平成18年8月27日 君の瞳は一万ボルト....カミナリの洗礼
あ〜怖かった 堂ヶ森ー二ノ森ー石鎚山縦走記
梅ヶ市ー堂ヶ森ー二ノ森ー石鎚山ー面河 縦走ルート図
(国土地理院 50000数値図使用(承認番号 平15総使、第634)
去年同級生のくろもじさんやグランマー啓子さん達と堂ヶ森―石鎚の縦走を計画するも天気が悪く日延べとなった。それ以降
「くろもじさん」や「グランマー啓子さん」らが個別にこの縦走路を歩いてしまった為に一緒に歩くチャンスを逃してしまった。
この出遅れを解消すべく、先週瓶ヶ森林道を走って濃霧の為縦走をあきらめた堂ヶ森―二ノ森―石鎚―面河を再度歩く事にする。
今度は前回の失敗を踏まえて川内から面河へ入る。
面河渓谷入口の邪魔にならない場所に車をデポ。そこからモンキーを出して梅ヶ市まで又逆走する。約40分で梅ヶ市登山口に
到着。「梅ヶ市」はその昔松山方面からの石鎚登拝道として栄えた時代もあり、参拝者の為に「垢離取(コリトリ)場」=身を清める
淵や旅館もあったらしい。
面河をモンキーで出発 梅ヶ市登山口へモンキーをデポ
2年前堂ヶ森に登った時にはそこにあった駐車場は柵が張られて使用できなくなっていた。何か住民と登山者の間でトラブルでもあっ
たのだろうか?
先週ここでアブが大挙して押しかけてきたので大急ぎでモンキーを繋いで林道へ入る。案の定林道を暫く歩くとアブが出てきた。急い
でネットを頭からかけようとすると、ツルツルした硬いものが邪魔をした。俺の頭に何が起こったのだ? あ〜〜 バイクのヘルメット
を被ったままだった。いまらさ引き換えす訳にもいかないので仕方なく旅の友とする。自分で歩けない旅の友って重た〜い
林道を暫く歩くと登山口標識がある 林道をひたすら歩く
林道から登山道に入っても相変わらず面白くない植林地帯が続く。この間、幾度となくマレーシア人から仕事の電話が入り中々歩みが
進まない。何時でも何処でも仕事に追われる因果に嫌になりながらも電話の合間に少しづつ歩みを進めていると見慣れたブナ林に
着いた。
ほっとするブナの登山道
ここから暫く急な坂を上がると、例のアザミのある藪がありそれを抜けると樹林帯は終わり景色が開けてきた。天気はあまり良く
ないが既に秋の風が心地よくススキや笹を通して体に触れてくる。保井野分岐の標識に合流し気持ちの良い尾根道が始まる。
樹林帯を抜けると堂ヶ森へのスロープが見渡せる
堂ヶ森への笹スロープには夏と秋の花が混在して季節の変わり目を感じさせる。振り返ると面河ダムの湖面や石墨山への尾根が
眼下に見えて、この縦走にも心が揺らぐ。
ススキが秋の風情を感じさせる 振り返ると石墨山への尾根が続く
登山口から約2時間半で堂ヶ森の山頂部へ着き、先に白骨林のある出っ張りを訪問、ここから目指す石鎚方面を見やる。
う〜ん 結構距離がありそう・・・
堂ヶ森の先へ出て白骨林越しに縦走路を眺める
マクロウェイブ反射板のある堂ヶ森山頂( 1,6879m ) へ取って返すと久しぶりに中型ヘビに会った。今年もあちこち藪を歩い
たけどあまり遭遇していない。マアお互い気づかないだけなんだけど・・・ 四国フウロの咲き乱れる山頂への花道を進み山頂標識にヘルメットを被せて記念撮影。なんだか戦死者の墓みたいだった。
反射板のある堂ヶ森山頂 シコクフウロとススキが揺れる山頂
持ってきてしまったヘルメット まだ戦死はしないよ
峠部へおりて縦走路に入る。ここから二ノ森までは初めて歩くのでワクワクする。少し下りると倒壊した避難屋根があり、その
横にはお地蔵様と水場があった。夏場に山をあるくと水場には助けられる。タオルを浸して頭を冷やし今からの道中へ向けて
気合を入れる。
水場のある倒壊した避難小屋 堂ヶ森の台形を振り返る
近くの平坦な場所にはテント場と思われる四角い平地があった。水場は近いが景色は今ひとつだなあ。五代の別れ(五代ヶ森
への縦走路分岐)を過ぎると登山道は鞍瀬の頭
(1,889m) への稜線へ向かう道とこれをトラバースする道に別れる。迷わず前者
を進む。今まで歩いてきた方向にはどっしりとした台形の堂ヶ森が見送っており、後ろ側には五代ヶ森(1,707m)が招いている。
待ってろよ〜
五代の別れと その後ろに五代ヶ森が聳える
「ANちゃん」や「ひとなさん」がテント泊をした「鞍瀬の頭」は狭いながらも4畳半一間以上の平たい敷地があり、風が無い限りテント
を張るにはもってこいの場所だった。急に霧があたり一面を覆い尽くし折角の展望を台無しにする。もう右も左も西も東もわからない
。勘を頼りに斜面を下りるとトラバースらしき道と合流してホッとする。
鞍瀬ノ頭 山頂 あっという間にガスにつつまれた
縦走路風景 その1 尾根部
縦走路風景 その2 笹のスロープ
縦走路風景 その3 岩のある尾根
縦走路風景 その4 振り返った景色
縦走路風景 その5 笹と岩と木々
そこからの縦走路は木々が豊かで知らないうちに着いたピークが二ノ森(1,929.2m)だった。3年前に叔父さんにあたる
「登山ロボット・タッキー」と石鎚経由でここまで来たのだった。二ノ森から石鎚方面は相変わらず視界は悪いものの、西ノ冠岳
が堂々たる姿を見せる。でも崩壊の傷跡が大きく山肌を縦に刻み痛々しい。
二ノ森山頂 二ノ森で記念撮影
二ノ森を後にしてピークを下っている途中に石鎚からピストンされているお二人の単独登山者に初めて会った。白骨林や岩の
トラバース路を抜けると西ノ冠岳近くの峠に着いた。ここから普段お目にかかれない裏石鎚の姿が見える。
二ノ森から西ノ冠岳(左)と石鎚(右=霧の中)への縦走路
ちょっと崩壊の傷を白骨林で消してみる
植生豊かな縦走路 トラバース路には岩が多い
こ
西ノ冠岳がドームと言われる所以の姿 これで崩壊がなかったなら・・・
この石鎚南西部斜面はシコクシラベなどの木々に覆われて面河川上流部に落ちているから土砂や石ころの崩壊が激しく、これ又
西ノ冠岳同様に痛ましい姿だ。瓶ヶ森林道から見る美しく気高い石鎚の姿とは全く違う。自然は美しく、また残酷なのが現実だ。
トラバースからの峠を越えると石鎚が現れる 西ノ冠岳縦走路 刈り払い風景
石鎚南西部斜面の姿
西ノ冠岳取り付き近くでは笹刈りの作業をしている人がいた。挨拶をして錆びた標識から稜線へ上がる。昼を回ったのでここ
から石鎚や笹刈り作業を眺めながら昼食を取る事に。
マーシーが近くに来ている筈なので携帯を鳴らしてみるが案の定通信不通。石鎚でコーヒーを飲もうと言う行き当たりバッタリな
もくろみは脆くも崩れた。ダイエット開始以来山へは一切おやつは持って来ないので非常に質素な食事をしているとあたりが急に
暗くなってきてゴロゴロとカミナリ様が喉を鳴らしている。あちゃ〜〜 あっちへ行け〜〜。この神通力のかけらも無い虚しい願い
は効く筈も無くポツポツと雨が落ちだした。こりゃイカン。高級ゴアテックスの雨具は車の中に置いてきた。
雨の降り出した面河道合流部への道 カミナリの音が大きくなった石鎚手前
降り出す雨とカミナリに追われて、西ノ冠岳稜線をあきらめ石鎚へと急ぐ。面河分岐に差し掛かった時、雨足が一段と激しさを
増し突然近くで「ズダ〜〜ン」と五体を揺るがし耳をつんざく落雷があった。キャ〜〜止めて〜〜 簡易雨具を出してシコクシラベ
の中でタヌキの様にうずくまって待機する。
いくら待っても雷様は去ってくれない。 って言うか〜 ますます激しくなってきた。雷鳴の中をカミナリに弱みを悟られない様に
精一杯堂々と石鎚山頂小屋へ向かう。着けば天狗岳などどこにあるかわからない濃霧・・・
山頂小屋には雨宿りの登山者がいて何か食べている。う〜〜ん 何も食べたくないので水はまだザックにあったがスポーツ
飲料を買う。ゲッ 450円 (結局勿体無いので飲まずに持って帰った)
大雨の石鎚弥山(みせん)山頂 雨とガスの山頂小屋
ここでも何か居心地が悪く、カミナリの音にも少し鳴れたので面河へ下る事にする。面河分岐まで進むと「そうはさせるか」
とカミナリおやじが又近くにすさまじい音と光の芸術を響き渡らせる。チクショ〜 こら〜 俺に何か恨みでもあるんか!!
雷の勢いが凄まじいので、面河分岐からの笹原数百メートルが物凄く長い道に思えた。こんな時に限って旅の友となった
鉄製「ヘルメット」の存在を恨みながら出来るだけ姿勢を低くして、尚且ついつもは敬遠する掘れ込んで歩きにくい場所を
デューク何がしの健康歩行を参考にヒザを思い切り曲げて最速のスピードで歩く。
オタカラコウ 笹原を突き切るか 迷う私・・・
谷筋になると必ず上からゴロゴロ脅しをかけてくるカミナリに媚びながら愛大小屋まで下り付く。ここから登山口までも雷雲
はきっちり私の上から離れず見送ってくれた。楽しみにしていた面河登山道には霧がかかり雨が激しく岩が滑り印象が悪い。
すぐ近くにあるブナの大木も霧に霞んでいる。
谷部で急に上でゴロゴロ鳴り出す 崩壊部も一っ飛びで渡る
愛大小屋は取り払われて改築中 面河登山口へ着いた
17時半頃 面河遊歩道にある登山口へ下り立ち、水量の増した渓流を下る。
キャンプや保養施設の利用者の楽しい声はすれども生憎の天気で誰も外に出ていない。その何となく物悲しい遊歩道を
国民宿舎近くの橋まで歩き、その下流の広い場所で待つラッシュへと帰りついた。
普通の山歩きは楽しいだけで終わってしまう。霧やカミナリに遭遇しずぶ濡れで下山した今回の縦走は長らく私の記憶に
楽しい思い出として残っていく事だろう
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