのスノーマ

気がつかずに寒風山ですれ違った人
わるこ姐さん



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