石鎚 北沢 − 愛大小屋ルート  (約 8時間)

平成24年10月6日(土)
土小屋〜二ノ森分岐〜愛大小屋〜面河本谷〜北沢〜F5〜墓場尾根〜南尖峰〜東稜コース〜土小屋



石鎚北沢から墓場尾根への風景 (平成24年10月6日)


   厳しい北沢を這い上がった者にだけ許される石鎚珠玉の風景

この夏は仕事が忙しくてマーシーさんとの山行機会もままならなかった。その間に体調を崩してリハビリ中との連絡
を受け久しぶりに皆さんから紅葉情報を頂いた石鎚へ行く事にする。


今までの北沢ルートは長尾展望所Pより面河川に下り、沢を遡行し御来光の滝上に出て北沢に入ると言うものだった。
今回は趣向を変えて土小屋から二ノ森分岐を経て愛大小屋まで進み、そこから御来光の滝上部まで下がる計画を立てる。

これが日帰り可能であるなら秋の日が短い季節に石鎚スカイライン(面河)のゲート閉鎖を心配しなくて済むと言うもん
だ。



この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを使ったGPS・トラックログ図


土小屋〜愛大小屋  約 2時間30分


06時丁度に新居浜山根運動公園でマーシーさんと待ち合わせ、ラッシュで土小屋へと向う。朝焼けが綺麗だったが西条の
コンビニに寄る頃には次第に雲が出てきた。土小屋には07時30分頃着いたが、予想に反して駐車場はまだ混雑しておら
ず東屋の近くに車を置く。準備の後07時50分出発。ストックは北沢歩きの邪魔になるので1本だけ持って行く。


途中で多くの登山者を追い越し東稜分岐を越えた頃、上から何組かの写真家集団と行きあう。「いい写真が撮れましたか?」
と聞くと日の出が見えて雲が焼けて良かったと答える。今日の天気予報は曇り後15時頃から晴れだった。


墓場尾根を這い上がる頃には晴天になる事を期待して成就分岐を越え、弥山近くにある二ノ森分岐を09時30分に通過。
まずまずのペースだ。ここから愛大小屋までなだらかな下りが続く。途中面河から歩いて来たとび職の様な恰好をした好青年
に会う。
山で精悍な若者に会うと嬉しいもんだ。面河道の最初は笹道が刈り払われていたが途中から笹が登山道を覆うようになる。


愛大小屋の手前で草刈機が2台雨がかからないようにして登山道横に置かれていた。だれかが「エントツ山さん 草刈りしま
せんか」という標識を山に掛けているらしい。う〜〜ん 実家裏庭の草刈りで手一杯なのだが・・・


曲がり角で熊のような外国人がいきなり現れる。このドイツ人と別れ際に写真を撮らせて貰うが一緒に写ったマーシーさんが
細く見える。
山襞に沿って登山道が付けられているので先ほど谷の向こうに見えた愛大小屋に何度もコーナーを廻りこんでも
到着しない。


やっと10時20分愛大小屋に着き少し行動食を摂りながら休憩する。前面に見える大きな石鎚南面を眺めながらルートを確
認する。「あそこがF5,F6で、そこから上の沢を進み第一幕岩直下に廻りこむ」


  
   07時55分 土小屋を出発                    多くの石鎚フリークが登山道を歩く



        石鎚東稜コースと南尖峰  帰りはこれを下る

 
  一般登山道も歩く価値が十分にある                 天柱石がにょっきり突出している



             南尖峰の切り立った岸壁を仰ぎ見る

 
   トラバース路から北壁を垣間見る                     お気に入りの覗き窓


  御塔谷の向こうに大森山のトンガリ、 その奥に瓶ヶ森   更にその奥には沓掛・黒森や伊予富士が見える




 
  成就社コースの合流点にある大鳥居                成就社コースの尾根を見る

 
      いつもお世話になる鉄階段                 鉄階段から右手の紅葉も素晴らしい


                石鎚北壁   お〜〜いい感じじゃん

 
もうすぐ弥山だっちゅうのに ここから右手に進む        尾根を乗越して面河道へと進む

 
      次々と形を変える石鎚山                  熊かと思ったでかいドイツ人

 
   石鎚南面を真横から見る人は少ない             10時25分愛大小屋でしばし休憩


                 愛大小屋付近から北沢〜墓場尾根コースを確認

 
愛大小屋〜面河本谷  約30分

さて、10時30分過ぎに御来光の滝分岐を目指して面河登山道から笹薮へと入っていく。笹が深いが踏み跡を辿りながら
急傾斜を下る。その後平坦な笹と自然林の尾根を右手に進み、更に急なトラバース路を下りて行く。紅葉にはまだ早い様だ。
大木に目印がある御来光の滝分岐を過ぎて左手の傾斜を下り、1100時頃滝上部の面河本沢に下り付く。


土小屋から面河本沢まで3時間10分だった。これだと長尾展望所から面河本谷を遡行して御来光の滝に出るルートとそん
なに時間は変わらない。
さて、ここからストックが邪魔になるのでを短くしてザックにカラビナで繋ぐ。

 
面河登山道からいよいよ面河本谷に向かう           マーシー おるか〜 ?   おりますよ〜
  
 
   時々垣間見る南尖峰                   この尾根は笹が深いが立木が美しいので気に入っている


   大岩展望所からもう一度ルートを確認する    第二幕岩の岩壁が鋭い

 
  岩の横を抜けて又尾根道に出る               ナツツバキの幹がひしゃげております 分岐近し


       ご来光の滝分岐から面河本谷に下りる途中にいつも見るこの景色

 
  11時05分 面河本谷に下りる                    本谷を少し下がる



面河本谷〜 F5 (這い上がりポイントの第5滝)    約1時間

面河本沢を少し下がると左手に北沢・中沢が合流した支沢があり、5分程で北沢分岐に到着。大きな岩がゴロゴロしており
傾斜も急なので水は岩の間を流れる程度である。
この場所には右手の大木に西沢などの標識が掛けられている。左手上部に
向って石の押し出した北沢末端部を這い上がると倒木が横たわっておりこの上に石が積まれている。


そこから上流には殆ど水が無いのであるが、この日は2〜3日前に振った名残り水が流れている。途中一箇所沢が分岐して
いるが、ここでは幅が広い右手の沢を進む。マーシーさんが左の沢を偵察に行ったが水は全くなく幅も狭いとの事だった。


大岩が前方に現れる。次に以前は左手を迂回したスラブ状の滝に出会う。私はバスク製のトレランシューズだが、登山靴よ
りはフリクションがあるので今回は沢を迂回する事無く進む。マーシーさんの靴はファイブ・テン・の岩靴にステルス底が
付いている。


よりフリクション性能があるマーシーさんにスラブ状の岩をクリアしてもらい補助スリングを垂らして貰い手ががり・足が
かりに乏しい濡れた岩目を這い上がる。この間に携帯電話がなったので安全な場所に出て着信を見るとペーコちゃんからだ
った。

その直前にマーシーさんと「そう言えばペーコちゃんも最近掲示板に出ないけど元気なんだろうか?」とウワサをした所だ
った。土小屋に置いてある私の車を見て南尖峰から「どこを歩いてるん」と電話をかけて来たのだった。難所を上がると以
前ガクちゃんが追いついて来たテラスを通過。その後も単調な岩の沢を這い上がって12時丁度にF5、F6滝に到着。

この辺りまで来ると沢は少し潅木で藪っている。F6は沢の正面に立ちはだかるスケールの大きい滝だ。その右手にそれより
細い滝F5があり遭難碑のプレートが埋め込まれている。
右側のF5から少し後戻りをして滝の横手にある笹斜面を岩部に
向かって這い上がる。



 
     北沢、西沢分岐                           北沢・西沢入り口

 
   大きな岩がゴロゴロする沢を上がる          右手のモミの木に中沢・西沢の黄色い標識が掛けられている

 
モミの木分岐を左手の押し出し岩群の傾斜へ向かって上がる    どこでもルートだ

 
                      大きい岩や一枚岩の滑などが出現

 
      ひたすら上を目指す                   今回は迂回をせずに沢沿いを進む

 
     むむっ ちょっと滑りやすい                マーシーさん  ここ念の為確保〜

 
      上から斜面を見下ろす                     周りの景色も素晴らしい

 
  こういう場所では活き活きとするマーシーさん        北沢は沢歩きではなく岩歩きと言える
 
 
    沢の最後が近づいた予感                    F5、F6が近づくと藪っぽくなる

 

 
         12時00分F6を見上げる    F6は水は少ないが立派な滝だ



F5〜北沢上部〜墓場尾根〜南尖峰  約2時間


岩壁に出た場所の少し左にこの崖を這い上がるルートがある。樹木が適当に茂っているので危険はない。ここを這い上がり
先ほどのF6滝上部に出る事になるのだ。
その後はF6滝上部の小沢を最後まで詰めたら良いのである。F5上部の沢には
水がほぼ無く、ひたすら岩の窪地を進むイメージだ。


沢が無くなると後は猛烈な笹の間を刻む水の通り道に沿って斜面を呻きながら這い上がる。その内、左手に岩が現れてマー
シーさんは前回同様この岩の上を歩く。こちらは岩に沿って笹薮を漕ぐが大変だった。今度は岩の上を歩こうと思う。

前方に第一幕岩の壁が出現し、それに沿って少し右手に迂回すると1300時北沢ルートのハイライト、最後の墓場尾根
街道這い上がりステージとなる。この栄光の道を進む為にはるばると山を越え谷を渡り藪を這いここまでやってきたのだ。

先ず笹の間に縦に刻まれた岩盤を向こう岸に渡る。この岩盤は第二幕岩となって奈落に向って落ちていく。岩の川はフリ
クションの効いた靴なら滑る心配はなさそうだが念の為に幅の短い所を選んで渡る。


そこからは垂直に近い崖に笹が生えた様な急傾斜を前方に向って一歩一歩這い上がって行く。右手には墓場尾根の全容が
ずっと見えて爽快な景色である。青空が無いのは少し残念であるが展望があるので文句は言えない。ドウダンツツジの紅葉
もまだ本来の鮮やかさではない。右手の墓場尾根とほぼ並んだあたりから潅木地帯を右に進むと13時40分南尖峰と墓場
尾根の中間地点に到着した。


この大岩展望テラスにて昼食とする。上から岩のプロらしい男性が若い女性を案内して墓場尾根へと下って行かれた。する
と左下からガスが湧き立って来たのでアチャ〜と思ったが不思議とこのガスは尾根を越える事は無かった。


我々の昼食や休憩時間は短い。西条で買ったおにぎりを食べると岩場を乗り越して13時55分南尖峰に到着。

 
F6の右手下にあるF5が這い上がりキーワードだ        F5を少し下がった左岸を這い上がる

 
      岩壁の際に到着                   左手にこの岩壁を這い上がるルートがある

 
     振り帰ると面河山が見える                    F5の上部へ渡る


                F5の上に立ち下界を眺める

 
   F5上部になると沢幅が狭まる                 手がかり、足がかりがあるので問題なし

 
  笹や草が生える場所も出てくる                  まだまだ沢筋が続く

 
         面河尾根を眺める                    笹の向こうに岩が見える


              なかなかいい景色じゃん

 
 
   岩が湿っているからまだ沢筋じゃね              う〜〜ん もう足元の凹みと言える


   前回同様左手の岩尾根にマーシーさんが進む


     苦しい笹薮を振り返ると面河山があり、その中腹に面河登山道が横切っていた

 
         取り敢えずマーシーさんは左の岩を、私は下側の深い笹藪を這い上がる

 
 紅葉に慰められながら急斜面を喘ぐ              お〜〜 やっと第一幕岩にぶつかったぞ

 
  第一幕岩にそって右手に出ると 待ってました〜  この景色



 
       凄いよ この傾斜                       白骨林とドウダンツツジ

   
  岩の川を渡る  バスクのトレランシューズ           マーシーさんはファイブテンの岩靴じゃ〜

 
   更に左手の岩にそって進む                  墓場尾根が次第に近づいてくる


 
傾斜が急すぎて足首が結構疲れる               墓場尾根との間にもう一つ細い支尾根がある


              よく見ると植生豊かな場所だ


   おいわさんに「同じ写真のオンパレード」と言われないだろうか?


 
                 大砲岩の下から岩尾根に回り込む


  
  岩尾根に向かって灌木を分ける                 13時40分  飯やメシやで〜〜〜



 
           南尖峰                                大砲岩


                   見晴し大岩から墓場尾根

  

         見晴し大岩から南嶺の紅葉


 
  やっとだし巻き爆弾おにぎりにありつけた〜        あれ、洞窟にお泊りグッズが・・・



                       大砲岩と墓場尾根


                 石鎚第一幕岩を眺める


 
  マーシーさんは岩靴でショートカット                13時56分 南尖峰へ上がる


13時56分南尖峰から混雑の弥山には行かず静寂に包まれた東稜を下る。カニの横ばい岩辺りの紅葉と霧が美しく何度も
見入る。最初の崖に以前挟まっていたデベゾ岩が崩落して無くなり今はちょっとした難所になっている。でも良く見ると岩
に沢山亀裂があるので手がかりに不足は無くコツさえ掴めば問題無い。

急傾斜にうまく付けられたバリエーションルートを西沢源頭まで下りる。カニの横ばいを過ぎて笹の急坂になると地面が濡
れていて滑りやすく、ブレーキを掛けながら下りるので下肢の筋肉が悲鳴を上げる。足場が見えず岩があったり掘れ込んで
いたりで呻きながら笹滝を下りる。引き続きシャクナゲの急坂を南沢源頭まで下りる。

その次には名物笹滝が待っている。ここは登りも下りもキツい場所だ。笹滝を下りると更に白骨林のある尾根道に沿って笹
や石や倒木に躓きながら歩く。


14時50分時間が長く感じながらやっとこさ東稜分岐まで帰りついた。かわいい子供連れのご家族が下山されており思わず
声を掛ける。そこで少し一休みして土小屋に向い15時40分白石旅館でソフトクリームにありつく。


 
天狗岳〜弥山方面  ・・・・ には行かず             南尖峰からの下り口 (でベソ岩が無くなっている)


                     東稜コース風景


               カニの横這いを眺める

 
     カニの横這い                              中沢・西沢の頭

 
   何となく・・・                             南尖峰はこちらから見てもすごい

 
           南沢の頭                         紅葉見物

 
       カエデはいいなあ                    南沢を詰めるとここに這い上がる


                   オ〜ソレ ミ〜ヨ ♪


    
       笹滝へ向かう                         これってセリ割?


                   笹滝の風景

 
   東稜コースにもちょっとしたピークあり              東稜コースにも白骨林あり

 
   笹が終わりかけると尾根を左へ乗り越す          通行止めの標識が裏側を向かされている

 
   あ〜 今日もいい日だったなあ                  改めて見ると長い木道じゃ


車に帰ってよく見るとフロントガラスにメモが挟まれている。見ると与力さんからで東稜から三角点に行かれたとの事。ペーコ
ちゃんや与力さんを誘えば良かったと思った。


4度目の石鎚北沢コースだったが、今回は初めて土小屋から愛大小屋経由でトライした。、その結果、長尾展望所より距離は
あるが時間はそんなに変わらない事がわかった。日が短くなった秋にゲート閉鎖の心配無く周回出来るメリットが精神的に大
きいと思う。


マーシーさん いつもの事ながらサポートありがとう

      
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