平成2523日 石鎚山系のランドマーク 「K2」 沓掛山・黒森山を新居浜側から周回
        トホホ
惨な結果が待っていた


大永山・河又(約480m)〜沓掛北東尾根〜沓掛山(1,691m~黒森山(1,678.4m)〜シャクナゲの尾〜
電発鉄塔(
1,387m)〜 黒森東面・鉄塔保線路を含む)〜河又
 (L・S・D・N=ロング・スロー・ディスタンス・ナイト)


                沓掛北東尾根〜沓掛山〜黒森山の東岩壁 (登山の翌週撮影)


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを使ったGPS・トラックログ図による 河又からK2(沓掛〜黒森周回ルート図)

 

石鎚山系のランドマーク K2 (沓掛山・黒森山) とは


              前赤石より石鎚山系のランドマーク

赤石山系から西を眺めると石鎚山は誰にでも同定出来る。さて、寒風山、笹ヶ峰となるとどうだろう?  まず、笹ヶ峰
の北側にある沓掛・黒森の姿を探してそれを元
に位置関係から同定を行っていないだろうか。それほどこのセット姿は
一度見ると
忘れる事は無い。しかしながらこの2山は標高が少し低い為沓掛山南面を除きほとんど樹林帯なので実に登
山としてはマイナーな部類に入る。けだし石鎚山系の名脇
役である。

この沓掛・黒森を新居浜側から登るルートに挑戦してみた。


登山口  (新居浜市) 県道47号線大永山トンネルへの登り口付近=河又


ヘヤピンカーブ手前の広場に駐車して正面の林道へ入り渡渉し尾根に取りつく   正面が沓掛山、右が黒森山
         (すぐ上に橋があるので渡渉の必要はなかった)

新居浜を流れる国領川に沿って県道47号線が大永山トンネルを経て旧別子山村へと続いている。(マイントピア別子、
西赤石山日浦登山口へ行く道としてご存知だろ
う)
国領川は立川の奥、端出場(はでば)・鹿森ダムあたりより足谷川(小女郎川)と名前を変え、更に奥に進むと清滝
トンネルを抜けて左に鈴尾谷川が分岐する。(この辺りの
地名が河又) 更に足谷川本流はその少し上部で土山谷川
(左)と本谷川
 (右)に分岐する。(河又)

ちなみに川が合流する場所を上流側から見た呼び名は川内、河内、落合、川合、川井、川相などがあり、逆に下流側か
ら見た呼び名としては河又、川又、河俣、川股、二俣などが全国各地に付けられている様です。足谷川でも御多分に漏
れずこの辺りを河又と呼ばれていた様です。更にこの辺りの山はほとんどが大永山という地名が付いております。)


この土山谷川と本谷川の分岐点が今回の沓掛山北東尾根の取り付き点とした。(標高約480m)子供の頃の記憶では
やはりこの辺りを河又と言い、川筋に住友関係の保養所があり親父に
連れられて来た事が何度かある。附近に駐車場が
残ってりのはこの名残だと思われる。
県道47号線はここで左にヘヤピンカーブを描き山に入って行き、鈴尾谷川沿いに
大永山トンネルへと向う。


四国のK2へアタック開始〜

車を運転しながら足谷川に沿った深い谷間を進むと右上に一際厳しい山容の岩壁が朝日を浴びて赤茶けてそそり立ち、
その上に下弦の月を置き実に美しい。普段なら「あ〜ええ景色
やなあ」で終わるのだが、今日はあの天辺を歩くのだ
と思えば不安と緊張で気分が
引き締まって来る。

ヘヤピンカーブ(河又)の広場に車を停め登山準備にかかる。数日前から暖かい日が2〜3日続き山の雪も少なくなっ
た様である。重い
10本爪アイゼンは持って来ず本爪アイゼンをザックに入れる。それとどんな尾根かわからないので
自分ビレイ用
のスリング(4本繋いだもの)も持って行く。

準備を終えて車のライトとドアのロックを確認する。以前寒風山で車のライトを消し忘れ悲惨な経験があるし、ドア
を閉めたかどうか登山中に不安になり落ち着きが
無い山行になるのも嫌なのだ。

0730分気合を入れて出発。土山谷川側へ延びる未舗装林道に入り川への下り口を探し、浅瀬の川石を渡る。テキトー
に藪に分け入ると右手の沢(本谷川)に小さな砂防ダムが見えた。
尾根の最初は左半分が伐採地で藪化しており右半分
が植林地帯として残されてい
る。

直ぐに荒れた林道が横切っていた。(この林道は地図には無い)この辺りは一度伐採された左斜面が幼木やカヤ、タラ
、イバラや蔓となり悩ま
されながら植林地帯に沿って延びる踏み跡を上へ上へと進む。

0750分車をデポした場所が見えるので眺める。するとしばらくして携帯電話が鳴る。マーシーさんからで「車を見た
から電話しました。何処へ行くんですか」「沓掛・黒森
の周回やけど一緒にどう?」「面白そうですねえ  でも今日は
仕事がありますから別子
山経由で帰ります」と言うことだった。植林の成木地帯となり、尾根部を進むと前方が崖とな
り08
15分広い林道に下り立った。

 
鈴尾谷川の対岸にある取りつき口を確認         鈴尾谷川へ下りて渡渉する

 
     適当に前の尾根に取りつく                  右手の本谷川にある砂防ダム

 
        植林帯と伐採地の間を歩く              振り返ると県道47号線のヘヤピンカーブが見える

 
       尾根部を選んで進む                      08時15分広い林道が眼下に見えた

右手に広場があり次回はここまでは車で来れそうだ。林道はここで左へヘヤピンカーブしているが、別な支道が更に
山裾を伝って黒森山の下方面へ延びており、帰
りはこの林道を歩く事になるのだろうと予想出来た。少し道路を右手
に進み山の全体を見る。正面に黒森山からシャクナゲの尾にかけて
東斜面が拡がっているが、沓掛山への尾根は最終
部のデコボコのみ見えるがその下は今か
ら歩く尾根に隠れている。

尾根に入ると5分位で直ぐ林道に出る。0828分再度緩やかな尾根部に又突入する。岩と植林の中を暫く踏み跡を探
しなが
ら進むと、0848分右手にネットが張られている場所に出くわした。あれ?  ここにも鹿害があるのかな?
 このネットに沿ってドンドン上がると何と09
時00分植林広場に着いた。

地図には無いが林道がここまで延びており、辺り一面昔先代の繁松爺さんとスミエ座で見た日露戦争・二百三高地の
戦没者墓標の様な風景が目に飛び込んで来た。
なだらかな植林伐採地を高いネットで囲い杉の苗を植え、一本一本白
い鉄製チュー
ブでラップ保護しているのだ。手間とお金がかかる作業だと思う。

(翌週、この伐採・植林地まで車で来れないか調べたが、下の林道からは住友林業の私設林道の為チェーンがかかり
ここまで車で上がる事は出来ない。)

伐採地のお蔭ですこぶる展望が開けているので少し右手の道路を進み、這い上がる尾根と下山する鉄塔保線路の斜面
をじっくりと眺める。特に下山ルートになる鉄塔
を目で追う。尾根に有る鉄塔から3本目の鉄塔まで下りれば比較的
緩やかな斜面と
なっている。「よっしゃ〜 行くぞ」と気合を入れて叫ぶ。


   黒森山 (左) と 黒森南峰(右)   右手前からの尾根が黒森バットレスだ

 
この林道を伝って黒森山の鉄塔保線路から下山する予定   又 テキトーに尾根に取りつく

 
この辺りは藪っぽいがスペースは十分にある      植林地帯をどんどん登る

 
    あんりゃ  ネットが現れたぞい        道路の上には更にネットで囲われた植林地帯がある
                           尾根上に電源開発227号鉄塔が見える


   ありゃ〜  こりゃまさに203高地の墓標みたいじゃ  (09時00分)


   前面に展開する黒森・シャクナゲの尾 東岩壁  尾根から鉄塔が4本見える 
   (この3本目まで鉄塔保線路を夜間辿る事が出来た。電源開発鉄塔作業路に感謝)

雪が積もったネットに沿って斜面に取り付いて行くと0912分電源開発の鉄塔があり伊新線227号とあった。この鉄塔と
白い戦没者墓場が帰りの目印だとしっかり
目に焼き付ける。

さて、この鉄塔からいよいよ本格的な尾根歩きが始まる。鉄塔を過ぎると雪が深くなり斜面が滑るので6本爪アイゼンを装
着する。
0917分尾根を横切る作業道があったが、構わず尾根を進む。雪の尾根には例に漏れずイノシシの足音が続いて
いる。辺りは周囲30〜
40センチの比較的若い植林が拡がっているが手入れが悪いのか木肌が荒れている。

09
時45分植林はまばらに見られるものの細尾根となり厄介なシャクナゲが現れた。尾根には踏み跡は無く、シャクナゲ
の枝や小木や岩で雪とあいまって歩きにくい。
10時00分右手が少し開けた場所があり「シャクナゲの尾」の無機質な岩壁
が見
え、急登を喘ぐ。10時20  二本の足が生えた樹があり、そのツイントンネル付近に窪地があり、何か道がクロス
している雰囲気だが確認すると道では無かった。



 
   苗木一本がこのケースに守られていた               上から覗くとこんな感じ

 
電源開発 伊新線 鉄塔第227号  09時11分通過       左後方にチチ山が見える

 
     イノシシの足跡を追う              09時58分 次第に雪の量が増え、シャクナゲも出て歩きにくい

 
   ヒメシャラ、ツガ、シャクナゲ                 右手に黒森山からシャクナゲの尾が見える

 
    急登とツボ足で速度が上がらない            10時20分ンツイン・トンネルを通過


そこから又細尾根の急登となり岩やヒメシャラが現れる。左手が少し開けたので覗くとチチ山らしき鋭い山が見える。
地形は複雑で平坦な場所も出てくるが当然の事
ながら概ね傾斜がキツイし岩とシャクナゲの殿堂である。10時50
急な傾斜の右手にシャクナゲの尾が見え、ますます雪の量が増えるのでな
るべく左側(南)の日当たりが良い場所を選
ぶ。しかしそれとてシャクナゲが生え
た崖があり思う場所は選べない。左手にはクロマツ越しに笹ヶ峰のボリュームた
ぷりな山塊を覗く。

11時10分急登を這い上がると少し平らな地形となるが、前方にはとんでもない垂直のピークがそそり立っている。唯
一の救いは岩場ではなく樹がそこそこ茂っている
事であるんだが・・・げ〜〜 あれを這い上がるんかい!

 
   岩とシャクナゲの尾根を進む                細尾根にあるのは天然檜だろうか

 
 左のクロマツ越しに笹ヶ峰の斜面が見える            11時07分  ゲ〜〜  何や この傾斜は!


11時30  オーバーハングの岩が現れ度肝を抜かれる。右手を捜すが迂回斜面はアイスバーンになってとても這い上
がれない。難しいと思われた左側に這い上がる
ルートを見つける。そこを這い上がると背中側が開けて赤石山系の山々が
一塊(ひとかたまり)に
なって見える。

いつも西赤石山からこの沓掛山を眺めているんだが今日は逆の立場だ。左手には地図にもある沓掛山の垂直に近い断崖絶
壁がそそり立っている。
尾根の左手に振って前方を見上げると樹木の向うに更に尖ったピークが見える。時刻は1200
分近くになり、まだこの時間に尾根を這い蹲っている厳しい状況を自
覚する。

10メートル程の垂直岩が出て来て、迂回しようかと迷ったが丁度良い場所にしっかりした木が生えていたのでスリング
を投げてセルフ・ビレイで岩の割れ目に沿っ
て這い上がる。時間がかかり効率の悪い尾根だ。右手の迂回斜面はどこも雪
が凍結して
本爪アイゼンの刃が立たない。10本爪を持って来なかった事を後悔しながら木の生えている場所を選んで這
い上がる。


 
       束の間の緩やかな尾根                自分の影だけが今日の相棒だ

 
           左に迂回し                        右に迂回する


 11時40分   背中に広がる赤石山系  いつもは向こうから眺めてるんだけどなあ・・・・

 
     左手には沓掛山の絶壁                   11時50分 おえっ  更に高みが続く

 
ヨイショ〜  うまく引っかかったぞ セルフビレイのスリング  もうお昼だんだけど迂回出来る所は労を惜しまず迂回する


12時25分細尾根になると岩の展望所があり左手にチチ山の全体が見渡す事が出来た。マーシーさんと這い上がっ
たチチ山北尾根も見える。あれに比べれば地図上の
平面図では3分の2程の距離なんだが困難度で言えば比較になら
ない。チチ山の東側
には平家平あたりの稜線は凹凸が無く、大座礼山らしい形の良い山塊がその向うに構えている。

30分程シャクナゲや天然檜の藪岩尾根を黙々と歩く。1320分雪深い急斜面を立ち木に助けられて支稜線に這い
上がる。ここが沓掛山の
西条側登山道かと思ったが甘かった。右前方に向って細尾根が延び更にピークが続いている
のだ。GPSと地図で現在位置を確認するが沓掛山へはまだ距離がある様
だが右手に見える黒森山の稜線部までの高
度差は近くなった。


全身の筋肉を総動員してこの厄介な雪尾根を先日の瓶林壷足歩行を思い出しながらヨロヨロと進む。左手に見えるチ
チ山と笹ヶ峰が大きく近づいて沓掛山の縦走路が
近くなった事を感じる。13時40分覆い被さるような大岩の裂け
目を通り抜け、這い上がってきた尾根のピー
クを眼下に眺める。

 
   う〜〜ん どちらに避けても雪が深い              チチ山の北斜面を眺める

 
も〜〜 シャクナゲさん  カンベンして〜〜              スペースがあるとホッとする

 
   キャイ〜〜ン  がんばれ自分の太もも             雪の尾根が続く


 
  GPSで位置確認  まだ山頂まで距離がある がっくり        ブナの風景に癒される

 
      更に急斜面が続く                 13時43分 大岩に唖然とするが裂け目に沿って上がれた

 
13時57分 オーバーハング岩で左にも振れ難く沢の上を右に越える  14時00分 這い上がって来た尾根を見下ろす


14時07 左右が切れ落ちた痩せ尾根を通過。距離が無いのと右斜面の雪が固いので問題なし。右手に最後のピー
クたる沓掛山が見える。あ〜やっと第一目標をこの
目で捉えることが出来た。1420分尾根部を越えると前面に笹ヶ
峰の大ボリューム姿が現れた。尾根の右手に
は黒森山の絶壁が垂直に切れ落ちており迫力がある。

1424分沓掛山登山道に出る。あ〜〜 長かった〜〜西側には西黒森山の尖がり、瓶ヶ森、石鎚山が見え、この
予土県境稜線の向うにか
ろうじて手箱山・筒上山が顔を出している。不恰好な笹ヶ峰の右肩に寒風山の尖がりと伊予
富士のギザギザ頭が見える。
沓掛山の南面は笹原の雪は太陽の熱で殆ど消えていたが、登山道だけ厚く雪が残って歩
きにくい。


14時35  沓掛山の頂に到着。 やった〜〜 でも予定では遅くとも昼までにはここにいる筈だったのだ。結局、
取り付きから
7時間もかっかって第一目的地に到着した訳だ。これを大誤算と言うのか、元々甘く考えていたのか ・・・
 兎に角 これも自己責任なのだ。


 
     14時06分細尾根に入る                距離は短いが左右が切れ落ちた場所がある

 
  おっ  これがホンマに最後のピークじゃろ       14時20分尾根部に飛び出すと前方に笹ヶ峰が姿を現す



        尾根の右手には黒森山の絶壁が見える

 
のっぺりした形の笹ヶ峰  一見雪が少なそうだ        沓掛山の南面は太陽の熱で登山道しか雪は見られない


   大座礼山                     平家平    冠山    チチ山の別れ   チチ山


        寒風山   伊予富士  東黒森    手箱山〜筒上山(後側)   西黒森 瓶ヶ森    石鎚山

 
14時35分 やっとの事で沓掛山にとうちゃこ〜〜   あ〜〜長かった    ン? でもまだ道半ばなのだ


これまで朝からリンゴジュースとお茶だけで食べ物は摂っていない。山専ボトルにお湯を入れ、金ちゃんラーメンや
コンビニの恵方巻きを持って来たが
のんびり食ってる余裕はナッシングゥ〜  孫のおやつ「ビスコ」を一個食べて次
のチェックポイント黒森山へ向けて出発だ〜

沓掛山から黒森山を見るとマンガの様に尖ったピークが二つ並んでいる。この奥側が黒森山である。沓掛山〜黒森山
間は日陰部分が多い為沢山の雪が積もってお
り、気温が高かった為固まっていない。これも誤算で沓掛山からの下り
斜面は最近
開眼した尻セードで良かったが、1454分斜面を滑り降りるとその先は壷足歩行となる。

ダイモンジソウが咲く大岩やトラバース路を越え、更に重箱岩を過ぎて1515分岩展望所に出て沓掛山の雪深い斜面
を眺める。やはり陽の当たらない北側は雪が白く
残っている。

1528分雪の稜線を下る。「シャクナゲの尾」の鉄塔が見え、その向こうに新居浜の街が広がっている。あ〜あそ
こに帰れるのは一体何時になるんだろうか・・・


黒森山の手前で東側の崖下が見えたので覗くと、例の墓標伐採地が雪を被って良く見える。何だか近い気がして嬉し
くなる。
1540分「黒森山」の狭い頂に立つ。ここから赤石山系の眺めがすこぶる良い。這い上がった尾根を岩テ
ーブルから恐る恐る身
を出して眺める。以前マーシーさんがその辺りに散らばっていた石柱を集めたが、当時のまま
だっ
た。

 
7時間の沓掛北東尾根との格闘だったぜよ            さて、黒森山へ向かうことにしょう

 
  あかん  ここも雪が深いわ                   ダイモンジソウが咲いていた大岩を通過



 
大岩展望所から赤石山系や這い上がって来た尾根を眺める  第一ピークを過ぎて一旦急傾斜を下がる


シャクナゲの尾が新居浜の我が家の裏まで続いている   新居浜の町よ 待ってろよ〜 何時になるかかわからんけど

 
       こんな細尾根 あったっけ?             15時40分 K2の2つ目 黒森山にとうちゃこ〜


   串ヶ峰  上兜山    兜岩   西赤石  前赤石 こまどり尾根 八巻山 東赤石山(最奥のドーム)


黒森山テラスより赤石山系と 朝通過した伐採・植林地を眺める   近そうなんだけどなあ


       7時間もかかって這い上がって来た沓掛・北東尾根をしみじみと眺める

 
    黒森山には三角点の石柱が3個もある         さて、シャクナゲの尾分岐に向けて出発〜



さて、もう明るい内の下山は諦めて少しでも最初の厳しい斜面を下りるべく、「シャクナゲの尾」に向う。雪の細尾根は
尻セードをするとあらぬ方向に滑落してしまうので使用不可。雪を割
りながら踵で下りる。

16時00分前方にピークが見え、この辺りが「シャクナゲの尾」分岐の筈だ。尾根の右手にシャクナゲの尾とそれに続く
鉄塔が見える。思ったより尾根がナイフリッジ
となって鋭い。

この分岐に注意を払いながら雪深い尾根を進むと1605分分岐に着くとテープが沢山木に貼られていた。ここからいよい
よ「シャクナゲの尾」なのだが、当然の事ながらシャクナゲが縦横
無尽に枝を伸ばしまともに歩けないばかりか、雪が深
くて思うように歩けない。


10分程進むと一箇所注意が必要な場所があり、崖に行き詰る。左は雪の崖となり、右も一見岩崖なのだ。ここは良く見る
と厳しそうな右側の岩崖に沿って切り抜
ける細尾根を下がるルートがある。後は危険な場所も無くひたすら尾根を外さずに
進む。ここにも大きなピークがある
が標高差300m弱を鉄塔めざして下っていく。

朝、北東尾根から眺めた「シャクナゲの尾」から今度は伐採地の白い雪や鉄塔を眺める。黒森山の絶壁や沓掛山の北東尾
根をチラチラ見ながら尾根下りを急ぐが、深い雪や
てシャクナゲの抵抗に遭い一向にスピードが上がらない。16時40
岩尾根ピークを過ぎた辺りに大きく掘れ込んだ岩窟があり、以前マーシーさんとここで写真
を撮った事を思い出した。

1705分前方に電源開発231号鉄塔が見えてホッとするが日没が近づきライトを準備する。


 
    もう雪山は当分イヤ!! ズボズボやん      先に見えるピークがターニングポイントよ


   おいおい 「シャクナゲの尾」ってこんなにナイフリッジだったっけ?

 
16時00分 テープが沢山ある「シャクナゲの尾」分岐に着く  シャクナゲをかき分けて細尾根へ突入〜

 
   急降下ポイントは右側から下がる         グングン高度を下げる

 
   黒森山が遠ざかって行く             眼下に例の伐採・植林地が見える

 


         さすが 黒森山の絶壁は迫力あるわ〜

 
いつも気になる伐採・植林地と鉄塔          細尾根のピークあり

 
以前マーシーさんと潜り込んだ黒森又兵衛の住処      大岩クン ゆっくり歩きたいわ

 
  電線が西条方面へ伸びている        きゃ〜〜 鉄塔クンのお出ましや もっとこっちにお寄りよ
                            電源開発鉄塔231号クン


実は夜間歩きは想定していなかったのでペツルの簡易ライトとヘッドランプ1個しか持っていない。(夜間歩行を想定
した場合は余分に手持ちの強力ラ
イトも持参するのだが・・・)う〜〜ん   何とかライト無しで歩けるのが後1時間
・・・


次の鉄塔までは明瞭な雪の保線路が続く。17時32分電源開発230号鉄塔についた。だが、あたりは雪だらけて次
に進む鉄塔保線路を探すが見つからない。
一旦下側に進むがそこから急な下り尾根となっており、又鉄塔の南側を眺める。
雑木が切り
開かれていて雪が積もっているが、そこに下りても道が無い。仕方なく細尾根を下る事にする。

地図で確認するとこの尾根は下で崖状になっているがそこを凌げる事が出来れば左側に比較的ならかな尾根が東へ下山
口方面に続いている。
ドンドン急傾斜を下ると・・・1743分賭けは失敗した。そこはとても踏み込めない断崖絶
壁となっ
て切れ落ちていた。

 

 
   第230番鉄塔クンに17時32分到着            でも続く鉄塔保線路が見つからない 右手の伐採地には
                                      保線路は無かった
 
     仕方なく覚悟を決めて尾根を下る            ぎょへ〜 この下は絶壁だった (夕刻でブレてます)


あきらめて息を切らせながら急斜面を又這い上がる。夕闇が迫りこのロスが痛いのだが、もし保線路が発見出来なけれ
ば「シャクナゲの尾」まで帰って辻ヶ峰からマ
イントピア端出場まで安全だが長い行程を歩かねばならない。なるべく
左側の崖に沿って這い上がっていると、18
時05分何か平たい雪幅が左手に廻りこんでいるのを発見。あった〜〜 
鉄塔保線路じゃ〜あ〜りませんか。 これであと
時間程で下山出来る・・・とその時は本気で喜んだ。

有り難い事にこの鉄塔保線路は急な崖部を伝うので要所にロープが張られ、鉄梯子なども敷設されていた。雪の形状か
ら道も何とか確認する事が出来た。
19時00分鉄梯子を渡り、沢部に出たがそこで道が定かでは無くなり、沢を渡ると
が張られて「危険」と書かれた札が架かっている。その日付が平成2410月と最近の日付が記されてどこかの山の
会らしき名まで書かれている。
う〜〜ん こりゃ この方向には進んだらイカンってことやな

 
   18時05分 鉄塔保線路発見  ウレピー         有り難い事に要所にロープが張られている

 
  18時20分 斜面は雪が少ない             18時40分ロープは無くなったが道に雪が残って比較的分かり易い

 
19時00分 梯子が崖にかかっている                 この辺りは厳しい崖の部分だろう

 
     19時06分 沢に出る                   雪深い沢を渡ると「危険」マークと紐で通せんぼがしてある
                                      これに惑わされて引き返したり道を探したり時間ロス

又、元に戻って振出しから保線路を慎重に探しながら歩く。でもどこにも道らしき物は無かった。しばらく危険マーク
の場所に佇んだ後、意を決して危険地帯に足を踏
み入れる。先の鉄梯子にもご丁寧に危険マークが張られている。それを
越えるとまともな保線
路となり1940分電発の鉄塔路表示ポールが立っており左229、右230となっている。

次の229号鉄塔には19
時47分着いた。一体  あのお騒がせな注意書きは何だったんや!

 
19時35分 危険地帯?を進む                    19時41分 鉄塔表示ポールがあった

 
19時47分 電源開発 第229番鉄塔クンに出会う     20時17分 鉄塔保線路はあきらめて地図とコンパスで
                                     林道までゆっくり歩く

さて、3番目の鉄塔まで無事下山出来たので厳しい崖部をクリアしたのでほっとする。しかしその先の保線路は地形が
平たいのと一面雪に覆われて見つける事が出来な
かった。でもここまで夜の山歩きの安全を保証してくれた電源開発鉄塔
保線路に深く感謝する。


これから後は自分でルートを決めて下山する事になる。GPSで位置を確認して地図を見、進路を東に取る。地図には
北側に破線が続く
が、北側には本谷川が並行に走っており、夜間に沢へ近づく事を避けた。 なるべく東に向けるが結構
複雑な地形で小さな沢や崖が現れ、高みに這い上がろうとする
が倒木に阻まれる。

今度は右手に沢があるらしく轟々と大きな音を山間に響かせている。ここで進路を北に振る事にする。沢筋は右手に続い
ているが、斜面を横切り小尾根を乗り越えて
ひたすら北に進む。雪を被った平たい沢の手前で木にテープを発見するが、
沢を越
えて更に北の斜面へと歩く。時刻は刻々と経っていくが、夜になれば19時も21時も全く同じなのだ。ヘッドラ
ンプに照らされる10m程の視界の状況に集中し一歩一
歩安全を確認しながら進む。

地図には沢筋に道の破線マークがあるが夜の沢筋は避けた方が安全のセオリーなのだ。GPSで林道に近づいているのを
確認し倒木に悩まされながら歩くと、林道に23
10分下り立った。あ〜〜やっと安全地帯まで下山する事が出来た。
ちょっと時間がかかり過ぎたが最後まで怪我をしない様に安全第一で歩き通す事が出来た。
家に電話を入れて状況報告を
行う。

 
後は倒木や小さな崖を避けながらひたすら東へ進む     23時10分 林道に下り付く

ほっとしながら歩くと、朝歩いた尾根部に差し掛かった。この林道を伝えば1時間程で車に帰れる。でも足は藪尾根に向っ
てしまった。
夜の山は効率が悪い。方位磁石で確認しながら北へ北へと進む。朝歩いた記憶の風景と違うので多少ルートは
外れているが、まあどうせ道は無いの
だから気にする事もない。沢の音が大きくなると一度荒れた林道に下りた。かまわず
そのまま藪に入ってイバラや蔓
の抵抗を受けながら川原に下り付く。 あ〜〜 やっと帰った〜

が・・・どうも川の風景が朝下りたのと違う。二本の川筋がその場所で合流し、更に下流へと水嵩を増やして流れている。
眼前には15mほどのコンクリートの壁がある。 道路は右手(東側)にある筈なので少し上流部へ歩き這い上がれそうな
場所から林道に這い上がる。


上の林道をそのまま歩く方が早かったという結論に達した。01
15分 やっと文明の利器、我が愛車に帰る・・・・・
長い一日だった。
念願の新居浜側から沓掛山・黒森山周回は200パーセントの達成感で遂行する事が出来たが、下山時日
没になってしまった為、これは明らかに失敗の巻だ。 

雪の季節にこの長丁場の計画自体が自分には無理だったと反省。道の無い場所での暗夜行路は大変効率が悪い事を改めて身を
持って実感した。

近いうちにもう一度この下山に使った電源開発・鉄塔保線路を明るい時に歩こうと思いながら運転して高松の自宅に引き上
げる。


四国のK2(沓掛・黒森)縦走は山歩きの道具、GPS、地図、方位磁石、ヘッドランプを駆使したサバイバル登山であった


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