平成23年10月29日(土)
石鎚御来光の滝から愛大小屋経由土小屋への周回


石鎚ご来光の滝〜愛大小屋〜土小屋縦走


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図
長尾尾根展望台〜面河川〜ご来光の滝〜愛大小屋(面河道)〜石鎚山〜土小屋


石鎚山を発祥とする水源は面河(おもご)川となり、三坂峠辺りから流れる久万川と合流し清流「仁淀川」となり
太平洋へ注がれる。


この仁淀川上流、面河川のその又上流にある「石鎚御来光の」滝は四国でも屈指の名滝であり、日本の名滝百選にも
愛媛では「雪輪の滝」と共に選ばれている。特に紅葉の時期は是非とも訪れたい場所だ。

又、「ご来光の滝」は登山者にとっては石鎚バリエーションルートである北沢、中沢、西沢への分岐点でもある。


                   石鎚ご来光の滝

3年前にReikoさん、Keitannさん達とご来光の滝〜愛大小屋を歩き、その後え〜ちゃんやトンちゃんを案内する約束
をしていた。こんな場所は最初は経験者と出かけた方がいいに決まっている。事実私も初めて行った時、雨で崖から
大量に水が落ちてくる場所がありそこをご来光の滝と勘違いして帰りかけた事があるのだ。

今年8月7日、ご来光の滝までずっと沢沿いを歩き愛大小屋から石鎚弥山を経由して土小屋へ出たのだが、帰って
カメラのメモリーカードに不具合が生じて写真が1枚も残っていなかった事があった。



その同行の約束を果たすべく10月29日にえ〜ちゃん、Kamatamaさんと行く事にするが、生憎トンちゃん達や
マーシーさんの都合が付かず残念だった。

天気予報は曇り後雨と宜しくない。え〜ちゃんに日延べする提案をしようと電話すると行く気ムンムンである。

朝4時えーちゃんに自宅まで迎えに来てもらい、ご近所のカマタマさんを拾って高松西インターより西条へ向う。
途中、旧寒風山トンネルを過ぎた辺りから美しい夜明けとなり、所々で写真撮影の為停まりながら土小屋を目指す。
え〜ちゃんが「天気が良いのは私のせいや」とうるさい。
そんなん単なる偶然じゃよ。何にしても天気が持って
良かった。


07時前に土小屋に着き、私の折り畳み自転車をデポし長尾展望所へと下る。面河スカイラインの黄葉は素晴らし
かった。この辺りから見る石鎚は見事な程に尖がっており、幕岩が朝日を浴びてその陰が長い筋を縦に引いている。
そこを歩いた者だけが抱く事が出来る感動と満足感の光景だ。


駐車場にて準備をし、いよいよご来光の滝へ出発〜

 
      瓶ヶ森林道で夜明けを迎える                雲が紅くなり車を停めて撮影

 
     石鎚のオーソドックスな形                 子持ち権現のフカヒレ姿


               長尾尾根展望台近くから見る石鎚山


長尾展望所より堰堤まで約30分

沢を渡渉する時登山靴だと濡れるのが嫌で石を飛び転倒し怪我をし易い。それで長靴で歩こうと軽い気持ち
で言ってたら二人ともピッカピカおニュウの長靴だった。途中で履き替えるのも面倒なので最初から長靴作戦
で行く。

川床まで一気に下ると堰堤付近は思った以上に水量が豊富だった。

堰堤よりご来光の滝まで 約3時間

広い川筋のど真ん中をコーナーの分岐まで進む。ヘルメットを背負った二人組が右手の岸辺を歩いているのを
見て「あっちに道がある」と二人が不安げな視線浴びせるが無視。


青いビニールがある迂回路へは行かず、取り敢えず次の渡渉地点までは沢沿いを進む事にする。その様子で場合
によっては全て沢を歩こうという魂胆だ。要するに沢歩きというスタイルに慣れてくると、迂回や高巻きをする
よりなるべく落差の無い沢沿いを進む方が安全なのである事がわかったのだ。


先頭に立って沢を歩いていると長靴の中に水が入って足が冷たくなった。え〜ちゃんがその様子を見て「エン
トツさん その長靴穴が開いてまっせ」と言う。
(私のHNはエントツ山なのだが、めんどうなのか略してエン
トツさんと呼ぶ。)

確かに良く見ると私の長靴はボロボロで穴があちこちに空いていた。そうか、夏場の藪山歩きでマムシ対策に
この長靴を愛用していたのだ。


 
  堰堤へ下がる釣り人道から石鎚を見る          急な坂にはロープがある  ピカピカの長靴の二人

 
    堰堤に下りる    水量が多い                     川床を歩く

 
       花好きなおじさん                            三筋の滝

 
 エントツさん 頼んまっせ  こんな道〜                 平成どじょう淵  正式名は深淵

 
      エメラルド色やね                        まだこの辺りでは余裕の二人であった

 
   道なんかないじゃん                        渡渉には長靴が有利だが・・・

 

沢沿いルートは深い渕などがあり沢歩きの醍醐味を味わえるのだが、二人は沢歩きが慣れていないので歩きづら
そうだ。結果として次の渡渉地点まで1時間以上かかってしまった。

このペースでは土小屋へ着く頃にはゲートが閉まっちゃう。この時点で全て沢伝いを歩くことを早くも諦める

第一渡渉地点から七釜を越えるまでは沢の右手(右岸)に沿って登山道がある。やはり沢より登山道が歩き易く
少しペースが上がってきた。 次の渡渉地点で左側へと渡り返すと
今度は沢を右手に見ながら並行に登山道が付
いている。

一箇所 魚止メの滝近辺で登山道が崩れて谷へ滑落の危険性がある場所に来た。そこは左手に迂回すると、上側
の登山道へ続いていた。この道を進むとご来光の滝まではずっと高巻き道となるので、又下側の道に復帰する

暫く行くと崖を沢に下りるのだが、ここはロープや木の根があるので心配ない沢に下りるといちだんと大きな
岩がゴロゴロしているのでルートを決めながら歩く。


沢歩きは思ったよりも腹筋や腕の筋肉を使うので二人の明日の筋肉痛が見ものだ。又右側に渡り少し歩き、次の
渡渉地点は結構水が深い。ここでえ〜ちゃんの長靴が水没する運命が待っていた。



                      七釜の風景

 
七釜を過ぎて渡渉する 長靴履いてるのに水に入らないの?   紅葉もそこそこありました

 
       バランス岩を過ぎる                    紅葉の景色を振り返る


左側に絶壁の岩が節理を持ってせり上がりその上に樹が絶妙に生えている。こういう風景は沢を歩かなければ
知る事のない風景だ。右手に見えて来る南沢の合流点にある滝は美しい黄葉の樹が一本張り出しており良い
雰囲気である。


大岩が両岸から張り出した関門を通過すると例の難所を避けるため左上へ迂回路がある。あの難所はこの二人
には無理と踏んで左へ這いあがろうとするが、え〜ちゃんが「
Reiko さんも難所へ言ったんじゃあ?」と聞くので
「ああ その通りです」 「それじゃあ 我々も逃げるわけにもいかん」と来たもんだ。
「どうなっても知ら
んよ」と沢をそのまま進む事に。


       
          沢から立ち上がった岩  お気に入りの場所だ

 
南沢入り口の滝  南沢にはここから入って行く              関門岩  正式には石門


さて、難所に着いて私が先ず見本を見せて・・・ あれ? 今まで何度もここをクリアしているのに、何と鋲付
き長靴が岩を全くグリップしない。 おかしいと思って靴裏を見ると鋲は飛んでしまったり曲がって横になって
るもの、ちびて丸くなっているものとまともな鋲は1本もない。今シーズンの藪歩きにヘビ対策としてこの長靴
を酷使してきたのだったが、知らぬ間に底がさっぱり機能しない状態になっていた。


その様子を見てえ〜ちゃんは岩の上側へ這いあがったのでReikoさんやKeitann さんと行った上側の迂回路へ進む。
斜面は湿っていて滑りやすいのでここはザイルを前方の木にかけて安全に下りる事にする。


ここをクリアすれば後はもう大きな岩を避けてひたすら滝を目指す。


  一見何でもない岩なのだが   (左の斜め岩が滑りやすく難所となっている)

 
この長靴では滑って先の平らな岩に取りつけなかった        左上に迂回して先の崖をロープで下る

 
    ご来光の滝が近づいてきた                   大岩の上でしぇ〜


                       石鎚 ご来光の滝


            滝も迫力満点だが周りの大岩も半端じゃない

滝につくと男性が一人いて、入れ替わりに愛大小屋コースへと行った。見ると滝の右壁面に二人がへばり
つきザイルで岩登りをしているではないか。
この二人は沢に下り立った時に会った人達だった。

え〜ちゃんとKamatama さんはご来光の滝が近づく辺りからこの迫力ある滝の姿に大感激の様子だ。やはり
一緒に来た者としてはこれだけ喜んでくれると甲斐があったというもんだ。

滝近くの岩に座ってレスキューフードのカレー、牛丼、シチューをザックから出して岩登りを眺めながら昼食
とする。
Kamatamaさんがお湯を沸かしてインスタントのコーヒーを作ってくれた。


                    間近から見るご来光の滝

    
                  縦で見るご来光の滝


                 右手の岩に二人が張り付いている


ご来光の滝より愛大小屋まで約 1時間30分

さて、あまりゆっくりとはしておれない。いよいよ愛大小屋へ這い上がる。

ご来光の滝から左手岩壁に沿って小さなガレ沢へと進む。ここに赤テープが残置されているが、適当に小沢へ回り
込めば良い。後から付いてくる二人はテープが無いと非常に不安の様だ。 だから赤テープを見つけると「ホラ 
登山道ですよ」と目から入る精神安定剤を与える。


小沢を這いあがり、尾根部を回り込むと後は右手の斜面を這いあがる事になる。ここは間違った赤テープが残置
されており、そのままテープに沿って進むと本沢分岐には出る事が出来ない。テープを無視して尾根へ這い上がる。
二人の様子から不安そうなムードがアリアリだがお構い無しに先へ進む。


先に尾根部へ這いあがると、向こう側へ少し下がった場所に踏み跡がある。一旦そこまで下がって確認の後、尾根
まで上がりなおして二人を連れて「登山道に復帰」


このすぐ先が本沢と愛大小屋との分岐となっており、大きな樹がある特徴の場所を二人に教える。将来こういう
分岐を知っておくと土地勘が違ってくる。
この辺りから見上げる石鎚二角獣は迫力満点だ。

 
   ご来光の滝から上側の尾根筋へ進む            本谷・愛大小屋尾根の分岐点


分岐から
は左側の尾根に沿って愛大小屋へと這い上がっていく事になる。尾根は想像通り黄葉が美しく、振り返り
ざま石鎚南岸壁群を眺める最高の場所である。
二人に「素晴らしい場所でしょ?」と声をかけても息が荒く下を向
いたままだ。
何だかこの辺りにも赤テープの残置が増えている。

尾根筋は一旦右にトラバースしてジグザグを切り、また一瞬尾根に復帰し今度は左側をトラバースして笹原の尾根
に這い上がる。この辺りは背丈と同じ位の笹が覆っているが、ブナやモミの木が笹にマッチして素晴らしい風景を
作る。
「ここいいでしょ?」「・・・・」
会話は全く続かないのでこちらは二人を無視して周りの風景を楽しむ。要は
慣れの問題で、二人もこういうスタイル・歩く環境に慣れれば問題なく景色を楽しむ事が出来る様になるだろう。



                石鎚南尖峰と墓場尾根


左上が北沢ルート、 真ん中が中沢・西沢ルート 、 右下が南沢ルートとなる


   
     上を向いて歩きましょ                  尾根を乗越して左斜面を更に上の尾根に這い上がる


                 左斜面はとても美しい場所だ

 
        尾根筋近く                          尾根筋に踏み跡が続く

 
          笹が深い尾根筋                  振り返ると石鎚の岩壁が聳える


   いや〜〜〜  たまらん風景です    この斜面を左手に上っていく

 
葉の落ちたこの時期だからそこ眺める事が出来る石鎚   は〜〜い  もうすぐですよ〜


笹薮の尾根から左手へ進み今度は急な傾斜の笹薮を10分位這いあがると愛大小屋のある面河登山道に着く。先に
一旦愛大小屋に着きザックを下ろして二人を迎えにいく。
どうもカマタマさんの太ももが攣りかけた様でゆっくり
と上がってきた。



愛大小屋〜弥山分岐〜土小屋   約2時間30分

愛大小屋」は昭和27年愛大山岳会によって建設されたが、その後老朽化が進み平成16年の台風で倒壊した。
そこで愛大山岳会50周年事業として平成18年10月
関係者の努力や寄付、久万高原町の材木提供などによって
完成した。以前この会長である白石さんにここでお会いした事がある。


3人で立派な愛大小屋を見物した後、下にあるバイオトイレを見学。使用後にローラーを右や左に回して微生物を
発動させるしくみの様だ。
ここからはもう一般登山道なので問題はない。

 
     愛大小屋の中で寛ぐ二人               崩壊している場所が2か所ある面河道

谷を挟んで真正面に土小屋が見える。その空間は空を飛ばないと直線で行けないので、翼を持たない人間は左から
グルリと大迂回をしていく事になる。
まあここからは登山道が整備されているのでこの大迂回作戦は意外と石鎚が
グングン早めに近づいてくる。
それでも山襞があるので山腹を出たり入ったりしながら変わり行く石鎚の形を眺め
ながらひたすら歩く。


ガレ場が2箇所ありロープや木道が敷設されている。面河川本谷が石鎚三角点尾根付近にぶつかり右にカーブする
が、その奥は大崩壊地となって地肌がむき出して痛々しい。


ルートはシラベ林に入り、水場が右手にある。案外ここで間違って右手に進む登山者がいるので通せんぼをして
いた。3人とも代わるがわる石鎚の甘露を頂く。


 
  一応 余裕の表情を見せる二人であった           石鎚の形が刻々と変わってくる

 
え〜ちゃんのトボトボ歩きと足が攣ったkamatamaオヤジ           二ノ森方面

 
     二ノ森縦走路分岐                     弥山直下の鉄階段が見える

尾根を乗越し、石鎚登山道と合流するのだが、ここでは鉄階段が上に見え人の声が聞こえる。登山道に上がる前に
え〜ちゃんの車の鍵を預かり、一足先に土小屋に向う。


足早に相当数の登山者を抜き去り、長い木道にさしかかると前から軽装の男性が足早にすれ違って挨拶を交わす。
すぐ
Uターンしてきたので「どうしたんですか?」と聞くと「ちょっと何処まで行けるか歩いて見ましたが、これ
以上は無理です」と言う。水も持たずにそりゃ無理でしょう。土佐弁訛りなので「高知の何処から来たの」「う〜
〜ん 言ってもわからんき・・・ 奈半利という場所です」と言う。


「知ってますよ、あそこの役場では四国百名山・野根山街道を歩くときお世話になりましたんです」 「え? 私
はその役場に勤めて野根山街道の整備もしちょります」って事でず〜〜と野根山街道や室戸近辺の話しが弾む。
もう小走りには行けないので歩調を合わせて土小屋まで歩く。


 
       鎖小屋が解体されていた               土小屋ルートの整備された木道

土小屋にデポしておいた折り畳み通勤自転車で長尾展望台へ下がる。ペダルを踏む必要がないのでちょっと雨が
パラつき風を切るので寒い。長尾尾根展望所には観光客が沢山滝見物に来ていた。え〜ちゃんの車に自転車を
積み
土小屋へ帰ると丁度二人が下山して来た所だった。


ここからえ〜ちゃんの運転で、しこたま「天気が良かったのは自分のおかげやで」という根拠のない自慢話を聞か
されながら西条の武丈(ぶじょう)の湯へ飛び込み3人仲良く国分寺の自宅に帰る。

エントツ山の替え歌  虎舞竜 のロード
     え〜ちゃん カマちゃんの石鎚ロード

     ちょうど一年前に 御来光へ歩いた沢   ♪
            Reiko
さんに代わって 今日はえ〜ちゃんとカマちゃん ♪
     分岐からも沢を歩き 二人はもうウンザリ気分   ♪
         どこまでもグリーンに澄んだ水が 綺麗で  ♪


       
長靴姿の二人は まるで子供のように  ♪
             
微笑を浮かべたと思ったら 良く見るとベソかいてた  ♪
     かまわずドンドン進む僕を 恨めしそうににらんで   ♪
              
渕や沢を渡りながら 「これがまともな道なの?」と言った  ♪


     何でもないような沢で え〜ちゃんが滑った〜   ♪
     何でもない藪坂で カマちゃんの足が攣った〜  
 ♪



         
                石鎚ご来光の滝にご満悦の二人


石鎚「ご来光の滝」はいつ出かけても最高の場所だった。え〜ちゃん、kamatama さん お疲れさんでした〜〜



 
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