平成18年4月30日 鋸山(1,017m)−豊受山(1,247.4m)−赤星山(1,453.2m)
( 国土地理院 50000数値図使用(承認番号 平15総使、第634)
カシミールソフトを使った寒川ー電波塔ー鋸山ー豊受山ー赤星山ー土居 トラック・ログ ルート図 (合計約11時間)
故郷の山 法皇山脈―峨蔵山―赤石山系の縦走もこの「鋸山ー豊受山ー赤星山」をもって大詰めを向かえた。マーシーより「このコースはちょっと物足りないので下から歩きましょう」と提案される。主体性のない私は素直にそれに従う。
第一章 寒川ー法皇山脈尾根(電波塔)−鋸山 (2時間45分)
伊予三島 国道11号線より見上げた法皇山脈
鋸山 1145.2mピーク 豊受山 赤星山
デポ車を土居インターチェンジから赤星山登山口途中の高速道路近くに置いてマーシーの軽四駆で伊予寒川へ。 マーシー邸より裏山の林道歩きが始まる。道は荒れてはいるが一昔前まで車が通っていたと思われる広い植林地帯の林道を上がっていく。途中から沢に沿って更に峠に向かう古道らしき道に入る。海の傍から一挙に標高750mあまりの稜線まで上がるのだから結構キツイ。 おまけに私の苦手な植林地帯で何の楽しみもないわい。
高速道路近くの取り付き口 林道を歩く
沢筋の林道を進む 沢の上部を渡る
稜線近くに着くと立派な舗装された車道に出くわし、余計にこの2時間弱のヘロヘロ歩きの虚しさに追い討ちをかける。稜線歩きの出発点である電波塔にたどり着き、尾根道へ踏み込む。やっと稜線歩きが開始された。
稜線近くの舗装道路に出る 稜線歩きの出発点 電波塔
境界尾根にはお地蔵さん等も祀られて道がある。杉林の中にコシアブラとタラの芽がたくさんありマーシーの目が輝くが今日は山菜採りツアーでは無い!と釘を刺す。
尾根歩き 開始 お地蔵さんがあった
アセビの曲線が美しい 4等三角点のピーク (816.6m)
しばらく歩くと舗装された車道に飛び出した。ここには2台車が置かれている。近くに鋸山登山口の標識がある。鋸山(のこぎり山)まで傾斜の緩やかな登りが続きツツジが沢山咲き誇り稜線歩きを楽しい気分にさせてくれる。
鋸山登山口標識 尾根道
上からご夫婦が下りてきてお話をする。他の仲間は豊受山までグループで縦走したと言う。この地元のご夫婦と別れてしばらく歩くとなだらかな鋸山山頂に着いた。三角点のある山頂は通りすがりの尾根道でしかないが、見ると北側に大岩がある。この大岩に出ると紙の町「四国中央紙(市)」から土居にかけての海岸線が一望できる。山桜がまだ残っていて風が心地よい。更にもう一つ大きなテーブルロックがあって目標の中間点「豊受山」が稜線の向こうに見える。
ツツジが咲き誇る尾根道 鋸山山頂 3等三角点
鋸山 テーブル状の大岩 鋸山大岩から豊受山を見る
第二章 鋸山ー豊受山 (約2時間半)
豊受山の形は写真で紹介されているように尖ったのが多い。銅山川の富郷から見る豊受山はまるでマッターホルンだし、土居から見上げるそれも結構鋭い。しかし川之江の国道沿いやここ、鋸山から見る豊受山は南北に稜線が張り出してまるで二ッ岳にそくりだ。
鋸山(のこぎりやま)大岩から豊受山(奥)への稜線を見る
鋸山から豊受山までの稜線はカタクリ、ヤマシャクヤク、エイザンスミレなどの山野草が沢山あり二人の中高年登山者をガラにも無くロマンチックな野草鑑賞家に変身させてしまった。
ヤマルリソウ ヤマシャクヤク (蕾)
エンレイソウ ヒトリシズカ
エイザンスミレ ハルトラノオ
カタクリの花
アセビの曲線美
二ツ岳 赤星山
歩いてきた鋸山から続く稜線を振り返る
4等三角点のある藪山ピーク 潅木の藪尾根
幾つかのピークを越えて登山道分岐に着いた。もう記憶になかったが近くの豊受神社の祠や吊り下げられた鐘を見て 豊受山の豊岡コースに合流した事を思い出した。登山道にはミヤマカタバミやスミレが踏まれそうな場所にたくさん根を張っている。
稜線から見る豊受山は台形だ 豊受山 登山道分岐
見覚えのある厳かさのあまりない豊受神社の社に着き一応参拝。裏手の急斜面を尾根筋に上がり細尾根を進む。2メートルほどもあろうかと思われるピンクのテープにマーシーの目が光った。だが良く見るとそこは踏み抜けば真っ逆さまに転落する危険箇所だった。近くの倒木を持ってきて更に補強。藪に吊り下げられた山頂標識のある豊受山最高点は非常に狭く、学生時代の間借り部屋を思い出させる。ここで松山から来られた親子に会う。
豊受神社の祠 豊受山神社
豊受山の細尾根 豊受山 最高点山頂 (狭〜い) 松山からこられた親子
更に細尾根を三角点に下がっていくと数人の登山者に会い、聞くと鋸山で会ったご夫婦のグループで富郷側にデポ車を置いているらしい。以前マーシーが東赤石山に登った際お世話になった方がおられた。豊受山三角点に着くと何の意味があるのか両側の枝に赤いテープが残置されている。不思議なことに帰る時には見えなかった。
豊受山から鋸山への稜線を見る
細尾根から愛想の良い犬が マーシーの顔見知りに遭遇
豊受山 山頂三角点
第三章 豊受山ー赤星山 (約2時間20分)
豊受山の三角点から更に北側へ下がるとここにも大岩があり、アケボノツツジの群生が見える。まだ蕾で赤い色をして固まっていた。
豊受山を少し北に下がると大岩が アケボノツツジはまだ蕾
赤星山が木々の間から見える タムシバの清潔そうな花
豊受山山頂で昼食の後いよいよ赤星山へ向かう。先ほど松山から来られた親子連れの最高点場所から縦走尾根に入る。こちらの尾根は鋸山―豊受山間より潅木の藪が多く山野草も少ない。でもピークや岩などの変化が多く稜線歩きとしてはより楽しめた。所々にある岩場にはヤマシャクヤクやシコクイチゲなどもありマーシーが結構見つけるのがうまい。
豊受山 山頂標識の場所から藪尾根に 最初は藪がひどい
尾根にはブナなどもある 岩峰のピークが現れる
赤星山への稜線 結構ピークがたくさんある
こんな藪尾根にも大量のテープが 静かな尾根の風景
シコクイチゲ ヤブレガサ(?)
藪人間 マーシー もう一息 最後は結構息が切れる
見覚えのある岩場展望所を過ぎるとすぐに赤星山山頂へ到着。こちらの山頂は豊受山のとはエライ違いで小学校の運動場が2〜3面は出来そうだ。懐かしい二ッ岳への稜線を見ながら二人で万歳をする。
笹が現れると赤星のニオイが 赤星手前の南側展望岩
赤星山 山頂のゴミ
法皇山脈縦走完了〜 バックは二ツ岳 縁とは不思議なもので幸か不幸か笹ヶ峰でマーシーと偶然会わなければ、こんな藪尾根を歩く相棒は生涯現れなかったであろう
山頂には溢れた標識が引っこ抜かれてゴミとなっている。その仲には赤星山清掃登山記念標識なるゴミもある。中尾登山口方面へ下って赤星山のカタクリの様子を探る。登山道にはロープが張られているが群生らしきものは見当たらない。もっと下の方にあるのだろう。登山道を外れて散策の後山頂へ帰る。
赤星山 山頂 赤星山のカタクリ
終章 美しき「皇子渓谷」コースを下る
マーシーの楽観的な尾根歩き予想に反して結構時間がかかった。今までに二人の藪尾根歩きには見られなかったパターン「花とおじさん」状態に時間が余計に取られたのもある。それにしても最初の尾根まで歩いて上がった時間的なロスが響き、当初考えていた赤星山の藪尾根を北に下がるコースの選択は放棄して平凡に皇子渓谷を下る事にする。
このコースも最初から見苦しいほどの赤テープが視界に氾濫していた。一部は地面に落ちて散乱し残置テープの末路を物語っている。マーシーの腰に下げた大きめのゴミ袋は不道徳な登山者のゴミや不要なテープで一杯になっている。
野田方面の標識を正確な方角に修正 テープの残骸が地面に散らばっている
崩壊しかかった沢まで下り、更に皇子渓谷の滝群最上部へ下り付く。ここから土居の「大地川登山口」までは以前訪れた懐かしい数々の滝が大岩と共に現れる。ハシリドコロ、ワチガイソウ、イチリンソウなどが沢山あり、赤紫のツツジやヤマブキの黄色(ヤマブキ色?)が新緑の中に鮮やかに演出される。このルートで正解〜
ガレた斜面に出る ちゃんと梯子が掛けられている
テンナンショウ ハシリドコロ
ハナネコノメ ワチガイソウ
イチリンソウ コミヤマカタバミ
滝部の始まり 「天流の滝」か?
沢の水が気持ちが良い
これは中折滝かな
崩壊しかかった沢まで下り、更に皇子渓谷の滝群最上部へ下り付く。ここから登山口までは懐かしい数々の滝が大岩と共に現れる。ハシリドコロ、ワチガイソウ、イチリンソウなどが沢山あり、赤紫のツツジやヤマブキの黄色(ヤマブキ色?)が新緑の中に鮮やかな演出を施されている。このルートで正解〜
千丈の滝 崩壊場所が石積み修復してくれている
崩壊部には丸木橋が架けられている 滑りやすい大岩にはロープが
順番でいくと「稲妻の滝」?
これが稲妻の滝かな (?)
綺麗な渓谷の風景
大地川の渓谷を「皇子渓谷」と名付けられている
いたるところに立派な橋が架けられている 梯子もある
数年前とは違いこの滝コースの登山道は地元の人による整備が行き届いており、崩壊した沢部には石積みが丁寧に施され、丸太を使った橋がたくさんかけられていた。
ツツジの花びらが落ちた風景もまた良し 布引の滝上部で
布引の滝
機の滝
以前には無かった長い橋 登山口近く 最後の橋を渡る
土居側の赤星山登山口に着き高速道路までの林道を歩く。3年前の台風で崩落した箇所もちゃんと修理され登山口までの道は車の通行に何の支障もなかった。
赤星山 土居側登山口 林道も修復されている
最後の舗装された林道歩きが結構長かったが、右手に大地川の清流を見ながらヤブコギ尾根歩きの盟友マーシーとよもやま話をしながら歩く。ロマンを求めてもほとんどの尾根には道がありテープすらたくさん見られる。でも故郷の山を稜線伝いに歩く楽しみはかけがえの無い自分史と言える。 ずっと私に先頭を譲ってくれたマーシーに感謝
|
|