平成20年4月12日 石鎚 御塔谷コース


西之川から御塔谷ー夜明峠を経て石鎚山へ至る正統派ルートのご紹介


西之川ー岩原分岐ー刀掛分岐ー天柱石(御塔石)−夜明峠ー弥山ー天狗岳ー南尖峰ー東稜コースー
土小屋道(東稜基部ー鶴ノ子ノ頭付近)−ショートカット道ーツナノ平(なる)−岩原ー西之川 (約10時間


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)を使用したものである 
西之川(0715h)−一岩原(0815h)−刀掛(0850h)−天柱石(1010h)−夜明峠(1120h)−弥山(1220h)ー
南尖峰(1320h)−東稜基部(1410h)−近道分岐(1500h)−ツナノ平分岐(1525h)−岩原(1620h)−西之川(1720h)

久しく山からご無沙汰していたのでマーシーさんに電話すると「以心伝心そろそろ電話が来る頃と思ってました」と言う。
2ヶ月ぶりという事で「マトモな道を歩こうや」って意見が一致

西之川から御塔谷コースで石鎚へ上がり、東稜を経てツナノ平から西之川へ帰る周回コースを歩く事に。

自宅を5時に出てマーシーさんを06時迎えて西之川へ向かう。朝方ガスっていた天気も次第に回復の様子。
西条の加茂川を通ると沢山の桜が盛りを過ぎているものの見事な並木を見せてくれた。
山間に入るとここかしこにヤマザクラが急な斜面を飾って山全体が春の目覚めを告げているようだ。

石鎚ロープウェイ乗り場を越えて西之川登山口に07時過ぎに到着。07時15分登山口の石段を上がって行く。
暫くは昔日の生活の匂いがする廃屋沿いを山に入っていく。整然と続く石組みが在りし日の西之川集落を想像させて
物悲しい雰囲気だ。


 
       西之川登山口                      石垣の両端にびっしりと続く植林地帯

植林地帯を抜けるとやや大きめの川を左に渡る。鉄パイプ橋の上には取水堰があり、小さな滝となって豊富な水が
下流へと流れている。そこを越えると小さなコルとなり、さらに進むと広大な杉の植林地帯を裂くように沢が上流
に続いている。

登山道はこの沢沿いを進むのであるが、石段の様に平たい石が配置されて結構歩き易い。植林の中には石段やお墓
が見られてここもかつての生活を忍ばせている。


 
最初の沢にはしっかりした鉄の橋が架けられている   植林地帯を小沢に沿って
登山道が続いている

丁度登山口から1時間ほどで植林の中に巨大な岩が点在してくる。このあたりが「岩原」と呼ばれるのも頷ける。
更にとてつもない巨石の崖に標識がかけられていて、丁度その場所がツナノ平と刀賭けへの分岐となっていた。
標識が欠けていたので私はツナノ平方面へ行きかけてマーシーさんに呼び返された。
08時15分岩原分岐を通過する。


 
げ〜〜 何という大岩 あたり一面こんな岩が・・     あちこちにフツーの滝がある

暫く進むと清流の谷に沿って沢伝いの道となる。秋には素晴らしい紅葉が見えるだろう。更に歩くと08時50分
峠に到着。左手を見るとお地蔵さんが祭られていて第23王子社とある。ここが刀掛け分岐で尾根沿いをそのまま
右へ折れると八町坂、谷に向かって正面を下ると天柱石へ続く。


 
自然一杯の沢に入る   ええなあ〜             刀掛分岐の石鎚第23王子社

 
峠に沿って右に進むと八丁坂へ、ここは下に下りる     また石鎚山系自然の沢に入る

相変わらず杉だらけの急な斜面を下りると木橋が架かっていて小さな沢を渡る。この辺りから植林が次第に少なく
なり雄大な石鎚山系の沢景色と変って行く。

更に沢に掛けられた木橋を渡る頃にはエメラルド色の淵も現れ、頭上にはマンサクの花が咲き乱れる。マーシーさん
といつもの「来て良かったなあ〜」の声を掛け合う。

この橋は少し危なっかしい様相ではあったがロープなども張られていて見た目より安全だった。


 
   マンサクの花が咲き誇る沢を通過            沢を渡り木の橋を通ると水量も豊かになる



これこれ  このエメラルドグリーンを見ると「あ〜〜 自然に癒されるな〜」と実感するのよね

ますます沢が美しくなり年月に現れた丸い岩がその風景を高める。石鎚は奥深い・・・心からそう思った。 
いつまでもその場に留まっていたい気持ちだが、先は長い。



                   雪解け水の小沢を集めて西之川へと流れていく

道は沢沿いを離れて又植林地帯に入ったようだ。そろそろ十字分岐が近そうだなあって二人で話していると
09時40分、見覚えのある標識に着いた。



さてここからは去年高御位山さん達と逆に下って来た道だ。記憶を辿りながら二人でその時の風景を予想しながら
歩く。藪っぽい支尾根を上がると崩壊地が現れた。去年よりずっと崩壊が進んでおり注意しながらクリアする。


  
沢を離れて再び植林地帯に 大きな桂じゃのう       十字分岐  ちょっと休憩せんか


       唯一 気を付けなければならない崩壊地  去年よりひどくなっていた

その頃から石鎚北面が見え隠れする様になり、暫くすると巨大なオベリスクが全面の木立ちの向こうに現れた。
10時10分 天柱石(御塔石)に到着。古来人間が山や岩や滝など自然の造形物を崇めてきたのがわかるよう
な姿ですくっと立っている。


 
お〜〜 雪が沢山残ってるじゃあ〜りませんか     そこのあなたは天柱石ですか

小休止の後いよいよ最後の正念場、成就尾根への急登を詰める。この辺りは風化した岩が上から落ちてきて
ガレ場の様になっている。いままでダラダラと高度を稼いできた御塔谷コースであるが、ここで一気に尾根
に向けて上り詰める。


  
     御塔石 第27王子社               ヒィコ  ヒィコ よっこらせ

去年高御位山さん達とここを下りている時に若い女性単独者に会った。深くて大きな帽子を被っていたので
ちょっと挨拶を交わしただけだったが、後から「山おとめO嬢」だった事がわかった。

「ここで会ったんじゃねえ」とマーシーさんと話す息も荒くなっている。鉄橋を越えると雪が残っていた。
ここまで来ると雪を被った石鎚の北岩壁が姿を現し傾斜も少しなだらかになるのでホッとする。


 
何度も何度も石鎚山を見上げながら歩くのよ       沢もいいけどこんな風景も又いい


                           残雪の風景


                    やっと着いた夜明峠から石鎚を眺める

夜明峠(よあかしとうげ)には11時20分到着。西之川登山口から丁度4時間かかった。辺りには人影はない。
「やっぱりロープウェイは便利じゃなあ」と言いながら弥山を目指す。

ここからは雪が相当登山道にも残っていて土小屋分岐までも結構遠い。手前のピークを越えると石鎚山の威容が
眼前に現れる。形の良い石鎚山だが岩場の段に雪が層をなしその美しさを引き立てる。



正面を見ると2の鎖付近に登山者のグループが見える。山に人間がいるとほっとするなあ


冬の石鎚はこの風景です

 
高度を上げると尾根には雪が相当残っている          やっと鳥居さんまで着いた

鳥居さんは正月に来た時よりもまだ雪に埋もれて、天狗地蔵付近の休憩小屋も軒下まで雪が落ちているので中に入り
にくい様子だ。
四月に入ってなおこんなに雪が残っているのは最近では珍しいのではなかろうか

マーシーさんも私もアイゼンを持って来たが、トレースがあるので装着をせずに登る。鉄の階段付近で大勢の団体
さんとすれ違った。どうも山頂を断念したらしい。「え? そんな ここまで来て・・・」 皆さんアイゼンを持
って来ていなかったので帰りの下りが危険と判断された様だ。見た目ほど危険はないのに何と勿体無い。

でも何事も自己責任、雪山になれていない参加者はリーダーの判断にまかせるしかないようだ


   
天狗地蔵はん 今年はいつまでも寒うおすなあ     雪は新雪の厳しさは既になくダレている

それはそうと雪の登りになってから私の太ももから限界を告げる信号が送られている。持病の「太ももの攣り」が起こり
そうなのだ。マーシーさんに「少しペースを落とすから」と告げて後からゆっくり雪を這い上がる。

12時20分 弥山に着いた。「あ〜〜」と叫びながら砂利の上に早速寝転んで二ノ森を眺める。南面はさすがの陽光熱
で雪が谷に沿って残って白いたて模様となっている。



     二ノ森から堂ヶ森 白の縦じまユニフォーム姿   4月になると緑っぽい

仰向けに寝そべったままキツネ寿司とまき寿司セットを胸に置いてラッコスタイルで昼食。先ほど最後の雪斜面を
一緒に登って来た新居浜、萩生のKさんご夫婦と山のお話を交わす。萩生にお住まいとの事で「萩生の森」
oka ちゃん
の話題を出すと奥さんが大ファンだと言う。ほうほうHPを見ているんだ。で・・・他には?
Reiko さんのHPも楽しみに見させて貰っています」 ほうほう・・・で・・他には? あれ 無いの・・・

私の落胆する様子を見るに見かねたマーシーさんが「エントツ山ってHPもありますが・・」とフォロー。旦那さんの
方が「良く知っています。でも最近ちっとも更新していないですね」 ギクっ  クワバラクワバラ・・・

正体をバラした後一緒に記念撮影をして弥山を降りて天狗岳へ向かう。すると上からKさんが「ストック二人ともお忘
れですよ」と知らせてくれた。あちゃ〜〜
 

 
萩生のKさん 石鎚大好き人間です             天狗岳 正月には全然見えなかったけど 

天狗岳を通過する時又太ももが攣りかけて前途が不安になる。足を引きずりながら南尖峰へ着き東稜の下山開始。
ここは足がどうのこうのと言っていられない。命がかかっているのだ。カニの横バイを越えて下っていくと誰かが
待っている。

 
        天狗岳から弥山       南尖峰 左下が東稜ー土小屋ルート

 
     南尖峰から見る裏天狗    この風景が一番好きなのよね

 
    南尖峰を下りる         カニの横バイあたりは日差しを浴びて雪はない


近づくと大坂から初めて四国の山に来て石鎚山のガイド地図で東稜を下山していたのだが道が雪でわからず、後ろ
から物好きな二人組みが降りてきているので待っていたと言う。
「付いておいでよ〜」と一緒に東稜基部まで下山。
さすが笹滝付近では斜面の雪が凍結しており青くなっていた。
 

14時10分東稜基部に着く。大坂の人が成就コースへのトラバース道の雪の多さに不安がっていたが、丁度大きな
三脚を背負った年配の方が向こうからやって来たので安心して別れる。


 
笹滝付近は登山道に雪が残り凍っていた          石鎚東稜を見上げる

さてツナノ平への下山だが土小屋まで帰るにはあまりにも芸がない。計画通り近道の尾根からショートカットで降りよう
と深い笹に入り太ももを上げると「ヤバイ 攣りそう・・・」マーシーさんにここは無理だと先に進む。鶴ノ子ノ頭まで
下がると斜面には雪が残って歩き易そう。「ここから下りよう」とマーシーさんと急降下。


バッチリ10分くらいでツナノ平(なる)への登山道と合流。ショートカット成功!

     
いつもは岩ゴロゴロだが雪で快適 ショートカット    ツナノ平(なる)方面と十字分岐の分かれ道

15分位歩くとツナノ平と天柱石コースとの分岐に到着。まっすぐツナノ平へと進む。ここからは本当に退屈する植林地帯
の行進を辛抱強く約1時間続けると16時20分見覚えのある岩原に着いた。

植林地帯様には日頃から登山道無視尾根歩きやショートカット這い上がり、はたまたモバイル・ストック調達など多岐に
渡りまして大変お世話になっております。退屈じゃのオモロないとかそんな事決して言えた義理ではございません。
でもマーシーが言いました。「退屈じゃのう」 植林地帯さま お許しを・・・

 
    ツナノ平(なる) 登山道                      沢を渡る

 
 登山道  ひたすら歩く                      岩原の植林地帯に帰ってきた

ここからは朝歩いて上がって来た道を下りる。植林の中を流れる小沢に沿って歩き、コルを過ぎて大きな堰のある橋
を渡り石積みのある界隈に帰り着く


  
やっと西之川近くに着いた                  西之川分流に帰り着く

最後はちょっと早めに川面に下りすぎて川沿いの小路を車の置いてある西之川に17時20分帰り着いた。
約10時間 久しぶりの歩きでちょっと足に来たが、マーシーさんと楽しい石鎚歩きを堪能できた


石鎚登山の本来あるべき姿を垣間見た一日でした



                   目次に戻る              トップページに戻る