平成20年12月23日  石鎚古道を歩く 「西之川道」
西之川ー岩原ー刀掛分岐ー野地鉱山跡ー八丁坂(表参道)−前社森ー成就ー成就分岐ー西之川


平成20年12月23日 石鎚古道シリーズ 「西之川道」
西之川ー八丁坂ルート 及び 成就ー西之川ルート 2,400円セーブの道



この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)を使用したものである 
カシミール3Dソフトを利用したGPSトラック・ログ図

雪がとけると、石鎚三角点山頂より北側に伸びた水晶尾根を歩くアイディアがあり、その下部ルートに八丁坂から高瀑の滝までの
古道が使えそうだとわかった。マーシーさんとその取つ付き部を調べに八丁坂へ行ってみる事に。
どうせ八丁坂あたりへ行くのなら、ロープウェイを使わず未だ歩いていない古道を使うと駐車場代500円、ロープウェイ代1,900円
合計 2、400円也のセーブとなる。
常々、高いロープウェイを利用するのに駐車場代も2重取りするという石鎚共同体事業(?)には多少被害者意識があったのだ。

07時30分 西之川登山口を出発。ここから刀掛までは以前歩いた夜明峠ルートと同じ道となる。
石段を上がると廃屋があり、立派な石垣が組まれた薄暗い植林帯を暫く歩く。

やがて西之川の堰に突き当たり、青く澄んだ流れを見ながら左手(右岸)に渡り小さなコルを右手に曲がると、岩だらけの浅い沢に
沿ってまるで神社の参道の様な石組みの道が上に伸びている。

 
西之川登山口                               水利堰に架かる鉄の橋を渡る

植林地帯の中に一条の水の通り道があり、その小さな沢は露出した多くの岩によりがっちりガードされている。その沢を詰めていく
と、やがて植林地帯の登山道は沢から離れていく。一つの分岐標識があり、左へ坂を上がって行くのであるが、まっすぐ沢に沿って
踏み跡が別に続いている。 暫くこの踏み跡を二人で追うが、やがて沢部で崩壊などがあり消えてしまった。

元に戻り植林地帯を歩くと、左手の斜面上に沢山の大岩が現れだした。岩原近辺に入ったみたいだ。なんかこの辺りを歩いている
マーシーさんを見るとふと縄文時代の人間かと錯覚しそうだ。
0900時 岩原分岐に到着

 
大岩が多いわ〜 (ちょっとマンネリ)                確かに大岩

 
         岩原分岐標識                       刀掛方面に進む

岩原分岐から八丁坂方面へと進む。途中 水量豊かな御塔谷を歩いたり渡ったり石鎚の山懐に抱かれながら歩を
進めると09時40分 刀掛分岐の峠に到着。ここで初めての休憩を取る。
ここから正面の谷へ下りて行くととても趣深い道が夜明峠へと続くが、八丁坂へは成就から南東に伸びる支尾根を迂回
しながら山麓を進む事になる。

 
     岩肌も水も綺麗                            御塔谷を上部に進む

 
     うっすらと雪が見え出した                 刀掛分岐  王子社 (刀掛ノ王子)

小休止の後、刀掛分岐から右手に続く良く踏まれた道を進む。地図を見ると、この場所は成就社のすぐ東側直下に位置している。
成就社より南東に伸びる支尾根を迂回する様にぐるりと回り込みながら八丁坂へと這い上がる。地図の標高が詰んでいる所を見ても
相当の急坂が予想された。

この途中の第一目標は「野地鉱山跡」となるが、急斜面の途中にそれはあった。1000時 野地鉱山へ到着
雪の斜面を這い上がっていると突然石組みが現れ、更に進むとズリ捨て場らしきものがある。別子銅山を見慣れて育った私には
その規模の小ささに「こんなんで営業続けるのはこんなんじゃよねえ」とマーシーさん相手につまらん駄洒落を飛ばしながら付近を
散策する。

どうも野地鉱山に関する資料は極めて少なく、東之川にあった赤谷抗とセットで住友鉱山関係だったらしい。坑口らしき穴蔵には
水が溜まり先には行けない様になっている。
この辺りで道が不鮮明になるが、この鉱山跡の上側に出ると立派な標識があった。

更に進むと滝が出現。 ここで少し修行を積んで先を急ぐ。シェーのポーズにも少し飽きたので修験のポーズをそれぞれに取る。

 
    刀掛分岐より西に続く道                        よく整備された木橋

 
    野地鉱山跡                            坑口らしき穴には水が溜まっている

 
    野地鉱山上側にある標識                        土小屋付近が見える

 
南無八幡大菩薩 我に知恵を与えたまえ      オンコロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ  我に酒とツマミを与えたまえ


さて、滝前の修行も終わり、何も開眼しない煩悩を引きずりながら二人は八丁坂を目指す。
道は次第に高低差が無くなり自然林の中を、右上尾根部の表参道に沿ってほぼ平行に続いており快適そのものである。
次第に雪が深くなり、背丈の低い笹が現れる。

成就社から南東に伸びる支尾根の1.363.1m ピークを回り込み、一旦成就社直下の懐に入った後平坦な登山道をひたすら
歩く。目玉になる様なブナとか風景は特に無いのだけれど、何となく上品で繊細な自然林に眼と心が癒される。

しかしながら、この辺りの大木にはおびただしい量のヤドリギが取り付いており、その為か樹勢が衰えている物も多く見られた。


 
        雪道となる                          沢部は美しい 

 
       雪道を歩くマーシー                     基本的にはこんな風景ね



 
       所々にこの標識がある                    ちょっと感動の風景に浸る

          
                 平凡だけど大好きな風景

 
    表参道の稜線が近づいた雰囲気              もう八丁坂は近いですよ

右手の視界が開けて来て 11時20分 八丁坂に到着。 西の川から約4時間くらいかかった事になる。
ロープウェイを使うとゴンドラ分を含めて1時間くらいでしょうか。3時間のセーブやったら、みんなロープウェイを使うよねえ
さて、例の水晶尾根ーユキタルー高瀑の滝への古道は、これから更に成就社方面に引き返さなければならない。

私は先に石鎚山頂へ行こうと言うとマーシーさんは「え〜〜」と驚く。そのあとやおら「私はピークハンターではありません
ので本日はここまでで十分です」などとのたまう。私は「そりゃアンタはポークハンターかも知れんが、石鎚山に来た以上
弥山くらいは踏んどかんと情けないやろ」と押し問答が続く。マーシーさんとこんなに意見が食い違った事は初めてだ。

妥協策として「じゃあ前社ヶ森で手を打とう」と言う事になり、美しい霧氷の表参道を歩く。確かに弥山に行ったとて今日の
天気じゃ何も見えないのは事実ですがね・・・

 
あ〜〜青空があったらなあ・・・                  霧氷の下では登山道の木道までもが美しい風景となる


   石鎚表参道は居ながらにして幅の広い霧氷に出会う事が出来る

12時30分 喘ぎながら急な木道を這い上がった後、前社ヶ森(ぜんしゃがもり)標高 1,592m の岩山ピークに着く。
ここは試し鎖の場所で、登り48m、下り19mの鎖が懸かっているが、とてもじゃないが登り48mは「試し鎖」とは名ばかりの
石鎚で一番怖くて、危ない鎖場だ。勿論冬場など、とんでもハップン!!

18mの鎖のスリルを楽しむので十分。岩場の山頂では第29番前社ヶ森王子社が待っていてくれる。

ちなみに「ぜんしゃがもり」は前社森、前社ガ森、前社ヶ森と記され、別名「禅定(ぜんじょう)ヶ森」或いは「禅師ヶ森
とも呼ばれている。

 
何気に元気のないエントツ山 前社ヶ森              シェーのポーズを取る「ポークハンター・マーシー」

        
              前社ヶ森から休憩所を見下ろすのが圧巻だ


さて、一応前社ヶ森のピークハントに自分を納得させて、次なる目標は「八丁坂から水晶尾根ーユキタルー高瀑の滝」へ
と続く古道の取り付き確認である。
又急な木道を滑ったりしながら八丁坂まで下りると、少しだけ天気が回復し束の間の晴れ間も姿を現してくれる。

最初、マーシーさんが想像していた道跡を探索。二人で西斜面へ下りて踏み跡を探す。でもここは何も無かった。
次にGPSにて見当を付けてあた辺りをチェック。ここは正解で、昭文社の地図にある線よりずっと下方に下がっている
事が分かった。雪解け後を期待して撤収する。


    石鎚表参道の霧氷   やはり綺麗な霧氷写真には青空が必要です


 
    石鎚表参道の霧氷                        石鎚表参道の霧氷

 
       成就社に寄る                        石鎚表参道への入り口

さて、石鎚の山頂を踏まずして1400時成就に到着。「これでロープウェイで下りたら情けないよね」と意見が一致、帰りは
成就から西之川へ下りる事に。
成就社からロープウェイ乗り場へ下がる遊歩道の途中を注意しながら歩いていると 14時20分「ロープウェイ乗り場
 0.7km」「西之川 3.7km」と書かれた標識を発見。 ここから右手に折れる。道は雪の線がくっきりと出ており問題のない
登山道だ。

5分位その道を進むと突然三叉路に出た。道が@右側へ山肌の斜面を下りる道、Aほぼ真っ直ぐ進む道。B左手に折れる道
となっており、ここには標識が無い。 う〜〜ん  左手に折れる道は無いとして、右手に折れる道が気になる。
少しこの道を下がってみるが、どうも地図上の道とは別な方角に進んでいる。

結局、元に帰って真っ直ぐに進む事に。 暫くして西之川への標識が現れた。最初はスキー場やロープウェイの放送などを
左手に聴きながら尾根部をどんどん進む。

その内、周りは植林だらけとなり下り傾斜も次第に急になってくる。暗いし結構石ころが有り、下りの割には軽快には歩を進め
られない。転倒に気を付けながら、それでもこの単調で面白みの無い場所から一刻も早く抜け出したいので早足で駆け下がる。

 
  成就遊歩道から西之川道分岐                 低い笹と植林の道となる

 
    植林の間を抜ける道                       完全な植林地帯となる

下りにしてはエネルギーを使っているのか、体が相当暑くなり着ている衣服を1枚づつ脱ぎながら下る。あ〜〜こんな道は
御免こうむりたい。「ここを登るのだったらロープウェイ片道1000円は安い!」という二人の結論だった。下りに関しても
道があまりにも長く、面白みが無いので、やはり「ロープウェイを使う方が正解!」と意見一致。

約1時間 植林地帯を下ると、前面がやっと開けた。柿がたわわに実をつけておりバックには大森山へと続く稜線が姿を
見せる。沢の音は全く聞こえず、西之川はまだ遠い事を表していた。

   やっと植林地帯を抜けると石垣があり前が開ける  でも西之川までは未だ少し遠い

 
   石垣が増えて、祠なども現れる               やっと分岐場所に復帰 正面に向かって成就社とある

それから又植林帯に入り、どんどん下りていく。この辺りから傾斜が少し緩やかになったので又マーシーさんとバカ話を
しながら退屈さを紛らわす。 石垣が近づくと分岐も多くなり、まあどれを通っても西之川へは到達できそうだが、出来るだけ
標識に沿って歩く。

1600時少し前に「西之川」下山口に帰り着く。
今回は石鎚へ行きながら山頂を極めなかった為充実感は得られなかったが、未だ歩いた事のなかった西之川道を歩く事が
出来、又八丁坂ー高瀑の滝古道のとっかかりを確認する事が出来たから良しとしよう


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