イノシシ達の沢歩きシリーズ

平家谷 (奥七番川)遡行  

平成23年7月30日 メンバー :エントツ山・マーシー・紫雲・与力・gakugaku



平家谷 (奥七番川)遡行  銅山川源流地への遡行  ガクちゃんも参戦〜

入渓地点 : 中七番・フォレスターハウス東側に川筋へ下がる道あり

遡行終了地点: 一ノ谷越付近登山道

遡行時間: 中七番〜一ノ谷越近くの登山道  約5時間

下山方法: 一ノ谷越より中七番までの一般登山道を利用  約2時間


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを使用したGPSトラック・ログ図 平家谷 (奥七番川)


概要:平家谷とは銅山川上流=七番谷川の支流で奥七番川とも呼ばれている。つまり春に皆さんがカタクリ見物に行く
ナスビ平への登山道の左下を流れている谷である。


中七番にある住友林業フォレスターハウスの東側から銅山川=七番谷川を渡る橋がありそこを渡って川に入る。
少し下流に下がると平家谷が右手に分かれている。


当日は水量が多く結構苦労したが、幾つかの支谷に別れているので分岐では注意が必要。大きな分岐は2箇所ある。
第1箇所目は主沢が真っ直ぐと左手に上がっていく場所。ほぼ同じ太さで迷う所だ。ここは左手に上がっていく
沢を選ぶ。

第2箇所目は困難な高い滝を乗り越えると、真っ直ぐ高みに向けて続く細い沢筋と、ほぼ直角に右手に曲がる10m
程の低い段差の沢に別れている場所。 ここは右手の沢に上がって行くとすぐに平坦な沢と
なる。
後はほぼ一本沢でこれを詰めるとキレンゲショウマ沢に行き着く。

全体的には中盤
までは沢というより川のイメージだが、中盤以降高低差が増してくると沢山の滝が出現して面白い
ここもゴルジュ(両岸が崖になっている場所)や釜がほとんど無いので比較的プレッシャーが少ない

最終地点は冠山の西側にある一ノ谷からの登山道となる。


登場人物:

 

                     左から マーシー、紫雲、与力、gakugaku(ガクちゃん)


トピックス写真


誰や〜 水はあっても膝下までですって口車に乗せたのは〜!  溺れる者 岩をも掴むの巻


ここはスリングは要らないですよ(マーシー)  溺れる者 紐をも掴むの巻〜


         滝を這い上がる者 木の枝をも掴む の巻


マーシ〜 上でボケ〜と眺めんとロープでも下せ〜   滑り落ちそうな者 水をも掴む イノシシの滝上り の巻


予定では瀬場谷遡行が計画されていたのだが、私はもう一つ気が進まず、独自で日裏谷に行くつもりでいた。
それで
取り敢えず集合地で皆さんにご挨拶だけはしておこうと家を出発。現地に行ってみるとやはりせっかちな
紫雲さんが既に到着していた。

法皇トンネルを
抜けると天気予報が狂い雨が強く降っていたが、この状態では長い瀬場谷も日浦谷も危険と
判断し、集まって来た与力さん、マーシーさん、
ガクちゃんと相談の上、マーシーさんが「1時間半で
ちょちょっとへつって行ける沢が有り
まっせ〜」との口車に乗って軟弱集団は名前も知らないその沢へ直行
する事になった

私はその沢の終了地にあるキレンゲショウマを観賞出来るので積極的に口車に乗った。

中七番フォレスターハウス手前の駐車場で用意をして川に向う。前夜急に与力さんから誘いを受けたガクちゃん
はさすが岩も沢もキャリアが長いので装備も充実している。


08時30分橋のかかっている川縁に来てびっくり。まるで台風の後みたいに水が轟々と音を立てて流れて
いる。まあここは本流やから支沢に入れば・・・・と銅山川
(この辺りは七番川と呼ぶ)を少し下る。

 
08時25分中七番駐車場  ガクちゃん 参戦〜       08時30分七番川の橋を渡って一旦下流に下る

やがて10分程下って08時40分右手に目的の支沢合流点に着く。 あれ? 本流と全く変わらん水量
やんけ
 マーシー! 「多くても膝下までの水量でちょちょっと沢横をへつって行けます」ってのは一体
どないなってんのや


そう言えば、以前「黒滝」で「折り畳み傘を差せば上からの水に濡れません」なんて言われて現場に行くと、
傘を差すどころか、全身に怒涛の滝水を浴びマーシーの口車
には懲りた筈だった。歴史は繰り返される。


沢はこの辺りでは比較的幅が広く、普段ならジャブジャブと歩けそうだが濁流でひたすら岸辺を通って上を
目指す。08時48分上に綺麗な鉄橋が見える。平家平への登山道と
して使われている鉄塔巡視路の橋だ。

 
08時40分 平家谷(奥七番川)に入る轟々たる水量    08時48分 平家平への登山道に使われる電力保線橋

鉄橋をくぐってすぐに左側へ渡渉する。イワタバコが沢山咲いており雨や水しぶきを浴びて濡れている。
最初ヘルメットを被っていたが、テジロが大挙して襲ってくるので
虫ネットに代える。ガクちゃんは虫ネット
は持ってこなかったと言う。他の連中はヘル
メットは外していない。油断すると薄手の手袋の上から手の
甲を攻撃してくる。


テジロは自己防衛反応には極めて鈍く、無防備である。身体にまとわりつく奴をやっつけようと思えば幾ら
でも叩き落せる。でも敵は大集団なので根気が続かず
気力負けしてしまうのだ。


09時02分水量の多いダム状の滝が現れる。沢の左側をへつりながら進むが、どうしてもクリア出来ない
場所では胸まで使って前へ出なければならない

「誰や〜 水は少ないです」って言ったのは〜〜!とマーシーさんに無駄な抗議をする。でも水が多いおかげ
でとても楽しい事も事実である。


 
  08時51分 左側へ渡渉                         09時02分 ダム状の滝

 
「これって沢歩きなの?」(ガクちゃん ガクゼン)       いえいえ はからずも激流歩きでおます(マーシー)

 
イワタバコもこんな日に来るイノシシ達にびっくり      マーシー 万歳してる場合か!(いえ お手上げです)

 
    09時21分 迂回路は無し               いや〜〜ん こんな場所 膝下までの水って言ってたのに


相変わらず激流の横を歩いて上流を目指す。09時27分突然、後ろを歩くガクちゃんが声を上げたので振り
向くと川の真ん中で中腰になっている。どうも激流に身体を
持っていかれそうになったみたい。くわばら 
クワバラ


激流の中ほどに岩が中州の様に配置され快適な場所に沢歩きの喜びを噛み締める09時37分前方に大岩の
横を激しく濁流が落ちる場所があり、横から倒れた樹の枝が
その激流に浸かってザバザバと音を立ててまるで
生き物の様に揺れている。
頑張っている樹を応援したい気持ちだがその運命は悲観的だ。

 
  おっ  意外と軽快なフットワークなガクちゃん        09時26分 相変わらず水量は多い

 
 むむっ 流される寸前で我慢するガクちゃん          09時30分 岩の中州  こういう場所は助かります

 
  また 道具自慢してるんじゃないの?           09時34分 いや〜  来た甲斐がありました〜 (マーシー)

 
     前方にバシャバシャと大きい音がします        枝が激流にもて遊ばれている悲鳴でした


    09時40分 大岩の上から  太い木の枝が激流に捕まって裂けている

09時43分上から垂れ下がる木を掴んで渡渉。その近くで休憩し全員の沢靴写真を撮る09時57分前方
に大きな滝が見えて、手前の大岩をどちらからクリアするか思案する。
マーシーさんが沢沿いに進んだので
ザックが岩に閊(つか)えない様に這いつくばって
前方に出て小滝をクリアする。

 
      ターザンの様にはいかんわなあ・・       沢靴比べ  紫雲・与力(茶)はキャラバンの黒部かな
                                         ガクちゃん(白)は年代物のダイワ釣り用
                                         エントツ山はモンベル 沢シューズロング
                                         マーシーは前日釣り具屋で買った投げ売り廉価沢靴

  
      四国の吸盤(キューバン)ボーイズ             這いつくばっても進むのも人生や

10時00分前方に丸太が川を横切っており、倒木かと思ったが良く見ると横板が少し残っているので丸太橋
として使用されていたのだろう。
その直ぐ上流の左岸には石垣が組まれており、左岸に並行に木橋がかかって
いた。
這い上がると荒れてはいるが下部歩道の沢沿いにあった道のようだが直ぐ上側で崩壊していた。

又沢に入って進むが相変わらず水量が多い沢を20分程左から右、右から左へと渡渉を繰り返しながら進む。

 
丸木橋の残骸 林業作業用に敷設されたのだろうか       左岸に木橋が架かっている  下部歩道じゃろう

 
  10時12分 大岩の上から沢を見る            10時16分  相変わらず流れがキツ〜イ

10時35分左側の岩を乗り越えると前方に物凄い水量の10m滝が出現。そのままは進めないので一旦右側
へ渡渉し、滝の右側を這い上がる。
滝の上に出ると斜めに強く水が滑っており、ここはスリングの助けを借りて
クリアする。


 
  10時34分 寄らば大岩の陰                10時35分 こりゃ どうするべえ


      どえりゃ〜 水量でがんす    エントツ山だけヘルメットを脱いで防虫ネット姿


                     ここは右手から突破〜!

 
        ガクちゃんと紫雲さん               10時45分 その上にも激流がありスリングにて確保


暫く高低差の少ない沢でホッとしていると、11時00分更に6m程の水量が多い滝があり、ここは左側を
上がる。
11時06分川中に大きな石があり、その向うに大きな滝を持った広い場所に出た。ここが第1二股
沢分岐だ。


11時10分右手の分滝から滝上の大岩に出るとマーシーさんが辺りの景色を見ながら思案している。この
分岐を右か左か悩んでいる様だ。「う〜〜ん 左だった様な気がします
というので「そっちに決定〜!」って
長老の気楽な判断。こう言う時、悩みだすと余計
にわからなくなるので第一感に正解が多い。

GPSを持っているがここを歩くつもりが無かったので2万5千分の1地図を持ってきていないのだ。一応ガク
ちゃんとマーシーさんが地図入りGPSで位置確認している様だ。

後からトラックログを見ると、この分岐は正面の主沢に見えるルートはナスビ平方面へと伸びている。
我々は
左手の落差が大きい滝に向かって進む。

 
    10時55分 平和なひと時                 10時59分 沢が右手にカーブすると又急流が続く

 
   11時01分 最初の滝を左からかわす           11時08分 広い場所に出る (分岐くさい)

第一分岐点


    11時11分  この滝上で沢が二手に分かれている

 
どうも正面ではなく左手みたいです よし それに人生を賭けよう       その左手は難所だった


私はササっと右の高巻きで上側に出てみんなの滝遡行風景を見学する。スリングなど出して苦労している様だ。
ここからは巨大な一枚板の様な傾斜を沢水が音を立てて流れ落ちていく。11時24分落差が30m以上も
あろうかと思われる連続滝が出現する。

 
11時15分 左手も水量は多い          11時24分 落差のある連続滝が出現

う〜ん 一見してここは私には無理と判断。皆と反対の右側にあるガレ場を這い上がり、11時36分第1滝の
上側に出て高見の見物にかかる。ここは今回一番の難所かも知
れない。4人が難所で苦労している隙に上側を
偵察する。右の草付きガレ場の向うには
更に2段で20m程の滝が見える。

この谷は最初は川みたいだったが、奥へ進むにつれて高低差のある滝が続々(ゾクゾク)現れてゾクゾクする。
(のんびり山歩師匠のマネをしたシンプル・ダジャレ)


11時45分右手からこれを登り切ると、沢は少し右に振り奥側に同じような15m滝が現れた。11時50分
この滝の基部まで進み滝を見上げる。ここは足掛かりがあり中央又は右側の水路にそって上まで上がる。


 
11時36分右に巻いて滝上に出ると皆は苦労していた           何とか難所をクリアした様だ

 
    更に上を見ると落差の大きい滝がある             カモ〜〜ン


この上側に倒木が横たわり、見上げるとその向うに又同じような落差のある滝が見える。11時56分左手の
草付きガレ場を這い上がり、マーシーさんのスリングに助けれれて
沢に復帰する。

 
  11時54分 この滝は左手の草付きへ逃げる  11時56分ここから草付きに取りつき上部に上がる


第二分岐点

この沢筋はさらに相当高くまで真っ直ぐに伸びているので後続が来るまで左側の斜面を滝と並行に這い上がって
いると下からマーシーさんが「そっちじゃありませ〜〜ん」と
言う。何とな もそっと早く言ってくれんと・・・

垂直に近い斜面を木を頼りに滑り下りる。どうもここは第2二股地点で、直角に右手から落ちている樋状の
滝方面へ進む様だ。
12時07分細い樋状滝をトラバースして、待っててくれた与力さんと一緒に這い上がると
ここをお昼の場所と決めて休憩していた。


 
12時05分 右手から落ちてくる樋状の滝へと向かう  滝上に出て昼食  いや〜ここまで大変でしたなあ(12時26分)

今日は皆と沢歩きする予定では無かったのでガスストーブやラーメンを持ってきていない。マーシーさんが沸か
したお湯とガクちゃんがくれたコーヒーで温まりながら
オムスビを食べる。


さあて、12時半になったので腰を上げる。12時44分立派な12m程の滝まで沢幅が狭くなるが水量がまだ
十分である。
この滝は足掛かりがあり右から何なく上まで達する。この辺りから回りは石屑が多くなりなだらか
な斜面となる。


 
12時40分 沢幅が狭まって来たが水量はまだある       上部には沢が続いている

 
 吸盤はあっても翼が無いんやから飛んだらアカンよ        ここは滝中を歩ける



          12時45分 いい雰囲気の場所だ

 
      マーシーさんは中央から                   他のメンバーは右手から

12時50分更に上にある10m程の美しい滝を越えると、沢は極端に狭くなり、中央の樋状の一枚岩を水が
流れる。13時00分最後の滝ともいうべき8m程の壁が現れ、先に上がったガクちゃんのスリング確保で這い
上がる。


  
   12時50分 一枚岩上を流れるクリーク                 傾斜が結構キツイ

 
12時58分 森の中の最後の滝か?               中段はガクちゃんがロープで確保

 
13時02分 イノシシが上からこちらを見ている       岩盤があるので歩きやすい


キレンゲショウマ沢

その後は周りが少しザレてはいるが足元には樋状の一枚岩があるので歩行は楽である。13時08分上でマーシー
さんが沢の横に生えている物の写真を撮っている。
「キレンゲショウマがありました」 お〜〜本日の目標が
達成された。


所々に土砂が堆積しているものの快適な沢の終焉はキレンゲショウマの群落だ。これで今年は混雑の剣山へ行か
なくて済んだと言うものだ。それにしてもこの辺りのキレンゲ
ショウマを今年見た人間は我々だけではあるまいか

 
13時10分 第一キレンゲショウマが現れる            今年初めてのキレンゲショウマ

 

 
13時17分 沢が終焉の雰囲気となる                銅山川の源流が近づいた風景


       平家谷の最後はキレンゲショウマの群生地だった


13時25分、周りの景色はブナなどの樹木が鬱蒼とした森となり、霧が辺りに充満して幻想的な風景である。
13時30分登山道に合流した。ここから少し歩くと「一ノ谷越」だが誰もそちらに進もうとする者はいない。
せめてもうすこし辺りのキレンゲショウマを見る為に時間を
少し貰う。

13時40分銅山川源流のモニュメントで今度は沢足袋を脱ぐ時間を貰う。引っ張ったり、指を入れたり、ねじっ
たり悪戦苦闘の末にモンベル沢足袋を足から
剥がして今度はモンベルのローカットシューズに履き替える。
別にモンベル信奉者では無いが、安いのがいいのだ。

又 テジロ攻撃に合いながらなすび平から林道へ出てフォレスターハウス横を通らせてもらい15時36分
車に帰る。

 
13時40分 銅山川源流碑              14時08分 なすび平

 
14時52分 林道  アブが多い          15時35分 駐車場に帰る

想定外の水量だったが、山仲間と歩けてとても楽しかった。こんな口車だったら乗ってみるのもいいもんだ。
皆さん お世話になりました。

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