平成18年8月14日 床鍋―権現越えー東赤石―八巻山―石室越えー筏津
床鍋ー権現越えー東赤石ー八巻山ー石室越えー筏津 カシミールソフトを使ったGPSトラック・ログ (一部床鍋谷部補正) ( 国土地理院 50000数値図使用(承認番号 平15総使、第634)
石室越えから八巻山 (右端)
故郷の山尾根縦走も法皇山脈、峨蔵山、赤石山系、から石鎚山系を石鎚までほぼ踏破した。但し石室越えから八巻山
のごくわずかの間が残されていた。
この未踏場所を歩く為に登りのコースを未だ使った事のない「床鍋―権現越え」下山を「東赤石直登コース(瀬場谷コース
の東側ルート)」を選択する。
お盆に実家で私の車が要ると言うのでモンキーを下山口(筏津)にデポし床鍋まで兄貴に送ってもらう。谷あいの集落で
民家の方が出ていたので登山口を訪ねると親切に教えてくれた。支度をしているとアブが大挙して押しかけてきて車の
ドアから侵入し兄貴やこの親不孝な山キチ息子を一緒に見送ってきた母親が大騒ぎする。(スンマセン)
筏津にモンキーをデポ 床鍋登山口
手早く支度を済ませて登山口から暗い植林地帯に入っていく。この道は林業用作業道兼、鉄塔巡回路と思われ沢筋には
幾つかの鉄製の橋が架けられ、展望はないが歩きやすい。
植林の間を進む 自然林も時々現れる
鉄の橋が結構架けられている 四国電力の指標が多い
アセビの登山道 シャクナゲの木もある
単調な植林地帯を歩いていくと次第に赤石山系である事を表わす大きな茶色をした橄欖岩(かんらんがん)が地表に
現れ例の渦巻き型のコケ模様も見られる様になる。
大きい岩が現れ、道は整備されている 水場があるのが嬉しい
権現越えが近づいてくると、オトメシャジンやシモツケソウがボツボツ道端に現れる。やがて辺りが明るくなり稜線が見え
一面の草原となる。いわゆる権現越えのお花畑と言われている界隈である。まあ日本アルプスの様な派手な花がある訳
ではないが、シシウド、シコクフウロ、クガイソウ、オトメシャジンなどが風にそよいでいる。少し大き目で水色が濃いソバナ
と思われる種類もある。(ソバナ、オトメシャジン、ツリガネニンジン 良く似た花だ)
シラヒゲソウ シモツケソウ、オトメシャジン
権現岩が現れる
シコクフウロ クガイソウと権現越え
その右手(東側)上方には登山者を見張る様に権現岩の黒い塊が顔を覗かせている。権現岩の岩塊の右端には一団とは
分かれてクレオパトラニードルの様に尖って天を指している細長い尖塔がある。
権現越えのお花畑と権現岩
見覚えのある権現越えの標識まで上がり、前回行かなかったこの権現越えの番人「権現岩」に登ってみる事に。左側がキレ
落ちた稜線をジグザグに上がって裏側から取り付く。権現岩には法皇神社が祭られていて神事の水貯用と思われる立派な
長方形の石があった。この岩にしばらく腰掛けて霧に覆われる権現越えの様子やその向こうに緑深い切り立った東赤石の
前峰を眺める。
権現岩の祠から権現越えを見下ろす 権現岩に祀られた法皇神社
権現越えから東赤石を見る 権現越えに下り返す
さて、石室越えまではまだ長い道のりなので腰を上げる。権現越えを更に西に進むとすぐに樹林帯に入り、大きな石がゴロゴロ
する急な登り坂が待っている。しばらくこの広い赤茶けた道で息を切らせていると、左手に赤石山荘へのトラバース分岐の標識
に出くわす。
東赤石への登りが始まる 赤石山荘へのトラバース路分岐
ここを真っ直ぐに登っていくと登山道は岩などを巻いて更に高度を上げていく。東赤石山は結構有名であるが、その山容は下界
からは非常に確認しにくい山である。
従って東赤石山の全容を見ようとすれば、西側の八巻山から眺めるか、東側のこの権現越えを更に登り東前峰より眺めるしか
無い。個人的には東側から眺める「東赤石」の迫力が好きだ。それとこの東からの岩場ルートこそが東赤石山を詰めるに相応しい
ダイナミックさを味わえる。 岩場にはコウスユキソウがバックスキンのような粉っぽい白色で群生し、小さめのオトメシャジンも風
に靡いている。
岩場から銅山川への谷を眺める
東赤石がやっと見えてきた
赤石橄欖岩を登って行く
コウスユキソウが群生している 白骨樹が白く輝いている
東赤石山の雄大な姿が見える
コウスユキソウと東赤石の東側にあるピーク
最後の橄欖岩群を抜けると細長い東赤石の三角点山頂につく。先日小松島で取材に行った「ヤッホー地蔵」が風雨に
色あせて鎮座していた。
東赤石山 三角点山頂 ヤッホー地蔵
ここから少し藪っぽい樹林帯を西に抜けると、いわゆる標識のある東赤石山頂に着く。山頂のテーブル岩には缶ビールを
旨そうに飲んでいる明るい男女がおられた。見ると眼下にホシガラスの群れが飛んでいたので一緒に見学。その後八巻山
の尾根へ向かう。途中で東赤石の山頂写真を撮っていなかった事に気づいたのでお二人を下から撮らせて頂く。写真をH
Pに載せて良いか確認して快い承諾をもらう。
東赤石山頂で高松から来られた人と別れる さいなら〜〜
赤石越えに下り付く。ここは冬に土居側から深い雪を分けて上がってきた懐かしい分岐だ。この分岐をまっすぐ西に進めば
いよいよ八巻山への尾根ルートとなる。
赤石越え十字路分岐 タカネマツムシソウ
ここから石室越えまでが四国で唯一の本格的な岩峰地帯が続く。岩質が赤石橄欖岩(かんらんがん)といって地下のマグマ溜まり
からの貫入岩らしい。石灰岩の様にツルツル滑らないので比較的歩き易い。このルートは岩の上を乗り越えたり、岩の間に溜まった
土の上を歩いたりと面白い岩場歩きを楽しむ事が出来る。
モアイ像のような岩を越える
東赤石がガスで霞んできた
但し、北側がキレ落ちているので絶えずガスが煙の様に吹き上がってきてあっという間に視界を遮る。この時期八巻山までの岩場
にはコウスユキソウ、タカネマツムシソウ、ウバタケニンジン、ホソバシュロソウがあちこちに咲いているので、踏みつけない様に注意
を払って歩かなければならない。
祠のある八巻山 山頂
東赤石山が遠ざかる ザック 拾ったキジの羽根をGPSに差す
八巻山までは岩場歩きとは言えルートもはっきりしているので割合歩き易い。祠のある八巻山に着いたので少し休憩をとる。案の定
ガスがかかって東赤石方面は殆ど見えない。簡単な昼食の後石室越えに向かう。八巻山から石室越えまでは想像以上に小さな岩峰
がありアップダウンも激しく岩峰歩きとしてはこの場所が一番面白いと言える。岩場を乗り越える度に振り返り、その方状節理の形を
楽しむ。
左手眼下には赤石山荘の赤い屋根が見える。この赤い屋根が次第に後ろに遠ざかると、稜線のアップダウンが無くなり、そのまま
登山道が石室越えに向かって樹林帯に入っていく。藪っぽい樹林帯を暫く進むと前赤石、西赤石から来た登山道と合流し、ここに
石室越えの鉄製標識が立っている。
タカネマツムシソウ 石室越えへは尾根が平たくなる
石室越えの標識 赤石山荘への下山道
ここから赤石山荘へ向かってこげ茶色の石がゴロゴロする緩やかで広い道の樹林帯をひたすら下りていく。
やがて赤石山荘の裏手に出たが、以前水が結構出ていた水場にはほとんど水が湧いていなかった。しばらく八巻山を眺めた
あと瀬場谷には下りず、天狗の庭の前を通って権現越え方面のトラバース路を東に進む。
赤石山荘付近から見上げる八巻山
歩きにくい岩とアップダウンのある細い道をかなり歩くと右前方に支尾根が見えて銅山川へと落ちている。その手間に
「瀬場・筏津」への分岐標識がありこれを右手に下がっていく。
赤石山荘からトラバース路へ 東赤石山 直登ルート分岐
この登山道は相変わらず大きな石がゴロゴロしているが、はっきりした道で小走りに下っていく。
右手に沢の音が次第に近づいてくるが、水は見えない。しばらくして一つの沢が右の谷に現れ滝の様に岩の傾斜を水
が滑っている。まるで滑り台の様で気持ちが良さそうだ。 やがてその沢の下流で登山道と合流しこれを渡渉する。
水量が豊かな滝部にはスダレギボウシが咲き実に美しい風景だ。大岩の横にかけられた木道を更に下っていくとやがて
見覚えのある瀬場谷登山道に合流し、見慣れた景色を筏津まで歩く。
東赤石直登道を下る 美しい沢を通る
瀬場谷登山道と合流する 合流点近くにある丸木橋
筏津にデポしていたモンキーを開錠してエンジンを駆ける。 あれ? いくらキックを入れてもぼそぼそ呟くだけでかからない。
うそ〜〜 チョークを開いたり閉じたり悪戦苦闘する。 長い焦りの8分が過ぎてやっとモンキーの意地悪から解放されて
大永山トンネル方面へと向かう。
やっとかかったぜ エンジンが オヤジも心配で駆けつけてくれた
汗のかいた後のバイクの風は爽快だった。ヘルメットを被り忘れたまま別子山村の駐在所前をすり抜け、途中で迎えに来た
ラッシュに会うが、上り坂での状態を知りたかったのでそのまま大永山トンネル付近まで走り、車に回収。一緒に迎えに来
てくれた親爺と一緒に新居浜の実家へ帰る。
お盆にも山登りをするチョィ悪息子にも変わらぬ愛情を向けてくれる両親や家族に感謝
|
|