平成19年5月20日 我が故郷の山 2007 三部作
第3部 魔戸の滝から 串ヶ峰 と 上兜山
魔戸の滝ー串ヶ峰ー上兜山ー串ヶ峰ー東尾根ー魔戸の滝 (11時間 ) カシミールソフトによるGPS トラック・ログ図
(国土地理院 25000数値図使用(承認番号 平15総使、第634)
故郷の山 串ヶ峰・上兜
私が生まれ育った新居浜・上部地区から正面に聳える大女の肩「串ヶ峰」(くしがみね) 山登りを始めてからあの山の頂から故郷を眼下に見渡したいという願いは「わいわいさんのヤブ漕ぎ日記」をヒントに成就された。山名は伊藤玉男さんの本「赤石の四季」から見つけ出し山名板を立てのであった。
上兜山 串ヶ峰 (船木からズーム)
その時に訪れた大女の肩にちょこんと乗っかった「上兜山」にも山名標識はなく「わいわいしゃもじ」がぶら下がっているだけだったので、この際思い切って銅版で山頂標識を製作して頂きそれを敷設しに出かけた。
前夜、魔戸(窓)の滝付近に幕営しお宝の銅版標識を抱いて寝る。 翌朝 串ヶ峰登山口である尾根の切り通しへ向かって歩くと、先日ガクガク隊が発見した自殺者の車が窓ガラスが叩き割られてビニールが貼られた姿でまだその場に放置されていた。
生きるに忍びない状況まで追い込まれるとはどのような苦しいものだったのだろうと胸が痛む。山登りが出来る精神的余裕と肉体的条件を持つ自分の幸せを感じながら登山口に向かう。
以前、尾根を詰める山登りを知らなかった頃、随分効率の悪い方法で串ヶ峰に向かった。 今では第一感登山口はここしかないって事がわかる。
上兜山の銅版標識とテント 魔戸の滝と石ヶ山丈
尾根の切り通しにある串ヶ峰登山口 約1時間で西側尾根の第一岩展望所に着く 倒木を避けながら尾根道を30分位ドンドン進むと、やがて右手に崩壊地が見える。その最上部あたりから作業道などが現れて登山道が怪しくなるが、気にせず尾根を進むとやがてやせ尾根の第一展望所に出て、ここからは魔戸(窓)の滝の上流部西ノ谷川を挟んで、西向いの石ガ山丈から立川に延びる尾根が見える。
痩せ尾根 第一岩展望所 四角い標石がある
四角い標石があり、ここから潅木の藪尾根となる。辛抱して尾根さえ大きく外さなければ踏み後が現れる。以前来た時より明らかに赤テープが増えている。
ここまで植えるか〜って思える場所に植林地帯が現れ、以前斜面を斜めに這い上がって来た合流点に着いた。
潅木藪が行く道を遮る 植林地帯をかすめる(以前登って来た合流点)
植林地帯を抜けて急な登りを喘ぐと第一スズタケ藪が優しく迎えてくれる。そこを這い蹲(つくば)ると大きな岩の転がった美しい場所がある。その後急な斜面となりそこを這い上がると第二岩展望所が西斜面にあり、向かいの西赤石と兜岩が雲間に現れる。目を細めるとかすかにアケボノのピンクが残っている様だ。斜面に突き出した岩場に出ると串ヶ峰の天辺が望める。
第一スズタケの藪 オランウータンの岩場
第2大岩展望所 セルフタイマーは命がけ 串ヶ峰が霞んで見える
コヨウラクツツジ アケボノツツジや〜
この頃からアケボノツツジがちらほらと現れ気持ちが高揚する。でも登りの傾斜は相変わらずキツイでおます。またもやスズタケ藪の洗礼を受け、アケボノツツジに励まされるとこの尾根最大の見せ場「第3大岩展望所」が尾根の西側にある。
ここから眺める兜岩と西赤石は最高だ。最盛期は過ぎたとは言え、今日も沢山の登山者で賑わっているはずだ。
第3大岩展望所 西赤石ー兜岩ー石ヶ山丈が一望出来る
新居浜の西部から西条方面が見える 西赤石と兜岩が雲間に現れた
この最後の大岩展望所を過ぎると、今度は尾根の東側、新居浜展望所がある。視界の良い日には故郷の町が全部見えて感激する。 小さい頃 市内に見える煙突から炎が出ていた。別子銅山がこの街を作り上げたと言っても過言でない。汚い街ではあるが、故郷ってものは採点が甘く懐かしい。故郷を離れて暮らすと歳と共に余計にその思いは強くなる。
兜岩に勝るとも劣らぬ「串ヶ峰 新居浜展望所」 ここが私の育った故郷(ふるさと)だ
さて、物事を成就するには苦難を乗り越えなければならない。猛烈なスズタケを抜けてると、そこにはまた最後にはスズタケと潅木の急坂が待っている。最初はササダニに取り付かれるのが嫌なので注意を払うが、そのうち体がヘロヘロになりヘビだろうがササダニだろうがドンと来い!って勇気が出てくるっていうか要するに注意散漫になる。
がむしゃらに藪を掻き分けると串ヶ峰の山頂に飛び出す。登山口から約4時間見ればよい。そこにはまぎれも無く私が持ってきた標識が風雨に耐えて立っていた。二つ並んでいる所を見るとここを訪れる同志が立て直してくれているのだろう。良く見るとこげ茶色のペンキは剥げかかり、山名の白も薄汚れている。
薄汚れて立てられた串ヶ峰 山頂標識 誰かが二つ並んで立てている
早速 標識メインテナンスに取り掛かる。下地のこげ茶色を塗り終えて、それが乾くまで今度は上兜の山頂標識を持って尾根を上兜山に進む。
以前は潅木の隙間を探してジグザグに歩いたこの尾根には一本の道が整備されていた。おかげで面白くも何ともなくなった藪尾根を複雑な心境で上兜山へと進む。人は何を求めてわざわざこんな場所へ来るのだろうか? 手付かずの自然を味わいたいからじゃなかったか? それなら何故わざわざ必要以上の道を作るんじゃろう? 便利な整備道を歩むとあっという間に上兜山の直下へ着いた。
あれ?立派な道が出来ている 上兜への大女の肩
どの花も可憐で綺麗だが、山で見るアケボノツツジほど「いとおしいもの」はない
上兜山の斜面を見上げてアッと驚く為五郎〜 ギザギザ頭の上兜山の斜面一面ピンクで飾られエライ派手なギャルに変身している。このアケボノの坂を這い上がり山頂の檜に括り付けられた錆びた鉄の標識跡とぶら下がったしゃもじに対面。
へ〜 上兜山もこんな色になる時期があるんや〜
さっそく銅版製の山名標識をザックから取り出して細い紐で鉄板にくくりつける。う〜〜ん 中々いい感じだ。渋い色合いで周りの風景にもマッチしている。
上兜山の山頂標識と「わいわいしゃもじ」
上兜山から東側を見下ろすと河又から関川の上流部の深い谷が切れ込んでいる。 南側には物住ノ頭へと続く尾根の両側に、前赤石から八巻山、更には峨蔵山が東へ伸び、雲原越から西赤石への主尾根が西に伸びている。 もう一度しげしげと銅版を眺めた後、メインテナンスの途中で放ったらかしにしている串ヶ峰へと帰る。
上兜 山頂標識の前で 満足〜 物住ノ頭方面もピンクに覆われている
上兜から南斜面は 春色のじゅうたん
西赤石と兜岩 上兜山の標識に別れを告げる
整備された藪道だが、散々不平を言いながらもこの道を辿る。人間とは因果なものだ。便利なものがそこにあると一挙に堕落する。
新居浜の多喜浜・大島方面 串ヶ峰へ帰る
上兜山と その右奥に色気の無い前赤石が「俺にも化粧してくれよ〜」と嘆いている
大女の肩 全景 奥に見えるのは前赤石と東赤石・峨蔵山の山々
すこし生乾きではあるが、帰りの事もあり文字部の白を塗る。あれ?持ってきた刷毛が2本共大きすぎる。何か無いか? 救急用品の中に綿棒があったのでこれを使って苦手な細かい作業にかかる。
もうそこら中白ペンキだらけだ。何故か登山ズボンや登山シャツにもついている。こりゃ作業着でこなけりゃならなかったバイ。
バーナーでラーメンを作るが箸が無い 刷毛が大きすぎて綿棒で塗る
メインテナンスが終わったメイン標識は正面へ据える
予備の標識は西赤石と兜岩が見える場所に設置
何とかメインテナンス作業が終わり、二つの標識をそれぞれ効果的な場所に配置して大女の肩に別れを告げる。
さらば 串ヶ峰よ (新居浜・西条方面) 分岐から東尾根へ下る
猛烈なスズタケを下がると、右手に支尾根がある。この串ヶ峰は新居浜上部からみると肩の先端=串ヶ峰山頂を頂点として二等辺三角形になっている。
通常登山道は西側の辺に沿ってあるが、道がはっきりしていない東側の辺にそって帰る事にする。かすかな踏み後に沿って下りるが途中からそれも無くなり、尾根をひたすら下ると植林地帯となった。相当急な斜面だ。
前半は典型的な岩尾根 ブナの大木もある 串ヶ峰では珍しい
リョウブの大木も 植林地帯の急斜面を下りる
地図を見ると、相当北に下がって西に進み、又登り返すという複雑な破線だ。 途中からそこそこしっかりした支尾根が西側に伸びていたので、これに乗って直線的に魔戸(窓)の滝の登山口へ向かう事にする。
道なき道を、要所でGPSと地図で位置を確認しながらオリエンテーリング歩行を続ける。自分の位置がわかるって不安を解消してくれる。といっても道は全く無く崖もどき、沢もどきも現れスリル満点だ。途中で沢沿いに上に向かう赤テープが現れたが無視して西へと道無き道を目標方角に向かってひたすら進む。
立派な滑滝を発見 林道に上がりつく
最後に急な斜面を這い上がるとドンピシャ林道のガードレールに這い上がった。 串ヶ峰山頂を出発して丁度3時間の旅だった そこから朝取り付いた登山口を経由して魔戸(窓)の滝登山口に置いていた車へと帰る
出発点に無事帰る 魔戸の滝 西ノ谷川に架かる樽ワ淵橋
五月のアケボノツツジが咲く季節は心が故郷の山にある。今年も銅山峰に始まって、西赤石の兜岩、串ヶ峰と上兜山。故郷を想い故郷の山を歩く喜びを与えてくれる全てのものに感謝したい。そして来年も元気でここへ帰って来れる様に心身共に元気でありたいものだ。
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