2003年10月05日 はるちゃん 楠さんに初対面!!
四国の秋は 「石鎚山」からやってくる ! 紅葉の東稜コース
最近のHP検索で愛媛山好き男「のんびり山さん」「萩生の森さん」「おいわさん」が度々石鎚山へ登られている山行記を読んで、
色んな季節に同じ山で新しい発見をする喜びを知り、こうでなきゃと反省する原と加地「登山サイボーグ・ロボットコンビでありま
した。

秋は石鎚山からやってくる

先日宇摩郡土居町の盟友「登山ロボットタッキー」(加地)宅に以前一緒に登った西赤石の写真CDコピーを貰いに行ったところ
、「明日(平日)石鎚へ紅葉偵察へ行て来(こ)うワイ」 (懐かしい東予弁)とのたまう。 ちょっと待って!今の言葉 プレイバック 
「どうせならこの日曜日に東稜コースから行こうよ、キツイけど面白いよ〜」と巧みに誘うと即、商談成立。

  
   行って参りました 紅葉の石鎚山    


かくして10月5日(日)05時高松を出て高速土居インターで下り06時過ぎ既に準備万端の早起きロボコンを拾う。私の叔母にあたる
ロボコンの妻「ライオンうさぎ」に行って参りますと挨拶すると「気いつけて行ってこんかいよ」と優しい言葉。 (嗚呼この一言が仕事
と登山三昧のダメ亭主にどれほどの勇気と風呂・トイレ掃除のやる気を起こさせるキーワードであるかおおよその主婦は知る由も
無い。)冬場はロボコンの4WDモビリオを供出してもらわにゃいけないので今日も私のナディアに乗り込む。西条加茂川の端を左折
する前に今や日帰り登山家の常識となったコンビニ弁当とお茶を買う。優しい言葉を出かけにかけてくれた「ライオンうさぎ」も亭主
の弁当までは用意してくれるほど人生は甘くは無いようだ。


旧寒風山トンネル「桑瀬峠」への登山口駐車場には5−6台既に来ている。石鎚・瓶が森林道は紅葉には早いが空気が澄み渡り、
高知の山々が連々と太平洋に向って下がっていく。瀬戸内海方面も西条市内がくっきり見える。「いいね いいねえ」と助手席の
ロボコンが音声テープの様に繰り返す」 土小屋には0800時過ぎに着いたが予想通り駐車場は満杯。国民宿舎下の空き地に駐車
して登山道に上がる。




  石鎚登山道と秋の空

     
     登山道 秋の訪れ          色づく森  

東稜コース登山口発見出来ず!

土小屋からの登山道は紅葉にはまだ早いが、木々は色付いてきており確実に石鎚の秋は深まってきている。ホームページでは
皆さん東稜コースのレポートをされているから注意すれば立て札くらいはあるだろうとタカをくくって左の標識を見ながら進む。所々
に休憩所や土小屋・石鎚の距離を記した立て札がある。二つ目のベンチがある休憩所には大勢の団体客が休んでおり、あまり
ジロジロ、キョロキョロしにくい雰囲気で、一見素人っぽいので聞く気も起こらず、挨拶をしながら通り過ぎる。 

大ざっぱにあたり確認をするがここにも東稜コースへの道しるべはない。(実はここが東稜コース分岐だったのだ。後から「おいわ
さん」のHPレポートを注意深く見ると白い「自然を大切に」と書かれた柱に小さく個人がメモを残してくれている写真がちゃんとあった。
マア 私の人生はすべてこの「マーフィの法則」があてはまる。

   
  石鎚東稜基部手前の標識        東稜分岐点 このベンチの
                          後ろが東稜コース

          
    登山道の主               登山客を見守るお地蔵さん

北稜のトラバース道に出てしまったので今日は弥山が混むと予想され先にそちらに行き、帰りに東稜コースを回ろうという事に。それは
それで天気の良い間に石鎚西側の美しい紅葉風景も見る事ができたので充分満足出来るものだった。盟友登山ロボットは相変わらず
正確なリズムで止まることなく歩み続ける。まるでゼンマイ仕掛けのようだ。そのうえこのゼンマイは始末が悪いことに 8時間は巻き直
しの必要がないシロモノと来ている。無休憩でドンドン進むから相当の登山客を追いこしてしまう。上からも結構朝が早いのに下りてくる。
聞けば「朝5時にヘッドランプを付けて登ってました」という団体や「頂上の宿泊施設で一泊してました」という人達だ。

  
  高知から来られた天台宗の皆さん       登山道 装束の列

トラバース手前では黄色の装束をまとった一行に遭遇。聞けば高知の「天台宗」の宗徒さん達で年一回山頂にお参りするそうだ。
精悍そうな修行僧のような人もいれば結構若い女性も混じっている。普通の山と違って石鎚山と剣山は色んな服装の人に出会う
ことが出来る。登山者だけの山ではないんだなあ。そうこうしているうちにあっという間に成就社合流点の鳥居さんに着いた。

ロープウェイからの成就社登山道や東予付近が良く見える。今日は鎖には登らず写真を撮りながら迂回路を上がることにした。
ここからは西の冠岳に向かう尾根道北側の白骨林が紅葉越しに見ることが出来た。

  
   成就社からの登山道           西ノ冠岳と紅葉



2の鎖場を上がった所で、定番のコンビツーショット写真を年配の女性にお願いする。横から心配そうな様子でデジカメ画面をお連れの
方が失敗の無いようにチェックしてくれる。ありがたい事です。そのすぐ横に座り込んでなにやら化粧道具の様なものを出している身だし
なみが良い女性が。よく見ると何とここから見える石鎚天狗岳と南尖峰の絶壁を水彩画でさらさらと描いている。それもすこぶる手早い

。我々みたいに下書きをまた消しゴムで何度も消しながらの絵付け作業など無縁で、筆で構図を取るような無粋なカッコも無しで実に
シンプルで美しい絵が見る間に完成している。写真より数倍味がある。

  
  天狗岳、南尖峰の北壁を背に      さらさらっと北壁を絵に カッコイイ

        
              石鎚西斜面の白骨林と紅葉


はるちゃん・楠さんとの出会い   弥山頂上から天狗岳、南尖峰へ 

弥山への最後の階段付近で以前、東赤石の赤石山荘でお話を聞かせていただいたスキンヘッドの老登山家とすれ違う。へ〜元気
に来られているんですね。その後以前HPで「わるこさん」が泊まってレポートされていた山頂宿泊施設をチェック。石鎚の記念
バッジ(400円ナリ)があるが値段の割にはデザインがもう一つ。施設の説明をして頂いたのと地図をもらったお礼に一個買う。

 後は軽井沢みたいに賑わう弥山を避けて天狗岳南尖峰へ下りていく。いつも思うのだがこの下り口付近の岩場で大勢の団体
登山者が弁当を広げている。この絶景鑑賞地点で弁当を食べたい気持ちはわかるが、ここで天狗岳方面の写真を撮りたい人や、
南尖峰へ下りる人への通り道だと言う配慮は無いものか。(イカン 「のんびり山さん」の独り言コーナーの様になってしまった。)
岩壁全体の紅葉全開にはもう2−3日という感じでありますが、所々の赤い葉っぱが異様なほどまぶしくこの西日本一の高所で存在
を主張している。

    
      天狗岳                 南尖峰の絶壁

南尖峰から東稜への岩場で年配の登山家二人とすれ違いご挨拶を交わす。「お幾つになられますか?」とぶしつけな質問をさせて頂く。
「78歳です」と答える。この人は今治から来られた徳永さんと名乗り、お連れの一回り歳下の楠橋さんによるといつも年上の徳永さん
の元気に引っ張られて山へ行くそうだ。我がコンビと同じ様な立場である。

その話を伺いながら「ボクもそうしたらあと20年は大丈夫ですねえ」と自信たっぷりにうなずく我がロートルロボコンであった。「HPに載せ
たいから写真撮らせて下さい」とお願いすると快く応じてくれた。「何と言うHPですか?」と聞かれるが言っても知らない事がわかっている
ので、「萩生の森」を知っていますかと聞くと「良く見させてもらっています」と言う。シメタ!「実はその末席に無理やりリンクさせて頂いて
いるエントツ山から・・・・」と説明をすると是非見ますと言ってくれた。ついでに「のんびり山歩」も宜しくと言って別れた。読者2名ゲット。
萩生の森さんありがとう。

   
  お元気な今治の徳永さん(左)と楠橋さん(右)  天狗岳


    
         南尖峰から弥山への尾根

      
      弥山を下りた場所から二森、鞍背の頭、堂が森
      

その後南の端まで進むと、東稜コースの最後の難関と言われる登り口があった。と言うのはこの岩の上にスクっと立って下に向か
って高知弁でしきりに檄(ゲキ)を飛ばしている老登山家に遭遇。下を覗くとヒイヒイ言いながら登ってくる中高年登山者の群れが。

東稜から上がって来る人がこの難関で大渋滞に陥っているのだ。こりゃいかんと岩壁を見下ろせるくぼ地で弁当を食べることに。
横では絶壁の端に仁王立ちになり、眼下に向かってひっきりなしにこの大ベテランの叱咤激励が飛ぶ「おんしら この80歳のおん
ちゃんが登れておまんらあに出来ん訳がないろう」とか言っている。へ〜ここにも尊敬すべき大ベテラがおわします。

墓場尾根で墓場行きになるところだった

食事が終わってもこの渋滞が収まりそうにもないのでこのベテランに「反対側にも降りられますか?」と恐る恐る聞くとウンと返事が
帰ってきた。二人で反対側の北側斜面に向かう。相当傾斜が急だ。10メートルくらい下がると左側に沢山の四角い岩が整然と高知
方面の空へと突き出している。はは〜ん 「これが墓場尾根にかわらん!」と大ベテランの高知弁がうつってしまった。上からは見
えなかったが、下に降りると左の岩壁の上でカメラマンが風が冷たい岩盤の上にヤッケを着てへばりつき三脚が落ちないようにロープ
で固定して墓場尾根のシャッターチャンスを辛抱強く待っている。真のカメラマンとはそういう宿命なのだろう。こちらはデジカメでパチリ
パチリと証拠写真を撮ってさらに下に向かう。

   
  南尖峰はずれから南側にある墓場尾根   墓場尾根を狙うカメラマン

 
      
  柱状節理 ずり落ちそう  墓場尾根に一緒に下りようとした松山の人
                  後で下山道で会い話が弾む、登山の良さです


念のためにこのカメラマンにも「下に降りられますか?」と聞くと道はあると言う。ヤバい奈落を一つ跳び越して岩の裂け目を更に
下に進む。もちろん身軽なロボットが先頭だ。まともに降りられないようなところを更に3m位先に降りた文化住宅の玄関口より狭
いスペースでしきりにとっかかりを探す下山道検索ロボット。「どうみても道がないよ」と言うので「我輩もそこまで降ります」と用心
に持ってきたロープを近くの細い木にくくりつけてほとんどぶら下がり状態で断崖の鷹ノ巣の同居人となる。 

二人で行けるルートを探すが命を賭けてなお10%生き残れる確立があるかどうかという様な危険な場所しかない。これはロック
クライミングの領域に属する。クリフハンガーのシルベスタローンでもここではスタントマンを使うだろう。 とうとう断念して上にあが
ろうとするがどこにも足場が無い!猿のように身軽なロボコンも弱っている。よくぞロープを垂らしていたものよ。数日前に目医者
から「目に出血があるので当分力まないように」と言われたばかりだが、大いに力んでやっとこさ現状復帰。あ〜あ これで目の
回復は一ヶ月くらい遅れたに違いない。
       
  奈落の墓場尾根を下りる    南尖峰でゲキを飛ばすかくしゃくとした
   途中でギブアップ         高知の80歳近いリーダー

  
ついに東稜を下る

狐につまされたような気持ちで先ほどの東稜下り地点まで失意に暮れて引き返す。あれ〜?今度は別のベテラン登山家が下から
湧いてくる中高年登山隊を辛抱強く丁寧に指導しながら導いている。胸のワッペンには「日本登山者協会山岳指導員 清家」と
ある。

先ほど体験した絶壁に比べたらこの下り口など安全なものだ。その合間を縫って下りようとする盟友ロボコンに登山協会山岳
指導員からイエローカードが渡される。曰く「この東稜コースは非常に危険で上りを2−3回経験してから下りるものです。この
季節下から登ってくる登山者が多いので下りは禁止です」 けだし正論!しかし三十余年にわたりS重機でひたすら上司に逆ら
わず忍の一字でサラリーマン生活を定年まで全うしてきたこのフリーロボットにもう女房以外のいかなる命令、圧力も通用しない
のだ。

「どこにそんな規則が書いとるんじゃ!」と言うのをなだめすかして小一時間くらい横の岩場で向かいの瓶が森や眼下に広がる
美しい東稜コース沿いの景色を眺めらながら待つ。

    
     雲海の瓶が森



 
   紅葉と立ち枯れ木の彼方の瓶が森

下から上がってくる人は圧倒的に中高年女性登山者が多く、最後の1メートルくらいの岩場ですら中々越えられない様子。それを
丁寧に足のかけ方からバランスの取り方、力の入れ方まで親切に解説する。さすがすばらしい指導員だ。でも感心してもいられない。
こんな様子だから遅々として下からの登山者がさばけないのだ。そのうち雲が湧いてきた。見ると一連の登山教室の連中が登り
終えたらしく清家先生が天狗岳方面に消えた。 

と同時に「ちょっと下ろしてくださ〜い」と声を掛けてほとんど飛び降りるが如く下まで降りる。この難関と言われる場所にはまだ15人
くらいの人が絶壁を見上げて愕然としている。こんなの待ってたら日が暮れる。

   
    東稜部南上がり口より這い上がってくる登山者
 
     
   東稜コース最後の難関の手前で (原)  手前の岩場登山道 (原)

     
   東稜コースから見える墓場尾根         最後の難関 順番待ち


   
   南側に屏風のようにそびえる岩壁    矢筈岩でロッククライミング

皆の横をすり抜けて痩せた岩場をヒョイヒョイと降りてゆく。なるほどなかなか味のある登山道だ。鋭い屏風のような岩盤が
そそり立ち、木々と笹との調和が見事だ。左手の矢筈岩とおもわれる岩場の上から3人がロッククライミングの練習をして
いる。

その左手の岩と右手の岩の間を笹の道が滝のように下っていく。この勾配では先ほどの連中相当時間がかかったに違いない。
笹が深く足元が全く見えないので2回くらい大きな岩に向こう脛とヒザ小僧の下をしこたま打った。先に進むロボットはたまに優雅
に転倒はするものの無傷のままだ。この道を「のんびり山さん」が真冬の雪の中、間違えた道をわざわざ引き返して登ったという
のだからとんでもない人だ。紅葉と白骨林と岩壁、まるで絵のような世界を二人の目に写しながらあっという間にこの東稜登山道
は休憩ベンチのある土小屋分岐に合流した。なあるほど!ここが東稜基部という事か。

 東稜コースの写真

  
  

     南尖峰への断崖絶壁         東稜コースの風景
  
 
 V字渓谷の間を下りていく笹原の道      下から見る笹の登山道
 

   
  
     土小屋登山道に近づいた紅葉の東稜コース      

偶然、ここで南尖峰突端部で一番最初に東稜から登ってきた今治の男性二人と、一緒に降りようと墓場尾根に下がって早期
撤退したf冷静な松山の登山者に逢い、色々四国や九州の山の話をしながら土小屋まで帰り着いた。

アケボノツツジとイシヅチザクラの石鎚山も良かったが、今日の紅葉と東稜コースでは違った山の姿や山好きな人との出会い
を体験できた有意義な登山でした。天狗岳でお会いした徳永さんと楠瀬さんからはご丁寧にメールを頂き、特に78歳でこの
石鎚が54回目の登山という「超人徳永」さんからはご自身が当日撮影された石鎚紅葉写真を添付頂きましたのでご紹介
致します。



 よさこい峠の日の出 徳永 治夫 撮影  78歳 (今治)



 墓場尾根の紅葉  徳永 治夫 撮影 (今治)



 三角点からの石鎚山  徳永 治夫 撮影  (今治)

我々も大先輩達に負けないように 健康に気をつけていつまでも
山に登るぞ〜〜!




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