平成25年5月2日 峨蔵山縦走
肉淵林道登山口〜峨蔵越〜鯛ノ頭〜二ッ岳〜エビラ山〜黒岳〜日本石〜権現山〜権現越〜床鍋 (約11時間)
峨蔵山縦走 二ッ岳〜エビラ山〜黒岳〜権現山 周回
二ッ岳から峨蔵山縦走路
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである
カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図
連休に長崎から研治がアケボノツツジを見に帰って来たが西赤石の開花が遅れているので峨蔵山縦走に案内する。当初単独で
二ッ岳から西赤石を考えていたが最近山歩きをしていない研治が同行なので大人しく権現越から下山する事に決める。朝、新居
浜の実家を2台で出発、研治の車を床鍋に置き私のラッシュで肉淵林道に入り登山口に着く。近くにセダンが1台停まっていた。
肉淵林道終点登山口〜二ッ岳 (約 3時間弱)
支度をして07時05分登山口を出発。20分程急登を喘いで支尾根部に一旦近づくと直ぐに東側植林斜面のトラバース道となる。向い
のハネズル山斜面がピンクに染まっている。07時50分平らな沢部を越えると正面の山肌もアケボノツツジが多い様だ。やがて登山
道の右手にもアケボノが増えてきて写真を撮りながらゆっくりと歩く。
峨蔵林道終点にある登山口 07時05分出発〜 20分程で一旦コル部に上がり、そこから右にトラバース
右手にトラバース道が続く 07時50分 水場(沢部)を通過
登山道の右手にはアケボノが一杯 アケボノツツジは最盛期〜
ハネヅル尾根にもアケボノツツジが沢山ある 二ッ岳方面の尾根もピンクが一杯
08時30分頃「峨蔵越に到着。 ここから二ッ岳まで標高差400m弱、岩の尾根道一となる。最初に岩稜を1つ越えて登山道に下る
と今度は石楠花の急登となる。この場所に山頂まで1kmの標識がありホッとする。暫く前方に聳える二ッ岳を眺めながら平坦地とな
るが左右にはアケボノツツジの幼木に蕾がびっしりと見え、斜面のそこかしこも沢山のアケボノツツジが咲いており中々の風景に研治
も大満足の様子だ。
08時30分峨蔵越に到着 一つ岩場をクリアする
ハネヅル山(右ピーク奥)方面を振り返る
岩場を下りる シャクナゲの急登となる
二ッ岳(正面右)を見上げる 尾根手前の岩が鯛の頭 左手ピークは南へ派生する尾根ピーク
シャクナゲとアケボノツツジ街道を行く 09時00分 鯛の頭手前にある二連梯子
2連のアルミ梯子を越えると。09時05分鯛の頭横に出る。今までに這い上がった事のない岩山に這い上がる事にする。岩を通り越し
た辺りから細い踏み跡が付け根へと導いており、岩の東側から取り付き這い上がる。雪彦山でロッククライミングをした後だったので
どうって事も無かった。頂上部は細長く安定したスペースがあり、東側には二ッ岳が聳えて、西側にはハネズル山とそれに続く法皇山
脈が続き赤星山のどっしりとした姿が印象的だ。
天気はすこぶる良い。みると太目の白いロープが頂上部から下げられていたのでそれを伝って岩の付け根まで下りる。東側に置いた
ストックを回収して登山道に復帰。
鯛の頭 う〜ん おこぜかな? 適当に這い上がって来んしゃい
鯛の頭 覗き窓 結局二人とも山にハマっちまったのね
鯛の頭 天辺から東側の眺め 赤星山が雄大な形だ
雪彦山以来の懸垂下降で降りましょう 続いてE2号もロープを伝って
鯛の頭を過ぎると高度差のある登山道が続く。09時30分例の「ここから先は命がけ」という三島警察署の標識も残っていた。
ホシガラスがギャアギャアと声を立てている。山頂直下のステルス岩を越えて根っこ街道を這い上がると09時50分二ッ岳山頂
に着き休憩とする。南側の展望所に出て今から歩く峨蔵山の稜線を眺める。数年前に一人でここを縦走した時は心細い思い
をしたものだった。
二ッ岳の名物 鯛の頭 岩場には不思議と天然檜が生えている
懐かしい「大げさな標識」がまだあった 急坂が続く
この岩が見えたら山頂は近い 二ッ岳山頂へ導く木の根街道
二ッ岳〜エビラ岳 (約2時間)
さて、20分程休憩の後いよいよ峨蔵山の縦走路へと向う。標識に従って少し左手に下ると後は一本尾根で迷う事は無い。岩で
行く手を阻まれたらどちらかに迂回してその前にある尾根に復帰すれば良いのである。バリエーションルートを歩く場合、登山道
至上主義だと踏み跡がなくなるとパニックになる。こういう尾根歩きは地形図至上主義に慣れなければならない。
この縦走路の特徴は岩の層が東から西に向っており、西側が切れ落ちている場合が殆どである。それと石鎚・赤石山系全般に
言える事だが、尾根の北側(海方面)への傾斜がキツく切れ落ちており、迂回路が南側になる場合が多い。つまり、今回の様に
東から西に縦走する場合向って左側へ迂回するケースが多いのがヒントとなる。
二ッ岳山頂から一旦下り、踏み跡は正面の岩稜を避けて左手に迂回する。その後石楠花の稜線に復帰すると今度は少しだけ右
手にトラバースする。10時40分そこにロープが架かった岩がありそれを這い上がる。そこを過ぎると潅木と低い笹の稜線となる。
イワカガミ岳と思われるピークからは二ッ岳が良く見える。前方に尖ったピークが現れ左へ迂回する。稜線に復帰し少し右に振る
と何と白い雪が残っていた。数日前の霧氷が落ちた名残だろう。11時00分行く手には例のエビラ山の台形が現れる。先日春ノ筍
さんがエビラ山の南尾根を這い上がったとレポしてくれたピークだ。南側には相変わらずエビラの怪獣が姿を見せていた。
09時50分 第一目標二ッ岳山頂 う〜ん 縦走路は長いなあ
10時12分縦走路に入る 縦走の注意呼びかけ まあ登山は全て自己責任って事ですね
縦走開始10分で左へ迂回する この第一迂回路は約10分で尾根に復帰する
尾根に復帰すると今度は少し右手を進み崖に遭遇する まあ これはロープを使わなくても這い上がれる
10時40分 イワカガミ岳付近から二ッ岳を振り返る 前方には鋭いピーク(無名峰)が現れる現れる
この辺りは右へ左へとコースが揺れる イワカガミ岳 二ッ岳
11時00分 エビラ岳が霞んで見える まだ遠い〜 相変わらず楽しいアップダウン
この辺りからガスが濃くなり雨がぱらつくが大した崩れにはならない様だ。左側にあるゴジラの手もガスに包まれて異様な雰囲気を
かもし出す。概して以前は藪いていた尾根道もしっかりした踏み跡が付いており、左手に迂回するポイントにも沢山のテープが残置
されている。
前方に小さなピークを持ったエビラ山のデカい山塊が次第に迫ってくる。岩を越えブナを眺めて石楠花の大きな幹を潜ると潅木の生
い茂る笹原斜面となりエビラ山に取り付いた。深い笹薮を越えると12時20分「エビラ山」山頂に到着し少し休憩する。案の定天気が少
し崩れてガスが北側から吹き上がり出した。縦走の時間配分としてエビラ山がほぼこの縦走の中間点と見なしても差し支えない。距離
はまだ半分以上残されているが、ここを過ぎると尾根はなだらかに下って行くイメージだ。
霧が出るとゴジラの手も不気味だ 11時20分 ブナの採寸をするも不合格
近くて遠いものな〜んだ? 正解はエビラ山 ちょっと足岩で打ったんだけど
シャクナゲの大木を潜る 11時45分 エビラは近い
これが最後の手前ピークでしょうが エビラ山頂手前は笹薮が濃い
12時20分 エビラ山にとうちゃこ〜 私は自作のチェストポーチ 研治はパーゴワークスよ
エビラ岳〜黒岳〜日本石〜権現山〜権現越 (約3時間半)
エビラ山の西端に出ると手前に黒岳の尖ったピークが見え、その向うに赤石山系の屏風が立っている。エビラ山から下ると直ぐ
に大岩を左に巻き、又稜線に復帰すると前方に黒岳と良く似た尖ったピークが見える。12時40分石楠花藪を越えると2色の布切
れが木に掛っており、そこから又大きく左手に迂回する。以前ここを真っ直ぐ進み岩崖で行き詰った所だ。
10分程で尾根に復帰すると少し笹薮となりブナ林が美しい尾根だ。
振り返るとイワカガミ岳と二ッ岳の二角獣が見える 西側には黒岳から権現山への尾根がガスっている
さて 黒岳に向かって下っていこう ちょっと赤石山系が見えたぞい
バックに東赤石〜八巻山〜石室越〜前赤石〜物住ノ頭が見える 西赤石は雲の中 手前のトンガリは黒岳
12時35分 一旦大岩を左に巻く 2つ目のトンガリが黒岳
12時45分 左へ迂回する場所に2色の旗が 何じゃい この花は?
12時55分 まだ黒岳の手前には1つピークがある ちょっとクロズルと笹薮が・・・
おう 中々の尾根風景じゃ
13時10分又大きく左へ下がって岩尾根を迂回する。これを尾根に復帰すると13時20分 黒岳の狭い山頂に着き行動食を取る。
休憩していると鈴を鳴らした単独登山者が反対方向から上がって来た。この珍しい訪問者は何と鹿児島から来た中浜さんという
若者でで四国の山が気に入り相当歩いている様だ。
13時10分 又左へ迂回 ここは5分程で尾根に復帰
エビラ山が後ろに大きく控える
シャクナゲの蕾がある 13時20分 黒岳到着〜
何と鹿児島から四国の山を歩きまわっている中浜さん さて あと権現山一つや〜
前日も五代ヶ森へ登ったと言うし、この山名も「ごよがもり」と言ってたから相当通な人だ。今日は土居側から来ようとして林道が
通行止めの為床鍋へ回ったので遅くなったと言う。四国外からもこの四国山脈が気に入ってくれる人がいる事は実に嬉しい事で
ある。この方がエビラ山まで行くと言うのでお別れして13時40分黒岳を後にして北側から吹き上がってくるガスに霞む日本石へと
下る。
峨蔵山縦走の終盤尾根 右:日本石 権現山方面はガスに隠れる
直ぐに懐かしいザレ場を越えて忘年会をした黒滝へのコルを抜けて更に下りて行く。笹薮の尾根となり縦走尾根を外した右手に
岩場が見える。13時55分ここに「日本石」のアルミ標識を発見。縦走尾根から見ると岩の尖がりや絶壁は良く見えない。
下に走る高速道路から谷間に見えるこの辺りを眺めると斜めに傾いた稜線の二つのピークに角が2本生えた様な、丁度「傾き山」
に似たピークが見えるのだ。このうち西側に張り出した岩山が日本石である。(二本石とも呼ばれるそうだ)今日は権現山までの
縦走だから余裕があるのでこの日本にも寄る事にした。
踏み跡に導かれて藪っぽい場所を出っ張りに進む。ここは岩山と言うよりは崖だった。北側の端に出ると岩のトンガリを持ちなが
ら崖が落ちている。高速道路辺りも眺められる。今日は鯛の頭とこの日本石に訪問する事が出来て満足である。
日本石へ向かって下る クジャク石などがあるザレ場を下る
懐かしい忘年会場所 ここから黒滝へも下れる 笹と灌木の藪尾根
少し笹薮を左に迂回する (振り返ると黒岳が見える) 13時55分 尾根に日本石の標識がある
藪をかき分け天然檜を抜けると岩場に到達 日本石から黒岳をバックに その向こうにエビラが覗く
日本石の北端は崖となっている 日本石
日本石にて 東赤石をバックに
14時15分縦走路に復帰して南側斜面にトラバース気味に下りて行く。この辺りから尾根が少し南側に湾曲しているので振り返ると
ガスの切れ目から黒岳が顔を出す。さてこの辺りから笹薮が出現し、潅木と笹の良い雰囲気ではあるが権現山まで退屈な歩きと
なる。
権現山まではニセピークが二つもありガッカリしながら次のピークへと進まなければならない。一部笹は深いものの全般的には以
前と比較にならない程歩き易い。日本石を過ぎた辺りから研治のヒザが少し痛くなったらしく少しペースダウンして歩く。
尾根が南側に湾曲するので振り返ると黒岳、エビラ岳がデンと構える
ちょっと笹が深い この辺りから笹原が続く
なだらかな笹原が権現山まで続く
日本石 黒岳 権現山手前のピーク
15時15分通りすがりの権現山に到着。アケボノや鯛の頭、日本石への寄り道を考えるとまずまずのタイムだろう。権現山から鉄塔
に向けて下っていると権現越まで5分という標識があり「無理〜」と叫けぶ。ダラダラとガスに覆われた下り坂を歩く。近道になりそ
うな四国電力の鉄塔巡視路を下ろうかとも思ったが以前に研治とここを歩いているので権現越ルートで下山する事に。
研治にゆっくりと先に行ってもらい、その間に権現岩を訪問する。ここには立派な法皇権現の祠があるのだが、石板は割れていた。
研治を追いかけ15時55分「権現越」に到着。
15時15分 最後のピーク 権現山に到着 まあ 何て事ないピークだけど到達感だけはあり〜
え? 権現越まで5分? 鉄塔を越える
法皇権現の石碑が壊れていた 権現越に進むE2号
権現越〜床鍋下山口 (約2時間半)
相棒のヒザの具合はあまり良くない様だ。ここから足場の悪い下りが続くのでキツそうなのでゆっくりと下山する。権現越からガレた
道を少し下がって沢の近くで道を失う。どうせ先で登山道が左岸から右岸へ渡渉ポイントがあるので適当に沢筋に沿って下がってい
ると登山道に復帰した。
15時55分 峨蔵越で休憩するE2号 沢の左岸に沿って下る
16時20分 沢を右岸に渡る ちょっと膝が痛々しそうや まあゆっくりいこか
16時20分沢を渡り右岸のしっかりした登山道を下る。大岩の横に見覚えのある丸木を組んだ橋があり、これを過ぎて植林地帯に入
る。17時頃から一度自然林の美しいコルとなり、やはり山歩きは明るい自然林が良いと実感する。アセビが密生した斜面を下って行
くと17時15分鉄塔巡視路に合流した。
登山道はしっかりして分かり易い 16時25分 大岩の横を通過
美しい自然林の中を歩く 17時00分 アセビの林を下る
17時15分鉄塔保線路に合流 炭焼き窯跡
ここの分岐は少々ややこしくて5m程下側へ下りる踏み跡が頼りない。従ってここを逆に登っていく時は気をつけないとまっすぐ鉄塔
保線路に進んでしまう。まあ結果的には権現越近くに到達するので同じ様なものなのだが。
鉄塔保線路に入ると直ぐに沢部を横切る。さらに次の鉄橋が2つ並んだ沢部にある山芍薬はまだ蕾だった。保線路には要所に鉄橋
が敷設されており快適なのだが、久しぶりに下る床鍋への下山道は右へ右へと尾根を巻き、植林地帯も多く退屈で長かった。
17時17分 沢部の鉄橋を進む 17時25分 又2連の鉄橋がある
沢に下りるとヤマシャクの蕾が沢山見られた この場所を越えると標識がある
18時00分「床鍋・権現越」の大きな標識があり左へ下る。植林の薄暗い登山道をダラダラと下ると道路が見えて18時20分床鍋へ下山
した。ここから車を置いた幹線道路まで歩き、肉渕林道終点部に置いた私の車を回収し、おふくろさんの待つ新居浜の実家に帰る。
18時00分 標識に出会う 18時20分 やっとこさ床鍋に下山する
久しぶりの峨蔵山縦走はアケボノツツジの峨蔵越に魅了され、鯛の頭、日本石も訪問出来た。以前より縦走尾根は歩きやすくなって
いた印象だった。二ッ岳〜権現山縦走は今やバリエーションルートでは無く、誰もが挑戦出来るものとなっていると感じた。
以前の峨蔵山縦走は ここ